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工場向け機械設備の設計・製造・メンテナンス一括サポート 有限会社浜岡工作所

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技術資料


送風機

標準以外のガスを取扱う場合

1.温度のみの場合

例) Q:風量1000m^3/min Ps:静圧300mmAq t:ガス温度300℃ γ:比重 γ1=1.293*(273/(273+t))=1.293*(273/(273+300))=0.476kg/㎡

Q=1000*(1.293/0.476)=2716㎡/min

Ps=300*(1.2/0.476)=756mmAq

2.温度と湿度の場合

例) Q:風量500㎡/min Ps:静圧200mmAq t:ガス温度70℃(飽和)

γ1=1.293*(273/(273+t))*((10330-(0.378・ψ・H)/10330)

γ1=1.293*(273/(273+70))*((10330-(0.378*1*3178))/10330)=0.909kg/m^3

Q1=Q

Ps=200*(1.2/0.909)=264mmAq

3.温度と湿度と圧力

例) Q:700m^3/min Ps:静圧-400mmAq t:ガス温度80℃(飽和) BkW:所要動力

γ1=1.293*((10330-Ps)-(0.378・ψ・H)/10330)*(273/(273+t))

Y1=1.293*((10330-400)-(0.378*1*4829.7)/10330)*(273/(273+80))=0.7733kg/m^3

Q1=Q

Ps=400*(1.2/0.7733)=620mmAq

BkW1=BkW*(0.7733/1.2)

4.混合ガスの場合


例) Q:風量600m^3/min Ps:静圧300mmAq t:ガス温度25℃

Q1=Q
γ=(0.15*1.964)+(0.55*1.25)+(0.25*1.251)+(0.05*2.86)=1.43785kg/Nm^3

γ1=1.43785*(273/(273+25))=1.317kg/m

Ps=300*(1.2/1.317)=249mmAq 

BkW=BkW1*(1.317/1.2)

送風機の法則

配管、空気温度変化がない場合


空気及びガスの法則・ボイルシャールの法則

PQ=RT
P:絶対圧力 Q:空気の容積 R:ガス定数 T:絶対温度

容積を一定にすれば絶対温度に正比例して圧力が変わる。
圧力を一定にすれば絶対温度に正比例して容積が変わる。
温度を一定にすれば圧力に反比例して容積が変わる。

上記より、空気重量Wとすれば、
W=1/Q=P/TRになる。又は Q=RT/P=1/W

流体機械

遠心羽根車及び斜流羽根車
羽根車の羽根間平均流れが羽根に沿うときの理論ヘッドをHth∞と表せば、
Hth∞=u₂^2(1-(υm₂/u₂)cotβb₂)-u₁υθ₁
角速度ωで回転する羽根車内で、半径rの位置に於ける羽根間平均速度の大きさがω'で周方向から測った角度がβの流れが、子午面上の位置mからm+dmまで進む間に生じる角運動量
の変化は①式の左辺で表される。一方それは羽根車のdm区間に働くモーメント即ち、z枚の
羽根の前後面に働く圧力差に基ずくモーメントに等しいから、ωsとωpを羽根両面の相対速度とすれば次式が成立する。
d((rω-ω'cosβ)r)ρQ=(ρ/2)(ωs+ω^2P)brzdm ①
ここに、Qは半径r、幅がbの環状伝面積を単位時間に通過する体積流量
Q=2πrbω'sinβ=πrb(ωs+ωp)sinβ ②
として①式を変形すれば、
ωs-ωp=2πr/z(2ωsinβ(dr/dm)+ω’(dβ/dm)+ω'/b・sinβcosβ(db/dm) ③
実際には羽根車出口では羽根両面に圧力差がないから、羽根車後縁付近では②式の右辺が零
になるように第2項は大きな負の値となり平均の流れ角βは出口に向かって減少する。即ち出口に於ける翼間平均流れ角βは羽根出口角βbより小さくて、一般的に速度3角形に示されるように、羽根車からの流出速度υ₂の周分速度υθ₂は、羽根に沿って流れるとした相対速度
ω₂∞をもつ速度υ₂∞の周分速度υθ₂∞よりも小さい。この差を無次元化して、
κ₂:滑り係数=(υθ₂∞-υθ₂)/u ④
滑りは羽根車出口付近で羽根の負荷が大きくなり得ない為に生じたもので、羽根車zが無限大の時は羽根に沿って流れる。この状態を表すのに添字∞を用いる。また②式より、滑りは
羽根角βbが小さい程少なく、出口付近に於けるβbの分布の影響を受ける。非粘性流れとして求まる滑りの理論値は実験値とほぼ等しい。
ウイズナーによれば、羽根車の出入口半径をr₂,r₁と表しε=exp(-8.16sinβb₂/z)とすれば、
r₁/r₂<εの時 κ₂=√(sinβb₂/z^0.7)
r₁/r₂>εの時 1-κ₂=(1-((√sinβb₂)/z^0.7))・(1-((r₁-r₂)-ε/(1-ε))^3) ⑥
HthとHth∞との比をμと表し滑り率と呼ぶ。μと③式で定義されるκ₂との間には、予旋回
υθ₁がなければ次の関係がある。
μ=Hth/Hth∞=υθ₂/υθ₂∞=1-(κ₂u₂/υθ₂∞) ⑦
流量が変化すると羽根車から流出する相対流れ角β₂はかなり変化するが、κ₂は流量が変化してもほぼ一定である。
理論ヘッドを式で表すと、
gHth=u₂^2((1-κ₂-υu₂/u₂・cotβb₂)-(r₁/r₂)^2・(υθ₁/u₁) ⑧ となる。

反動度
入口において予旋回がなくυm₂=um₁とすれば、
gHth/u₂^2=υθ₂/u₂=1/2(υθ₂/u₂)^2+((p₂-p₁)/(ρu₂^2))
右辺第1項は動圧の増加量、第2項は静圧の増加量、第3項は圧力損失
動圧を案内羽根によって静圧に変えるときの圧力回復率はせいぜい70~80%であるから、高い効率を望む場合では羽根車でなるべく大きな静圧上昇を達成することが必要で、
υθ₂/u₂は大きく取れない。その為に高効率のポンプや圧縮機では、羽根車出口角を小さく
とることが多い。羽根車出入口間の理論静圧ヘッド差と段出入口の理論ヘッド差との比を
反動度といい、タービンにも適用される。

翼列

円形翼列 
静止円形翼列(静翼)
翼列が円周上に一定間隔で配列されている時、これを円形翼列という。
弧長cなるN個の翼型の前縁は半径r₁、後縁はr₂なる円周上に、其々2πr₁/N、2πr₂/Nなる間隔をもち、翼形前縁と後縁が張る中心角をθ、取付半径rGと翼弦とのなす取付角をλGとする流入、流出角を、其々β₁、β₂とする。円周りの循環Γ、流量Q及び転向角Δβは、
Γ₁=2πr₁V₁t、Γ₂=2πr₂V₂t ①
Q=2πr₁V₁r=2πr₂V₂r   ②
Δβ=β₂±β₁=tan^-1・Q/Γ₂±tan^-1・Q/Γ₁、r₁≷r₂ ③
翼型の循環をΓとすると、ストロークの定理より、Γ₁=Γ₂±NΓ、r₁≷r₂  ④
2つ円に囲まれた領域に角運動量定理を適用すると、円形翼列によるモーメントは、
M=ρQ(r₁V₁t-r₂V₂t)  ⑤
従って、①と④式より、M=(ρQ/2π)(Γ₁-Γ₂)=±(ρQ/2π)NΓ ⑥
となり、翼型の循環から発生するモーメントを求める事ができる。
(1)減速円形翼列(r₁<r₂)
式(2)よりV₁r>V₂rとなり、外向き減速型となるから、ディフーザ機能をもつ、この時の全圧損失ΔPとディフーザ効果ηnは、ベルヌーイ定理と①,②式を用いて、
ηD=1-ξυ/(1-(r₁/r₂)^2・((1+Γ₂/Q)^2/(1+(Γ₁/Q)^2)) ⑦
ξ=ΔP/((1/2)ρV₁^2)
(2)増速円形翼列(r₁>r₂)
式②よりV₁r<V₂rとなり、内向き増速型となるからノズル機能を持つ、この時の全圧損失
ΔPとノズル効率ηNは
ηN=1/(1+ξυ/(1-(r₁/r₂)^2・((1+Γ₁/Q)^2/(1+(Γ₂/Q)^2))) ⑧
ξ=ΔP/((1/2)ρV₁^2)

回転円形翼列
円形翼列が角速度ωで回転するものとし、半径r₁、r₂なる円周上に於ける周速度をu₁、u₂
相対速度をω₁、ω₂、絶対速度をc₁、c₂、翼型への流入、流出角をβ₁、β₂とする。
半径rとなる翼型表面上の任意点の圧力P、相対速度ω、周速度uとすると、回転する流管のベルヌーイ式より、P₁/ρ+ω₁^2-u₁^2/2=P/ρ+ω^2/2-u^2/2
入口に於ける全圧:Pr=1/2・ρc₁^2+P₁ ①
翼面圧力係数:cp=(p-Pr)/(ρu₂^2)=1/2((r/r₂)^2-(ω/u₂)^2)、u₂=r₂ω ②
但し、入口絶対速度c₁は半径方向をもつとしている。
翼面に沿う相対速度ωから、循環Γ=∲ω(s)ds ③
が求められるから、円形翼列による理論揚程は、
Hth=NΓω/(2πg) ④
円形翼列によって発生するモーメントは、
M=N∲(p-Pr)r(s)dr(s) ⑤
で与えられるので、圧力上昇へのエネルギー変換効率は、
η=γQHth/Mω、γ=ρg ⑥
これらの円形翼列の特性は、流量ごとに求められるが、次の無次元表示が採用されている。
揚程係数ψ≅Hth/u₂^2/g
トルク係数μ≅M/Pu₂^2・r^2・b^2
効率η≅2πφψ/μ
流量係数φ≅Q/2π・r₂・b₂・u₂
b₂は出口における翼型の高さ
②式より圧力上昇は、第1項の遠心作用によるものと第2項の相対速度の運動エネルギによるものとから成り立ち、後者は翼型形状に依存している。

蒸気タービン翼
基本式
エネルギ式:h₀₁=h₁+c₁^2/2
連続式:G=A・c sinα/v
h:エンタルピ [J/kg]
c:蒸気の絶対速度[m/s]
G:単位面積当りの流量[kg/m^2・s]
A:流体通路方向に垂直な方向の面積[m^2]
v:比容積[m^3/kg]

反動度
タービン段の特性を特徴づけるパラメータとして反動度Rxを次式で定義する。
Rx=(h₂-h₃)/(h₀₁-h₀₃)
h₁:タービン入口蒸気のエンタルピ[kcal/kg]
h₂:タービン出口蒸気のエンタルピ[kcal/kg]
h₃:復水器出口飽和水のエンタルピ[kcal/kg]

エネルギ式と速度係数
φN:ノズル速度係数(0.97~0.99)
φB:動翼速度係数(0.96~0.98)
c₂=√(2(h₀₁-h₂))=φN√(2(1-Rx)(h₁-h₃ss)+c₁^2)
w₃=√(2(h₀₃re₁-h₃))≒φB√(2Rx(h₁-h₃ss)+c₁^2)

連続式と流量係数
G:単位厚みの円筒流面に関しての流量
D:円筒流面の径
v:比容積
S:翼列の喉幅
t:翼列ピッチ
φ:流量係数
添字N,B:其々ノズルと動翼及びその喉部

ノズルに関して、
G=πDc₂sinα₂/v₂=φNπD(SN/tN)√(2(1-Rx)(h₁-h₃ss)+c₁^2)/vN ①

動翼に関して、
G=πDw₃sinβ₃/v₃=φBπD(SB/tB)√(2Rx(h₁-h₃ss)+w₂^2)/vB ②
c₂,w₃が亜音速の場合v₂≒vN,v₃≒vBであるから、翼列形状と流出角の関係
sinα₂≒(φN/ψN)(SN/tN) ③
sinβ₃≒(φB/ψB)(SB/tB) ④
湿り蒸気の流量係数は過熱蒸気の場合より大きくなり、概略φWT=φSH/√(1-y)の関係がある。y:湿り度、添字WT,SH:其々湿り蒸気、過熱蒸気

臨界圧力比
各翼列のせき止め圧(P₀₁及びP₀₂)に対し、流量がチョークする出口圧Pcは近似的に理想気体として、
Pc/P₀=(2/(κ+1))^(κ/(κ-1))
κ:比熱比であり、平均的に過熱域でκ=1.3、湿り域でκ=1.13とすと、過熱域でPc/P₀=
0.546、湿り域でPc/P₀=0.578となる。
先細翼列で出口圧を臨界圧より下げると翼列出口の傾斜面に於ける膨張で、流出速度の周方向成分が飽和する限界の圧力比は、Pc^2/P₀=(2/(κ+1))^(κ/(κ-1))・(sinα₂)^(2κ/(κ-1))
過熱域に於いては半完全ガスとして、SI単位のもとで、Pv=0.2261(h-1914)を用いると、精度を上げることができる。

半径方向平衡式
翼高さが短く、平均に於ける計算だけでは十分な場合を除き、半径方向の状態値や速度の変化を考慮して、翼の捻じれ角などを決めなければならない。その際、円筒座標系に於ける半径方向のナビエ・ストークスの運動方程式に対し、流れは翼列間で非粘性流、軸対象流、定常流と仮定し、1/ρ(∂P/∂r)=cθ^2/r-ca(∂cr/∂X)-cr(∂cr/∂r)
ρ:密度、r,X:其々半径、軸方向座標、添字θ,r,a:其々周方向、半径方向、軸方向、ここで、左辺は半径方向の圧力勾配を示し、右辺がそれと平衡する流れの遠心力と慣性力を示している。

フロー・パターン式
翼の捻じれ角を決める為によく使われる条件として。
(1)段熱落差を半径方向に一定とする。
(2)周方向成分を半径の関数とする。
(3)流出角を半径の関数とする。
などの方法がある。ノズル出口の流れを決める最も一般的な条件としては、フリー・ボルテックス条件:cθr=Kがある。
さらに、動翼出口では熱落差Hを半径方向に一定になるように、上式のKをその段落の熱落差Hと軸加速度ωとの比H/ωと等しくとると、動翼出口の周方向速度成分はなくなる。

設計法
圧力複式衝動タービン
反動度とノズル面積、ノズル高さ
反動度は翼根元より翼先端に向かって増加する。負の反動度すなわち動翼に於ける圧力上昇は大きな損失を招くので、特殊な場合を除き好ましくない。従って、衝撃タービンの翼根元に於いても、一般に5~20%程度の反動度をもつようにする。平均径に於ける反動度は、
(1-Rxm)/(1-RxR)=(DR/Dm)^β
β:1.8~2、添字R:翼根元
この反動度を用いて、ノズル面積が①式によって求まる(但し、P₂/P₀≧Pc/p₀の時)
fn=Gsv₂/(φN√(1-Rxm)(h₁-h₃ss)+c₁^2)
式③でノズル流出角α₂を定めるとfN=πDm(SN/tN)m・ℓNであるから、ノズル高さℓNが決まる。ノズル流出角はノズル・プロファイル損失を増大させない為に通常11°以上とし、また、ノズル高さを必要以上小さくしない為に18°以下にしている。

計算例
次に示す条件のタービンのノズル面積fn、ノズル高さℓN、ルート反動度RxR、速度比U/c₀
及び速度三角形を求めよ。
Gs:段落流量=350kg/s
t₁:入口温度=500℃
Dm:平均径=1.25m
α₂:ノズル流出角=13°
P₁:入口圧力=3MPa
c₁:入口速度=50m/s
Rxm:平均径反動度=0.25
β₃:羽根流出角=21°
n:回転数=3600rpm
φN:ノズル速度係数=0.98
h₁-h₃ss:段落断熱落差=90kJ/kg
φN':ノズル流量係数=0.94
φB:動翼速度係数=0.97
圧力P₁=3MPa、温度t₁=500℃の蒸気の保有するエンタルピは蒸気表より、h₁=3456.2kJ/kg
動翼出口断熱エンタルピーは、
h3ss=h₁-90=3366.2kJ/kg
Rx=(h₂-h₃)/(h₀₁-h₀₃)式よりノズル出口断熱エンタルピは、h₂s≒h₃ss+Rxm(h₁-h₃ss)
=3366.2+0.25・90=3388.7kJ/kg
ノズル出口圧力P₂は、P₁、h₁、h₃ssより、P₂=2.46MPa
ノズル出口断熱比容積v₃sは、P₂、h₃sより、v₂s=0.1355m^3/kg
fN:ノズル面積=Gs・v₂s/(φN'・√(2(1-Rxm)(h₁-h₃ss)+c₁^2)  v₃=v₃sとする。
fN=350・0.1355/(0.94・√(2・(1-0.25)・90・10^3+50^2)=0.1361m^2
(SN/tN)≒sinα₂/(φN'/φN)=sin13°/(0.94/0.98)=0.2345
ℓN:ノズル高さ=fN/(πDm(SN/tN)m)=0.1361/(π・1.25・0.2345)=0.148m
DR:ルート径=Dm-ℓN=1.25-0.148=1.102m
RxR:ルート反動度=1-(1-Rxm)/(DR/Dm)^β=1-(1-0.25)/(1.102/1.25)^1.9=0.047
β:1.9
U:平均径に於ける周速=πDm・n/60=π・1.25・3600/60=235.6m/s
U/c₀:速度比=U/√(2(h₁-h₁ss))=235.6/√(2・90・10^3)=0.555
c₂:ノズル出口絶対速度≒φN√(2(1-Rx)(h₁-h₃ss)+c₁^2)=0.98√(2・0.25・90・10^3+50^2)=363.4m/s
速度三角形より、w₂=143.9m/s
w₃:動翼出口相対速度=φB√(2Rx(h₁-h₃ss)+c₁^2)=0.97・√(2・0.25・90・10^3+143.9^2)=248.6m/s
乾き翼列効率図より、U/c₀=0.555、ノズル高さℓN=0.148mの場合、ηu=0.874となる。

次に内部漏洩損失を求める。流量係数K=753、歯数N=10、ラビリンス径を0.7m、クリアランスを0.7mmとすると間隙面積fℓは、1.539・10^-3[m^2]、P₁=3MPa、P₂=2.46MPa、v₁=0.116m^2/kgとすると、
gℓ:ノズルラビリンスを漏れる蒸気量=735・1.539・10^-3・√(3/0.116)・
 √(1-(2.46/3)^2/(10+1n(3/2.46))
よってラビリンス漏洩損失は、ζGL=gt/Gs=1.031/350=0.0029

チップ漏洩損失ζTLを求める。軸方向間隙δa=4mm、半径方向間隙δr=2mm、歯数Nr=8とすると、δe=0.5547mm
ζTL=π・1.398・0.5547・10^-3/0.1361・√(0.25+1.8・(0.148/1.25))・0.874=0.0106

次に回転円盤損失ζdを求める。定数C=4.26・10^-4、UR=207.7m/s、DR=1.102m、
v₃=v₃ss=0.1428m^3/s、Gs=350kg/s、h₀₁-h₀₃ss=87272J/kgより、
ζd=4.26・10^-4・207.7^3・1.102^2/(0.1428・350・87272)=0.0011
従って、乾き翼列効率から内部漏洩損失と回転円盤損失とを差し引いた段内部効率は、
0.874-(0.0029+0.0106+0.0011)=0.859 となる。

ガスタービン翼の伝熱
タービン翼のメタル温度
タービン翼は内外面の温度差を小さくして熱応力を軽減する方向にあり、このために薄肉化
にする傾向にある。薄肉のタービン翼では、タービン翼を構成するメタル内の熱の流れは、一次元的である。熱流束qは次のように書くことが出来る。
q=hg(Tg-Two)=λM/ℓ(Two-Twi)=hc(Twi-Tc)
q=K(Tg-Tc)
1/K=1/hg+ℓ/λ+1/hc
q:熱流束[w/m^2]
λM:翼の熱伝導率[w/mk]
ℓ:翼の厚さ[m]
h:熱伝導率[w/m^2k]
T:温度[k]
添字:c冷却、gガス側、w壁、i内側、o外側

タービン翼周りの熱伝達
第1段タービン静翼と第1タービン動翼の速度三角形を表すと、第1静翼から出る主流の速度をc、第1段静翼の周速をuとすると、u=rωであり第1段動翼と共に移動している座標系から見れば、温度は第1段静翼のそれに比較して低くなる。
タービン翼面上を流れるガス温度に関して、境界層のエネルギー式(定圧比熱Cpが一定の流体)=ρCpu(∂Tt/∂x)+ρCpν(∂Tt/∂y)=∂/∂y(λ(∂T/∂y))+∂/∂y(uμ(∂u/∂y)) ①式
ここで、Tt=Ts+(u^2+ν^2)/2Cp ②式
Tt:淀み点温度或いは塞き止め温度[k]
Ts:静温[k]
①式で高速流では流体の内部エネルギーが増大することがわかる。
①式より、高速流では、淀み点では流体の持つ運動エネルギ-が全て熱エネルギーに転換される。
Tt=Ts+u∞^2/(2Cp) ③式
タービン翼の前縁は淀み点である為、静翼の場合、速度C₀に相当する動温を、動翼の場合速度wに相当する動温を、その点に於ける静温Tsに加算した全温度Ttを用いる必要がある。
断熱壁が高速気流に接すると、断熱壁の示す温度は境界層でせん断力が内部エネルギーを増大させた分、静温Tsに加算した温度を示すことになる。断熱壁が示す温度を回復温度Trと呼ぶ。Tr=Ts+r(u∞^2/(2Cp)) ④式
r:回復係数(流れが層流の場合r=√Pr、乱流の場合r=Pr^(1/3))
タービン翼周りは高速流が流れているので、④式で定義される回復温度を用いて局所熱流束を求める必要がある。
qx:熱流束=hx(Tr-Tw)

翼前線は直径Dの円柱で製作されていると考えてよい。この翼前部分の熱伝達率を求める方法として、主流速度u₀₀に直交して置かれた円柱周りで、次の熱伝導率式が与えられる。
Schmidtの実験式
Nu=hφ・D/λ=1.14Re^0.5・Pr^0.4(1-(φ/90)^3) ⑤式
円柱周りの熱伝達率を求める方法として層流境界層を解析的に求める手法がある。
燃焼器からタービンに流入する高温ガスは非常に乱れの強い流れである。このような強い乱れを持った流れの中に円柱を置いた場合、低い乱れの状態で求められた⑤式より高い熱伝達率になる。この主流乱れの層流円柱周りの熱伝達率への影響は実験的に調べられ、次式で表す。Nut/Nu₀=0.945+3.48・10^-2・(τ√(ReD))-3.99・10^-4(τ√(ReD))^2 ⑥式

タービン翼の背側、腹側は平板上の層流及び乱流の熱伝達式を用いることにより、局所の
熱伝達率を求める事ができる。
層流域(Rex≦3.2・10^5):Nux=hx・x/λ=0.332Rex^0.5・Pr^(1/3) ⑦式
乱流域:Nux=hx・x/λ=0.00296Rex^0.8・Pr^(1/3)

軸流圧縮機の単純半径平衡流れ

周速度Uで回転している翼列に流入する相対速度をW₁,角度はα₁として、流出のそれらはW₂,α₂とする。また軸流速度をVx₁,Vx₂とすると、Δα=α₁-α₂は転向角となりスワールが与えられ、絶対速度はVx₂,Vθ₂の成分が生じる。(添字:₁翼列入口 ₂翼列出口)
Vθ₂=U-Vx₂tanα₂の関係にある。
周速度Uで運動している翼列は、流体の単位質量当りUVθ₂の仕事をしたことになり、非圧縮流体ならば、連続の条件よりVx₁=Vx₂なので、UVθ₂=U^2(1-tanα₂/tanα₁)となる。

空気輸送

混合比
Γ=Ms/Ma=Ms/ρaQa
Ms:輸送量[kg/min]
Ma:輸送空気量[kg/min]
Qa:輸送空気量[m^3/min]
ρa:輸送空気の密度[kg/m^3]

空気量
輸送に必要な空気量Qa
Qa=Ma/ρa=Ms/Γρa=60uaπ(D^2/4) [m^3/min]
ua:平均輸送空気速度[m/s]
D:輸送管の内径[m]

輸送管の内径D
D=√(4Qa/(60πua))=√(4Ms/(60πΓρaua)) [m]

最小空気輸送
配管による粉粒体の低濃度空気輸送に於ける、最小輸送空気速度(飛翔速度)usの関係式を表す。
Barth式1954年
us=Fr√(gD)
Fr=(m/K)^(1/4)

Thomas式 1961年
us=(5 logRe-3.9)us*
Re=ρgDus/μg
us*/uso=1+2.8(ut/uso)^(1/3)・(1-εs)^0.5
λ=5μg/ρgu*
u*=(τω/ρg)^0.5
dp≧λの場合
ut/uso*=4.9(dpUso*ρg/μg)^-0.6・((ρp-ρg)/ρg)^0.23
dp<λの場合
ut/uso*=0.01(dpuso*ρg/μg)^2.71

Doig&Roper式 1963年
us=Fr√(gD)
ut<3m/sの場合
log(Fr)=0.098Ut+0.25log(m)
3<ut<12m/sの場合
log(Fr)=(ut-0.61)/8.5+0.25log(m)
0.5<Re<500の場合
ut=1.74(dp(ρp-ρg)g/(ρgg))^0.5
Re=ρgdp(ug-up)/μg

Zenz式 1964年
us=19mpuso/(πD^2・ρpS⊿^1.5)+uso

Rose&Duckworth式 1969年
us=3.2m^0.2・(D/dp)^0.6・(ρp/ρg)^-0.7・(Frp)^0.5・ut
Frp=Ut/√(gdp)

Matsumotoet al式 1974年
us=10(√gD)(m/(1.11(ρp/ρg)^0.55・(Frp/10)^-2.3)^(1/3)

Rizk式 1976年
us=(√gD)(10^δm)^(1/x)
δ=1.44dp+1.96
x=1.1dp+2.5

dp:粒子の直径[m]
D:管の内径[m]
Fr:フルード数
Frp:粒子のフルード数
g:重力加速度[m/s^2]
K:定数
m:混合比
mp:粒子の質量流量[kg/s]
Re:粒子のレイノルズ数
S⊿:Zenzの変数
up:空気速度[m/s]
us:飛翔速度(最小輸送空気速度)[m/s]
uso:単一粒子の飛翔速度[m/s]
ut:粒子の終末速度[m/s]
δ:Rizkの変数
εs:飛翔速度に於ける管の空間率
μg:空気動粘度[kg/ms]
ρg:空気密度[kg/m^3]
ρp:粒子密度[kg/m^3]
τω:壁面せん断応力[N/m^2]
x:Rizk変数
*:摩擦速度[m/s]

粒子層中を流れる流体が受ける抵抗
層流の場合
1.Hagen-Poiseuilie式
密度ρ、粘度ηの流体が粒子層中を速度uαの層流状態で流れるとし、その通路の長さをL、内直径をD、半径をRとすると、その圧力損失ΔPは次式で表される。
ΔP=8LηQ/(πR^4)=32Lηuα/D^2
Q:流量=uα(πD^2/4)
2.Fanningの式
層流状態では一般的には流速の1乗に比例するが、乱流状態にもそのまま適用でき流速の2乗に比例する。
ΔP=4∫(L/D)(ρ/2)uα^2
∫:管摩擦係数
細い管内あるいは微小な粒体の周りの層流状態の流れに対しては、
∫=16(η/(Duαρ))=16/Re
非円形断面の場合は、動水半径mを用いて、D=4mとなり
通路を二辺の長さがB,Hの長方形断面と見なすことができる場合は、
m=BH/(2(B+H))

⑶Kozeny-Carmanの式
動水半径m=通路の体積(πD^2/4)L/通路内壁の面積πDL≒粒子層単位体積当り空隙体積
ε/粒子層単位体積当りの表面積Sυ(1-ε)
ε:空隙率
SB:粒子層単位体積当りの比表面積
Sυ:粒子群単位体積当りの比表面積
Carmanは、傾斜した長さLeの中を速さuαで流れる時間Le/uαと空隙率εの層中を速度uα/αで直線距離Lを流れると仮定した時間L/(u/ε)とを等値して、L=Le/εと表し、
ΔP=κo(Le/L)^2・((Sυ^2(1-ε)^2)/ε^3)・Lηuα
Le/L:捻じれ率
κo:通路断面によって異なる係数
Carmanは、κo=2.5、Le/L=√2とし、Konzeny-Carman式と呼ばれる次式を得た。
ΔP=5(SB/ε^3)Lηuα=5((Sυ^2(1-ε)^2)/ε^3)Lηuα
κ=κo(Le/L)^2:Kozeny定数

層流と乱流を含む場合の圧力損失
Levaの式
圧力損失ΔP=4∫(Le/De)(ρ/2)ue^2
De:通路内径=粒子層中の空隙体積/粒子層中の粒子表面積=υε/(1-ε)/s
sとυは粒子1個の表面積と体積で、s/υ=6/φυdυ
ΔP=2κ(L/(dυφυ^(3-n))(G^2/ρ)
κ:修正摩擦係数
G:質量流量=ρuα
Re:修正レイノルズ数=dυG/η
1)層流域Re<10、κ=100/Re、n=10
ΔP=200(L/(dυφυ)^2)((1-ε)^2/ε^3)(η/ρ)G
2)乱流状態Re>100、κ=K/Re^0.1、n=1.9
ΔP=2K(L/((dυφυ)^1.1))((1-ε)^1.1/ε^3)(η^0.1/ρ・G^1.9)
2K:係数の値
比較的丸い粒子の場合2K=3.5
凹凸のある粒子の場合2K=5.25
鋭い突起がある場合2K=8

Ergun式
厚さLの粒子層に流体が見掛けの流速uαで流れる場合の単位厚さ当りの圧力損失ΔP/Lは
ΔP/L=αuα層流項+bρuα^2乱流項
層流域:ΔP/L=κ₁'S^2((1-ε)^2/ε^3)η^u Kozeny-Carmanによる。
乱流域:ΔP/L=κ₂'S((1-ε)/ε^3)ρu^2   Burke-Plummerによる。
κ₁'、κ₂':係数
ε:空隙率
S:粒子の比表面積
dυ:体積相当粒子径(球形粒子の場合6/dυ)
Ergunは横軸にRe/(1-ε)をとり、縦軸にκ₁+κ₂(Re/(1-ε))をとって実験値を整理し、係数の値κ₁=150、κ₂=1.75を得て、次式を導いた。
ΔP/L=150((1-ε)^2/ε^3)(η/dυ^2)uα+1.75((1-ε)/ε^3)(ρ/dυ)uα^2

最小流動化速度
Levaの式
um∫:最小流動化速度=φc^2/180((ρs-ρ)gdυ^2/η(ε^3/(1-ε)) となり、um∫は粒子層高さには無関係で、粒子間の空隙率が影響を与えることがわかる。εを流動開始時の空隙率とし、これは最粗充填状態に於ける空隙率にほぼ近い値であり、真密度ρsと最粗かさ密度
ρbとから次式を得る。ε≒(ρs/ρb)-1 数値的には流動状態にある粒子層内の流速を次第に減少していき、固体層になった時の値をとるのが妥当で、再現性がある。Levaはこのようにして測定した空隙率をεm∫として、粒子径と最粗空隙率の関係をグラフに表した。

白井の式
um∫:最小流動化速度=Cm∫((ρs-ρ)g/η)ds^2
Cm∫:最小流動化係数
Rem∫:レイノルズ数(ρum∫dυ/ηの関数として)
Rem∫<1の場合 Cm∫=6.05(10^-4)(Rem∫)^-0.0625
20<Rem∫<6(10^3)の場合 Cm∫=2.2(10^-3)(Rem∫)^-0.555
白井は以上から、さらに次の簡便法を提唱した。
1)Cm∫=10^-3と仮定して最小流動化速度の式から、um∫を計算し、その値をum∫'と表す
2)um∫'に対して仮のレイノルズ数Rem∫'=ρum∫'dυ/ηを計算する。
3)Rem∫'に対して、表(補正係数とレイノルズ数)より補正係数Cを求める。
4)次式から真のum∫の値を求める。
um∫=Cum∫'

抗力係数
1)Chesterの式
レイノルズ数が小さい領域に対する式として、
CD=24/R(1+3/16・Re+9/160・Re^2(1ogeRe+β+2/3・loge2-323/360)+27/640・Re^3・logeRe+・・・)  β=0.577216
2)Stokesの式
CD=24/Re
3)Oseen式
CD=24/Re(1+3/16・Re)
4)Goldsteinの式
CD=24/Re(1+3/16・Re-19/1280・Re^2+71/20480・Re^3-30179/34406400・Re^4+122519/560742400・Re^5-・・・)
5)Allenの実験式
CD=(5/4π)/√Re、 Re=30~300
CD=0.44     Re=10^3~10^5

円柱の抗力係数
1)Oseenの式
CD=8π/(Re(2.002-logeRe))、 Re<0.1
2)今井の式
CD=(0.707+3.42Re^-0.5)^2、 Re=5~40
3)高見,Keiierの値
CD≒1.2, Re=2(10^4)~2(10^5)

円板の抗力係数
流れに垂直に置かれた円板でReが小さい場合
CD=20.37/Re(1+Re/2π), Re<1

粉粒体の終末速度
風力分級及び沈降分離装置の設計に於いて、粉粒体の終末沈降速度を推算することが必要である。微粒子を分離する分級器に於いて、分級する為の流体の上昇速度υの基準は微粒子の終末速度といい式で表すと、
υt:終末速度=(2gmp(ρp-ρ)/(CDAp・ρp・ρ))^0.5
粒子が球形の場合は、mp=πdp^3・ρp/6、Ap=πdp^2/4より、
υt=(4gdp(ρp-ρ)/(3CDρ))^0.5
Ap:粒子の運動方向の投影面積[m^2]
CD:抵抗係数=Fd/(ρ(uα^2/2)Ap
dp:球形粒子の直径[m]
Fd:抵抗力[N]=CD(ρ/2)uα^2・Ap
g:重力加速度[m/s^2]
mp:粒子の質量
Re:レイノルズ数
υ:粒子の速度
μ:流体の粘度[pas]
ρ:流体の密度[kg/m^3]

なお利便上、粒子の終末速度utについてのレイノルズ数をRetとし、次のように規定する。
CD=∫(Res)=0.63+4.8/√Res
Res=usds/ν=ρusds/η ν:動粘度 η:粘度
CD=κ/Res^ε κ:係数 ε:指数
1)Ret<1:Stokesの抵抗法則を受ける領域(微細な粒子の場合)
κ=24、ε=1,CD=24/Ret
ut=(ρs-ρ)g/18η・ds^2
2)Ret=1~500:Allenの抵抗法則を受ける領域(中間の大きさの粒子の場合)
κ=10、ε=0.5、CD=10/√Ret
ut=(4/225((ρs-ρ)^2・g^2/ρη))^(1/3)・ds
3)Ret=500~2(10^5):Neutonの抵抗法則を受ける領域(大きい粒子の場合)
κ=0.44、ε=0、CD=0.44
ut=1.741√((ρs/ρ)-1)gds)

固体粒子が気体中を落下する場合は、一般にρs≫ρでありρs≫1とすると、
1)Ret<1
ut=ρsg/18η・ds^2
2)Ret=1~500
ut=0.261(ρs^2/ρ(g^2/η)^(1/3)ds
3)Ret=200~2(10^5)
ut=1.741√((ρs/ρ)gds)

サイクロン
サイクロンは、気流の旋回による遠心力を利用した沈降分離器であり、気体中からの粉粒体の分離や、気体中の粉塵を分離捕集する装置として使われる。旋回する粒子には遠心力が働く、回転運動している粒子に働く遠心力が、重力の何倍かを示す無次元数を遠心効果Zと呼ばれ、次式で表す。
Z=rω^2/g=υ^2/rg
標準サイクロン寸法
b=2D、h=0.5D、d=0.5D、L=D、H=0.2D
D=√(Q/(6υ))
Pl:サイクロン圧力損失
Pl=30bh/d^2・√(D/(L+H))・(ρυ^2/2)
又は、プロポーションが同じであれば、圧力損失はサイクロンの大きさと無関係で、その値は動圧の約1.7倍として、pl=3.5ρυ^2となる。この場合の定圧空気密度ρは、理想気体式で近似できる。ρ=1.29・(273/(273+t))・((1.01・10^5+P)/(1.01・10^5))
必要とする分離限界粒径d50が与えられれば、サイクロン直径Dが求められる。
D=πd50^2・Nυ(ρs-ρ)/(0.9μ)
b:サイクロン入口幅[m]
D:サイクロン直径[m]
d:サイクロンの排気筒直の径[m]
d50:50%分離限界粒径[m]
g:重力加速度[m/s]
h:サイクロン入口高さ[m]
H:サイクロン円錐長さ[m]
L:サイクロンの胴体長さ[m]
N:サイクロン中の空気有効旋回数、4~5
P:サイクロンの入口空気圧力[pa]
pl:サイクロンの圧力損失[pa]
Q:サイクロンの風量[m^3/min]
r:サイクロン中の粒子の旋回半径[m]
t:サイクロンに入る空気温度[℃]
υ:サイクロンの入口風速[m/sec]
Z:遠心効果
μ:空気の粘度=2.78・10^-7・(273+t)^0.734 [pa・s]
ρ:サイクロンに入る空気の密度 [kg/m^3]
ρs:粒子の真密度 [kg/m^3]
ω:粒子の旋回角速度 [rad/s]

サイクロン圧力損失の別解式(圧力損失係数を用いて求める方法。)
F:圧力損失係数=κ(bh/D₂^2)(D₁/(H₁+H₂)^0.5 井伊谷の式
F:圧力損失係数=24(bh/D₂^2)(D₁^2/(H₁+H₂)^(1/3) Firstの式
ΔP:サイクロン圧力損失=F(ρgυi^2/2)

分離限界粒子径
分離の限界となる粒子径を分離限界粒子径という。
遠心分離に於ける限界粒子径を求める考え方として、遠心力とこれによって推進される粒子運動に対する流体抵抗との釣り合いに基づいて求める方法がある。
旋回流に乗ったダスト粒子の捕集される限界点は、準自由渦と強制渦の境界面に現れる。
この半径位置Rcに於ける気流の周分速度をυθcとすると、密度ρpの球形粒子に働く外向きの遠心力は、Fc=π/6・dp^3・ρp(υθc^2/Rc)と表せる。
一方、半径方向内向き流によって粒子はストークスの抗力:Fs=3πμrcdpを受けて、渦芯中に巻き込まれる傾向を持つ。この外向きと内向きの二つの力が釣り合った粒子Fc=Fsを満足する粒子が限界粒子径となる。
π/6・dp^3・ρp(υθc^2/Rc)=3πμrcdp より、dpc^2=18μ/ρpυθc^2・Rcυrc
ここで、渦芯の半径Rcは、Rc≒0.7R2=0.35D₂ とされ、この半径に於いて渦芯に巻き込む旋回流の半径分速度の平均値υrcは、流入ガス流量Qiの約20%が直接にダストバンガーに旋回流入するとして、
υrc=0.8Qi/(2πRcHc)=0.8Qi/(2π・0.7R₂Hc)=1.14Aiυi/(πD₂Hc) となる。
ここにHcは、円柱状の渦芯の長さ(分離室の長さ)である。n:分布指数を仮に0.5とおくと外筒の半径R₁の於けるガスの周分速度をυ₁とすれば分離限界粒子径dpcは、
dpc=((5.03μQi/(πρpυ₁^2・Hc)・(R₂/R₁))^0.5=((5.03μAi^2/(πρpQiHc)・(D₂/D₁)^0.5 となる。
一般に入口ガス流速υi=10~25m/sとする。

サイクロンの性能
上式で記した遠心効果z(サイクロン内部遠心分離力と重力場での分離力との比)は、
z=Fc/Fg=Rω^2/g=υθ^2/Rg となる。
υθ:周分速度
υθ^2/R:遠心加速度
ωc:遠心分離速度=dp^2・ρpυθ^2/(18μR)
分離限界粒子径に対する式dpc=((5.03μAi^2/(πρpQiHc)・(D₂/D₁)^0.5に、
例えば、D1=2D₂、At=bh=0.4D₂^2、Hc=6.5D₂を用いれば、
dpc=(5.03・0.4/(π・6.5))(1/2)(μD₂/ρpυi))^0.5=0.222(μD₂/ρpυi)^0.5
即ち、相似形のサイクロンを考えれば、限界粒子径は内筒径の平方根に比例する。
但し、小型サイクロンはダストが側面に付着する事も考慮しなければならない。

バックフィルタ
濾過速度及び濾過面積
υ:濾過速度=u・α・b・c・d・e・f
u:標準濾過速度(表参照)
α:払い落し係数(表参照)
b:用途係数(表参照)
c:温度(粘度)係数(表参照)
d:粒度係数(表参照)
e:濃度係数(表参照)
f:圧力係数(表参照)
A:濾過面積=Q/υ
Q:処理風量[m^3/min]
υ:濾過速度[m/min]

粉体機器

粒子径
粒子径分布
ロジン・ラムラー分布 R(x)=exp(-bx^n)ここで、b=xe^-nとおけば、exp(-(x/xe)^n)
x=xeとおくと、R(xe)=exp(-1)=0.368

主要な平均粒子径
n1=l/d、n2=s/πd^2, n3=6ω/ρpπd^3

沈降法 ストークス側υt=(ρp-ρ∫)gDp^2/18μ
レイノルズ数Repを用いると、測定可能な最大粒子径Dpmax=(18μ^2Rep/(ρ∫(ρp-ρ∫))^0.333

ブラウン拡散による移動距離の重力沈降による移動距離に対する比γ=36/(ρp-ρ∫)gDp^2.5*√2kTμ/(3πt)

クラクタル次元による粒子形状表現
N(r)∝r^-D

動力学的形状係数
抵抗力形状係数
スト-クスの流体抗力:FD=3πμυ*Dβ*Kβ 
Kβ:抵抗力形状係数
Dv:等体積球相当径
Ds:等表面積球相当径
DH:投影面積円相当径=(4A/π)^(1/2)
スト-クス径Dst
Dst^2=(6/π)(φ3,β/Kβ)Dβ^2 
1/Kβ=(1/Kβa+2/Kβc)/3 

動力学的形状係数
動力学的形状係数:κ=(粒子に作用する流体抗力)/(同体積の球に対する抗力) 

ストークス径の比により次のように与えられる。
κ=(Dv/Dst)^2  
一般にある粒子に対して投影面積円相当径基準の体積形状係数:ψ3,H
(ψ3,v/κ)Dv^2=(ψ3,H/KH)DH^2
κ=(π/6ψ3,H)(Dv/DH)^2・KH=(π/6ψ3,H)^(1/3)・KH 

Wadellの球形度:ψs=(KH/κ)^2=(6ψ3,H/π)^(2/3) 

直衝突と反発係数
mh=(d^2δ/dt^2)=-F
mh:換算質量(m1m2)/(m1+m2)
δ:相対変位=((9F^2κ^2)/8d)^(1/3)
t:時間
F:衝突による力
d:換算粒径=Dp1Dp2/Dp1+Dp2
κ:弾性特性定数=(1-ν1^2)/E1+((1-ν2^2)/E2)
Dp:球の直径
E:ヤング率
ν:ポアソン比

貯槽

貯槽からの流失
流出実験式(流出速度式W[g/s])
TAKAHASI式 1933年  W=ρBD₀^2.5/(0.3μ^3.5+0.56Dp/D₀)
Rausch式 1949年  W=5.04ρBD₀^2.745・Dp^-0.245・C・C₀μ^-0.5
SIRAI式 1952年  W=10.4ρBD₀^2.5・μ^-0.5
Franklin &
Johanson式 1955年 W=30.8ρD₀^2.93/((6.288μ+23.16)(0.394Dp+1.889)-44.9)
TANAKA &
KAWAI式  1956年 W=5.634ρBDp^2.5/((Dp/D₀)^2.7・μ^0.32(tanθ/2)^0.32)
Brown &
Richards式 1959年 W=9.76ρD₀^2.5・exp(-7.97(Dp/D₀)
 1960年      W=95.5ρB√(D₀/2(D₀/4-1.915Dp(D₀/2)+1.665Dp^2)
Beverloo &
Leniger 式  1961年 W=18.25ρB(D₀-1.4Dp)^2.5
Howler &
Glastonbury式  1964年 W=8.2ρBD₀^2.685/((φDp)^0.185
IMAKI式    1985年 W=-0.47+11.23・C(ρB/μ^0.33)(m-Dp)^2.5
C:オリフィス形状係数:円1、正方形1.28、長方形1.47、三角形1.99
W:流出速度[g/s]、D₀:流出口径[cm]、Dp:粒子径[cm]、ρ:粒子密度[g/cm^3]
ρB:かさ密度[g/cm^3]、μ:内部摩擦係数、θ:ホッパ角度[°]、φ:形状係数
m:動水半径[cm]

Jenike のセルによるせん断試験
下部固定セルと上部可動セルを重ね、テスト粉を均一に充填する。上蓋を載せて、この上蓋を左右10°くらいの捻じりを与えながら圧密した後、予圧密圧σpを上蓋に加えながら、上部可動セルを約0.04mm/sの速度で移動させて予備せん断をする。予圧密圧σpの値は、予想される貯槽内の粉粒体による垂直最大値を考慮して決める。
次に、予圧密圧より小さな垂直応力σを上蓋に加えながら、せん断させてせん断応力τを測定する。同様にして、複数の垂直応力σに対するせん断応力τを測定しプロットすると、破壊包結線(YL)が得られる。
YLの傾斜から粉体の内部摩擦角μ、垂直応力σが0の時のせん断応力τから付着力Cが求められる。σ軸上に中心があり、原点を通りYLに接するMohr円の最大主応力∱を単純破壊応力と呼ぶ。このプロットを利用して壁破壊包括線とし、壁と粉体の摩擦角が得られる。
⑴Warren-Springの式
(τ/C)^n=(σ+T)/T ①式
n:せん断指数
n=1、C=0(付着力なし)とすると、
τ=σtanμ ②式
②式が成り立つような粉体をクーロン粉体という。

⑵流動度(FI):数値が大きいほど流動性が悪い
FI=∱/(ρbg)=∱/((1-ε)ρpg)
∱:単純破壊応力
ρb:粉体層のかさ密度[kg/m^3]
ρp:粉体の粒子密度[kg/m^3]
ε:空間率
g:重力加速度[m/s^2]

⑶フローファクタ(FF):流動性
FF<2:非常に付着性が強く流出しない。
2<FF<4:付着性が強い
4<FF<10:容易に流出する。
10<FF<:自由に流出する。
FF=σ₁/∱
σ₁:予圧密時の最大主応力

Janssenの式
深さhに於ける単位面積当りの鉛直圧力Pυ
Pυ=γD/(4μ∱Ks)(1-exp(-4μ∱Ks(h/D))
γ:粉体のかさ密度
μ∱:壁面摩擦係数
Ks:ランキン定数=(1-sinφi)/(1+sinφi)
φ:粉体の内部摩擦角
h:粉体層の深さ
D:貯槽の直径
Pυ:粉体層の上部に圧力が加わっている場合の圧力=γD/(4μ∱Ks)(1-exp(-4μ∱Ks(h/D))
+P₀exp(-4μ∱Ks(h/D)
P₀:粉体層の上部面に加わっている圧力水平方法に働く圧力=γD/(4μ∱Ks)(1-exp(-4μ∱Ks(h/D))
Ph:深さhに於ける単位面積当りの水平圧力

荷重
1)固定荷重G(容器構造物の自重、付属する機器類重量の和)
2)積載荷重P(貯蔵される内容物重量)
3)雪荷重S=P・Zs・E・R・I [kg/m^2]
P:雪の設計用平均単位荷重[積雪1cm当りkg/m^2]
Zs:設計用地上積雪深 [cm]
E:環境係数
R:屋根勾配、形状などによる係数
I:用途係数

風荷重P
P=q・C∫・G∫・A [kg]
q:設計速度圧=1/2・ρ・Vz^2 [kg/m^2]
C∫:風力係数
G∫:ガスト影響係数
A見付面積[m^2]
ρ:空気密度0.125[kg・S^2/m^4]
Vz:地表からの高さZ[m]に於ける設計風速[m/s]=V₀・E・R
V₀:基準風速[m/s]
E:風速の鉛直方向分布係数
R:風速の再現係数=0.61-0.1loge(loge(t/(t-1))
t:設計用再現期間(年)

貯槽壁
静置粉体圧力と力
h/D>1.5 深槽
h/D≦1.5 浅槽
深槽の場合
深さxに於ける単位面積当りの鉛直圧力Pυ[t/m^3]
Pυ=(γ・rω/μ∱・Ks)(1-exp((-μ∱Ks・x)/rω)
浅槽の場合
Pυ=γ・x
Ks=(1-sinφ)/(1+sinφ)
rω=A/L
r:内容物のかさ比重[t/m^2]
μ∱:摩擦係数
rω:水力半径[m]

Ph=Ks・Pυ
P∱=μ∱・Ph
Pα=Ph・sin^2α+Pυcos^2α
Ph:深さxに於ける単位面積当りの水平圧力[t/m^2]
P∱:深さxに於ける単位面積当りの摩擦力[t/m^2]
Pα:ホッパー壁面に垂直に作用する圧力[t/m^2]
α:ホッパー壁面の水平面に対する傾斜角
設計圧力と力
dPυ=Ci・Pυ
dPh=Cd・Ph
dPh=Ci・PαとdPα=Cd・Pαのいずれか大きい方の値
地震時の算定に用いる短期設計用軸力は、
dNm=(γ・x-Pυ)・rw

その他の検討事項
偏心排出、攪拌及びローテーション、空気圧による圧力増減、液状化現象、温度応力などを検討する。
偏心排出に対する設計圧力の割増
β:割増量=1+4・(e/D)
D:内径[m]
e:排出口の偏心寸法[m](但しe<0.25D)

耐震設計
耐震設計荷重は、修正震度法又はモード法による。
1)修正震度法
Qd=C・Wt
C=Zs・I・Ds・(Sa₁/g)
但し、C≧0.3・Zs・I
Qd:サイロ基部における水平方向の設計降状せん断力[t]
C:サイロ基部における設計降伏せん断係数
Wt:サイロ基部に加わる設計荷重
Zs:地震地域係数
I:用途係数
Ds:Dη・Ds
Dη:サイロの塑性変形能力によって定まる係数
Dh:サイロの減衰性によって定まる係数
Sa₁:1次固有周期に対する設計加速度応答スペクトル値[cm/sec^2]
g:重力加速度[cm/s^2]

スクリュー貯槽
排出と排出量
Qm:貯槽からの排出量=60ρ(π/4)(D^2-d^2)sni
ρ:粉体の嵩密度
D:スクリュー羽根外径
d:軸径
s:スクリューピッチ
n:回転数
i:スクリュー本数
P:所要動力=Qmgλl/60^2+Dli/20+(c+ρghtanφi)αDsni/60
Qm:運搬能力
g:重力加速度
λ:輸送抵抗係数(粉体に応じて1.9~3)
c:粉体の付着応力(0~1kpa)
φi:内部摩擦角or安息角
h:貯槽のスクリュー上の粉体平均高さ
l:スクリューの長さ
α:スクリューピッチ/外径比
θ:スクリュー軸の傾き角度

搬送装置
スクリューコンベア
構造及び寸法
スクリューのピッチは、s=αD
輸送量Q
充填率は0.45以下とする。
Q=60φρ(π/4)D^2sn(1-0.02θ)
PR:摩擦動力=Qlλg/3600
P:所要動力=Qg(λl+h)/3600+Dl/20
nMax:最大回転数=60/√D

振動コンベア
振動数及び振幅
∫:トラフ振動数=n/60
s:ストローク=2a
a:トラフの内幅
∫₀:トラフの固有振動数
∫s:起動動力に対する利用係数
l:トラフ長さ
mB:振動ベースの質量
mr:トラフの質量
n:クランク軸の回転数
Pm:電動機の定格=∫sPs
Ps:起動動力=0.0316(1-λ^2)(1+mT/mB)mT・s^2・∫^3・sinφ
Qm:輸送量=ρbtυ
η:速度係数
t:材料の層厚
υ:輸送速度=πη∫scosβ
β:ストローク角
λ:振動数比∫/∫₀
ρ:材料の嵩密度
φ:位相角

粉砕機
単一粒子の破砕エネルギー
球粒子を平行平板(点載荷)で圧縮したときに、粒子内に蓄えられる単位質量当たりの弾性歪エネルギーE/mを計算すると次式となる。
E/m=C₁π^(2/3)・ρp^-1((1-ν^2)/Y)^(2/3)・σs^(5/3)
C₁:定数、ρp:粒子密度、Y:ヤング率、ν:ボアソン比、σs:球圧壊強度

粉体機器のスケールアップ

粉砕機のスケールアップ
粉砕エネルギー法則
Rittingerの法則
E=CR(S-S₀)=CR(φ/ρ)(1/x-1/x₀) ①

Kickの法則
E=Cκlog(x₀/x) ②

Bondの法則
E=CB(1/√x-1/√x₀)
x₀:粒度
S₀:比表面積
ρ:密度
φ:形状係数

Bondは比例定数CBを工業的に利用できるように仕事指数Wiを用いて工業的粉砕仕事量W
[kwh/t]を求める次式を提案した。
W=10Wi(1/√xp-1/√xF) ④
xF、xp[μm]は粉砕前後の粒子径を80%篩い通過粒子径で表したもので、WiはxF=∞から
xp=100μmまで粉砕するのに必要な工業的粉砕仕事量を表す。
処理容量のスケールアップは次式で表す。
Q=κ(W)^σ=κ'(L)^σ' ⑤

比消費エネルギーE[kwh/t]と処理速度Ws[t/h]の関係については、供給速度が小さい時は
E∞Ws^b (b=0.5~-0.6)  ⑥で表される。
ボールミルについては、動力P[kw]とボール充填量T[t]並びにミル直径D[m]との間に、
p=cT√D ⑦の関係がある。
また笠井はボール充填率Jとミル回転数Nの臨界回転数Nc[rpm]=42.3/√D ⑧に対する比を考慮して、ミル動力Pを次式で求めている。
P=a(1-J)DTN ⑨ここで、ボール充填層の嵩密度をρ[t/m^3]として、
N=κNc ⑩
T=πD^3LρJ/4 ⑪
ボール径dBについての推算式
Bondの実験式
dB=√(xF₈₀/κ)(Wi(√ρp)/((N/Nc)・100・4√D)^0.5 ⑫
Bondの理論式
dB=√(xF₈₀/κ)(Wi・ρp)/((N/Nc)・100・4√D)^(1/3) ⑬

Stehrらは横型媒体攪拌ミル(攪拌翼直径dRs[m])を用いて、
W:粉砕動力=2.15dRs^5・n^3・ρsusp [kw]
ΔSυ:比表面積増加量=0.0413Eυ^0.772 [1/μm]
ρsusp:固体濃度[kg/m^3]
n:回転数[s^-1]
Eυ:砕料単位体積当りに加えられたエネルギー[J/cm^3]=W/(Vsusp・Cυ)
Vsusp:スラリーの体積流量[m^3/s]
Cυ:固体の体積濃度[m^3/m^3]

分級装置のスケールアップ
分級機半径と粉体濃度は次式に示す関係がある。
m=1・10^-2・exp(5.4・10^-3・r₀)
m:粉体濃度(粉体処理流量[kg/h]/空気流量[kg/h]
r₀:分級機半径[mm]

乾燥装置

噴霧乾燥装置

単位面積当りの乾燥速度R[kg/m^2hr]
R=-Wdω/(Adθ)=hc(ta-tm)/γm=κc(Hm-Ha)
W:無水材料重量[kg]
ω:含水率
A:表面積[m^2]
θ:時間[hr]
ta:熱風の温度[℃]
Hm:絶対湿度[kg/kg-DA]
hc:境膜伝熱係数[kcal/m^2hr℃]
γm:水の蒸発潜熱[kcal/kg]

設計時の乾燥条件の選定
1.熱風入口温度(Ti)の選定
以下に基づく最高温度を使用
・現液の熱感受性(熱変性)
・熱の化学構造への影響(熱劣化、分解)
・粉塵、空気爆発限界及び安全温度(発火温度、反応温度)
・必要粒子形状
2.排風温度(To)
以下に基ずく最低温度を使用
・残留水分値
・乾燥室から製品が連続的に排出できる温度
3.水分蒸発量(W)と乾燥空気量(G)
必要乾燥空気量G[kg/h]は
G=1/(0.245(Ti-To))・(W(γ+0.46To-1・T∫)+PCp(Tp-T∫)+QL+Ga・0.24(To-Ta))
W:水分蒸発量[kg/h]
P:固形分量[kg/h]
γ:蒸発潜熱595[kcal/lg]
Ti:入口温度[℃]
To:排風温度[℃]
Tp:粉温度[℃]
T∫:供給液温度[℃]
Ta:大気温度[℃]
Cp:固形分比熱0.2~0.4[kcal/kg℃]
QL:乾燥室の放熱損失[kcal/h]=UA(To-Ta)
A:乾燥室の放熱面積[m^2]
U:総括伝熱係数[kcal/m^2h℃] 保温の時 約2、裸の時 5~7、強制冷却 約9
[kcal/m^2h℃]
Ga:その他の供給空気[kg/h]
4.水分蒸発量(W)と原液処理量(F)、製品量(P)
水分蒸発量が決まれば、原液の固形分濃度、製品中固形分濃度(1-残留水分量)から処理量、製品量が決まる。
F=W・Sp/(Sp-S∫)
P=W・SF/(Sp-S∫)
F:原液処理量[kg/h]
P:製品量[kg/h]
W:水分蒸発量[kg/h]
Sp:製品中の固形分濃度[%]
S∫:原液中の固形分濃度[%]

5.原液処理量、必要平均粒径、乾燥室サイジング
1)平均粒子径
a)ディスク噴霧の場合
D50=K(W^a/(N^b・D^c)
D50:重量平均粒径[μ]
W:噴霧液量[kg/h]
a:0.2~0.24
N:ディスク回転数[rpm]
b:0.8~0.83
D:ディスク直径[m]
c:0.6~0.83
K:比例常数(単位換算)

b)圧力ノズルの場合
D50=K’Do^d・W^e
Do:オリフィス径[mm]
d:1.52
e:-0.44~-0.54
ノズルコアを換えずにオリフィス径を大きく変えない場合に使用できる。

2)噴霧液滴の飛翔距離
水のデイスク噴霧の場合の飛翔距離についてのHerringらの実験式は
R99=3.46D^0.2・W^0.25・N^-0.16
R99:回転円盤の下方3ftの平面上で全噴射量の99%を採取する半径[m]

6.空気湿度
H2=H1+W/G
Q2=G((0.24+0.45H1)T1+597H1)+WT∫-QL
T2=(Q2/G-597H2)/(0.24+0.45H2)
H:絶対湿度[kg/kg-DA]
Q:熱量[kcal/h]
QL:乾燥室の放熱損失[kcal/h]
G:乾燥空気量[kg/h]
W:水分蒸発量[kg/h]
T1:入口温度[℃]
T2:出口温度[℃]
T∫:原液供給温度[℃]

渦巻室内ノズル特性
渦巻室出口部分オリフィスより噴霧される液流量Qは、噴霧液圧Pの1/2乗に比例し、次式で表される。
Q=Cπre^2・√(2gcP/ρl)
C:流量係数
ρl:液密度
渦巻室特性値Kを表すと相関式は、
K=(Si/(π・re^2)(re/ri)
K=(√(1-κ^2)/κ)-κln((1+√(1-κ^2))/κ)
α=2tan-1(κ/√(1-κ^2))
κ=rc/re
rc:オリフィスにおける空洞半径
α:噴霧角
κ:空洞係数
do:渦巻室入口径
ri:渦巻室内径
但し、相関範囲は棚沢らによると、do/ri=0.5~0.55である。
洗剤スラリーを用いて、NReと流量係数Cとの関係は、C∝Re^-0.17である。洗剤スラリーのレオロジー特性が非ニュートン性を有し、高ずり速度領域において見掛け粘度が低下する一般化ビンカムモデルを用いると、次式で表される。
τ:ずり速度=6+0.73(ρ/ρo)^-2.2・γ^-0.62=平均u/((di-do)/2)
渦巻室諸寸法
渦巻室高さhは、オリフィスに於ける半径方向速度Qt/(2πre・h)が噴出速度に対して無視できるように調整するほか、液の粘性を考慮してρlQl/(2πhμ)>100となる条件を満たすようにする。l:オリフィスの長さ
粒度及び粒度分布
Turnerは渦巻室加圧ノズルについて
Dp:液滴径=41.4de^1.59・W^-0.54・σ^0.59・μ^0.22 [μm]
遠心型加圧ノズルについては、
Dp:液滴径=16.54de^1.52・W^-0.44・σ^0.71・μ^0.16 [μm]
de:オリフィス径[mm]
W:液供給速度[g/s]
σ:表面張力[dyne/cm]
μ:液粘度[cp]
相関として、
Dp∝de^n (n=0.5~1)
Dp∝P^n (n=-0.25~-0.5)
Dp∝μ^n (n=0.15~0.3)
洗剤スラリーについては実験式
Dp∝de^0.6・P^-0.45・μ^0.2 となる。
小林らはオリフィスに於ける液膜の厚みtと粒度との関係を次元解析より求めている。
Dp∝t(σ/(P・t))^0.25
t=re(1-κ)

回転円盤式の場合
お椀状の形状が回転している内側の中心隙間から液を注ぐと、遠心力で円盤の周辺で液滴に微粒化される。回転円盤による微粒化は円盤直径及び回転数で決まる遠心力・表面張力・粘性などの液物性、及び回転円盤に供給される液流量によって異なって液状、紐状、膜状分裂に分けられる。
滴状分裂機構に於ける液滴径は、管端からの滴下と、遠心力の液滴を円盤縁に付着させようとする力とのつり合いによって次式で表される。
Dpmax:液滴径∝c・(1/N)(σ/(ρl・D)^0.5
N:回転数
D:円盤径
c:定数 0.72(棚沢) 0.687(高玉)
大山らは皿形円盤を用いて水を微粒化し、主滴径Dpmaxと体面積平均径Dp'について次式にまとめている。
Dpmax∝N^-1・Ql^0.2・D^-0.5
Dp'∝N^-1・Ql^0.2・D^-0.3
Friedmanらは次元解析による体面積平均径Dp'の一般式を求めている。
Dp'/r=0.4(Γ/(ρl・N・r^2))^0.6・(μ/Γ)^0.2・(σ・ρl・L/Γ^2)^0.1
Γ:濡れ辺長当りの質量速度[kg/m・s]
r:円盤半径[m]
ρl:液密度[kg/m^3]
N:円盤回転数[rps]
σ:表面張力[kg/s^2]
μ:液粘度[kg/m/s]
L:濡れ長さ[m]
この場合最大径は平均径の約3倍になる。
また、FrazerとMastersの相関式がある。
Dp∝Q^0.2・N^-0.6・D^-0.3・μ^0.2
液滴の飛翔
液滴の飛跡は実際には円盤と周囲の空気流との相互関係の影響を受けるが、回転円盤からの液滴の噴射速度と液滴径にもとずいて計算で求める。
dυh/dθ=-(3ρa/4ρl・Dp)CD・υ・υh
dυυ/dθ=g((ρl-ρa)/ρl)-(3ρa/(4ρl・Dp))CD・υ・υυ
CD:液滴の抵抗係数
多翼型円盤を用いて、円盤下方0.9m、2mの位置における噴霧液滴の99%が捕集できる距離
(R99)0.9=3.46D^0.2・W^0.25・N^-0.16 (Marshallの式)
(R99)2=4.33D^0.2・W^0.25・N^-0.16  (持田の式)
D:円盤径[m]
W:液供給速度[kg/h]
N:回転数[rpm]

二流体ノズル
粒度及び粒度分布
Dp=1.83・10^6・(1/υ)(√σ/ρl)+2.81・10^3・(μ/(√σ・ρl)^0.45・(1000・(Ql/Qa))^1.5 (棚沢の式)
Dp:液滴径[μ」
σ:表面張力[kg/m]
μ:粘性係数[kg・s/m^2]
υ:液流に対する気流の相対速度[m/s]
Qa:大気圧に換算した気流の流量[m^3/s]
Qt:液流量[m^3]
Qa/Qt<10^4の場合は第2項を省く。

噴霧乾燥機設計必要事項
製品粒度
製品品質上の要望(溶解性、外観流動性、飛散性など)に適するように決められる。
蒸発の面からは小粒子になるほど液全体の表面積が増え装置の小型化につながるので、最近は100~200μmの噴霧乾燥粒子に凝集造粒やコーティングによる表面改質を施して製品を仕上げる傾向が増えている。

原液濃度
乾燥塔の単位時間当りの水分蒸発量をR、乾燥製品量をW、原液の含水率をω2とすれば、
R:単位時間当りの水分蒸発量=W((1-ω2)/(1-ω1)-1) [kg/h]となる。

熱風入口温度
入口と出口との温度差を大きくとれば、蒸発量が増す。特に100~200°の時、変化量が大きい。でも入口温度を高くなるほど製品のかさ密度が小さくなるので、かさ密度の影響も考慮して適正温度を設定する。

熱容量係数の推定
乾燥塔の装置容積V[m^3]は、熱風からの伝熱量q[kcal/h]との間に次式の関係がある。
q:伝熱量=hα・V(t-tm)lm [kcal/h]
tm:材料温度[℃]
t:熱風温度[℃]
(t-tm)lm:材料入口及び出口に於ける熱風と材料の温度差の対数平数値[℃]
hα:熱容量係数[kcal/h・℃・m^3] 一般に噴霧乾燥装置のhαは、20~80[kcal/h・℃・m^3]であって、他の乾燥装置に比べて小さい。
h:粒子とガスの熱伝達係数
α:乾燥塔単位容積中に占める液滴粒子の有効面積[m^2/m^3]
単一球とガスとの伝熱に関しては、Ranz&Marshall式で、
Nu=(h・Dp/(κg))=2(1+0.3Re^0.5・Pr^(1/3))
Nu:ヌッセルト数
Re:レイノルズ数
Pr:プラントル数
κ:ガスの熱伝導度[kcal/m・h・℃]
α:有効面積=((W(1+ω)πDp^2)/(π/6・Dp^3・ρp))/(3600・(π/4)D^2・υm)
W:無水材料供給速度[kg/h]
ω:含水率
ρp:液滴密度
D:乾燥塔径[m]
υm:粒子速度[m/s]

ノズル孔からの滴生成
生成する液滴の体面積平均径dpはノズル孔通過速度uN[m/s]の増加につれて複雑に変化し単一滴化、層流滴化、乱流滴化及びスプレーの4領域に大別できる。
液滴が静的に生成する場合の滴体積Vp[m^3]及び滴径は、重力と界面張力のつり合いの式
Vp=πdp^3/6=F(πσdN/gΔρ)
σ:界面張力[N/m]
Δρ:密度差(分散相の密度ρDと連続相の密度ρc[kg/m^3]との差の絶対値
F:HarkinsとBrownの補正係数=(0.92878+0.87638(dN/(Vp)^(1/3))-0.261(dN/(Vp)^(1/3))^2)^-1
0.6<dN/(Vp)^(1/3)<2.4
F=1-0.66023(dN/(Vp)^(1/3)+0.33936(dN/(Vp)^(1/3))^2
0≦dN/(Vp)^(1/3)≦0.6
簡単の静的条件における滴径を求めるには大竹らの式が好都合である。
dp/dN=1.62(σ/dN^2gΔρ)^0.35
uNが増加すると最初滴径は増大するが、やがてノズル先端には液柱が生成し、dpは急激に
減少する。この液柱生成までの単一滴化領域に於けるdpの推算式として、Scheeleらの式がある。
πdp^3/6=F((πσdN/gΔρ)+(5πηcdN^3・uN/dp^2gΔρ)-(πρDdN^2・uN^2/3gΔρ)
+4.5(π^2・dN^6・uN^2・ρDσ/(4gΔρ)^2)^(1/3))
ηc:連続相粘度[pa・s]
液柱先端から滴が生成する層流滴化領域においてdpはuNの増加とともに減少するが、ある流速uN.Mで滴径は極小値dp.Mを示す。dp/dj=2 ここでdjは液柱径で、縮流の為にdN
より小さくなる。
Christiansenらの式で推算できる。
dN^2・gΔρ/σ≦0.616では、dN/dj=1+0.485(dN^2・gΔρ/σ)
dN^2・gΔρ/σ>0.616では、dN/dj=0.12+1.51(dN^2・gΔρ/σ)^0.5
また、この時の流速uN.Mは次式となる。
uN.M=3.92(dj/dN)^2・((σ/dj)/(1.09ρD+ρc))

液滴の微粒化
液の粘性によって微粒化状態が異なる。
液の表面張力と粘性係数の影響を無次元数で表すと、
Z:液の表面張力と粘性係数の影響の無次元数
Z=√We/Re=√((De・υ^2・ρl)/σ)/(De・υ・ρl/μ)=μ/√(σ・ρl・De)
We:ウェーバー数
De:オリフィス径
υ:液流速
σ:表面張力
ρl:液密度
μ:粘性係数
棚沢らは微粒化現象として、噴霧流が段階的に形成される場合では管出口で平滑流、少し離れて波状流となる空気による攪乱を受ける度合が異なることから、Je数を提案した。
Je=υα^2・ρlDe/σ・(ρα/ρl)^0.55
υα:液流と空気との相対速度
ρα:空気密度
Je<0.1 滴下
Je≅0.1~10 平滑流
Je≅10~400 波状流
Je>400 噴霧流

液滴径
滴下に於ける液滴径は液滴の重量と表面張力によって決まる。滴下周期が長い場合は次式によって主滴の重量が決まります。
WD=Cwρl(σ/ρlg)^1.5
Cw:管端の形状によって決まる係数
液滴の分裂はRayleighの理論により、下記のようになる。
管端からの距離Zに於ける液流の半径をrとすれば、
r=ro+εcos(2πZ/λ)
ro:管端に於ける液流半径
ε:振幅
λ:表面波の波長
振幅は時間と共にe^αtに比例して増加し、不安定さを示すαはλ=4.51・2roの時極大となり、液が切れやすくなる。液滴dは、次式で表される。
π/6d^3=4.51・2ro・πro^2
d=1.89・2ro
一方Weberは、∫(λ/2ro)の極大値4.51に対して、液体の粘性力と慣性力とを考慮して次式を導いた。
λ/2ro=(√2π)(1+(3μt/(√ρl・σ・2ro)
従って液体の粘性が大きくなると表面波の波長が長くなり、微粒化しにくくなる。

液滴の熱移動
単一球とガスとの間の伝熱
Ranz-Marshallの式によると、
Nu=2(1-0.3Pr^(1/3)・Re^0.5)
空気-水系では、Nu=2+0.54Re^0.5
Nu:ヌッセルト数=h・d/κ∫
Pr:プラントル数=Cp・μ/κ∫
h:熱伝達係数[kcal/m^2・h・℃]
d:液滴径[m]
κ∫:熱伝導度[kcal/m・h・℃]
Cp:定圧比熱[kcal/kg・℃]
μ:粘度[kg/m・h]
100μm以上の粒径の粒子の熱移動については、
Numax=0.95・10^-4・Reret^2.15
400<Reret<1300

Numax=0.76Reret^0.65
30<Reret<400
合成洗剤を用いて、噴霧ノズルを離れた液滴が終端速度に達するまでの区間のNu数は、
Nu=4.91・10^-3・Re^1.52
移動層乾燥に於いて熱移動は、回分式流動層の表面蒸発期間では、
Nu=0.0135Re^1.3
10<Re<57
連続式移動層の表面蒸発期間では、
Nu=4・10^-3・Re^1.5
10<Rep<100
α:単位容積当りの有効表面積=6(1-ε)/Dp [m^2/m^3]
ε:空隙率

乾燥時間
液滴の蒸発速度Rc[kg/h・m^2]
Re=W(-dω/Adθ)=h(tα-tω)/rω
W:無水材料重量[kg]
ω:含水率
θ:乾燥時間[hr]
A:表面積[m^2]
ta:熱風温度[℃]
tω:液滴温度[℃]
rω:水の蒸発潜熱[kcal/kg]

液滴の冷却・固化
溶解液滴内の温度分布は簡素化の為無視して、液滴温度Tは次式で求める。
(t-T)/(to-T)=exp(-6hθ/(xCplρl))
T:冷風温度
to:液滴の初期温度
h:液表面の伝熱係数[kcal/m^2・s・℃]
θ:時間[s]
Cpl:液滴の定圧比熱[kcal/kg・℃]
ρl:液滴密度
固化所要時間θcは、次式で求める。
θc=RLρs/(3h(t∫-T))・(2+HsR)
HsR=hR/κs
κs:固相の熱伝導度[kcal/m・s・℃]
固体冷却期間に於ける冷却所要時間は次式で計算できる。
(t∫-T)/(tso-T)=exp(3hθs/(RsρsCps)
tso:排出される固体粒子温度
Cps:固体の定圧比熱[kcal/kg・℃]

液滴の飛跡
噴霧乾燥の場合レイノルズ数が広く変化する。
抵抗係数CDはOdarの式、ニュートンの抵抗法則より求める。
0<Re<1000:CD=24/Re(1+0.125Re^0.72)
1000<Re:CD=0.44

コーティング
原田らはコーティング造粒だけが起こる場合の粒子成長速度に関して次式を提案した。
LxLθ/So・(ρs/ρc)=(d/do)^(3)-1
L:コーティング液供給速度[kg/h]
xL:コーティング液固形分濃度
θ:時間[s]
So:核粒子重量[kg]
ρs:核粒子密度[g/cm^3]
ρc:コーティング物質密度[g/cm^3]
d:コーティング粒子径
do:核粒子径

コーティング造粒に影響する諸要素
濡れと乾燥のバランス
原田らはコーティング造粒だけが起こる場合の粒子成長速度に関し次式を提案した。
LxLθ/So・ρs/ρc=(d/do)^3(-1)
L:コーティング液供給速度[kg/h]
xL:コーティング液固形分濃度
θ:時間[s]
So:核粒子重量[kg]
ρs:核粒子密度[g/cm^3]
ρc:コーティング物質密度[g/cm^3]
d:コーティング粒子径[m]
do:核粒子径[m]
コーティング効率ηc=((d/do)^3(-1))/((LxLθ/So)・(ρs/ρc))と定義して、ここでηc=1からのずれの原因として
1)噴霧粒子飛出し量:EL [kg/h]
2)核粒子飛出し量:Es [kg/h]
が考えられELを考慮し、Esを補正すると次式になる。
ηc"=((d/do)^3(-1))/((LxLθ/(So-Esθ))・(ρs/ρc))
コーティング造粒操作が乾燥気味に行われると、EL、Esともに増加しコーティング効率が低下し、乾燥不足ではコーティング効率は向上するが凝集造粒が発性する。
安部らは、最大理論蒸発速度WT[kg H₂O/h]と水分供給速度WE[kg H₂O/h]から濡れと乾燥のバランスを表すファクターとして、RWを次式で表した。
RW=WE/WT
WT=WG(Hs-H)
WE=Fc((1-s)/(s-Cb))
WG:入口空気の質量流量[kg dry air/h]
H:入口空気湿度[kg H₂O/kg dry air]
Hs:入口空気断熱飽和湿度[kg H₂O/kg dry air]
Fc:コーティング粒子の質量供給速度[kg/h]
s:スラリー濃度[kg/kg]
Cb:バインダーの添加割合[kg binder/kg solid]

噴霧液滴径
コーティング造粒では噴霧液滴径と粒子成長速度、コーティング効率の間には密接な関係がある。スプレーノズルを大別すると液体に圧をかけて噴霧する加圧ノズルと、圧縮空気により液体を微粒化する二流体ノズルがある。コーティング造粒では、低圧で操作でき液の跳ね返りが少ない事から二流体ノズルが採用されることが多い。二流体ノズルの噴霧液滴径は、棚沢によれば、平均粒径dp[μm]=(585(√σ))/(υ(√ρ))+597(μ/(√σρl))^0.45・(1000(Ql/Qα))^1.5
σ:表面張力[dyne/cm]
υ:液の噴出速度[m/s]
ρl:液密度[g/cm^3]
μ:粘度[p]
Ql:液量[m^3/s]
Qα:空気量[m^3/s]
Qα/Ql>10^4の場合には第2項は省略できる。上式は液体粘度10cps以下ではよく一致するが、それ以上になると誤差がでる。

塔径と塔長
塔径
噴射液滴の拡がりにより塔壁に液滴が付着しないように下記の式により決定される。
D=2・L・tan(θ/2)+P
D:塔径
L:粒子の固化完了点に達する距離
θ:噴霧液の拡がり角
P:ノズル最外周間の距離
塔高
H=(ut-uα)・T
ut=√(4・g・Dp(ρp-ρα)/(3・ρα・C))
T=W・Cp・ΔT/(K・S・Δtlog)
H:塔高
u1:塔内を落下する平均粒子径の終末速度
uα:塔内を上昇する冷却空気の上昇速度
T:粒子の必要とする冷却時間
Dp:平均粒子の直径
ρp:平均粒子の比重量
ρα:冷却空気の比重量
C:抵抗係数
W:平均粒子径の重量
Cp:平均粒子径の比熱
ΔT:平均粒子径出入口温度差
K:平均粒子径の熱伝達率
S:平均粒子径の表面積
Δtlog:平均粒子径の粒子温度と冷却空気間の対数平均温度差
塔径は設定能力を得る為、乾燥塔の熱収支に基づいて塔内風速を考慮して風量を決定され、これに液滴の飛跡計算より求めた水平方向への到達距離を加味して塔径が求まる。
乾燥に必要な風量は次式で求める。
x=(CH(t1-t2)-L)/(γm+Cpt2))
x:空気1kgによって蒸発可能な水分量[kg]
CH:湿り比熱[kcal/kg-dry air]
Cp:定圧分子熱[kcal/kgH₂o・℃]
γm:蒸発潜熱[kcal/kg]
t1:熱風入口温度[℃]
t2:熱風出口温度[℃]
L:熱損失[kcal]

燃焼装置 

燃焼反応
燃焼の発熱について、水素・炭素・硫黄の3成分基本化学反応式
H₂+(1/2)O₂=H₂O蒸気+241MJ/kmol
C+O₂=CO₂+407MJ/kmol
C+(1/2)O₂=CO+123MJ/kmol
CO+(1/2)O₂=CO₂+284MJ/kmol
S+O₂=SO₂+297MJ/kmol
CxHyOz+(x+y/4+z/2)O₂=xCO₂+y/2H₂O+Hu(MJ/kmol)
化学種A、Bのモル濃度を[A],[B]mol/m^3、t[s]時間とすると反応速度、即ち生成物のモル濃度の増加率は、d[C]/dt=κ[A][B]…
比例定数κは反応速度定数と呼ばれ、圧力に無関係、温度だけの関係で一般に絶対温度Tの指数関数(修正アレニウス関数)で与えられる。
κ=∫T^n exp(-E/RT)
∫:前指数因子
E:活性エネルギー

燃焼計算
必要空気量
燃料中の炭素・水素・硫黄・酸素・窒素・灰分の重量割合をc,h,s,o,n,a[kg/kg]とすると、
1kgの燃料が完全燃焼するのに必要な酸素量は、
O₀=2.66c+7.94h+(s-o)
O₀=1.87c+5.56h+0.7(s-0)

1kgの燃料が完全燃焼するのに必要な理論空気量は、
A₀=O₀/0.232=11.48c+34.2h+4.31(s-o)
A₀=O₀/0.21=8.89c+26.5h+0.7(s-o)

単純ガスの完全燃焼表を用いて、理論酸素量O₀、理論空気量A₀を求めると、
O₀=0.5[H₂]+0.5[CO]+2[CH₄]+…ー[O₂]
A₀=O₀/0.21=2.38[H₂]+2.38[CO]+9.53[CH₄]+…ー4.76[O₂]

高発熱量Hh、低発熱量HI[MJ/m^3]が解っている場合の理論空気A₀の概算式
気体燃料A₀=0.228[Hh]-0.19、A₀=0.263[HI]-0.32
液体燃料A₀=0.248[HI]-0.02
石炭A₀=0.256[Hh]-0.02、A₀=0.26[HI]-0.09

混合比と混合気濃度の表示法
a.燃空比(F/A)[kg/kg]
b.空燃比(A/F)[kg/kg]
c.当量比φ:1kgの空気に対して理論量の何倍の燃料が供給されたかを表す量で、
φ=(F/A)/(F/A)stと定義される。φ<1の燃焼を稀薄燃焼、φ>1の燃焼を過濃燃焼という。

液体燃料の微粒化
微粒化には、次のような種々の方法が用いられる。
単純噴孔噴射弁、渦巻噴射弁、二流体噴射弁、回転体噴霧器、回転噴孔噴霧器、衝突式噴霧器、超音波噴霧器、静電気式噴霧器などの方法がある。
単純噴孔噴射弁(ホール噴射弁)は、燃料に圧力を掛けて噴孔から高速噴流として噴出させ、液噴流の力学的な不安定現象や噴流と空気とのせん断力によって、噴流を微細な油滴に粉砕するものである。液噴流のレイノルズ数Re=υlDn/νl となり、液噴流と周囲気体との間の摩擦力による粉砕性は、ジェット数Je=ρlDnυl^2/σl・(ρg/ρl)^0.55
υl:噴流速度
Dn:噴孔直径
νl:燃料の動粘度
ρl:燃料の密度
ρg:ガスの密度
σl:燃料の表面張力

噴霧器の微粉化特性
⑴単純噴孔噴射弁
噴射弁で作られる噴霧は粗大粒から成る主流部(円錐両頂点角約2.3度)とその外側の微細粒から成る副流(円錐頂点角約13度)で構成される。噴霧全体としての平均粒径dmは次式で与えられる。
dm=47(Dn/υl)(gσl/ρg)^(1/4)(1+(3.31μl/((σlρlDn)^0.5))
Dn:噴孔直径
υl:液の噴射速度
g:重力加速度
σl:液の表面張力
ρg:ガスの密度
ρl:液の密度
μl:液の粘性係数
dmax:噴霧中に含まれる最大滴の直径=(2~2.5)dm

⑵渦巻噴射弁
噴射した時の平均粒径の式(Knight式)
dm:平均粒径=1.64Gl^0.209・νl^0.215・Pj^-0.46 [m]
ur:ガス噴流と液噴流の相対速度[m/s]
σl:液の表面張力[N/m]
ρl:密度[kg/m^3]
μl:粘性係数[pa・s]
Vl:液の体積流量[m^3/s]
Vg:ガスの体積流量[m^3/s]

⑶二流体噴射弁
外部混合式二流体噴射弁に関しては、平均粒径は次の経験式で与えられる。
dm:平均粒径=0.585((σl/ρl)^0.5/ur+53.2(μl/((σl/ρl)^0.5))^0.45・(Vl/Vg)^1.5

回転体噴霧器
カップ状が回転して、カップ内液膜がノズルからの噴流空気と接触して噴霧となる構造である。この噴霧器で作られる噴霧の平均粒径をFraserらは次の実験式で与えている
dm=6・10^6+0.5Vl^0.5((σl^0.5((νl/νw)^0.2/(SD+S^2)^0.25)・((1+0.065(Gl/Gg)^1.5)/(ρgup(up^2-upug-0.5ug^2))^0.5)
νw:水の動粘度
S:カップの拡がり終点から末端寸法
D:カップ拡がり外径

⑷超音波噴霧器
振動面霧化式超音波噴霧器によって作られる噴霧の平均粒径に対して、水谷らの式で表すと
dm=1.26・10^-2(ρl/σl)^(1/3)・(μl^(1/4)/∫^(2/3))(1+1.3・10^-4((1.2・10^7・Vl)^(0.12/∫α)/(∫^(1/3)α))
この式は振動面(ホーン先端)の直径7~8mmの噴霧器から下向きに噴射した場合の実験式である。∫とαは振動面の振動数[Hz]と振幅[m]  ∫は10^4オーダ、αは10^-5m前後、
Vlは10^-7m^3/sオーダである。

噴霧特性の表示法
噴霧の性質を表す量としては、油滴の粒度分布、平均粒径、分散度、貫通距離、噴射率、
推力、旋回度などがある。
⑴粒度分布
粒度分布を表示する方法としては、粒数分布図、粒数累積分布図、折れ線図、曲線図の形式で描くことができる。
サンプリングされた油滴を粒径によってs個のグループに分け、i番目の中心粒径をdi含まれる油滴の個数をΔni、質量をΔmi、油滴の総数をnT、全質量をmTとすると、同一噴霧ではmTとnTは定数であるので、Δml/mT∝(di^3Δni)/nT となる。

円孔からのガス噴出量
噴出量の計算式
q:ガス噴出量=a・V [Nm^3/sec] ①
a:ガス噴出口の面積 [m^2]
V:ガスの平均噴出速度 [m/sec]
次に
g:重力加速度[m/sec^2]
h:ガス噴出圧力[mmH₂o]
d:ガスの比重[空気=1]
とすればTorricelli's Theoremより
V=√(2g(h/(d・1.293・10^-3)) ②
①,②式からq=123.1a√(h/d) ③
Q₀:ガス噴出量[Nm^3/hr]=0.014013A√(H/d) ④
ガス噴出口を直径mmとすればQ₀=0.011D^2√(H/d) ⑤
A:ガス噴出口面積[m^2]
H:ガス圧力[mmH₂o]
実際流量と理論流量との比を流量係数κ=0.78として、
∴Q₀=0.00858D^2√(H/d) ⑥
次に標準状態の温度は15℃にとるほうが実用的であるが、このためには⑥式に、0℃と15℃に於ける空気密度の比1.293/1.226=1.05を乗ずればよく、これによって次式が得られる
Q₁₅=0.009D^2・√(H/d) ⑦
⑦式に於いて、ガス比重d=0.7とすれば、Q₁₅=0.0107D^2√H ⑧

ボイラの熱計算
ボイラ燃焼室の計算
周壁面積Awの燃焼室の中に表面積AF、一様温度TFの均質な火炎が存在し、周囲の冷却面と輻射のみ熱交換するモデルを考えると、AFとAwの比を火炎充満度という。輻射伝熱の式と燃焼ガスのエンタピーとのヒートバランスの式を連立させて、燃焼室ガス温度Tsを求めるQw:燃焼室伝熱量=AF・CF((TF/100)^4-(Tw/100)^4)
CF:有効輻射係数=4.88/(1/εF+∫F・(1/εF-1))
Qw=B(Hu+μLcata-Vg・cg・tg)-Q1
Tw:冷却面温度
Tg:出口ガス温度
TF=(Tth+Tg)/2
Tth:理論燃焼温度
∫F:火炎充満度=AF/Aw
εF:火炎黒度=1-exp(-κF・lF)
εw:冷却面黒度=φ・Fw
B:燃料燃焼量
Hu:燃料低位発熱量
L:理論空気量
μ:空気過剰率
ca、cg:空気、燃焼ガスの定圧比熱
Vg:燃焼ガス量
Q1:損失熱
lF:火炎有効圧計算=κ・υ^(1/3)・∫F^0.5
κ:定数
υ:燃焼室容積
κF:吸収係数

火炎と燃焼室の形状
火炎の寸法
火炎長:L=κ・G^a・B^β
火炎幅:W=κ’・B^r
G:噴霧用空気の運動量
B:燃料量
κ・κ’、α、β、γ:定数で次の因子に影響される。
⑴燃料の種類
⑵空気比
⑶バーナー形式、形、燃料の噴霧粒径、燃焼ガスの炉内滞留時間、バーナタイル形状、保炎器の位置関係など
⑷燃焼室の形状、寸法、耐火壁と水冷壁との位置関係など
⑸火炎のフローパターン

燃焼室の相似側
ボイラ燃焼室の面積(伝熱面積)は単位長さの2乗に比例し、燃焼室容積は3乗に比例するから
面積に関係する伝熱面熱流束と容積に関係する燃焼室熱負荷とは、2/3の関係にある。
燃焼室発熱率q∫は、炉内発熱量をQ、容積をV、炉の代表寸法をLとすると、
q1=Q/V=Q/K1・L^3 (1)
Q=K1・q∫・L^3   (2)
炉内伝熱面熱負荷qAを一定に抑えるとして、
qA=Q/A=Q/K2・L^2=K3  (3)
即ち、L=K4・Q^0.5    (4)
(2)式を(3)式に代入して、K1・q∫・L^3/(K2・L^2)=K3 (5)
即ち、q∫・L=K5      (6)
(6)式を(4)式に代入して、q∫・Q^0.5=K6
いま、Qが蒸発量Eに比例するものとすると、q∫・E^0.5=K

ボイラの有効エネルギー計算
 計算条件
        燃料1kg当り流量  燃料1kg当り流量  圧力   温度
          W         V       P     t
         kg/kg燃料    m^3n/kg燃料   ata    ℃
燃料(重油)WB   WB=1       ―       ―    40
燃焼用空気Va    ―        12.9      1.0332   20
燃焼排ガス     ―        13.6      1.0332   170
給水       Wω=16.2      ―        7     80
発生蒸気     Ws=16.2      ―        7     158

燃料の有効エネルギーを求める近似式(Rant式)
 燃料    燃料の有効エネルギー
気体燃料   E∱=0.95ΔHh
液体燃料   E∱=0.975ΔHh
固体燃料   E∱=ΔHi+rω 
ΔHh:高発熱量
ΔHi:低発熱量
r:水の蒸発潜熱
ω:含有水分質量分率

⑴理論空気量 Va₀=11.2m^3n/kg
⑵理論排ガス Vg₀=11.93m^3n/kg
⑶空気比   m=1.15
⑷ボイラ圧力 p=6kg/cm^2(ゲージ圧力)
⑸燃料消費量 WB'=206.8kg/h
⑹実際蒸気量 Wω’=3348.8kg/h
⑺蒸発量   Ws'=3348.8kg/h
⑻給水量   Wω'=3348.8
⑼実際空気量 Va=m・Va₀=1.15・11.2=12.9m^3n/kg燃料
⑽実際排ガス量 Vg=(m-1)Va₀+Vg₀=(1.15-1)11.2+11.93=13.6m^3n/kg燃料
⑾燃料1kg当り給水量 Wa=Wω'/WB'=3348.8/206.8=16.2kg/kg燃料
⑿燃料1kg当り蒸発量 Ws
Wa=Ws=16.2kg/kg燃料

計算例
①燃料の燃焼熱H∱と有効エネルギーE∱(流入)
高発熱量 ΔHh=10902kcal/kg
元素分析値 c=0.87、h=0.13、ω=0
H∱=ΔHh-600(9h+ω)=10902-600・(9・0.13+0)=10200kcal/kg燃料
E∱=0.975ΔHh=0.975・10902=10629kcal/kg燃料

②燃料の顕熱のエンタルピーH∱sと有効エネルギーE∱s(流入)
燃料の比熱:Cp∱=0.45kcal/kg℃
H∱s=Cp∱(t∱-t₀)=0.45・(40-20)=9kcal/kg燃料
E∱s=Cp∱(t∱-t₀)-T₀ln(T∱/T₀))=0.45・((40-20)-293.15・ln(313.15/293.15))
=0.3kcal/kg燃料
T∱:燃料の温度 K
t∱:燃料の温度 ℃
t₀:基準温度 ℃
T₀:基準温度 K

③空気のエンタルピーHaと有効エネルギーEa(流入)
空気の定圧比熱:Cpa=0.31kcal/m^3n℃
Ha=VaCpa(ta-t₀)=12.9・0.31・(20-20)=0kcal/kg燃料
ta:空気の温度 ℃
Ta:空気の温度 K

④給水のエンタルピーHωと有効エネルギーEω(流入)
hω=80kcal/kg、sω=0.2568kcal/kgK、h₀=20kcal/kg、s₀=0.0707kcal/kgK
Hω=Wω(hω-h₀)=16.2・(80-20)=972kcal/kg燃料
Eω=Wω((hω-h₀)-T₀(sω-s₀))=16.2・((80-20)-293.15・(0.2568-0.0707))=88kcal/kg燃料
h:エンタルピー
s:エントロピー
添字ωは給水、₀は周囲環境値

⑤発生蒸気のエンタルピーHsと有効エネルギーEs(流出)
hs=659.5kcal/kg、Ss=1.6031kcal/kgk
Hs=ωs(hs-h₀)=16.2・(659.5-20)=10360kcal/kg燃料
Es=Ws(hs-h₀)-T₀(Ss-s₀))=16.2・((659.5-20)-293.15・(1.6031-0.0707))
=3082kcal/kg燃料

⑥燃焼ガスのエンタルピーと有効エネルギー(流出)
排ガスの定圧比熱 Cpg=0.33kcal/m^3n℃
Hg=VgCpg(tg-t₀)=13.6・0.33・(170-20)=673kcal/kg燃料
Eg=VgCpg((tg-t₀)-T₀ln(Tg/T₀))=13.6・0.33・(170-20)-293.15ln(443.15/293.15))
=130kcal/kg燃料
tg:排ガス温度 ℃
Tg:排ガス温度 K

⑦燃料・伝熱・放出などによる損失(流出)
周囲環境への放熱(膨張による大気排除仕事L'も含める。)
Q'=(H∱+H∱s+Ha+Hω)-(Hs+Hg)=(10200+9+0+972)-(10360+673)=148kcal/kg燃料。
Ir=(E∱+E∱s+Ea+Eω)-(Es+Eg)=(10629+0.3+0+88)-(3082+130)=7505.3kcal/kg燃料。
⑧ボイラ効率ηbとボイラ有効率εb
ηb=(Hs-Hω)/(H∱+H∱s+Ea)=(10360-972)/(10200+9+0)=0.92
εb=(Es-Eω)/(E∱+E∱s+Ea)=(3082-88)/(10629+0.3+0)=0.282

ボイラの水管理
ボイラ水のpH又はアルカリ量を酸消費量(pH8.3)を調整する作用について説明すると、原水中の酸消費量(pH4.8)の成分は軟化装置以降、ほとんどが炭化水素ナトリウムになる。
炭化水素ナトリウムはボイラ内で熱分解し、炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムになる。
2Na₂HCO₃→Na₂CO₃+CO₂+H₂O
Na₂CO₃+H₂O→2NaOH+CO₂
給水のの酸消費量(pH4.8)及びボイラ運転圧力(温度)とボイラ水の濃縮倍数(N=1/b、bはブロー率が解れば、給水の酸消費量(pH4.8)から生成するボイラ水のアルカリ量(酸消費量pH
8.3)を求めることができる。
BpA:ボイラ水の酸消費量(pH8.3)=0.5・FMA(1+α)N  [mgCaCO₃/L]
FMA:給水の酸消費量(pH4.8)  [mgCaCO₃/L]
α:炭酸ナトリウムの分解率(ボイラの圧力関数)
N:濃縮倍数

スケール防止
スケール防止機構
(1)スケール成分の結晶をゆるがめる機能によってスケール成分の析出を抑制する。
(2)スケール成分の表面電荷を変化させ、懸濁物を分散状態に保つ。
例えば、炭酸カルシウムスケールの付着防止を例にとって説明すると、アクリル酸系ポリマー(PAA)を添加したときの、PAAのスケールへの吸着は、
Pad:吸着したポリマーの濃度[mg/L]=K・(Pi)^n・Cap^(1-n)
Pi:添加したポリマーの濃度[mg/L]
Cap:析出した炭酸カリシウムの濃度[mgCaCO₃/L]
K,n:ポリマー固有の定数
PAAのスケールに対する吸着量γ=Pad/Cap

ボイラーの化洗実施の時期
配管の過熱度と配管材料の許容温度とから、伝熱部に於ける許容堆積スケール量 
Gal=((θal-θω)/qmax-(r₁ln(r₁/r₂)/λl)-(1/α)/・λs))・(10^6/a)[g/m^2]
θal:配管材料の許容温度[℃]
θω:最大熱負荷部のボイラ水温度[℃]
qmax:最大熱負荷[kJ/m^2・h]
r₁,r₂:配管の外径と内径[m]
λt:配管材料の熱伝導率[kJ/m^2・h・℃]
λs:堆積スケールの熱伝導率[kJ/m^2・h・℃]
α:ボイラ水の熱伝導率[kJ/m^2・h・℃]
α:スケール堆積量からスケール厚さへの換算係数[g/m^2]

懸濁状成分の堆積
酸化鉄のような腐食生成物が溶解度以上に存在する場合並びに酸化性状態で鉄成分が鉄となっている場合には、それらがコロイド状又は懸濁状で存在している。それらの成分は疎水性である為、沸騰伝熱している気泡発生箇所では気泡と水との界面にこの成分が選択的に捕集され、伝熱面への堆積が促進する。
この機構による堆積速度Aは熱負荷q[kJ/(m^2・h]の二乗と鉄成分濃度CFe[mg/L]とに比例する。
A=K・CFe・q^2
K:係数

電気伝導率計
ρ:抵抗率=R・(q/L)[Ω・m]
K:電気伝導率=I/R・(L/q)[s/m]
R:溶液の抵抗[Ω]
L:極板間の距離[m]

炉の伝熱計算
熱勘定
入熱Qi
⑴燃料の持ち込む熱量Qi₁燃料の発熱量と温度θ₀を基準とした顕熱との和として与えられる
高発熱量を採れば、Qi₁=Hh+cpf(θf-θ₀)[kJ/kg fuel]
低発熱を採れば、Qi₁=Hl+cpf(θf-θ₀)[kJ/kg fuel]
cpf:燃料の定圧比熱[kJ/(kg・k)]
θf:燃料の送入温度[℃]

⑵空気の持ち込む熱量Qi₂
温度θ₀を基準とした送入空気の顕熱
Qi₂=Acpa(θα-θ₀)[kJ/kg fuel]

⑶水蒸気の持ち込む熱量Q₁₃
Gsとθsを水蒸気の送入量[kg/kgfuel]又は、[kg/m^3Nfuel]と温度[℃],rを温度θ₀[℃]に
於ける蒸発の潜熱[kJ/kg]、cpsを定圧比熱[kJ/kgk]とすると、
Q₁₃=Gs(hs-h₀)[kJ/kgfuel]

⑷被加熱物の持ち込む顕熱Q₁₄
炉に装入する際の温度θ₀を基準とした非加熱物の顕熱で、非加熱物の質量と定圧比熱をM
[kg/kgfuel]とcpm[kJ/kgk]、装入温度をθm₁とすると、
Q₁₄=Mcpm(θm₁-θ₀)[kJ/kgfuel]

⑸非加熱物の化学反応による発熱量Q₁₅
鉄や鋼は加熱中に酸化されて炉内で発熱する。
Q₁₅=MΔhr
Δhr:被加熱物1kg当りの化学反応熱[kJ/kg]

出熱Q₀
⑴被加熱物の持ち出す保有熱Q₀₁
炉から取り出す際の、温度θ₀を基準とした被加熱物の保有熱である。θm₀を被加熱物の取り出し温度[℃]、ωを乾燥による被加熱物の減量率[kg/kg]とすると、
Q₀₁=M(1-ω)(cpm(θm₀-θ₀)+r')[kJ/kgfuel]
r':熔融等の相変化の潜熱で、吸熱を正とする。

⑵被加熱物の化学反応による吸熱量Q₀₂
石灰やセメントのように炉内で吸熱反応を起こすような被加熱物は、取り出し時に化学反応を持ち出すと考えた方が解りやすい。Δhrを化学反応による被加熱物1kg当りの吸収熱量と
して、Q₀₂=MΔhr[kJ/kgfuel]

⑶被加熱物から蒸発した水蒸気の持ち出す保有熱Q₀₃
水蒸気が炉を去るときの温度は排気温度θg[℃]に等しいので、
Q₀₃=ωM(cps(θg-θ₀)+r)[kJ/kgfuel]

⑷燃焼ガスの持ち出す熱量Q₀₄
高発熱量を用いる計算では、温度θ₀を基準とした湿り燃焼排気の顕熱と、燃焼過程で生成する水蒸気の蒸発した潜熱の和である。すでに発熱量から水蒸気の潜熱を除いてあるので、算入する必要がない。従って高発熱量使用時には、
Q₀₄=Gdcpg(θg-θ₀)+(Gw-Gd)cps(θg-θ₀)[kJ/kgfuel]

⑸不完全燃焼損失Q₀₅
Q₀₅=Vd(12630(CO)+59030(UHC)+33900(C)+10790(H₂)[kJ/kgfuel]

⑹燃えがらの持ち出す保有熱Q₀₆
温度θ₀を基準とした燃殻の持ち出し顕熱と、その中に含まれる未成分Δc[kJ/kgfuel]の
低発熱量の和で、
Q₀₆=(a+Δc)cpe(θe-θ₀)+33900Δc[kJ/kgfuel]

⑺放熱損失Q₀₇
炉壁を通しての熱貫流量、熱放射による損失熱量、それに冷却水の持ち出し熱量の合計量で
ある。

⑻蓄熱損失Q₀₈
装置が熱容量を持つことによる熱損失で、連続操業のときは無視してもよいが、断続運転や
回分式操業では全入熱の30~50%に及ぶことがある。

⑼吹込み水蒸気の持ち出す保有熱Q₀₉
炉に吹き込まれた水蒸気が排気と共に排出された時、それが持ち出す保有熱を出熱に算入しなければならない。
Q₀₉=Gs’(cps(θg-θ₀)+r)[kJ/kgfuel]
又は、排気中の分圧と温度に対応する水蒸気の比エンタルピーhsとして、
Q₀₉=Gs'(hs-h)[kJ/kgfuel]

工業炉に於ける被加熱物への伝熱量は、放射伝熱量、対流伝熱量の和である。
炉内に攪拌や噴流を衝突させるような加熱を行わない限り、一般的には放射伝熱が主である放射伝熱量は、絶対温度の4乗に比例するので次式で表せる。
QGc=5.67・10^-8・φcG・Ac(TG^4-Tc^4) [w/m^2]
φcG:総括熱吸収率=(εc・εG・FcG/(1-(1-εc)(1-FcG))) (矢木、国井らの式)
FcG=εG(AG/AT)((1+(AR/Ac))1/(1+(AT/AG-εG)FRc)
Ac:被加熱面面積
AR:反射面面積
AT:全炉内面積=Ac+AR
AG:ガス対外面積
εc:被加熱材の放射率
εG:ガスの放射率
FRc:形態係数

HC:炉床負荷=Q/(LF・LS・α)
Q:加熱能力
LF:有効炉長
α:炉床利用率
LS:鋼片長

比熱について
比熱
物質の単位量に熱Qを加え、温度がΔT上昇したときの比熱(熱容量)Cを次のごとく定義するC=Q/ΔT [J/mol・k、kJ/kg・k]
この温度変化に加える熱は状態量ではないから、定容、定圧の状態変化で異なる。
定容比熱
収支式では、ΔU=Q-PΔV ΔV=0
Q=ΔU
Cυ=Q/ΔT=(ΔU/ΔT)υ
この比熱は体積を一定とした加熱で、気体のみが測定できる。温度T₁からT₂までの内部エネルギ変化は、ΔU=(U₂-U₁)=∫CυdT
温度のみの関数で圧力には関係しない。
定圧比熱
収支式は、ΔH=Q+VΔP ΔP=0
Q=ΔH
Cp=Q/ΔT=(ΔH/ΔT)p
この定圧比熱は圧力を一定とした加熱で、気体、2原子気体κ=7/5=1.4 (H₂、O₂、N₂、CO…)、3原子気体κ=8/6=1.33 (H₂O、CO₂…)この比熱比κは物質により異なるが、理想気体の断熱変化を表すのに便利なので、断熱指数とも呼ぶ。
比熱Cp、Cυの値は温度で変わるが、比熱比はほとんど変化しない。κとRを使って平均比熱Cp⁻、Cυ⁻を表すと、
R=Cp-Cυ
R/Cp=1-1/κ
∴Cp⁻=(κ/(κ-1))・R
R/Cυ=κ-1
Cυ⁻=(1/(κ-1))・R

理論断熱燃焼温度
燃料1kgが完全燃焼して、水蒸気が凝縮しなければ、低発熱量Hl[kJ/kg]が解放される。
燃焼が断熱的に行われるならば、この熱はすべて湿り燃焼ガス(質量Gw[kg/kg])の温度上昇に使われ、その顕熱に変わる。燃焼前の温度をT₀(298k=25℃)、温度T₀とTbtの間での
燃焼ガスの定圧比熱cpの平均値をcpm[kJ/kg・k]とする。(298k→3000kの温度変化で
炭酸ガスや水蒸気のcpは1.66~1.68倍に増加する。
熱のバランスからGwcpm(Tbt-T₀)=Hl ∴Tbt=Hl/(Gwcp)+T₀ ①
①式を湿り燃焼ガス体積Vw[m^3N/m^3N]と、燃焼ガス1m^3N当りの熱容量と定義される定圧比熱cpm'[kJ/m^3N・k]を使って書き直すと、
Tbt=Hl/(Vwcpm')+T₀ ② となる。
燃焼ガスの平均定圧比熱を求めてみる。
すなわち、cpm=∑i(cpimi) ③
例として、メタンCH₄を空気比1.3で燃焼させた場合のTbtを計算してみる。
酸素以外の乾き空気成分を窒素と見なすと完全燃焼反応は、
CH₄+1.3・2(O₂+(0.79/0.21)N₂)=CO₂+2H₂O+0.6O₂+(2.6・0.79/0.21)N₂ ④
各成分の298k~2000kの間の平均定圧比熱cpiを完全燃焼ガス成分のT₀~T間の平均定圧比熱表から読み取る。③式に基づいてmiとcpiの積の総和をとると燃焼ガス量Gwが得られる。
これらの計算結果をメタンの低発熱量Hi=50.01MJ/kg=50.01・10^3kJ/kgとともに、
①式に代入する。
Tbt=50.01・10^3/(23.27・1.294)+298=1959k ⑤
もし、燃焼前後の系の組成と燃焼前の系の状態が解っていれば、必要に応じてJANAFの表や状態方程式を使うことにより理論燃焼温度を求める方法がある。
例として、エンタルピーバランス法で行ってみる。
298.15k,0.1Mpa,空気比1.3のメタン-空気混合気が完全燃焼する際の反応が④式で表されるものとすると、JANAFの表より、
Hu=ΔfHcH₄(T₀)+1.3・2(ΔfHo₂(T₀)+(0.79/0.21)・ΔfHN₂(T₀))
=74.87+1.3・2(0+(0.79/0.21)・0)=74.87kJ/mol fuel
燃焼ガス成分の発生量と、温度Tb=1800kと2000kにおける燃焼ガスのエンタルピー
Hb=∑(nH(Tb))は、理論断熱燃焼温度の計算表より、Hu=Hbを満足するTbの値を内挿すると、Tb=1800+((-74.87-(-162.29)/((-55.55)-(-162.29)))(2000-1800)=1964k
となる。

輻射伝熱について、
輻射伝熱とは電磁波による熱エネルギー輸送であり、物体が保有する熱エネルギーが、電磁波(主として赤外線)に変換されて空間に放射され、空間を通過したあと他の物体に到達してこれに吸収され、また熱エネルギーに変換されることによって伝達される伝熱現象をいう。
固体の熱輻射
固体表面は輻射の放射・吸収特性より、黒体、灰色体、非灰色体の3種類に分けられる。
黒体は全波長域に於いて全ての入射輻射を吸収し、また同じ温度の固体表面では最大の輻射エネルギー放射能力を有する。

放射能 E[w/m^2]
物体表面から単位時間、単位面積当りに放射される輻射エネルギー量。
黒体表面から放射される輻射エネルギー量Ebλは、
Ebλ=C₁/(λ^5(exp(C₂/(λT))-1) ブランクの法則
C₁=3.742・10^8[wμm^4/m^2]
C₂=1.439・10^4[μmk]
λ:波長[μm]
T:温度[k]
Ebλ:単色黒体放射能[w/m^2]

熱輻射に関する輻射の波長域は物体の温度によって異なり、高温になるほど短い波長が多くなり、可視光の領域(0.38~0.78μm)に近づいてくる。
単色黒体放射能の最大値を示す波長λmaxは、下記のウィンの法則で求められる。
λmax=2897.6/T [μm]
黒体表面から放射される全輻射エネルギー量を表す黒体放射能Ebは、これを全波長域にわたって積分することで求められる。
Eb:黒体放射能=∫₀∞Ebλ(T、λ)dλ=σT^4 [w/m^2]
σ:ステファン・ポルツマン定数(5.6687x・10^-8) w/(m^2k^4)

放射率ε
黒体でない一般物体表面からの放射量をEとしたとき、放射率εは下式で定義される。
E=εσT^4=εEb
黒体ではε=1、一般にEb>E、0≦ε≦1である。
波長λの単色の輻射エネルギーについても同様の式が下記のように成立する。
Eλ:単色放射能=ελEbλ
ελ:単色放射率
Ebλ:単色黒体放射能

燃焼の測定・計測装置
温度測定
放射熱温度計
物体は温度が高いほど強い放射熱を出す。そこで温度を測ろうとする高温物体(T(k))の放射率をε、高温物体が単位面積、単位時間に絶対温度0[k]の空間に放出される放射熱Qは、
Q=4.9ε(T/100)^4 [kcal/m^2h]
 =20.6ε(T/100)^4 [kj/m^2h]
流量計
フロート形面積流量計
流通面積と流量の関係は、基本的に次式で表せれる。
Q=CA√(((2gV∫/A∫)/A∫)((ρ∫-ρ₀)/ρ₀))
Q:流体の体積流量[m^3/s]
C:流出係数
A:流通面積[m^2]
g:重力加速度[m/s^2]
A∫:フロートの最大径部断面積[m^2]
V∫:可動部の体積[m^3]
ρ∫:可動部の等価密度[kg/m^3]
ρ₀:測定状態に於ける流体の密度[kg/m^3]
絞り機構による流量測定
絞り機構を流体の流れている管路内に取り付けた場合に、絞り機構の上流側と下流側(オリフィスの場合)、又は上流部と絞り部(ノズル、ベンチュリ管の場合)との間に生じる静圧差は、管路内の流量と一義的な関係があるので、静圧差を測定して流量を求めることができる
Q:流量=CEεF√(2Δp/ρ) [m^3/s]
C:流量係数
E:近寄り速度係数
F:オリフィスの穴断面積 [m^2]
Δp:オリフィス前後の差圧p₁-p₂ [kpa]
ρ:流体の密度 [kg/m^3]

化学反応と燃焼過程のシミュレーション
基礎式
質量の保存式:∂/∂x(ρu)+1/r・(∂/∂r)(rρυ)
運動量の保存式:ρ(u(∂u/∂x)+υ(∂u/∂r)=-∂p/∂x+1/r・(∂/∂r)(μr(∂p/∂r))+ρgx
化学種jの保存式:ρ(u(∂mj/∂x)+υ(∂mj/∂r)=-∂p/∂x+1/r・(∂/∂r)(rρDjm(∂mj/∂r))+Rj
エネルギ-保存式:ρ(u(∂u/∂x)+υ(∂u/∂r)=1/r・∂/∂r(r(λ/Cpm)(∂h/∂r)+1/r(∂/∂r)・
(r∑(ρDjm-(λ/Cpm))hj(∂mj/∂r))
p:圧力、T:絶対温度、mj:化学種jの質量分率、h:混合ガスのエンタルピー
hj:化学種jのエンタルピー、ρ:密度、gx:x方向重力加速度、Rj:化学種jの単位体積当りの生成速度、Cpm:混合ガスの比熱、μ:粘性係数、λ:熱伝導率
Djm:他成分系に於ける化学種jの有効拡散係数
κ∱i:反応速度係数=AT^n・exp(-E/R₀T)

物性値と状態量
粘性係数
化学種iの粘性係数μiは次式で与えられる。
μi=2.6693・10^-5・((MiT)^0.5/(σi^2・Ωμ)) [g/cm・sec]
Mi:分子量、σi:分子の特性直径、Ωμ:無次元温度T/(ε/κ)iの関数で与えられる無次元値
σi,(ε/κ)iはLennard-Jones Potential Parameterと呼ばれる各成分に特定の値を取る定数である。ε:Lennard-Jones Potentialの極小値、κ:ボルツマン定数
混合気体に於ける粘性係数μは、次式で与えられる。
μ=∑(xiμi/(∑xjφij))
φij=(1/(8^0.5)(1+Mi/Mj)^-0.5(1+(μi/μj)^0.5(Mj/Mi)^(1/4))^2
但しi=jの時、φij=1
ここで、xiはi成分のモル分率、nは成分の数
熱伝導率
i成分の熱伝導率λiは気体定数Rを用いて次式で与えられる。
λi=(cpi+5/4R)(μi/Mi) [cal/cm・sec・k]
拡散係数
化学種iのjに対する2成分系の拡散係数Dijは、次式で与えられる。
Dij=0.0018583((T^3(1/Mi+1/Mj))^0.5/(pσij^2・ΩDij))
但し、σijは化学種i及びjのLennard-Jones Potential Parameter σi,σjを用いて、次式により与えられる。
σij=(σi+σj)/2
また、ΩDijは無次元温度T/(εij/K)に対するΩDijの値であり、εijは化学種i及び化学種jの
Lennard-Jones Potential Parameter σi,σjを用いて、次式により与えられる。
εij=(εiεj)^0.5
pはその状態に於ける圧力である。

燃焼の汚染物質
Thermal NOx(空気中のN₂の高温酸化によって生じる。)の育成
Thermal NOxに限定した、火炎でのNOx生成量を簡素に計算する式
準定常状態(d(N)/dt=0)、(NO)<(O₂)、(N₂)かつ反応式O₂⇔O+O+M(第3物質)に解離平衡を仮定すると、NOの生成速度は次式で与えられる。
d(N)/dt=κ(N₂)(O₂)^0.5
t:滞留時間又は反応時間[s]
κ:反応速度定数[cm^(3/2)/mol^0.5]
森らはプロパン・酸素富化空気の平面火炎を用い、最高火炎温度を同一にした場合、当量比
φ=1.2で反応帯中にかなりのNOが生成することが実験により解った。このように反応帯中で急激に生成するNOをPrompt NOと呼ぶ。これは炭化水素の熱分解で生成されるCH、及びC₂ラジカルが次式によりNを放出し、N+O₂⇔NO+O、O₂⇔O+O+Mを促進させる。
生成HCN、CNも酸素と反応して、NOを生成する。CH+N₂⇔HCN+N、C₂+N₂⇔2CN
Fuel NOxの生成
燃料中の窒素化合物は、燃焼過程でNOに転換される。このNOをFuel NOと呼ぶ。
NOxの抑制
⑴燃焼温度を下げる方法
①水噴射:25℃の水を燃焼ガス中に噴射すると、水と燃焼ガスの重量比が0.5%増す度に、断熱燃焼温度は80~120℃低下する。
②蒸気噴射:水噴射よりも温度低下率は少ないが同様の効果があり、水噴射に比べ均一に分散する利点がある。
③エマルジョン燃焼:油中に水を分散させたエマルジョンも水噴射と同様な効果があるが、燃焼中に水滴が爆発するので油が微細化される利点がある。
④排ガス再循環:低温になった排ガスをバーナ口から、又はバーナ近傍から炉内へ供給し温度を下げる。
⑤分割火炎:火炎を分割すると、燃焼室への放射伝熱により火炎が冷却される。

⑵空気比を調整する方法
①低空気比燃焼:空気比を下げる。
②2段燃焼:燃焼空気を2つに分け、バーナ部の空気比を極端に下げ、不足空気はバーナから離れた位置に入れる。
③低NOxバーナ:バーナに燃焼空気空気を徐々に、入れると、燃焼温度が低下し火炎局部の空気比が少なくなる。

ガスタービンの燃焼器

NOの生成速度
d(NO)/dt=2Aexp(-E/T)(N₂)(O)
NO、N₂、O₂は燃焼ガスの対象ガス濃度
A:因子=6.63・107[m^3/mols]
E:活性エネルギー=3.78・10^4[k]
T:平衡温度[k]

ICAO排ガス規制値
スモークの規制値
83.6(F₀₀)^-0.274或いは50のどちらか小さい方
F₀₀:最大推力

UHCの規制値
Dp/F₀₀=19.6

COの規制値
Dp/F₀₀=118

NOxの規制値
⑴エンジン圧力比π₀₀が30以下
a)最大推力が89kN以上
Dp/F₀₀=19+1.6π₀₀
b)最大推力が26.7kN以上、89kN以下
Dp/F₀₀=37.572+1.6π₀₀-0.2087F₀₀
2)エンジン圧力比が30以上、62.7以下
a)最大推力が89kN以上
Dp/F₀₀=7+2π₀₀
b)最大推力が26.7kN以上、89kN以下
Dp/F₀₀=42.71+1.4286π₀₀-0.4013F₀₀
3)エンジン圧力比が62.5以上
Dp/F₀₀=32+1.6π₀₀

Dp/F₀₀=(∑EI・Wf・T)/F₀₀
Dp:LTOサイクルに於ける有害排出物の排出量[g]
F₀₀:定格出力[kN]

排ガスの成分計測
NOx等の排ガス計測濃度は、大気湿度や入口空気温度等の変動に応じて変わり、同じ燃焼温度であってもデータにばらつきがある。その為、大気湿度等については換算式を決め、基準条件に変換後との比較する。例えば16%O₂換算値は次式から得る。
NOx=NO*・((21-16)/(21-O₂measure))
NOx:16%O₂に換算した濃度[ppmv]
NOx*:計測点濃度[ppmv]
O₂measure:計測点での酸素濃度[%]

壁面冷却
燃焼器ライナやトランジションピース内側のメタル温度は以下の式で求める。
q:壁面を通過する伝熱量=Rg+Cg
Rg=hg(Tg-T₁)=λ₁/t₁(T₁-T₂)=λ₂/t₂(T₂-T₃)=Ra+Ca
Rg,Ra及びCg,Ca,hg,haは高温ガス側、冷却空気側の放射伝熱量及び対流伝熱量、熱伝達である。またT₁,T₂,T₃は其々TBC、メタルの表面温度である。
h:熱伝達率
R:輻射伝熱量
η∱:フィルム冷却効率=(Tg-Tad)/(Tg-Ta)
ηm:メタル冷却効率=(Tg-T₂)/(Tg-Ta)

圧力損失
燃焼器の圧力損失に関し、2つの無次元パラメータが存在する。1つは燃焼器入口の全圧に対する全圧損失の比ΔP₃‐₄/P₃でありこれを全圧損失比といい、もう1つは代表動圧に対する全圧損失の比ΔP₃‐₄/qrefであり、これを全圧損失係数という。これらの2つのパラメータの関係は次式で表される。
ΔP₃‐₄/P₃=ΔP₃‐₄/qref・(R/2)・(m₃・T₃^0.5/(Aref・Pa))^2 ①式
圧力損失率は通常4~10%であり、燃焼による過熱損失は含まれない。圧力損失係数は圧縮機出口とタービン入口の間で生じる。流れの抵抗を表し、空気力学的には抗力係数と等価とみなすことができる。圧力損失係数は燃焼器特有の特性であり、ディフューザでの圧力損失とライナの圧力損失の合計である。
ΔP₃‐₄/qref=ΔPdiff/qref+ΔP₁/qref
燃焼時には、これらの圧力損失に燃焼によって生じる圧力損失によって増加する。一定断面積通路を流れる低マッハ数の均一混合気では以下のようになる。
ΔPdiff/qref=(ρ₃/ρ₄)-1
ρ₃:燃焼前の空気密度
ρ₄:燃焼後のガス密度
実用燃焼器では以下のように表せる。
ΔPdiff/qref=K₁(T₄/T₃-K₂)

燃焼器形式の圧力損失
         ΔP₃‐₄/P₃   ΔP₃‐₄/qref     msT₃^5/Aref/Pa
カン型      0.07      37         0.0036
キャニュラ型   0.06      28         0.0039
アニュラ型    0.06      20         0.0046

燃焼振動
振動燃焼は大別して、音響振動とそれ以外の振動とに分けられる。音響振動はある作動範囲でのみ発生することが多い。この振動燃焼が発生するか否かを判定する条件はレーリーにより示された。
∫cycleH・Pdt>0
H:燃焼による発生する発熱量の変動
P:燃焼器内の圧力変動

ノッチノズルのエンジン騒音試験
N=0.85noy(∱)max+0.15∑inoyi(∱) 
PNL=40+(10/log2)・log(N)

メタル温度分布
メタル温度分布を予測する熱伝達モデルは、軸方向の特性変化のみを考慮する。定常状態では、壁要素への熱伝達は外部への伝熱量とバランスしていなければならない。それ故、内部の領域ΔAw₁要素に対して、
R₁+C₁=R₂+C₂=K₁-₂
R₁:燃焼ガスからライナ壁への輻射熱=0.5σ(1+εw)(εgTg^4-αgTw₁^4)
C₁:ガス流からライナ壁への熱伝達
C₂:ライナ壁からアニュラ部への熱伝達である。
R₂=σεwεc(Tw₂^4-T₃^4)/(εc+εw(1-εc)(Aw-Ac))・(Tw2^4-T₃^4)
εg=1-exp(-290PL(qlb)^0.5・Tg^-1.5)
P:ガス全圧
L:輝度係数
q:燃空比
lb:光路長

無冷却ライナの場合のC₁,C₂は以下のようになる。
C₁=0.017kg/DL^0.2・(mpz/ALμg)^0.8・(Tg-Tw₁)
C₂=0.02ka/Dan^0.2・(mpz/ALμg)^0.8・(Tw₂-Ta)
k:熱伝導率[w/(m^2・k]
DL:ライナ直径
AL:ライナ断面積
μ:粘性係数[kg/ms]
添字aは空気、gはガス

フィルム冷却方式を用いた場合は、R₁,R₂,C₂は無冷却の場合と同じであるが、C₁は空冷空気の流速と壁近傍の高温ガスの温度が変わる為、次式で表される。
0.5<(ρU)a/(ρU)g<1.3の場合
C₁=0.069ka/x・Rex^0.7・(Twad-Tw₁)
(ρU)a/(ρU)g>1.3の場合
C₁=0.1ka/x・Rex^0.8/(x/s)^-0.36・(Twad-Tw₁)
壁でのガス温度Twadは、次式のηから求めることができる。
0.5<(ρU)a/(ρU)g<1.3の場合
η=1.1m^0.65・(μa/μg)^0.15・(x/s)^-0.2・(t/s)^-0.2
1.3<(ρU)a/(ρU)g<4の場合
η=1.28(μa/μg)^0.15・(x/s)^-0.2・(t/s)^-0.2

燃焼速度
層流火炎の火炎帯内のエネルギー保存則の近似解法によると、層流燃焼速度は次のように表される。
SI∝√(λ/(Cp・Mu))・P(n-2)/2・exp(-E/(2R/Tb))
SI:層流燃焼速度
λ:熱伝導率
Cp:比熱
Mu:未燃混合気の平均分子
P:圧力
n:燃焼反応の反応次数
E:活性化エネルギー
R:ガス常数
Tb:火炎温度

排気ガス特性と燃焼効率
燃焼器出口温度分布
PTF(最高温度に着目した式)
PTF=(Tmax-T4)/(T4/T3)
Tmax:燃焼器出口最高温度
T3:燃焼器入口平均温度
T4:燃焼器出口平均温度
PTFに関し、重要なパラメータは燃焼ガスと希釈空気の混合に有効な時間と距離を制御する
ライナ長さと、希釈空気の貫通度と燃焼ガスとの混合を支配する圧力損失係数である。
燃焼器の種類カン型、キャニュラ及びアニュラ型燃焼器試験データから次の相関式を得た。
PTF=f(LL/DLxΔPL/qref)
ΔPL/qref:ライナ部の圧力損失
LL:ライナ全長
DL:ライナ直径或いは高さ

燃料安定性の指標となる燃焼効率η
η=(1-((Ga/G∱+1)/(γg・Hu))((XMh)co+(XMh)THC)・10^-6)・100
Ga,G∱:空気及び燃料流量[kg/s]
γg:燃焼ガスの比重量[kg/Nm^3]
Hu:燃料の低位発熱量[J/kg]
M:対象ガスの比重量[kg/Nm^3]
X:対象ガスの濃度[ppmv]
h:対象ガスの発熱量[J/kg]

噴霧燃焼の光学計測
当初Chiuらは、等間隔で配置された直径dの均一粒径油滴からなる直径Dcの球形油滴群において、油滴群に含まれる油滴の総蒸発と拡散による油滴群内外のガス成分交換率の比と定義される群燃焼数G
を用いて、油滴の群燃焼形態を分類している。

G=1.5Le(1+0.276Sc^(1/3)Rc^(1/2)nT^(2/3)*(d/L)
Lc:ルイス数
Sc:シュミット数
Re:油滴粒径とスリップ速度を用いた油滴レイノルズ数
nT:油滴群内部に含まれる油滴総数
d:均一油滴直径
L:平均油滴間距離

a)G<10^-2単滴燃焼
個々の油滴は、十分な酸素濃度の雰囲気中で、全周炎に包まれて燃焼する。

b)10^-2<G<1内部群燃焼
油滴群中心部で酸素が不足し、群火炎が形成されるが、その周囲には単滴燃焼が存在する。

c)1<G<10^2外部群燃焼
油滴群内部への酸素の供給が大きく不足し、油滴群外部に群火炎が形成される。

d)10^2<G外殻燃焼
油滴群中心部では油滴の蒸発が全く行っておらず、その周囲に油滴の蒸発領域と火炎領域が、存在する。

無次元油滴距離S=(L/10d)/(1+0.276Sc^(1/3)・Re^(1/2) 
と定義すると、群燃焼数Gは、Sと油滴群内の油滴総数nTを用いて次のように表せる。
G=0.15Le・nT^(2/3)/S
定数S=(0.05/(1+0.276Re^(1/2)・Pr^(1/3)))・(d/r1)

 群燃焼数の算出方法
等価球の直径ɭc=√(4S/π) 
予混合噴霧を用いているため油滴と気相とのスリップ速度は非常に小さい為、油滴レイノルズ数Re=0とし、ルイス数Le=1おくと、
式3より火炎中の個々油滴群の群燃焼数Gcは、
Gc=1.5nT^(2/3)・(d10/L) 

ここで、平均油滴間距離LはPDAの時系列データを用いて次式より算出した。
L=∑(ti+t-ti)・Vi/(Nc-1) 
Nc:個々の油滴群内で計測されたPDAデータ個数
ti:i番目の油滴のアライバルタイム
Vi:i番目の油滴速度
ɭc:油滴の直径
L:油滴間距離
nT:油滴群内の油滴総数=(π/6・ɭc^3)/L^3 式11

気流中の水膜分裂によって発生する一次分裂水滴径分布
M:気流マッハ数
Wecr:マッハ数による臨界ウェーバー数=-25.8M^5+132.2M^4-234.5M^3+118.8M^2+45.4M+4.1

タービン翼列の空力特性に対する後流干渉効果
実験条件
レイノルズ数Re=U1Cx/ν
ストローハル数S=∱Cx/U1
ν:動粘度
∱:後流発生器回転数
nb:円柱本数
速度欠損:Δω/W1=2.007(L/d)^-0.71
主流乱れを基準とする円柱後流内乱れ度のピーク値Tumax=115(L/d)^-0.67
円柱後流の速度欠損の半値幅b1/2=(b1/2/d)=0.308√((Cd・(L/d))

熱力学的効果の旋回キャビテーションへの影響

旋回キャビテーションの旋回速度比ω/Ω
ω:旋回周波数 Hz
Ω:軸回転周波数 Hz

キャビティ長さCcl=Lc/h
Lc:翼前縁からキャビティ後縁までの翼に沿う長さ
h:翼列のスペーシング

Katoのキャビティ内の無次元圧力降下量をよく表すY-factor式 Y=α√(D/U∞^3)
D:物体の基準寸法
U∞:一様流速

Katoのモデル特異点法によるインデューサ翼列に適用した式
Σ=L^2/CplT∞(ρυ/ρl)^2・√(C/(αlU^3)=Σ√(C/U^3)
実験結果より、Σ=(ρυL)^2/(ρl^2CplT∞√αl
同じく実験結果より、Amod=√(U^3σ/(Lc))

時間(回転数)の影響
Brennenはインデューサ内の気泡の通過時間と、熱力学的効果が大きくなる臨界時間tcの比較を考え、Σ/Λと類似ではあるがΣ/(RT^2Ω^3φ(σx)0)^(1/2)として、次式を与え既存実験データと比較している。
σx/(σx)0=1-2β*(Σ^2/(RT^2Ω^3φ(σx)0)=1-2β*Σ^2=1-2β(RT/Cφ)*(Σ/Λ)^2

バイオエタノール焚きガスタービン燃焼器
拡大Zeldovich機構で生成されるNOの生成速度は以下の式で見積もることができる。
d(NO)/dt=2Aexp(-E/T)・N2・O
NO:燃焼ガス中の対象ガス濃度
N2:燃焼ガス中の対象ガス濃度
O2:燃焼ガス中の対象ガス濃度
A:度因子6.63*107 709.41 m^3/mols
E:活性化エネルギー3.78*10^4 37800 k
T:平衡温度 k

燃焼安定性の指数となる燃焼効率η
η=((1-Ga/Gf+1)/(γg・Hu)((XMh)co+(XMh)THC)*10^-6)*100
Ga:空気流量
Gf:燃料流量
γg:燃焼ガス比重量
Hu:燃料の低位発熱量
X:対象ガスのガス濃度
M:対象ガスの比重量
h:対象ガスの発熱量

ガスタービンのシューミレーション
ガステーブル
ジェットエンジンの燃料として代表的なJP-3,JP-4は、分子式は其々CH₁.₅₅,CH₁.₉₃と表される。また産業用ガスタービン等では天然ガスを燃料としており、分子式はCH₃.₇前後となっている。通常入手できるガステーブルはCH₂に対するものである。
炭素水素比がnである燃料CHnが当量比1以下で、水蒸気を含む空気中で完全燃焼をした場合の反応式は、αCHn+(0.2099O₂+0.7803N₂+0.0098Ar+βH₂O)→
αCO₂+((nα/2)+β)H₂O+0.7803N₂+(0.2099-α-(nα/4))O₂+0.0098Ar
左辺の括弧内は標準空気の組成と水蒸気成分である。αは燃料と空気のモル比で、当量比φ及び∱(質量比)とは、α=0.2099/(1+n/4)
α=((0.2099・31.9988+0.7803・28.0134)+(0.0098・39.948))∱/(2.011+1.0079)n
=28.9669/(12.011+1.0079n)・∱
という関係がある。またβは空気と水蒸気のモル比であり、水空比x(質量比)とは、
β=((0.2099・31.9988+0.7803・28.0134)+(0.0098・39.948))∱/(1.0079・2+12.011))=28.9669/18.0152x

燃焼ガス中のCO₂,H₂O,N₂,O₂,Arのモル比をXco₂,Xh₂o,Xn₂,Xo₂,Xar定圧比熱をCpco₂,
Cph₂o,Cpn₂,Cpo₂,Cpar分子量をMco₂,Mh₂o,Mn₂,Mo₂,Marと置くと、
Xco₂=α/Δ、Xh₂o=(nα/2+β)1/Δ、Xn₂=0.7803/Δ、Xo₂=(0.2099-α-nα/4)1/Δ
Xar=00098/Δ
但し、Δ=α+(nα/2+β)+0.7803+(0.2099-α-nα/4)+0.0098=1+n/4+β
燃焼ガスの物性値
定圧比熱:Cpgas(T)=∑xiCpi(T)
エンタルピ:hgas(T)=∑xi∫Cpi(T)dT
エントロピ関数:φgas(T)=∑xi∫(Cpi(T)/T)dT
平均分子量:Mgas(T)=∑xiMi
ガス定数:Rgas=R/Mgas
相対圧:Prgas(T)=exp(φgas(T)/Rgas)
内部エネルギ:ugas(T)=hgas(T)-Rgas・T
定圧比熱:Cνgas(T)=Cpgas(T)/Cνgas(T)
音速:αgas(T)=√(κgas(T)・Rgas・T)
但し、R:0.81441[Jk^-1g・-mol^-1]とする。

HTAモデル

予混合燃焼は、予混合気中の燃料がどれだけ反応したかを示す指数である反応進行度

の輸送方程式を解くことにより、密度、温度及び化学種の質量分率の変化を決定する

ことができる。反応進行度cは0~1の値を取り、0は未燃焼状態を、1は完全燃焼状態

をそれぞれ示し、その輸送方程式は次式で与えられる。

∂/∂t(ρc)+∂/∂xj(ρujc)=∂/∂xj((ρD+μ/Sc)∂c/∂xj)+ω ①

ここに、ρ:密度、uj:座標xの流速、D:拡散係数、Sc:シュミット数

μj:乱流粘性係数、ω:反応項

HTAモデルでは反応進行進行度輸送式の反応項である乱流予混合モデルωを以下のように与える。

ω=Sρu・Su/δ(I^2・c^2(1-c))  I>0.7        ②

ω=0               I≦0.7

ここに、Su:層流燃焼速度、δ:火炎帯の厚み、c:反応進行度、ρu:未燃焼予混合気

の密度である。②式の(ρu・Su/δ)は層流火炎帯中の平均反応速度である。

燃空比、圧力、予混合気温度は燃焼速度及び火炎帯の厚みを通じて考慮される。

また、Iは火炎伸張の度合いを表すパラメータであり、以下の超越方程式の解として

得られる。

1/Ka₀=-(ρ₀/ρu)1/4I^2・ln(1-I)    ③

ここに、ρ₀:室温、大気圧下の未燃焼ガス密度、ρu:解析条件での未燃焼ガスの密度

Ka₀:カーロビッツ数(火炎伸張の程度を示し、gδ/Suで定義される)、g:速度勾配

 

燃焼振動についてはレイリーの発振条件式により、

∲q'p'dt>0  ④

ここに、p':圧力変動 p':発熱量変動 である。

PDFの定義

拡散燃焼の場合、火炎位置は燃料と酸化剤の混合層内の濃度で決まるので、次のように定義した混合分率Zが整理変数として使われる。

Z=(β-β₀x)/(βfuel-β₀x)

β:1kgの燃料を燃やす為に必要な酸素量をrkgとして、Y∱を燃料、Y₀を酸素の質量分率とすると、以下のように表される。

β=Y∱-Y₀/r

βox:酸化剤側

βfuel:燃料側での値

混合分率に対する確率密度関数は、ベータ関数で次式で表す。

P(Z)=Z^(a-1)・(1-Z)^(b-1)/(∫Z^(a-1)・(1-Z)^(b-1)・dZ)

確率密度関数PDFの式

P(G)=1/(σ√2π)exp(-1/2((G-μ/σ)^2)


 

攪拌機

撹拌機選定

可溶性液体(単一液体も含む)
攪拌動力
Pv値0.01~0.2[kw/m^3]とする。
Nγ:必要循環回数=κ・ρ・μ^α
κ:攪拌強度係数
バッチ攪拌の場合=3~5
連続攪拌の場合=10~20
ρ:比重
μ:粘度[cp]
α:粘度の指数
均熱貯槽=0.1
均一混合=0.4

Qv:攪拌翼による液循環回数=Qd/V
Qd:液吐出流量=Nqd・N・d^3[m^3/min]
θM:所要攪拌時間=Nγ・V/Qd
V:液容積[m^3]
Nqd:吐出流量係数
N:翼回転数[1/min]
d:翼径[m]

比溶性液体
攪拌動力
比重差が1.25までのときは
Pv=0.5~1[kw/m^3]
Qv=5~15[回/min]
翼周速=2.5[m/sec]以上
比重差が1.6までのときは
Pv=1[kw/m^3]
Qv=10~20[回/min]
翼周速=3[m/sec]以上

粒子沈降速度:Uと攪拌翼による槽断面基準吐出流速:Usとの関係
U>Us・β [m/sec]
β:攪拌強度係数
沈降防止の場合=1~6
均一混合の場合=6~20
U:槽断面基準吐出流速[m^3/sec]=qd/A
qd:液吐出流量[m^3/sec]
A:槽断面積[㎡]
粒子のレイノルズ数の範囲での沈降速度:Us
Re≦2:ストークスの式
Us=(g(ρs-ρl)Dp^2)/(18・μ)
2<Re≦500:アレンの式
Us=((4g^2(ρs-ρl)Dp^3)/(225・μ・ρl))^(1/3)
500<Re≦10^5:ニュートンの式
Us=((3.03g(ρs-ρl)Dp)/ρl)^(1/2)
但し、Us=ρl・Us・Dp/μ
ρl:液密度[kg/m^3]
ρs:粒子密度[kg/m^3]
Dp:粒子径[m]
μ:液粘度[kg/m・sec]
g:重力加速度[m/sec^2]

吐出流量の相関
Qd:吐出流量=(τω/ρ)(D/d)(πDH)(1+α)/(W₀-Wd) ①
W₀:翼先端速度
Wd:半径r=d/2の断面の翼から離れた位置での速度
パドル翼の相関式
β(W₀-Wd)/uω=4(γnp^0.7b/D)^0.5  (γnp^0.7・b/D<0.25)
  =8.0               (γnp^0.7・b/D>0.25)   ②
uω:槽側壁の摩擦速度
∱:摩擦係数um=(τω/ρ)^0.5=(∱/2)^0.5・υθ     ③
①~③式を組み合わて無次元表示をすると、吐出流量数Nqd(Qd/nd^3)は次式で表すことができる。
Nqd=0.088(βπ)^2(1+0.2)∱^0.5(D^2・H/d^3)・(γnp^0.7・b/D)^0.5   ④
                              (γnp^0.7・b/D<0.25)
=0.044(βπ)^2(1+0.2)∱^0.5(D^2・H/d^3)  ⑤  (γnp^0.7・b/D>0.25)

Np=(((1+0.2)π^4・β^2)/(8(d^3/D^2・H)))∱を用いて摩擦係数∱を動力数Npで置き換えると次式となる。
Nqd=0.5β((D^2・H/d^3)Np)^0.5・(γnp^0.7・b/D)0.5  (γnp^0.7・b/D<0.25)
=0.25β((D^2・H/d^3)Np)^0.5  (γnp^0.7・b/D>0.25)

液体槽の液噴射攪拌

噴射液と母液の密度差による層を形成させずに混合する為の最小の噴射速度(臨界噴射速度υc)を式で表すと、
υc=(13gh(1-ρt/ρh)^0.72・(sin(β+5))^-2)^0.5
β=tan^-1(h/D)
噴流が母液を同伴する距離は、噴射ノズル径djの50~400倍である。従ってノズル径djは有効噴流長さleの1/400~1/50とすると、
0.0025・le≦0.02・le
le=(D^2+h^2)^0.5
Qj=π・dj^2・υj/4
槽壁面噴射による混合時間tmは次式で求められる。
1000<Rej<5000に対し、
tm=1.8・10^4・D^1.5・h^0.5/(Rej・υj・dj)
5000<Rej<80000に対し、
tm=2.6D^1.5・h^0.5/(υjdj)
Rej:噴射レイノルズ数=ρjυjdj/μj
dj:噴射ノズル径[m]
g:重力加速度[m/s^2]
h:槽の液高さ[m]
le:有効噴射長さ[m]
Qj:噴射量[m^3/s]
Rej:噴射レイノズル数
tm:混合時間[s]
υc:臨界噴射速度[m/s]
υj:噴射速度[m/s]
β:ノズルの水平に対する角度
μj:噴射液体の粘度[pa・s]
ρh:重い液体密度[kg/m^3]
ρj:噴射液体密度[kg/m^3]
ρt:軽い液体密度[kg/m^3]

気体通気法


攪拌動力
気一液の物性などの条件により異なるが、単位容積当りに与える動力Pvは
Pv=Pg/V=0.75~1.5[kw/m^3]
NA:通気係数=Qg/N・d^3

翼を平板タービンの条件での所要動力について代表的相関式を次に示す。Calderbank式
Re≦10^4、Ug<2[cm/s]以下に対しては次式が使用できる。
NA≦3.5・10 Pg/Po=1-12.6NA
NA>3.5・10 Pg/Po=0.62-1.85NA
また、n・d<1.5[cm/s]、Re>560の範囲では流物性も考慮した次式が適用できる。永田式
log(Pg/Po)=192(d/D)^4.38・(ρnd^2/μ)^0.115・(n^2・d/g)^(1.96・(d/D))・NA
Pg:通気時の動力
Qg:通気量[m^3/s]
実用的にはPg/Poを0.6以上にすればよい。

液側総括容量係数KLa[1/s]=単位液体積当り通気攪拌所要動力Pg/V[w/m^3]とガス空塔速度Ug[m/s](通気量Qg/装置断面積Sr)のべき乗の積。Van't Rict式を以下に示す。
(空気-水系) KLa=0.026(Pg/V)^0.4・Ug^0.2
(空気-電解質溶液系) KLa=0.002(Pg/V)^0.7・Ug^0.2

気液接触界面積a[m^2/m^3]の推算式Calderbankの式
(空気-水系) a=0.55(Pg/V)^0.4・Ug^0.5
(空気-電解質溶液系) a=0.15(Pg/V)^0.7・Ug^0.3

低粘度液(約1mpa・s)多段翼における通気時の攪拌動力
上,下段の動力がほぼ等しいか、又は下段の動力降下(1-(Pg/P₀)L)が同一操作条件の単段翼の動力降下にほぼ一致すると共に上段の動力降下が下段の動力降下より常に小さい場合、
下段翼を通過したガスのうちかなりの量が上段翼において捕捉され、キャビティーを形成
する為、通気による見掛け密度の減少以上に動力降下する。
この上段翼の動力比を、望月らは次の実験式で与えた。
(Pg/P₀)υ=1-κ₂NA
κ₂=222(n^2・d/g)^γ・(d/dT)^3.2(h₂/dT)^0.57
γ=0.55(dT^2/(dT^2-d^2)
また佐藤らは、下段翼の動力推算式として次式を報告した。ここで、H/2=dT(液溶液V/2)
水ではρ=ρω、として
(Pg/P₀)L=Pg,s/Pg,L=3.24/P₀,L(ρgug/(8380(n^2d/g)^1.2(d/dr)^3.2(H/2/dT)^-0.8(dT/0.29)^0.5(ρ/ρω))^-1.33
・(ρgugV/2)
P₀,u、P₀,Lは無通気時における2段翼の全動力に対する上段の動力割合図より求める。

中高粘度液における通気時の攪拌動力
永田-西川ら通気攪拌槽の熱伝達において採用した修正Re数の考えをもとに通気時の歪速度
γaを次式のように定義し、有効粘度μeを求め、通気時Rea数を算出した。
γa=(γb^2+γe^2)^0.5  γb=1500ug
γe:Metzner-Ottoの相関から求める歪速度である。
またヘリカルリボン翼、層流域(非ニュートン流体)に対し、次の相関式を提出している。
Np=1030Rea^-0.942・NA^0.604(1+724Wi^2.15)
0.28≦Rea≦70 0.028≦NA≦0.87 0.0044≦Wi≦0.06
佐藤らは水の数百程度の粘度を持つニュートン流体に対し次の動力相関式を示した。
Pv,g/Pv,a=x(Pv,a/(Pv,a)c)^-β
(Pv,a)c=a(Fr)^1.2(d/dT)^3.2(H/dT)^-0.8(dT/0.29)^0.5(ρ/ρω)
κ:定数 β:指数 a:8380(デスクタービン)

フラッディング通気攪拌速度
フラッディング通気攪拌速度:nc[1/s]を与える換算式 Nienow式 Qg/ncd^3=30(DT/d)^3.5・(nc^2・d/g)
通気数NA=Qg/nd^3
DT:槽径
6枚平板タービン翼に関するSensel式
Qg/ncd^3=0.0675(ncd)DT^-0.4  (ncd)DT^-0.4≦1.6

完全分散通気攪拌速度ncD[1/s]与える推算式 Nienow式
単一孔スパージャー ncD=4Qg^0.5・DT^0.25/d^2
リングスパージャー ncD=3Qg^0.5・DT^0.25/d^2

ガスホールドアップφ
φ:単位気液混相容積当りのガス容積
槽内の平均ガスホールドアップφavは、次式の①,②ように単位容積当りの動力(Pv,t=通気
Pv,a+攪拌Pv,g)とガス空塔速度ugによって関係づけることが多い。
φav/(1-φav)=κPv,t^a・ug^b ①
φav=κPv,g^x・ug^y  ②
b=0.75
a=0.26(Pg,u/Pg,L)^0.15
κ=35(Pg,u/Pg,L)^-0.21 ③
Nocentiniらは空気0.1~0.7vvm~グリセリン水溶液3.7~62mpa・sの非合一系、4段ディスクタービンを用いて、Pv,g≧500w/m^3の条件下において次式を提出している。ここで
μω₂₀は20℃における水の粘度である。
φav=κPv,g^0・ug^(1/3)(μ/μω₂₀)^-1.17 ④
ガスホールドアップεgの推算式について、平板タービン翼に於ける次式が報告されてる。
εg=96(Pg/V)^(1/3)・Ug^0.68 [%] 
Ug:ガス空塔速度[m/s]
V:液体積[m^3]
また、6枚タービン翼に関してSensel式がある。
εg=0.105(Qg/nd^3)(n^3・d/g)(nd^2・ρ/μ)^0.1

気泡吹込み攪拌(曝気式)
低粘度に対して循環時間Qcは内径が0.3~1.04mの槽に対し
Qc=0.23h(gAQg)^(1/3)
A=πD^2/4
V=πD^2・h/4
tc=3.7D^(4/3)/(g・Qg)^(1/3)
tm=3.7(h/D+4)D^(4/3)/(g・Qg)^(1/3)
Qg=50.7D^4((h/D+4)/tm)^3/g
A:槽の水平断面積[m^2]
D:槽内径[m]
g:重力加速度[m/s^2]
h:液の高さ[m]
Qc:槽内液の循環流量[m^3/s]
Qg:気体の吹込み量[m^3/s]
tc:槽内の平均循環時間[s]
tm:混合時間[s]
V:槽内の液量

気泡径
表面積基準の平均気泡径dB[m] Calderbank式がある。
dB=4.15(σ^0.6/((Pg/V)^0.4・ρ^0.2)εg^0.5・(μg/μ)^0.25+0.0009
σ:気液間の界面張力[N・m]
ρ:液密度[pas]
μg:気体密度[pas]

攪拌所要動力


P:所要動力=φρd^5n^3(dn^2/g)^q
φ:動力係数(実験値であってφ-Re曲線図より)
q:フルード数Frの指数で、バッフルがなく、かつRe>300の場合 q=(α-logRe)/β Reがそれ以外の場合はq=0
α、βは指数で近似的に次式で求める。
プロペラ
γ=d/D≦0.325に対し、α=21γ-4.66 β=18
γ=d/D≧0.325に対し、α=2.83γ+1.25 β=18
タービン
γ=d/D=0.3~0.33に対し、α=1 β=40

攪拌所要動力の相関
上記とは別の方法として攪拌所要動力は、攪拌槽では翼から槽壁への運動量輸送速度、即ち槽壁でのせん断応力τωから求めることができる。式で表すと、
P=2πn(τω(πDH)(D/2))(1+α)
D:槽径
H:液高さ
α:槽底に働くトルクと槽壁に働くトルクの比
(τω(πDH)(D/2))は槽側壁に働くトルク

邪魔板なし攪拌槽側壁の摩擦係数∱
平岡-亀井らの式
∱=CL/ReG+Ct(((Ctr/ReG)+ReG)-1+(∱∞/Ct)^(1/m))^m
1項は層流域の値、2項は乱流域の値を与えている。
CL=0.215ηnp(d/H)(1-(d/D)^2)+1.83(bsinθ/H)(np/2sinθ)^(1/3)
Ct=((1.96X^1.19)^-7.8+(0.25^-0.78)^(-1/7.8)
m=((0.71X^0.373)^-7.8+0.333^-0.78)^(-1/7.8)
Ctr=23.8(d/D)^-3.24(bsinθ/D)^-1.18・X^-0.74
∱∞=0.0151(d/D)Ct^0.308
ここで、
X=γnp^0.7・bsin^1.6・θ/H
γ=(ηln(D/d)/(βD/d)^5)^(1/3)

相関式の使用条件
相関パラメータであるXは、現象論的には攪拌翼に働く最大トルクと槽壁に働く最大トルク
比に比例する量で平岡-伊藤の式によると、
X=(γ/8.3)(d/H)Npmax
パドル翼、傾斜パドル翼に対してのNpmaxは、
Npmax=8.3np^0.7・bsin^1.6・θ/d
亀井らの0.54<np^0.7・b/dsin^1.6θ/dのパドル翼(sinθ=1)について求めた完全邪魔板での動力数に一致している。
一例として金網パドル翼の動力相関式を試みる。完全邪魔条件での動力相関式は攪拌レイノルズ数及び金網の空隙率εに依存し、次式で相関される。
Npmax/(np^0.7・b/d)^0.6=1+(0.0027+0.0022(Red(l/d)(1-ε)^-1.32))^-0.37

摩擦係数及び一般化レイノルズ数ReGは次式で定義される。
∱=τω/(ρυθ^2/2) ReG=Lυθρ/μ
攪拌槽の代表速度υθ及び代表長さLは次式で定義される。
υθ=πndβ/2、 L=(D/2)η・ln(D/d)
ここで、補正係数β及びηは、羽根枚数npとして次式で定義される。
β=2ln(D/d)/((D/d)-(d/D)) ④
η=0.711(0.157+(np・ln(D/d)^0.611)/(np^0.52(1-(d/D)^2))
攪拌レイノルズ数の一般化レイノルズ数ReGへの変換、摩擦係数∱の動力数Npへの変換は次式で表される。
ReG=((πη・ln(D/d))/(4d/βD))Red
Np=(((1+0.2)π^4・β^2)/(8(d^3/D^2・H)))∱

攪拌混合時間


tm:混合時間=(0.092n(γ^3Nqd+0.21γ(Np/Nqd)^0.5)・(1-exp(-13γ^2)))^-1
d:羽根直径
D:槽内径
n:羽根回転数
Nqd:吐出流量数
Np:動力数
γ^3Nqdは循環による混合
0.21γ(Np/Nqd)^0.5はせん断(乱流拡散)による混合
1-exp(-13γ^2)は循環範囲
Np/Nqd:単位吐出流量当りの動力

バッフル付きの槽に対する吐出流量数Nqd
3枚羽根プロペラ:Nqd=0.654(d/D)^0.16
バトル翼及びタービン:Nqd=κnb^0.7(d/D)^0.5(h/d)^0.1・Re/(50+Re)
κ:羽根形式によって決まる定数で、平羽根はκ=1.3、ディスクタービンはκ=1.1、後退羽根はκ=0.82、
nb:羽根枚数
b:羽根幅[m]
h:液深さ[m]
Re:レイノルズ数=d^2・nρ/μ
μ:液体粘度[pa・s]
ρ:液体密度[kg/m^3]

混合時間の相関
攪拌槽の混合操作について、平岡-伊藤は次式のように無次元表示した。
DC/D(tQd/V)=(εtubV/QdD^2)∇^2・C ①
t:混合時間
(tQd/V):槽内循環回数の無次元数
(εtubV/QdD^2):乱流拡散混合の強度を表す無次元係数
tMn:混合時間の無次元数
混合時間tMは次のように無次元相関される。
(tMQd/V)=A(εturbV/QdD^2)^B ②
V:容積体積
A,B:定数
上式の左辺の無次元数の表示変換を行うと次式を得る。
(tMQd/V)∝(tMn)(Nqd)(d^3/D^2・H)=Y ③

(tMQd/V)のパラメータをεturbに推算する方法
手法1.平岡-伊藤は乱流拡散係数εturbは翼先端の見掛けせん断速度βudと槽径Dに比例すると仮定した。この時、ud=uω(D/d)と摩擦係数∱の定義を用いてεturbは次の比例関係を与える。
εturb∝(βud)D=(∱/2)^0.5(β^2・πnD^2/2) ④
従って、②式の右辺の無次元数は次式のように書き換えられる。
(εturbV/QdD^2)∝β^2(D/d)^3(H/D)(∱/2)^0.5/Nqd ⑤
Np=(((1+0.2)π^4・β^2)/(8(d^3/D^2・H)))∱式の摩擦係数∱と動力数Npを用いて⑤式を変形すると、次式を得る。
(εturbV/QdD^2)∝β(D/d)^(3/2)(H/D)^0.5(∱/2)^0.5/Nqd=X₁ ⑥
平岡-伊藤は、邪魔板なしの攪拌槽での混合時間は二つの無次元数の積が一定となることを示した。
YX₁=(tMn)β(d/D)^(3/2)(D/H)^0.5・Np^0.5=13.5 ⑦
邪魔板付き攪拌槽での混合時間のデータはYX₁の積がX₁に微かに依存するとし、次式をの関係を与えている。
YX₁^0.85=const ⑧

手法2.乱流拡散係数(εturb)が乱流の代表長さlと代表速度((P/ρV)l)^(1/3)に比例するとして②式の右辺の無次元数を書き換えてみると、
(εturbV/QdD^2)∝(H/D)^(2/3)・(l/d)^(4/3)/Nqd ⑨
ここで、乱流長さlは、Dに比例するとして⑨式の右辺を書き換えてみると、
(H/D)^(2/3)・((D/d)^4(Np/Nqd^3))^(1/3)=X₂ ⑩
((D/d)^4(Np/Nqd^3))はNienowにより示されている吐出効率係数Epの逆数である。
さらに⑩式を3/4乗した変数は上和野らが撹拌機の混合時間の相関に、Kohらがジェット攪拌の混合時間の相関に用いた変数に同じである。
(H/D)^0.5・((D/d)(Np/Nqd^3))^(1/4)=X₃  (=X₂^(3/4)) ⑪
上和野ら相関式を変形して次式を与えている。
Y=1/(0.088(1+0.21X₃^2))  (H=D) ⑫
Kohらは、ジェット攪拌の混合時間の相関に際し上記の変数Y,X₃を用いて、翼攪拌の混合時間の相関も含めた次式の相関式を与えた。
Y・X₃=4.8 (=Y・X₂^(3/4)) ⑬
さらに、Kohらに従ってジェット攪拌の所要動力P及び吐出流量Qdを、ノズル径dn及び
ノズル流速ujを用いて、P=(ρuj^2/2)Qd、 Qd=(πdn^2/4)uj ⑭
と記述し、⑬式に代入すると、tM=6.4D^1.5・H^0.5/(ujdn) ⑮
⑬式を無次元混合時間tMnを用いて書き換えると次式となる。
tMn=4.8(Np・Nqd)^(-1/4)(D/d)^2(H/D)^0.5 ⑯
変数Yが⑩式のX₂に逆比例すると次式を得る。
tMn=KNp^(-1/3)(D/d)^(5/3)(H/D)^(1/3) ⑰

攪拌槽邪魔板の最適寸法


タービン翼による混合を目的とした最適邪魔板幅Bは次式となる。
B=0.17D
但し、H/D=1、L/H=1、d/D=0.5、a/d=0.25、b/d=0.2、J=4、Z=10とする。
最適邪魔邪魔板幅とは、伝熱量Q/Vが最大となり、消費動力P/Vが最小となる寸法である。
伝熱での最適邪魔板幅Bn=αD^2/(JL)
α=0.24 (タービン翼)
α=0.34 (プロペラ翼及び傾斜バトル翼)

邪魔板条件と攪拌動力
完全邪魔条件として永田は(Bω/D)^1.2・nb=0.35の関係式を報告している。
Bω:邪魔板幅、nb:邪魔板枚数
亀井らは、完全邪魔条件は翼の種類(最大動力数Npmax)の影響を受けるとして次式を報告
した。
(Bω/D)nb^0.8=0.27Npmax^0.2
パトル翼のNpmax値
Npmax=10(np^0.7(b/d))^1.3 np^0.7(b/d)≦0.54
   =8.3np^0.7(b/d)    0.54≦np^0.7(b/d)≦1.6
   =10(np^0.7(b/d))^0.6 1.6≦np^07(b/d)
傾斜パトル翼のNpmax,θの相関式
(Bω/D)nb^0.8=0.44Npmax,θ^0.2(2θ/π)^0.72
Npmax,θ=8.3(2θ/π)^0.9・np^0.7(b/d)sin^1.6・θ

邪魔板条件による動力数の相関
Np/Npmax=((4.5x)^-5+(0.5x^-0.6)^-5)^(-1/5)
x=(Bω/D)nb^0.8/(Npmax)^0.2+(1/4.5)(Npo/Npmax)
平岡らは傾斜パトル翼の邪魔板と動力の相関式を報告している。
Np/Npmax=(x^-3+1)^(-1/3)
x=4.5(Bω/D)nb^0.8/(2θ/π)^0.72・Npmax,θ^0.2+Np/Npmax

邪魔板条件と渦深さについて
邪魔板なしでの攪拌槽内の流れは、ランキン渦と呼ばれる流れの構造を持つ。即ち、翼の
内側は角速度一定の固体的回転領域で、その外側は自由渦と呼ばれる渦度0の領域である。
r<rc;υ=rω
r>rc;υ=ωrc^2/r
rc:固体的回転領域の半径
亀井らは、邪魔板ある場合のパトル翼の相関式を報告した。
hυ₁/d=5.7Fr(np^0.7(b/H))^0.2・(1-10(47+((np^0.7(b/d)/nb^0.8(Bω/D))^1.63)
^-0.4・(nb^0.8(Bω/D)/Npmax^0.2)^0.48)
rc=√(rH(rH-(√rH^2-2g/ω^2・hυ₁)))
hυ₁:渦深さ
rHは自由表面と静止液面の公差位置であり、次式で与えられる。
2rH/d=0.65(D/d)^0.8

縦型コイル
ジャケットおよびヘリカルコイルの熱伝達係数は、よく知られた永田の式など、Re数=
nd^2/νとPr数=Cpμ/κの関数として表されてきた。
一方、攪拌動力から直接導き出す方法も提案されており、ジャケットおよびヘリカルコイル
伝熱に関する佐野らの式を以下に示す。
ここで、μωは壁面温度での液粘度であり、ジャケット側Nujaの代表長さには槽径Dが、
コイル側Nucoの代表長さにはコイル外径dcが用いてある。
Nuja=0.512(PυD^4/ρν^3)^0.227・Pr^(1/3)(d/D)^0.52(b/D)^0.08
Nuco=0.775(PυD^4/ρν^3)^0.205・Pr^0.35(d/D)^0.2(b/D)^0.1(dc/D)^-0.3・
(μ/μω)^0.14
一方、4枚タービン翼に対する縦型コイルの相関式が報告されている。
Nuco=0.09Re^0.65・Pr^0.3(μ/μω)^0.14(d/D)^0.33(2/NB)^0.2
ここで、NBはコイルの邪魔板相当枚数である。

攪拌による液面変位


円筒攪拌槽において、攪拌による中心液面の低下hl及び槽壁液面の上昇hhは次式で近似的に推算できる。
hl=(πdcn)^2・(1-rd^2・(0.75-ln・ra)/g
hh=(πdcn)^2・rd^2(0.25-ln・ra)/g
ra=dc/D
n:攪拌羽根回転数[s^-1]
D:槽内径[m]
dc:固体的回転径(攪拌軸中心の窪み直径)[m]
dc=1.23d(0.57+0.35d/D)(b/D)(b/D)^0.036・nb^0.116・(1-0.165sin^7.6α)sin^0.156・θ・Re/(10^3+1.43Re)
b:攪拌羽根の幅[m]
d:攪拌羽根の直径[m]
g:重力加速度[m/s^2]
hh:液面の上昇量[m]
hl:液面の低下量[m]
nb:羽根枚数
Re:レイノルズ数d^2・nρ/μ
rd:固体的回転径と槽内径比dc/D
α:羽根の後退角[°]
θ:羽根の傾斜角[°]
μ:液体粘度[pa/s]
ρ:液体密度[kg/m^3]

粒子浮遊限界回転数

化学反応、熱または物質移動に対し、最大表面積を得る為に、或いは粒子を連続的に流出させるのに、攪拌によって粒子を浮遊させることが行われる。
バッフル付円筒槽の粒子浮遊限界回転数nfは、次式で推算する。
nf=κ・ds^0.2・d^0.85(d/D)^α(hb/D)β・(μ/ρ)^0.1・((ρs-ρ)^0.45(ms/(m+ms))^0.13
D:槽内径[m]
d:攪拌羽根直径[m]
ds:粒子径[m]
hb:羽根取り付け高さ[m]
κ:形状係数
m:槽内の液体質量[kg]
ms:槽内の粒子質量[kg]
nf:粒子浮遊回転数[s^-1]
μ:液体粘度[ps・s]
ρ:液体密度[kg/m^3]
ρs:粒子密度[kg/m^3]

撹拌機のスケールアップ


装置を幾何学的相似条件に設定し、単位容量当りに与える動力Pv値を一定に保つスケールアップ手法を用いる。
d2=(d1/D1)・D2
N2=N1・(D1/D2)^(2/3)
P2=P1・(N2/N1)^3・(d2・d1)^5
d:翼径
N:回転数
P:動力
D:槽径
この場合、液循環回数Qvが小さくなる。攪拌目的に混合時間が大きな影響及ぼす場合は注意を要する。

構造・強度について


攪拌軸に作用する力
T:攪拌トルク=973746・P/N [kgf・cm]
P:攪拌消費動力[kw]
N:攪拌軸回転数[1/min]
Ft:羽根先端接線荷重=2T/d1[kfg]
d1:攪拌羽根直径[cm]
羽根先端接線荷重と軸に働くアンバランス荷重Frの比をκとすると
κ=Fr/Ft=0.25 Fr=0.25Ft[kgf] とする。

攪拌軸径
最大捻じれ応力τmax=T/Zp≦τa
Zp:断面係数
T/(π・D^3/16)≦τa Zp=(π・ds^3/16)
16T≦π・τa・ds^3
ds:軸径=ds≧3√(16T/π・τa)

攪拌レイノルズ数NReとインペラ形状により槽内の流動状態を知ることができる。式で表すと、
NRe=P・n・D^2/μ

攪拌翼の微小部分が受ける微小抗力dRf
dRf=C2(ρn^2d^4)α^2・da
C2:定数
b:翼幅=βd(0≦α、β≦1/2)とする。

攪拌動力算出の基本式
Re=P・(N/60)・d^2/μ
Pnet=Np・P・(N/60)^3・d^5/(102・gc)
P=Pnet/η

攪拌槽伝熱


熱伝達係数の無次元相関
コイル管外壁上での熱伝達係数は、これまでに次のような無次元相関式でまとめられてきました。
Nu=C1Re^aPr^b(μ/μω)^c
Re:攪拌レイノルズ数=Nd^2/ν
N:翼回転数
d:翼径
Nu:ヌッセルト数
槽壁の熱伝達係数hjに対して Nu=hjD/κ
コイル管外壁の熱伝達係数hcに対して Nu=hcdc/κ
D:槽径
dc:コイル管外径
b:指数(1/3)
c:指数(0.14)
a:指数(0.2~0.5)

熱伝達係数hに対する無次元相関式を表現すると次式となる。Caiderbank-MooYoungやBourneらが用いた相関法で指数a=1において、
(hl/κ)=C2((Pυμ/ρ^2)^(1/4)・Pr^(-2/3)
C2:係数0.13 (アンカー翼やゲート翼0.16)
佐野らは、槽壁での熱伝達係数hjの相関式で槽径Dを用いることにより、邪魔板の有無に関わらず、±20%誤差で次式を提出した。
(hjD/κ)=0.512(PυD^4/ρν^3)^0.227・Pr^(1/3)・(d/D)^0.52・(b/D)^0.08
コイル外壁の熱伝達係数hcの相関式(佐野式)
(hcdc/κ)=0.775(Pυdc^4/ρν^3)^0.205・Pr^0.35・(d/D)^0.2・(b/D)^0.1・(de/D)^-0.3・(μ/μω)^0.14
Pυ=const(一定)でスケールアップする時、コイル壁での熱伝達係数hcは
hc∝d^0.2・b^0.1・dc^-0.5
de:コイル管外径
d:翼径
b:翼幅

攪拌槽壁の熱伝達の理論的考察
攪拌槽ではどこまでが流れの境界層なのかはっきりしない為、境界槽外部の代表速度υθを翼先端速度の0.5と定めて、乱流境界層モデルに基ずく槽壁熱伝達機構を整理する。
υθ=(π/2)Ndβ 式1
β=2・ln(D/d)/((D/d)-(d/D)) 式2
N:回転数、β:曲率を考慮した補正係数
平板の乱流境界層と同様に、曲率補正を考慮したChilton-Colburnの相似側が成立させると(h/ρcpυθ)Pr^(2/3)・(1.4d/βD)=τω/ρυ^2=∫/2 式3
τω:槽壁に働くせん断応力、∫:摩擦係数
摩擦係数は、邪魔板無の攪拌槽に対して、∫/2=0.121(Lυθ/ν)^(-1/3) 式4
L:代表長さ=(Dη/2)ln(D/d) 式5
η:補正係数=1+exp(-10((D/d)-1)) 式6
式3と4より次式を得る。
(h/ρcp)=0.121(βD/1.4d)(ν/L)(Lυθ/ν)^(2/3)・Pr^(-2/3) 式7
単位容積当りの攪拌所要動力Pυはせん断応力τωと次式のようになる。
Pυ=4πN(1+α)τω=8υθ(1+α)τω/dβ 式8
α:槽底面に働くせん断応力の補正項
式3、4、8より次式を得る。
Pυ/ρ=0.968((1+α)/dβ)(ν/L)^3(Lυθ/ν)^(8/3) 式9
式7、9よりReを消去すると、
(h/ρcp)=0.0871(β^(5/4)/(1+α)^(1/4))(D/d)(d/L)^(1/4)・(Pυν/ρ)^(1/4)・Pr^(-2/3) 式10
よってBourneらが用いた相関法で指数a=1において、(hl/κ)=C2((Pυμ/ρ^2)^(1/4)・Pr^(-2/3)の係数C2は、式10よりd/Dの関数として、
C2=0.104(β^(5/4)/(1+α)^(1/4))((D/d)^3/ηln(D/d)^(1/4) 式11
α=0.2として、C2はd/Dの広い範囲で約0.17を与える。Bourneの実験値とよい一致を示す

高粘度流体・非ニュートン流体の熱伝達
Kuriyamaらは、ヘルカルリボン翼攪拌における槽内流れと熱伝達の相関式を報告しているNu=0.64(RePr(D^2・p/(d^2・c)F)^(1/3)・(μ/μω)^0.2
(0.1<Re<100、0.024<c/D<0.076)
p:翼ピッチ
c:翼と槽壁の間隙幅
F:非ニュートン流体に対する補正係数、指数モデルτ=K(γ')^nに対して、
F=(1+((c/D)/0.064)^4)^((n-1)/n)とする。
AyaziShamlou-Edwardsは、同様にヘルカルリボン翼に対する熱伝達の相関式を報告している。
Nu=C3Re^a・Pr^(1/3)・(μ/μω)^(1/5)
C3=0.45、α=0.6 (10<Re<10^3)
C3=(np/(p/d)(c/d)^2)^022/6、α=0.17 (Re<0.1)
np:リボンの枚数

円筒槽上部から覗いたr-θ面の2次元場の流れの熱移動方程式
Pe(ur(∂T/∂r)+(uθ/r)(∂T/∂θ))=(1/r)(∂r(∂T/∂r)/∂r)+(1/r^2)(∂^2T/∂θ^2)+ΔH
Pe:ペクレ数
ΔH:内部発熱項
非ニュートン流体の場合、層流域の攪拌所要動力の相関に用いられる見掛け粘度μaが、熱伝達係数の相関に対してもそのまま転用できる。
Mertzner-Ottoによると平均せん断速度は回転数に比例し、与えられた攪拌翼、回転数Nに対して平均せん断速度γ'aυ=κsN となる。
κs:比例定数(翼寸法で決まる定数)=6.9(np/2)^(1/3)/(η(1-(d/D)^2)) 平岡式

槽壁に固相の析出が起こる場合の熱伝達
固相が槽壁に析出する場合の総括熱伝達係数Uは、
U=1/((1/hj)(D/DL)+(δ/λs)(D/Dln))
D:槽径
DL:見掛けの槽径
Dln:DとDLの対数平均値
λs:固相の熱伝導度

ジェット混合槽壁での熱伝達
Koh式
(h/ρcp)=C4(Pυν/ρ)^(1/4)・Pr^-0.6・(μ/μω)^0.14
Pυ:単位容積当りの所要動力=(ρu^2/2)Q/V
u:ジェットノズル孔の流速
Q:吐出流量
V:槽内の液体積

異相系流体の熱伝達
Kurpiersらは、気液系の槽壁伝達係数hjを攪拌所要動力と通気動力を用いて次式のように相関した。
(hjD/κ)=K(ξ(D/d)(D^3/V)NpRe^3+GaReG・(1-2(d/D)(d/(H-e))Np^0.5・Fr))^0.25・Pr^0.4・(μ/μω)^0.23
右辺のかっこ内は有効攪拌所要動力と通気動力の和であり、熱伝達係数が有効全所要動力の0.25乗に比例する。
Np:動力数=P/(ρN^3・d^5)
Re:攪拌レイノルズ数=Nd^2/ν
Ga:ガリレー数=D^3・g/ν^2
ReG:通気レイノルズ数=uaD/ν
Fr:フルート数=N^2・d/g
V:無通気時の液体積
H:液深さ
e:スパージャーの槽底からの高さ
uα:空塔ガス速度
K:係数(d/D=1/3に対しては0.1)
ξ:係数(d/D=1/3に対しては0.37)

固液相攪拌における熱伝達において、液の物性は次式に示す平均物性値を用いる。
ρm=(1-φv)ρL+φvρs
μm=μL(1+2.5φv+7.45φv^2)
cpm=(1-φM)cpL+φMcps
κm=κL(2+(κs/κL)-2φv(1-κs/κL))/(2+(κs/κL)+φv(1-κs/κL))
φv:固体粒子の体積分率
φM:固体粒子の質量分率
添字L:液相
添字s:固相

二段タービン翼を用いた場合の熱伝達係数の相関
(hjD/κ)=0.1(11.58(D/d)(D^3/V)NpRe^3+GaReG)^0.238・Pr^0.362・(μ/μω)^0.23
Frobese-Bohnetは固体粒子の体積分率が0.3までの高濃度固液系の槽壁の局所熱伝達係数hjlに対して、(hjlD/κ)=K(Nd^2/ν)^(2/3)・Pr^(1/3)・(μ/μω)^0.14
K=0.5exp(-φvl/(2φvl+0.1))
φvl:局所の固体粒子の体積分率<0.6

永田らは修正攪拌Re数を用いることにより、ニュートン流体の攪拌伝熱において通気時・無通気時の熱伝達係数は良好に相関できるとした。
Re’:修正攪拌Re数=((Pg+Pa)/ρd^5・Np)^(1/3)・ρd^2/μ
Pg:通気時の攪拌所要動力
Pa:通気動力
Np:無通気時の動力数
Rao-Martiは通気攪拌に対して次式のような修正Re数を用いてる。
Re=ρd(Nd+4ua)/μ
ua:ガス空塔速度
Rao-Martiはタービン翼を備えた通気攪拌に於けるコイル管外壁で、修正Re数を用いて熱伝達係数hc相関式を導いた。
(hcD/κ)=0.87(Re)^0.64・Pr^0.33・(μ/μω)^0.14・Fr^-0.1
西川らも、タービン翼を用いた通気攪拌伝熱実験を行っている。槽内を仮想的に通気支配領域と攪拌支配領域に分け、それぞれの流動域の熱伝達係数を各領域の容積分配比によって和することにより総括値が求められるとして、容積比を動力比に置き換え次式とした。
h=((Pg/∫)hg+Paha)/(Pg/∫)+Pa)
Pg:攪拌動力
Pa:通気動力
hg:攪拌支配における熱伝達係数
ha:通気のみにおける熱伝達係数
∫:動力影響に対する重み関数
西川らの通気のみ攪拌槽内の熱伝達係数haを槽壁側とコイル管外壁側に対して、次のような相関式を与えている。
槽壁側
(haj/ρcp)(ρ^2/Δρμg)^(1/3)・(cpμ/κ)^(2/3)・(μ/μω)^0.05
=0.036 uα<8m/h
=0.021uα^(1/4) uα≧8m/h
コイル管外壁側
(hac/ρcp)(ρ^2/Δρμg)^(1/3)・(cpμ/κ)^(2/3)=0.042uα^(1/4)
uα:ガス空塔速度[m/h]
Δρ:液とガスの密度差
(γ'αυ)α:平均せん断速度=50uα
μα:見掛け粘度=τ(γ'αυ)/(γ'αυ)
Edney-Edwardsは、通気攪拌伝熱において、無次元通気量Qg/Nd^3<0.2の実験範囲では熱伝達係数は通気によって変化しないと結論している。

物質移動

単位液容積当りの物質移動速度rは、r=KLα(C'-C) KLα:液側基準の総括物質移動容積係数、C':液相中の着目成分飽和濃度[mol/m^3]、C:液相中の着目成分濃度[mol/m^3]
で表す。固体の表面積Aや溶解体積V(回分操作)は溶解の進展につれて変化する。この場合WilheimらはN個の均一粒の総表面積Aと溶液体積Vの経時変化を考慮して次式を導いた。
dX/dθ=(κlφN^(1/3)・ms^(2/3)/(ρs^(2/3)・Vi))(Y-X)^(2/3)・((1/(1+α))-(X/(1+αX) ここにX=md/ms、Y=mi/ms
ms:飽和までに溶解した固体(溶質)質量
α:V=(1+αX)Viからなる実験定数
V:溶液体積
積分形は、∫₀¹(dX/((Y-X)^(2/3)・(1/(1+α)-(X/(1+αX))=κlφN^(1/3)・ms^(2/3)/(ρs^(2/3)・Vi)・θ=Z
初期粒径xpを用いると
(-1/M・(dm/dθ))θ→₀=κlAoCs
Ao=Nπxp^2=6mi/(xp・ρs)
ki:移動係数

物質移動係数κの相関
固液系に於いて、攪拌槽液中での浮遊粒子からの物質移動速度は、一般に次式で与えられるSh=A+BRep^n・Sc^m Rep:粒子レイノルズ数
上記の相関式として、Froessling式で表すと、Sh=2+0.6Rep^0.5・Sc^(1/3)となる。
又は、(Sh)Di=KSc^α・(Re)Di^b・(xp/Di)^c
(Sh)Di=κlDi/Di、Sc=μ/ρsDl
(Re)Di=nDi^2・ρs/μ
Hixonのデータによれば、(Re)Di>6.7・10^4の時、K=0.16、α=0.5、b=0.62
(Re)Di<6.7・10^4の時、K=2.7・10^-5、α=0.5、b=1.4で、(xp/Di)の体積変化は無視している。一般的にα=0.5であるがそれ以外の定数は浮遊限界速度、固液の密度差、装置構造などの影響を受けやすい。(Re)Di<6.7・10^4では槽底面に部分的粒状の堆積物がある状態であり、(Re)Di>6.7・10^4では粒群の完全浮遊化に基ずく溶解現象である。
尚、攪拌時の物質移動係数κlは、粒の自然沈降時の1.5~8倍になる。

放出速度
球体内の有効成分がその周囲の液体本体側へ移動する機構に基ずく放出速度は、球体内と液体境膜の両拡散機構から検証される。
固定殻内側に於いて拡散抵抗の小さい側に有効成分を含んでいるが、或いは殻内に液体を含んで外部へ定常拡散する例で、Fickの拡散第二拡散方程式による次式
∂C/∂θ=Ds((∂^2・C)/(∂r^2)+(2/r・(∂C/∂r))に於いて、半径r方向のみの拡散で、定常条件∂C/∂θ=Cを適用し、C=A+B/rとなる一般解が得られる。
球殻内の任意半径α≦r≦Rではr=α:C=Co、r=R:C=Ciの条件に於いて
C=((αCi(R-r)+RCo(r-α))/(r(R-α))となり、球殻内の放出速度Nd[mol・s^-1]は、
Nd=4πR^2(Co-C∫)/((R-α)/(Dsα/R)+(1/κl))
C∫:液体本体の濃度[mol・m^-3]
κl:物質移動係数[m・s^-1]の概略値として1≦Re<10^3の範囲でRanz-Marshall式ではSh=2+0.6(Re)^0.5(Sc)^(1/3)
Sh=κlxp/Dl、Re=xpuρ∫/μ、Sc=μ/(ρ∫Dl) となる。

槽内分散滴の挙動
乱れのスケールと液滴径
乱流場に於ける流速変動は、ある瞬間の流速は時間平均流速Uとその瞬間の流速変動値Ui(t)の和で代表される。
Ui’=(Ui(t)^2)^0.5 i=1,2,3 Ui'^2=∫₀∞・Ei(n)dnで定義され、乱流移動速度Ui’、RMS速度とその周波数分布として得られるエネルギースペクトル関数Ei(n)で表現される。
n:乱流変動周波数
i添字:流れ方向を主軸とする直交座標系成分を示す。
周波数を波数に変換すると、
κ=2πn/U
Ui'^2=∫₀∞・Ei(κ)dκ
Ei(K):波数κの乱れの渦がもつi方向の運動エネルギー=UEi(n)/2π
液滴周辺の乱流変動による運動エネルギーEυと液滴の境界エネルギーEsが等しい時、分裂直前の液滴径dp'が与えられる。
Eυ=ρUdp^2・dp^3
Es=σdp^2
dp'=(Web/C1)^(3/5)・(σ/ρ)^(3/5)・ε^(-2/5)
Web:ウェーバー数=(Eυ/Es)b=ρUdp'・dp'/σ
Udp:液滴径に等しい距離だけ離れた2点の相対的変動速度Udp^2=C1(εdp)^(2/3)
ε:消散速度
dp⁺:合一直前の液滴径=(C2/C1)^(3/8)・ρ^(-3/8)・A(h)^(3/8)・ε^(-1/4)
ここで、Eαd=dpA(h)、(Eυ/Eαd)c=C2=Wec(dp⁺σ/A(h)
A(h):距離h離れた単位直径球形液滴の比凝集エネルギー

乱流のエネルギースペクトル
乱流を構成する乱れの渦の挙動と液・液分散滴の挙動をいかに対応させ得るかを知ることが課題である。速度スケールυ、距離スケールlで其々表すと次のように規格化することができる。Ei'(K')=Ei(K)/lυ^2、K'=Kl
lとυのとり方には次に示す三通りの方法がある。
1)Taylorの乱流拡散理論に基づく方法(低周波領域のエネルギースペクトルの規格化が目的となっているので、大きな乱流渦の挙動を説明する)
l:混合距離または乱流の積分スケールΛ∫、υ:乱流変動速度U1'
Λ∫=(π/2U1'^2)limκ→0・E1(K)

2)液・液分散に影響が大きいと思われる中間の周波数域(攪拌槽内位置変化、攪拌速度変化に対応する乱流エネルギースペクトルの変化も比較的よく、規格化できる。)
l:乱流の消散スケールλ∫、υ:乱流変動速度U1'
(1/λ∫^2)=(1/2Ui'^2)∫₀∞・K^2・E1(K)dK

3)コルモゴロフの乱流エネルギー粘性消散理論による方法(発達した乱流の高波数域エネルギースペクトルに重点がおかれており、ごく小さな粘性消散渦の挙動を対象としている)
l:コルモゴロフスケールη、υ:コルモゴロフの速度スケールυ
η=(υ^3/ε)^(1/4)
υ=(υε)^(1/4)
攪拌槽の場合には乱流変動速度と乱流消散スケールは、
U'∝nd
λ∫/d∝(d^2・np/μ)^(-0.5)

攪拌と滴生成の関係
攪拌槽では、液滴群の体面積平均径dp32を槽内攪拌液単位質量当りの消散エネルギーと関係づけることが多い。ε⁻=P/ρV=(4Np/π)n^3・d^2(d^3/D^2・H)で、ε⁻が小さい範囲では分散現象が支配的な液滴が、大きい範囲では合一現象が支配的な液滴が得られる。
P:攪拌動力
Np:動力数
n:攪拌速度
d:攪拌翼径
D:攪拌槽径
H:槽内液深
また攪拌ウェーバー数We'が相関によく用いられる。
We'=n^2・d^3・ρ/σ
攪拌槽内の体面積平均径は物性、分散相容積分率φ、翼槽径比及びスケールアップ項を含めて次のように相関されている。但しDo=25cmが基準槽径にとられている。
攪拌槽内で分散による液滴生成が支配的な場合の平均液滴径
dp32/d=0.095Np^(-2/5)・(D/Do)^(-2/5)・(1+2.5(D/Do)^0.5・φ^(2/3))(Ud/Uc)d^(1/5)・(Ud/Uc)c^(1/8)・We’^(-3/5)

合一が支配的な場合の平均液滴径
dp32/d=0.035Np^(-1/4)・d^(-3/8)(D/Do)^(-1/4)・(1+3.5(D/Do)^0.5・φ^(3/4))(Ud/Uc)d^(1/5)・(Ud/Uc)^(1/8)・We’^(-3/8)
上の両式で(Ud/Uc)dは分散相の粘度を一定にして連続相の粘度を変えるときの補正項で、
(Ud/Uc)cは連続相の粘度を固定して分散項の粘度を変える補正値であるが、平均径を求める時は先ずは(Ud/Uc)dを使用し、その後(Ud/Uc)cの効果を補正すればよい。

分散及び合一現象支配の両条件下の液滴変化に有効なスケールアップパラメータとして、
(n^3d^2・D)(4Np/π)が得られる。
尚、分散・合一各支配条件下での槽内最大液滴径dmax、算術平均径d10、面積平均径d20
体積平均径d30にそれぞれ次のような相対比が得られている。
分散支配領域
dpmax=2dp32、dp30=0.67dp32
dp20=0.54dp32、dp10=0.3dp32

合一支配領域
dpmax=2.2dp32、dp32=0.6dp32
dp20=0.46dp32、dp10=0.27dp32

分散滴の物質移動
連続相の本体及び界面に於ける溶質濃度をCc、Cci[mol/m^3]とし、分散相のそれらをCD、CDi[mol/m^3]とする。また界面を通しての溶質の流速をN[mol/m^2・s]とすれば連続相側物質移動係数Kc[m/s]及び分散相側物質移動係数KD[m/s]は次式で定義される。
N=Kc(Cc-Cci)=KD(CDi-CD)
界面において分配平衡が成立すれば、
Cci=mCDi
m:分配比
但し、連続相本体濃度と平衡な分散相濃度をCD*=Cc/m、分散相本体濃度と平衡な連続相濃度をCc*=mCcと定義し、連続相基準の総括物質移動係数KDを用いて次式のように流束を表現する。
N=Kc(Cc-Cc*)=KD(CD*-CD)
(1/Kc)=(1/κc)+(m/κD)
(1/KD)=(1/mκc)+(1/κD)
従って、液滴の物質移動速度はκc、κD及びmの値を知れば求める事ができる。
液滴内部の流動がない場合、即ち固体球の場合のκcの推算については広いレイノルズ数Rec=dpU/νc の範囲について次式が使用できる。
Shc=2+0.6Rec^0.5(SCc)^(1/3)
ここにShc(=κcdp/Dc)はシャーウッド数と呼ばれる物質移動係数を含む無次元数であり、SCc=(νc/Dc)はシュミット数である。またνc(=ηc/ρc)[m^2/s]は動粘度であり、Dc[m^2/s]は連続相中の溶質の拡散係数である。
滴の表面のせん断力が気泡の場合のように無視でき、周囲流体は滴界面で完全にスリップするものとすればShcは次式となる。
Shc=(2/π^0.5)(Rec・SCc)^0.5
代表的な実験式として、Thorsenらの式
Shc=-178+3.62Rec^0.5・SCc^(1/3)

定常運転中の液滴の内側すなわち分散相側物質移動係数κDについて
液滴内部の流動状態に応じて、⑴固体球の場合、⑵層流循環流の場合、⑶乱流循環流の場合
にわけて考える。
液内部における物質移動は本質的に非定常現象であり物質移動係数も時間依存性を示すが、ここでは液滴がl[m]の距離を速度U[m/s]で運動したときの時間平均物質移動係数をκDと定義する。
連続相側の濃度変化と物質移動抵抗を無視できるとし、滴内部の初濃度をCD₀、滴界面濃度は連続相と平衡にありCDi=CD*で一定とすると平衡達成率E(=(CD₀)/(CD*-CD₀)と時間t(
=l/U)との関係はそれぞれの場合によって以下のようになる。
⑴循環流が無く固体球として取扱える場合
E=(1-exp(-π^2・DDt/R^2)^0.5
ShD(=κDdp/DD)の形で表現すれば
ShD=-(dp/6l)PeD・ln(1-(1-exp(-4π^2(l/dp)/PeD))^0.5)
ここに、R(=dp/2)は滴半径、PeD(dpU/DD)は分散相基準のペクレ数であり、DD[m^2/s]は液滴内における溶質の拡散係数である。
⑵滴内循環流が層流の場合
E=(1-exp(-2.25π^2・DDt/R^2)^0.5
ShD=-(dp/(6・l))PeD・ln(1-2π((2.25・l/dp)/PeD)^0.5
⑶乱流循環滴の場合
E=1-0.64exp(-2.8DDtPeD/(128R^2(1+x))^0.5
NuD=(0.00375/(1+x))PeD
攪拌槽に於けるκcについて、BarkerとTreybalは次式を提案している。
κcdr/Dc=0.052(di^2・n/νc)^0.833・SCc^0.5
dr:攪拌槽直径[m]
di:攪拌翼径[m]
n:回転数[1/s]
Calderbankらは次式を提出した。
κc(νc/Dc)^(2/3)=0.13((P/Vrρc)νc)^(1/4)
P:攪拌所要動力[w]
Vr:槽体積[m^3]
槽内の滴径を推定できる場合は
κcdp/Dc=2+0.5・((P/Vrρc)^(1/3)・dp^(4/3)/νc)^0.62・SCc^(1/3)
P/Vrρc=Npn^3・di^5/Vr
Np:動力数=di^2・n/νc

分散相側境膜物質移動係数kD[m/h]の推算式
滴内流動の影響を無視する場合:kD=dp/6t・ln(1/(1-√(1-exp(-4π^2・DDt/dp^2))
滴内流動の影響を考慮する場合:kD=dp/6t・ln(1/(1-√(1-exp(-4π^2・Dct/dp^2))
有効拡散係数Dcは、分散拡散係数DDの2.25倍にとる。時間tは、平均滞留時間τをとる。

連続相側境膜物質移動係数κc[m/h]の推算
Calderbankの式:κcdρ/Dc=0.13(pdp^4・ρc^2/(Vμc^3))(μc/ρcDc)^(1/3)
Barker&Treybalの式:κcD/Dc=0.052(ρcnd^2/μc)^0.833(μc/ρcDc)^0.5

液・液分散系と界面活性剤
物質には、気体、液体、固体という三つの状態があるが、これらが接する面を界面と呼ぶ、この界面に吸着し、その界面張力を低下させる物質を界面活性剤と呼ぶ。
その活性剤の性質をみる一つの判断として親水性・疎水性バランスを表したHLB値がある。
乳化作用を示す界面活性剤としては、O/W型エマルジョンではHLB値が8~18のもの、W/O
型エマルジョンではHLB値が3.5~6のものが用いられる。
HLB値は、以下の式で算出される。
⑴界面活性剤
HLB=7+∑(親水基の基数)
    -n(CH₂基の基数)
⑵エーテル型ノニオン界面活性剤
HLB=20(親水基の分子量)/(分子量)
⑶エステル型ノニオン界面活性剤
HLB=20(1-(ケン化価)/(酸価))

サスペンションの安定性について
分散状態は凝集性の評価より検討される。
⑴凝縮速度:時間の関数として粒径分布を測定する。
⑵高分子の存在下で、立体構造的に安定化されたサスペンションの凝縮ポイント:高分子が
微粒子の表面を半分だけ被覆したとき、最適凝集状態となる。
吸着高分子鎖の他端部分による架橋効果が現れる。このことにより、微粒子同士が集合体となる。
⑶希釈による再分散(凝集の可逆性):弱い凝集サスペンションを分散媒で希釈し、再分散性を調べる。また適当なせん断力を与えて分散性を調べる。
⑷結晶成長:粒子が多分散である系で、一定の溶解度をもつサスペンションの場合に認められる。時間と共に高溶解度をもつ小粒子は選択的に溶け、大粒子の表面に沈着・析出する。
この過程の速度は、時間の関数として粒分布の測定を行うと調べることができる。

懸濁粒子の凝集速度
ブラウン運動している1個のコロイド粒子の周りに、その粒子半径の2倍の半径をもつ作用球を仮定し、中心がこの作用球内部にBrown運動によって入ってくるコロイド粒子はすべて衝突により始めの粒子に合体すると考えられる。凝集速度はコロイド粒子間の衝突数によって決まるが、衝突数は拡散定数によって特徴づけられるBrown運動の激しさと粒子濃度に関係する。
さらにSmoluchowskiは凝集の進行に伴うコロイド粒子の大きさは考えず、そのかわりに
全粒子数の変化に注目した。
いまNtを時刻tにおける単位体積中の全粒子数とすると、Ntの時間変化は次式で与えられるdNt/dt=-4πRDNt^2
RとDはそれぞれ一次粒子の作用球半径と拡散定数である。
4πRD:速度定数
t=0に於ける全粒子数をN₀として上式を積分すると、
Nt=N₀/(1+4πRDN₀t)
同じコロイド分散系に対して、外的条件を変えることによって急速凝縮でも緩慢凝縮でも起こすことができる。両方の場合の速度定数の比Wを安定度比という。
W=κ₀/κ
κ₀とκは其々急速凝集と緩慢凝集の速度定数である。

静止翼型混合

静止翼型混合器は配管内に連続した捻じれたエレメントが入って、その中を流体が通過し混合される構造である。
静止翼型と機械的混合の比較
C2^2=TM^2(Pυ/μ)=2(∫Repi)(TMU/Dp)^2=2(∫Repi)(LM/Dp)^2=(NTM)^2(1/N・√(Pυ/μ)^2=C1^2・C3^2
∫:Fanningの流体摩擦係数
Repi:空筒基準の平均流速Uと管径Dpを用いたRe数
LM:混合が終了する長さ
分散特性
分散相の液滴径は、ウェーバー数Weによって決定される。
We=(DU'^2・ρc)/σs
D:ミキサー内径[cm]
U':流体の平均空塔速度[cm/s]
ρc:連続相液体密度[g/cm^3]
σs:表面張力[dyn/cm]
分散相の平均液滴径はサウター平均径d'=(6・φ)/αυ

所要動力(圧力損失)
Fanningの式
ΔP=4・∱(ρu^2/2)(L/D)
性能の相対値
P:圧力=NehRe/32
Lt/Dt・for
P(Lt/Dt)

スケールアップ

スケールアップにおける影響因子
攪拌槽の混合性能は基本的に流体の移動現象を議論することになるので、まずはじめに考えることは慣性力と粘性力の比および慣性力と重力の比である。

力学的スケールアップ
大小2つの槽内の流動状態を同一に保つためには、攪拌Re数とFr数を一定に保つことである。すなわち、
Re₁≅n₁d₁^2・ρ₁/μ₁=n₂d₂^2・ρ₂/μ₂≅Re₂=一定
Fr₁≅n₁^2・d₁/g=n₂^2・d₂/g≅Fr₂=一定
添字₁、₂は其々小型槽及び大型槽を意味する。
大型槽と小型槽の回転数比および物性値の比は次式で与えられる。
n₂/n₁=(d₁/d₂)^0.5  (μ₂/ρ₂)/(μ₁/ρ₁)=(d₂/d₁)^(3/2)
添字:1,2は其々小型槽および大型槽を意味する。
大型槽と小型槽の回転数比および物性値の比は次式で与えられる。
n₂/n₁=(d₁/d2)^0.5  (μ₂/ρ₂)/(μ₁/ρ₁)=(d₂/d₁)^0.5

単位体積当りの所要動力一定
Pv:単位体積当りの攪拌所要動力=P/V=P/((π/4)D^2・H)
V[m^3]は攪拌液の全体積である。Pv=constのもとで、大小二つの攪拌所要動力の間には
次式が成立する。
Pv₁≅P₁/((π/4)D₁^2・H₁)=P₂/((π/4)D₂^2・H₂)≅Pv₂=const
さらに幾何学的相位を考慮すると、P₁/d₁^3=P₂/d₂^3
邪魔板付き攪拌槽を考えると、この時、乱流条件下では動力数Npは攪拌Re数によらず一定であるので、大小二つの動力数の間には次式が成立する。
Np₁≅P₁/ρ₁n₁^3・d₁^5=P₂/ρ₂n₂^3・d₂^5≅Np₂=const
n₂/n₁=(d₁/d₂)^(2/3)

単位体積当りの伝熱量一定
例えば、発熱反応等で除熱をいかに効率よく行うか、また加熱が律速段階であるような場合にこのようなスケールアップ法を採ることがある。このような場合は多くは高粘度流体であり、槽壁伝熱係数は次式で推算される。
(hjD/κ)=K(nd^2・ρ/μ)^α(cpμ/κ)^(1/3)・(μ/μw)^0.14
hjD/κ≅Nuは攪拌槽のNusselt数、cpμ/κ≅Prは攪拌液のPrandtl数であり、κ[w/m・k]は、液の熱伝導度、cp[J/kg・k]は液の比熱、μw[pa・s]は槽壁温度Twでの液粘度である。
μw以外の物性値はすべて内部液体の温度Tbにおける値を用いる。比例定数Kは攪拌翼形状によって変わる。またレイノルズ数の指数はαとしているが、平均的な値2/3を採用することが多い。この式から次式が導かれる。
n₂/n₁=(d₁/d₂)^(2-2/α)

懸濁粒子浮遊条件一定
例えば、液体に沈む固体粒子を完全浮遊させる場合に採られることがある。その際、完全浮遊化限界回転数は次式のZwieteringの相関式で推算される。
nc=Sν^0.1・dp^0.2・(gΔρ/ρf)^0.45・X^0.13・d^-0.85
ここで、ν[m^2/s]は液の動粘度、dp[m]は粒子径、g[m/s^2]は重力加速度、Δρ≅ρs-ρf
[kg/m^3]は固体粒子と液の密度差、ρf[kg/m^3]は液の密度、X[wt%]は固体粒子濃度
d[m]は翼径である。
係数Sの値は最も一般的な翼配置、即ち、翼径d/D=0.33、翼と槽底の間隙C/D=0.25に関して、タービン翼では8が、プロペラ翼では6.6が、また、d/D=0.5の2枚羽根バトル翼では8がそれぞれ与えらている。この式からnd^0.85一定という条件が導かれる。
n₂/n₁=(d₁/d₂)^0.85

実験方法

攪拌所要動力を測定するには、軸トルク測定法、消費電力測定法、温度測定法がある。
このうち最も一般的な方法は軸トルク測定法である。

1.軸トルク測定法
市販のトルク測定器を用いるか、トルクゲージより求められる。攪拌所要動力はその平均トルクを用いてP=2πnTで求められる。この方法が最も簡単で精度の高い方法である。
消費電力測定法
運転時の消費電力から、攪拌翼を外し、シャフトのみで空運転した場合の消費電力を差し引いて見積もる。必ず液体で測定しなければ攪拌機破損の恐れがある。

2.温度測定法
攪拌所要動力は最終的にすべて熱エネルギーに変化するということに基ずく方法で、攪拌中の温度変化を測定し、その温度変化と熱収支による次式で表される微分方程式をフィッテイングさせることにより、攪拌所要動力を求める方法である。
-cpwdtF/dθ=UA(tF-t₀)-dQ₀/dθ
これより、右辺第二項を攪拌所要動力と見なせるため、動力Pは次式で見積もることができる。
P=dQ₀/dθ=cpwdtF/dθ

3.物質移動係数(壁面伝熱係数)の測定方法
アノードをシャフトとし、カソードを槽壁面として定電位電解法により測定できる。攪拌液として1N-KOH+0.2N-K₄Fe(CN)₆+0.01N-K₃Fe(CN)₆水溶液を用いる。アノード,カソードにおける反応式を以下に示した。
アノード:Fe(CN)₆^4→Fe(CN)₆^3+e
カソード:Fe(CN)₆^3+e→Fe(CN)₆^4
アノードに比べカソードの反応が律速である為、カソードでの限界電流値を測定することにより、次式で物質移動係数κを見積もることができる。
κ=Id/(nFACb)
Id:限界電流値
A:電極面積
Cb:バルク濃度

撹拌機シミュレーション

使用記号
CD:粒子の抵抗係数
dp:分散相の粒子の直径
dpi:i番目の分散相の粒子直径
dmax:最大安定粒子径
E₀:エトベス数
Fp:重力、流体抵抗以外の粒子に加わる力
g:重力加速度
L:流れの代表スケール
Npi:i番目の分散相の粒子の数密度
p:流体圧力
Re:粒子に関するレイノルズ数
U:代表速度
υc:連続相の流速ベクトル
υd:分散相の速度ベクトル
υp:個々の粒子の移動ベクトル
υ:均一流の流速ベクトル
VT:粒子の終端速度
VTG:粒子群の終端速度
xp:個々の位置座標
αc:連続相の体積占有率
αd:分散相(粒子)の体積占有率
β:連続相と分散相の運動量交換係数
ε:乱流エネルギー散率
μc:連続相の流体粘度
μp:分散相(粒子)の流体粘度
μ:均一流体若しくは混相流体粘度
ρc:連続相の流体密度
ρp:分散相(粒子)の流体密度
ρ:均一流体若しくは混相流体密度
ρmax:max(ρc,ρp)
Δρ:(ρc-ρp)
σ:粒子の表面張力

混相流に対する支配方程式
均一相からなる流れに対する連続の式及び運動方程式は、流体密度が一定の場合には、
非圧縮のナビエ・ストークス方程式で与えられる。
∇・υ=0 ①
ρ(∂υ/∂t+υ・∇υ)=-∇p+ρg+∇・(μ∇υ) ②
連続相に対する支配方程式
連続相の流体に対しては、連続体近似を適用することにより、均一流に対する保存則①,②
と類似の連続の式と運動量保存則を導くことができる。
∂αc/∂t+∇・(αcυc)=0 ③ 流速と体積占有率
αcρc(∂υc/∂t+υc・∇υc)=αc∇p+αcρcg+βαcαd(υd-υc)+∇・(αcμc∇υc) ④ 運動量
保存則では、抵抗による連続相と分散相の運動量交換項の中に分散相の速度υdが含まれて
おり、連続相のみでは閉じなくなっている。その為、分散相に対する支配方程式と連立して
解く必要がある。
β=3CDρc(υd-υc)/(4dp) ④

分散相に対する支配方程式
1.ラグランジュ的記述による分散相の定式化(粒子の軌跡を追って行く)
dxp/dt=υp
ρp(dυp/dt)=ρc(dυc/dt)+(ρp-ρc)g+β(υc-υp)+Fp ⑤
Fp:重力、流体抵抗以外の粒子にかかる力
2.オイラー的記述による分散相の定式化
分散相を構成する個々の粒子の集合体を連続体と見なして、分散相に対しても連続相と同様
の保有則を適用する方法である。
∂αdρp/∂t+∇・(αdρpυd)=0
αdρp(∂υd/∂t+υd・∇υd)=-αd∇p+βαcαd(υc-υd)+∇・(αdμp∇υd) ⑥
⑥式をαdで割った式から④式をαcで割った式を差し引くと、次式が得られる。
ρp(∂υd/∂t+υd・∇υd)-ρc(∂υc/∂t+υc・∇υc)=(ρp-ρc)g-β(υd-υc)+∇・(αdμp∇υd)/
αd-∇・(αdμp∇υd)/αc ⑦
⑦式において、左辺は遠心力を含む加速度に相当する項である。今、流れの代表速度をU、
代表スケールをL、また、ρmax=max(ρc、ρp)、Δρ=(ρc-ρp)とおいて加速度と浮力の項
の大きさの比をとると
ρmaxU^2/(ΔρgL)のオーダーとなる。そこで、ρmaxU^2/(ΔρgL)≪1 ⑧
が成り立つ場合には⑦式において、左辺の加速度項を無視することができる。
また、右辺の粘性項についても無視できることが多く、その場合には⑦式は下記のように
なる。
β(υd-υc)=(ρp-ρc)g ⑨
⑨式は、浮力と抵抗のみのバランスによって連続相と分散相の相対速度が決まるという式で
⑦式と異なり微分項を含まない代数方程式となっている。⑦式の代わりに⑨式を用いる近似
はドリフトフラックスモデルと呼ばれ実用上屡々用いられる。

粒子の抵抗係数
粒子の終端速度をVTとすると、VTは抵抗とつり合いによって決まり、次のように表される
VT^2=4Δρgdp/(3CDρc) ⑩
一般に粒子の抵抗係数は、連続相の粘度、粒子粘度、連続相の密度、粒子の表面張力(気泡
及び液滴の場合)及び粒子径に依存する。球形の単一固体粒子に対しては抵抗係数は粒子
レイノルズ数の関数となり、下記の抵抗式がよく用いられる。
CD=max(16(1+0.15Re^0.687)/Re,0.44) ⑪
Re=ρc(υd-υc)dp/μd
但し、流体の汚れが少ない場合には気泡または液滴の中に循環流が生じ、それによって
抵抗係数が⑪式よりずれる場合があるため、注意を要する。特に粒子の非球形性が大きく
なると、粒子は振動しながら変形を繰り返すようになり、その際の抵抗係数は無次元パラメ
ータであるエトベス数Eo=gΔρdp^2/σ の関数として表される。そのような状態での粒子
抵抗については、Ishiiの式が広く用いられている。
CD=2/3√Eo (Eo<16)
CD=8/3   (Eo>16)   ⑫
Eo<16において、Ishiiの式及びエトベス数の定義式を⑩式に代入すると、終端速度が粒径
に無関係になることが分かる。ところが、実際の混相流では、Eoの値に関わらず終端速度
は粒径に依存し、Ishii式では説明つかない、そのような矛盾を解決する為、Eo<16におい
ても終端速度が粒径に依存するような修正式も提案されている。
粒子群の終端速度VTGは、単一粒子の終端速度VTと局所的な連続相の体積占有率αc(0≦αc
≦1)を用いて、VTG=VTαc^n ⑬
n:指数1.5~3

乱流攪拌槽内にある低密度粒子は、浮上しながら乱流によって拡散する。槽内水平方向の
粒子濃度を一様と仮定すると、定常状態下で次式が成立する。
υtC=Dt(dC/dz) ⑭
左辺は浮力による上向きの流束、右辺は拡散による下向きの流束を表している。
υt:乱流中の粒子の浮上速度
C:粒子濃度=C₀exp(υt/Dt・z)
Dt:乱流拡散係数
z:垂直方向の座標

攪拌槽を2次元円筒座標系で表すと、次の拡散方程式が成り立つ。
∂C/∂t=Dt(1/r(∂/∂r)(r(∂C/∂r))+(∂^2・C/(∂z^2)) ⑮
C:トレーサー濃度
t:時間
⑮式を無次元化すると、
X=C/C∞、τ=Dtt/r₀^2、R=r/r₀、Z=z/r₀ ⑯
∂X/∂τ=1/R(∂/∂R)(R(∂X/∂R))+∂^2・X/(∂Z^2) ⑰
r₀:攪拌半径
境界条件は次式で与えられる。
∂X/∂R=∂X/∂Z=0 at R=1、Z=0、Z=2 ⑱
初期条件は次式で与えられる。
X=1、at R=0 and Z=2(center of free surface)
X=0、othewise                ⑲
⑰~⑲式は陽的差分法で差分式に変換する。無次元均一混合時間τmix=1.5とする。
Dt=1.5(ro^2/tmix) ⑳
乱流攪拌係数の依存性は液の種類に関わらず次式のようになる。
Dt∝n^0.66 ㉑

粒子に働く抗力
静止流体中の粒子に働く抗力
静止流体中をある速度で運動する粒子に働く抵抗を考えると、この系に関与する物理量とし
抗力FD₀、粒子速度υ₀、粒子径dp、流体密度ρ∱、流体粘度μの5個が考えられる。添字₀は、
静止流体であることを示している。この5個の物理量に含まれる基本単位は質量kg、長さm
時間sの3個なので、この系に表す無次元数は5-3=2個となる。これらの無次元数は、
粒子レイノルズ数Re₀と抵抗係数CD₀の2個が選ばれる。
Re₀=dpυ₀ρ∱/μ ㉒
CD₀=FD₀/((πdp^2/4)(1/2ρ∱υ₀^2) ㉓
㉒、㉓の相関式として、静止流体のCD₀を算出すると、
CD₀=max(24/Re₀(1+0.125Re₀^0.72),0.44) ㉔
乱流中の粒子に働く抗力
Re=dpυ₁ρ∱/μ 
CD=FD/((πdp^2/4)(1/2ρ∱υ₁^2) 
さらに乱流の度合いを表すパラメータとして、Kol-mogorovの最小渦径λを導入する。
物理量が1個増えるのでこの系を表す無次元数がもう1個必要になる。ここでは粒子径と、
Kol-mogorovの最小渦径の比dp/λを導入する。
λ=(ν^3/ε)^(1/4) ㉕
ε:乱流エネルギ-消散速度=0.15(2πnTM/M) ㉖
ν:流体の動粘度

無次元相関式
(CD-CD₀)/CD₀=α・Re^β(dp/λ)^λ ㉗
測定データより各無次元数を求め、多重回帰分析することにより以下の式が得られる。
(CD-CD₀)=0.619Re^-1.38(dp/λ)^3.47 ㉘
Re=0.0028-0.27、dp/λ=0.33~4.5
Brucatoは、Couette-Talor流れにおける粒子の抵抗係数に関して、以下の式を提案してい
る。
(CD-CD₀)/CD₀=8.76・10^-4(dp/λ)^3 ㉙

粒子衝突
分散相の粒子のうち、第i番目の分散相の粒子と第j番目の分散相の粒子が衝突する確率は、
衝突断面積から次のように算出される。
π/4(dpi+dpj)^2(υi-υj)NpiNpj ㉚
dpi:第i番目の分散相の粒子の直径
Npi:第i番目の分散相の粒子の数密度

気泡及び液滴の分裂
dmax:最大安定気泡(液滴)径
dmax=0.725(σ/ρc)^(3/5) 乱流域
dmax=10σ/(ρc(υd-υc)^2 層流域

乱流エネルギースペクトル密度関数(ESF)
ESFは波数を連続変数とする確率密度関数である。
ESFの表示式
乱流場は非線形系と考えることができ、速度変動に基づいて構築される渦構造もその影響を
大きく受けていると考えられる。
ESFの仮定及び条件として、次の項目があげられる。
1.基本となる渦群とそれに基づいて次から次へと生じる分数調波の渦群の総計m個の渦群か
ら構成される。
2.いずれの渦群にも平均の大きさ(平均波数或は平均周波数)が其々存在し、渦群iの平均の
波数をKiとするとき、渦群i+1(渦群iの分数調波の渦群)のそれKi+1とは次の関係がある。
(Ki+1)/Ki=α ㉛
3.各渦群のESFは、其々情報エントロピーが最大値をとる関数形となる。
4.渦群iが乱流運動エネルギー中に占める割合をPiとするとき、渦群i+1のそれとは次の関係
がある。
(Pi+1)/Pi=β ㉜

平均波数と物性の関係
渦群iのESFであるEi(κ)は、
∫₀∞(Ei(κ)/ui^2)dκ=1 ㉝
上記2.の平均波数Kiが存在する性質は、
∫₀∞(κ(Ei(κ)/ui^2)dκ=Ki ㉞
この波数を連続変数とする確率密度関数の情報エントロピー
Hi(κ)=-∫₀∞(Ei(κ)/ui^2)log(Ei(κ)/ui^2)dκ ㉟
が最大値をとるその関数は、変分法を用いて
Ei(κ)=(ui^2/Ki)exp(-κ/Ki) ㊱
㊱式が渦群iのESPということになる。
条件4.より、渦群iがその乱流場の運動エネルギー中に占める割合がPiであるから、この
乱流場のESFは全ての渦群のESFを平均した
E(κ)=u^2/(Ki∑i~m・β^(i-1))K₁∑i~m((・β/α)^(i-1)exp(-1/α^i-1(κ/K₁)) ㊲
Ki:最小渦群の平均波数

発生を前後する渦群間で、各渦群の平均波数及び運動エネルギーの占める割合の比α、βの
値が決まればESFは定まる。次の条件を満たすα、β値の最適な組合せを定める。
1.両対数グラフ上で、コルモゴロフの-5/3乗則が当てはまる直線部分が明確にある。
2.両対数グラフ上で、波数κの増加と共に一様に減少し分布曲線に変曲点がない。
これらの条件を満たすα、β値の組合せは、
α=1/3、β=2 であることが導かれる。α、β値をとる場合のESFは、
E(κ)=u^2/(Ki∑i~m・2^(i-1))∑i~m(6^(i-1)exp(-3^(i-1)(κ/K₁)) ㊳

ESF曲線とスケールアップ
乱流場が基本渦群とその1/3倍の波数と2倍の運動エネルギーを有する分数調波の渦群、
さらに同じ関係にある大きな渦群というように構成されていると考えられる。
ESF曲線を各スケールアップ則に従ってu^2を変化させて渦群数m=1の場合のそれを基準
として表し、m=iの結果は装置の大きさをm=1の場合の3^(j-1)倍してグラフにすると、
各曲線間に重複する波数領域がある場合は、その波数領域が対象とする現象に重要な影響を
与える時に、そのスケールアップ則は物理的信頼性があることになる。
スケールアップ比が1/3以下でスケールアップ前後でESF曲線に変化がなければ、u^2を
一定に保つことでスケールアップが十分達成できることになる。

達成できる条件として
ND^(2/3)=const
この条件はu^2・D^(-2/3)=一定にすることに相当し、単位体積当りの所要動力を等しく
することになる。低波数領域では重複しないが、コルモゴロフの-5/3乗則が成立する波数
より高波数領域ではESF曲線と一致している。
ND^(3/2)=const
u^2・D^1=一定にすることに相当する。ESF曲線は高波数領域では重複していないが、
低波数領域ではESF曲線と一致している。

力/エネルギーバランスと情報エントロピー
1.粒子径分布関数PSF
攪拌翼により作用する外部からの力F₀が、粒子を維持する力F₁と平衡したときが細分化
される粒子の限界粒子ということになり、次式が成立する。
F₀S=F₁l or F₀V=F₁S ㊴
l:粒子径 S:粒子表面積 V:体積
臨界粒子の大きさを表す因子として、l/S或いはS/Vとして、
l/S=F₀/F₁ or S/V=F₀/F₁ ∴1/l∝F₀/F₁ ㊵
この1/lの分布がどのような確率密度分布をとるか情報エントロピーの視点から考察すると
次のように仮定される。
1.1/lの確率密度分布は情報エントロピーが最大の値をとる分布である。
2.生じた粒子の1/lには平均値1/Lが存在する。
この仮定に基ずくと、その分布は変分法を用いて以下の式で表される。
q₀≈1/(1/L)exp(-1/l/(1/L))=Lexp(-L/l) ㊶
㊶式がオリジナル粒子径分布関数PSF式となる。

粒子外部からの力/エネルギーを直接受ける粒子表面などの粒子の因子をQとして、この
実現確率Pを注目している粒子の因子Q周りでTaylor展開し、最初の2項をとって因子Qと
同じ次元を持つように組立て、実現確率Pの因子Qに対する相似性を仮定する。さらに、
実現確率Pの因子Qの値が大きくなると、Pは次式で表される。
P=exp(-BQ) ㊷
この関係は、確率密度関数p=dP/dQが、Qに平均値1/Bが存在することの条件の下に情報
エントロピーが最大になる関数であるとして導出される。さらに因子Qと粒子径lとの間に
Q∝l^c ㊸ を仮定すると、P=exp(-Bl^c) ㊹
従って実現する粒子のPSFはオリジナルPSFと実現確率式の積として、
q=ALexp(-L/l)exp(-Bl^c) ㊺
ここでAは次式の規格化条件を満足する係数である。
∫₀∞qdl=1 ㊻ 指数cが2になるときは、実現確率が表面積に依存する。

2.乱流渦径分布
㊲式をκ∝1/lの関係に基づいて書き改めると次式のようになる。
E=∑Ei∝∑ui^2・Liexp(-Li/l) ㊼
㊼式に基づいて渦の個数、体積を求めると、最終的に質量基準の渦径分布が次式のように
求まる。
qe≈∑(Ei/(ui^2・l^3))l^3=∑(1/Ki)exp(-κ/Ki)∝∑Liexp(-Li/l) ㊽
(∑はi=1でmの総和)

速度変動の確率密度関数
定常な乱流場の速度の時間変化は、速度変動utの強度u^2はTを対象時間、tを時間、Uを
時間平均速度とする時、
u^2(=u'^2)=1/T∫₀~T(u(t)-U)^2・dt ㊾
この変動強度は速度変動確率密度関数の分散値の意味を有している。
乱流場に於ける速度変動確率密度関数を求めると、正規分布をなしている。このことは
一定の変動強度を持つ完全乱流場に於ける速度変動は、確率密度関数の情報エントロピーが
最大になるように生じでいる。速度変動以外の物理量も同様に考えられる可能性がある。

力/エネルギーバランスとESF
ρEκ⊿κVT≈F₁l^2・N
Eκ:大きさl(∝1/κ)の渦の乱流エネルギー
VT:攪拌槽の体積
N:大きさlの粒子の総個数

PSFの表示式
正規分布は液液攪拌操作に於ける液滴径や気液攪拌操作に於ける気泡径のPSFを、また
対数正規分布は自然界に存在する通常の粒子のPSFを表示できる。
Rosin-Rammler分布
qRR(x)=ndx^(n-1)exp(-dx^n)
正規分布
qN(x)=(1/(2πσN^2)exp(-(x-xm)^2/(2σN^2))
対数正規分布
qLN(x)=1/(x(2π(lnσLN)^2)^0.5)exp(-(lnx-lnxm)^2/(2(lnσLN)^2)

攪拌とカオス
完全攪拌に近い混合状態を生み出す速度場にはカオス的な流れが関与することが考えられる
が、それらは二つの形態がある。乱流のように複雑に変動する速度場そのものにカオス的
特性が関与する場合(カオス軌跡が十分時間が経つとストデンジアトラクターと呼ばれる狭
い領域に吸引される)と、速度場が穏やかな層流であるが流体成分の混合パターンに複雑
なカオス性がみられる場合である。後者をArefはラグラジアン乱流と名付けた。
Arefの論文によると、2次元の粘性流体の混合現象の解析に有効なものは、摩擦の無い系に
適用される保存力学系である。実際,x,y方向の速度成分u,υは、流れ関数ψを用いて、
u=dx/dt=∂ψ/∂y, υ=dy/dt=∂ψ/∂x ㊿
ψをハミルトン関数Hに置き換え、yをxに共役な運動量pに置き換えると、以下の保存力学
系のハミルトン方程式と等価になる。
dx/dt=∂H/∂p、dp/dt=-∂H/∂x 

攪拌の相関式をエクセルに代入して求める。

攪拌所要動力の相関
攪拌所要動力P=2πn(τω(πDH)(D/2))(1+α)
D:槽径
H:液深さ
T:槽壁側に働くトルク=τω(πDH)(D/2)
υθ:代表速度
L:代表長さ
f:邪魔板なし攪拌槽側壁の摩擦係数=CL/ReG+Ct(((Ctr/ReG)^-1+(f∞/Ct)^(1/m))^m
α 0.2
f:摩擦係数=τω/(ρυθ^2/2) (式1.3)
ReG:一般化レイノルズ数=Lυθρ/μ (式1.3)
υθ:攪拌槽の代表速度=πndβ/2 式1.4
L:攪拌槽の代表長さ=(D/2)ηln(D/d) 式1.4
β:補正係数=2・ln(D/d)/(D/d-(d/D)) 式1.5
np:羽根枚数
η:0.711(0.157+(np・ln(D/d)^0.611)/(np^0.52(1-(d/D)^2)) 式1.6
Np:動力数=P/ρn^3d^5
Red:攪拌レイノルズ数=nd^2・ρ/μ
ReG=((πη(D/d))/(4d/βD))Red 式1.7
Np=((1+0.2)π^4・β^2)/(8(d^3/D^2H))f 式1.8

パドル翼、傾斜パトル翼の動力相関
d:翼径
b:翼高さ
np:羽根枚数
θ:傾斜パトル翼の傾斜角
CL:0.215ηnp(d/H)(1-(d/D)^2)+1.83(bsinθ/H)(np/2sinθ)^(1/3)
Ct:(1.96x^1.19)^(-7.8)+0.25^0.78)^(-1/7.8)
m:(0.71x^0.373)^(-7.8)+0.333^(-0.78)^(-1/7.8)
Ctr:23.8(d/D)^(-3.24)(bsinθ/D)^(-1.18)x^(-0.74)
f∞:0.0151(d/D)Ct^0.308 式1.9
ここで、
x=γnp^0.7・bsin^1.6・θ/H 1.10式
γ=(η・ln(D/d)/(βD/d)^5)^(1/3) 式1.11

相関式の使用条件の拡張
前項の相関式の基本となっている1.10式のXは、現象理論的には攪拌翼に働く最大トルクと槽壁に働く最大トルクの比に比例する量である。
1.10式を置き換えると、
X=(γ/8.3)(d/H)Npmax 式1.12

パトル、傾斜バトル翼に対してNpmaxは、=8.3np^0.7*bsin^1.6*θ/d 式1.13

金網パトル翼の動力相関を試みる、金網パトル翼の完全邪魔板条件での動力相関式Npmaxは攪拌レイノルズ数Redおよび金網の空隙率εに
依存し、次式で相関される。
Npmax/np^0.7b/d)^0.6=1+(0.0027+0.0022(Red(l/d)(1-ε)^-1.32))^-0.37

吐出流量の相関
吐出流量数Nqd(=Qd/nd^3)
Nqd=0.088(βπ)^2(1+0.2)f^0.5*(D^2H/d^3)*(γnp^0.7b/D)^0.5(γnp^0.7b/D<0.25)
Nqd=0.044(βπ)^2(1+0.2)f^0.5*(D^2H/d^3)   (γnp^0.7b/D>0.25)
摩擦係数を動力数Npで置き換えると
Nqd=0.5β((D^2H/d^3)Np)^0.5*(γnp^0.7b/D)^0.5    (γnp^0.7b/D<0.25)
Nqd=0.25β((D^2H/d^3)Np)^0.5    (γnp^0.7b/D>0.25) 1.21式

混合時間の相関
攪拌槽の混合操作
DC/D(tQd/V)=(εturbV/QdD^2)∇^2*C 1.22式
(tMQd/V)=A(εturbV/QdD^2)^B 1.23式
(tMQd/V)∝(tMn)(Nqd)(d^3/D^2H)=Y 1.24式

1.23式右辺のパラメータはεturbをどのように推算するかで表示変換が異なってくる。
ここでは2つの方法を考える。

手法1:乱流拡散係数εturbは翼先端見掛けせん断速度βudと槽径Dに比例すると仮定、この時、ud=uω(D/d)の関係と式1.3の摩擦係数∫の定義を用いてεturbは次式の比例関係を与える。
εturb∝βud*D=(f/2)^(1/2)(β^2πnD^2/2) 式1.25
従って式1.23の右辺の無次元数は次式のように書き換えられる。
(εturbV/QdD^2)∝β^2(D/d)^3(H/D)(f/2)^(1/2)/Nqd 式1.26
式1.8の摩擦係数fと動力数Npの関係を用いて式1.26を変形すると次式を得る。
(εturbV/QdD^2)∝β(D/d)^(3/2)(H/D)^(1/2)Np^(1/2)/Nqd=X1 式1.27
実験データの比較から、邪魔板なしの攪拌槽での混合時間は二つの無次元数の積が一定になることを示した
YX1=(tMn)β(d/D)^(3/2)*(D/H)^(1/2)*Np^(1/2)=13.5 式1.28

また、邪魔板付き攪拌槽での混合時間のデータはYX1の積がX1に依存するとし、次式の相関を与えている。
YX1^0.85=const 式1.29

手法2:乱流拡散係数εturbが乱流の代表長さlと代表速度((P/ρV)l)^(1/3)に比例するとして式(1.23)の右辺の無次元数を書き換えることを試みる。
εturb∝((P/ρV)l)^(1/3)・l 式1.30
この時、式1.23の右辺の無次元数は次式に書き換えられる。
(εturbV/QdD^2)∝(H/D)^(2/3)(ɭ/d)^(4/3)・Np^(1/3)/Nqd 式1.31
ここで、乱流代表長さɭは、Nienowの仮定と同じく、攪拌槽径Dに比例するとして式(1.31)の右辺に置き換えると、
(H/D)^(2/3){(D/d)^4・Np/Nqd^3}^(1/3)=X2 式1.32

{ }内はNienowにより示されでいる吐出効率係数の逆数と同じである。さらに、式(1.32)を3/4乗した変数は上和野らが攪拌槽の混合時間の相関に、Kohらがジェット攪拌の混合時間の相関に用いた変数と同じである。
(H/D)^(1/2){(D/d)・Np/Nqd^3}^(1/4)=X3  (=X2^(3/4)) 式1.33

上和野らは直接にはここで導かれた変数Y、X3を用いて相関していないが、報告された相関式を変形すると次式となる。
Y=1/(0.088(1+0.21X3^2)) (H=D) 式1.34

Kohは、ジェット攪拌の混合時間の相関に際し上記の変数Y、X3を用いて図1.5のように相関し、翼攪拌の混合時間の相関も含めた次式の相関式を与えた。
Y・X3=4.8 (=Y・X2^(3/4)) 式1.35

上式と式1.29の比較から、Yはオリジナルの変数X1またはX2の0.75~0.85乗に逆比例している。Kohらに従ってジェット攪拌の所要動力P及び吐出流量Qdを、ノズル径dn及びノズル流速ujを用いて、それぞれ、
P=(ρuj^2/2)Qd、  Qd=(πdn^2/4)uj  式1.36
と記述し、式1.35に代入して、
tm=6.4D^1.5・H^0.5/ujdn 式1.37
上式は沖田-大山のジェット攪拌の混合時間の相関式に同じとなる。一方、式1.35を無次元混合時間tMnを用いて書き換えると次式になる。
tMn=4.8(Np・Nqd)^(-1/4)(D/d)^2(H/D)^(1/3) 式1.39

槽壁伝熱係数の相関
次元解析に基ずく相関:撹拌槽特有の次元解析では、代表速度には翼先端速度に比例するnd、代表長さには攪拌翼径d(但し、Nu数の代表長さには槽径D)が用いられ、次式が与えられてきた。
hD/κ=K1(nd^2ρ/μ)^(2/3)Pr^(1/3)  式1.40
Pγ(=cpμ/κ):プラントル数
K1:翼寸法(d/D、b/d、np、sinθ)の関数

Caderbank-MooYoungは乱流場でKol-mogorffの代表速度(Pυμ/ρ^2)^(1/4)を用いて次式のように相関した。
hɭ=κ=K2(ɭ(Pυμ/ρ^2)^(1/4)ρ/μ)^aPr^(1/3) 式1.41
ɭ:代表長さ
Pυ:液単位容積当りの攪拌所要動力P/V
a:定数 1
K2:定数 0.13
Caderbank-MooYoungは実験よりa=1、K2=0.13を与えて翼寸法を含まない次式で相関できるとした。
h/ρcp=0.13(Pυμ/ρ~2)^(1/4)・ρ/μ)^(1/4)・Pr^(-2/3) 式1.42
佐野らは実験によりa=0.227を与え、K2は翼寸法の関数として相関した。
熱と運動量移動の相似性に基ずく相関:
一般に平板境界層での熱及び運動量移動の相似性は次式による。
τω/ρuD^2=(qω/ρCpuD(TD-Tω))Pr^(2/3) 式1.43
uD:境界層端の速度
TD:境界層端の温度
qω:壁での熱流束
Tω:壁での温度
十分に攪拌されている条件では翼先端で与えられた角運動量が槽壁まで保存されると仮定すると、ρ(D/2)uD=ρ(d/2)(πnd)とおける。
従って、式1.4の攪拌槽の代表速度υθを用いてuDを表すと次式になる。
uD=(2d/βD)υθ 式1.44

摩擦係数fの定義式1.3と式1.44を式1.43に代入し、乱流場の摩擦係数fの相関式1.2のCt及びmが0.25および1/3と置けるとして式1.43を整理すると
次式のような相関式として記述される。
f/2=(h/ρcpυθ)Pr^(2/3)(2d/βD)=0.125(Lυθρ/μ)^(-1/3) 式1.45
式1.9からfをPυに変換し、式1.45を用いてPυとυθの関係を得る。
υθ^(2/3)=0.95(ρ/μ)^(1/3)(d^3β^3L)^(1/12)(Pυμ/ρ^2)^(1/4) 式1.46
式1.46を式1.45に代入して変換すると次式となる。
h/ρcp={0.12(βD/2d)(dβ/L)^(1/4)}*(Pυμ/ρ^2)^(1/4)Pr^(-2/3) 式1.47
上式の係数部の{ }内の値は0.2<d/D<0.9の広い範囲でd/Dに関係なく0.12一定となり、式1.42と式1.45は同一の相関式であると判断される。換言すれば境界層端の速度uDが式1.44をほぼ満足していることを意味している。

伝熱特性
攪拌槽壁伝熱係数
攪拌槽壁伝熱係数hj[w/m^2・k]は次式で定義される。
Q:伝熱速度=hjA(Tb-Tw) w/m^2・k
A:伝熱面積 m^2
Tb:攪拌液温度
Tw:槽壁温度
乱流条件下にある攪拌槽の槽壁伝達係数は次のような無次元式で整理される。
(hjD/κ)=κ(nd^2・ρ/μ)^(2/3)(cpμ/κ)(μ/μw)^0.14
hjD/κ=Nuヌッセルト数
cpμ/κ=Prプラントル数
κ:液の熱伝導度 w/(m・k)
cp:液の比熱 J/(kg・k)
μw:槽壁温度Twでの液粘度 Pa・s
邪魔板無し攪拌槽が乱流域で操作されている場合、槽壁伝熱係数は単位体積当りの攪拌所要動力Pvを用いて概略次式で推算することができる。
hj/ρcp=0.13(Pvμ/ρ^2)^(1/4)Pr^(2/3)
伝熱コイル表面の伝熱係数相関式
攪拌槽に設置したらせん型冷却コイルについて、
実験範囲は、5.5<Pr<96、10^4<(εdco^4/ν^3)<10^10、900<Re<7*10^4、0.33<d/D<0.5、0.1<d/D<0.5
dco:螺旋型コイルの外径
Nu=0.755(εdco^4/v^3)^019Pr^(1/3)(d/D)^0.11(b/D)^0.09
ε:粘性消散率=Pv/ρ
邪魔板を兼用した縦型コイル
B:縦型コイル棒状邪魔板径
Sh=1.55(εBw^4/v^3)^0.19Sc^(1/3)(d/D)^0.11(b/D)^0.09
本実験範囲は1200<Sc<1300、10^5<εdco^4/ν^3)<10^10、1*10^4<Re<4*10^4


輸送現象に基づく相関式
攪拌所要動力:P(動力数:Np=P/ρn^3d^5)
Np=((1+0.2)π^4β^2)/(8d^3/D^2H))f
f=CL/ReG+Ct(((Ctr/ReG)^-1+(f∞/Ct)^(1/m))^m
Red=md^2ρ/μ(攪拌レイノルズ数)
ReG=((πηIn(D/d))/(4d/βD))Red
CL=0.215ηnp(d/H)(1-(d/D)^2)+1.83(bsinθ/H)(np/2sinθ)^(1/3)
Ct=((1.96X^1.19)^-7.8+(0.25)^0.78)^(-1/7.8)
m=((0.71X^0.373)^-7.8+0.333^0.78)^(-1/7.8)
Ctr=23.8(d/D)^-3.24(bsinθ/D)^-1.18・X^-0.74
f∞=0.0151(d/D)Ct^0.308
X=γnp^0.7・bsin^1.6・θ/H
一般形:X=(γ/8.3)(d/H)Npmax
Npmax:完全邪魔板条件での動力数
β=2・ln(D/d)/((D/d)-(d/D))
γ=(η ln(D/d)/(βD/d)^5)^(1/3)
η=0.711(0.157+(np ln(D/d))^0.611)/(np^0.52(1-(d/D)^2))
吐出流量:Qd(吐出流量数:Nqd=Qd/nd^3)
Nqd=0.50β(D^2H/d^3)Np)^0.5*(γnp^0.7b/D)^0.5
"=0.25β((D^2H/d^3)Np)^0.5
混合時間:tM(無次元混合時間:tMn)
tMn=4.8(Np・Nqd)^(-1/4)(D/d)^2(H/D)^(1/2)
(ジェット攪拌:tM=6.4D^1.5H^0.5/ujdn)

槽壁伝熱係数:h
相似則(乱流域)
f/2=(h/ρcpυθ)Pr^(2/3)(2d/βD)=0.125ReG^(-1/3)
相関式(乱流域)
h/ρcp=0.13(Pυμ/ρ^2)^(1/4)Pr^(-2/3)

翼径d
翼高さb
羽根枚数np
回転数n
傾斜角θ
槽径D
液高さH
摩擦速度uω=(f/2)^(1/2)υθ
無次元化した境界層端速度uD+=uD/uω
uD++=uD(βD/d)=2(2/f)^(1/2) 式1.48

塑性流体の攪拌流動特性
 流動曲線と降状応力
2流体モデル
非ニュートンの代表的モデル
指数モデル:τ=mγ^n
n<1:ダイラタント流体
n>1:凝塑性流体
Binghamモデル:τ=τy+ηγ
降状応力τyをもつ塑性流体の中にはBinghanモデルに従わないものも多い、そのような流体に対してはCassonモデル、Herschecl-Bulkleyモデル
Cassonモデル:τ^(1/2)=τy^(1/2)+aγ^(1/2)
Herschel-Bulkleyモデル:τ^(1/2)=τy+Kγ^n
非ニュートン流体の粘度をニュートンの粘性法則
τ=μaγ
μa:見掛け粘度
τ:せん断応力
γ:せん断速度

邪魔板条件と攪拌動力について
完全邪魔板条件
(Bω/D)nb^0.8=0.27Npmax^0.2
Npmax:動力最大値

バトル翼について動力最大値
Npmax=10(np^0.7(b/d)^1.3   np^0.7(b/d)≦0.54
=8.3np^0.7(b/d)  0.54≦np^0.7(b/d)≦1.6
=10(np^0.7(b/d))^0.6  1.6≦np^0.7(b/d)

傾斜バトル翼についての完全邪魔板条件とNpmax,θの相関式
(Bω/D)nb^0.8=0.44Npmax,θ^0.2・(2θ/π)^0.72
Npmax,θ=8.3(2θ/π)^0.9・np^0.7・(b/d)sin^1.6・θ

3邪魔板条件による動力数の相関
Np/Npmax=((4.5x)^-5+(0.5x^-0.6)^-5)^-(1/5)
x=((Bω/D)nb^0.8/(Npmax^0.2))+(1/4.5)・(Np0/Npmax)

傾斜バトル翼に対する相関式
傾斜バトルの場合、バトル翼と異なり邪魔板条件が過剰になってもNpは低下しない。
Np0/Npmaxθ=(x^-3+1)^(-1/3)
x=((4.5(Bω/D)nb^0.8)/((2θ/π)^0.72・Npmaxθ^0.2))+Np0/Npmaxθ 

邪魔板条件と攪拌諸特性について
攪拌動力の相関
液液攪拌における液滴径に対してWe数の相関
Pυi:攪拌動力を翼の占有体積で割った値
d32∝d/We^0.6=σ^0.6/(ρ^0.2Pυi^0.4)(Np/(π/4)(b/d))^04 

邪魔板条件と渦深さについて
邪魔板無の攪拌槽内の流れは、ランキン渦
γ<γc;υ=γω
γ>γc;υ=ωγc^2/γ 式3.8
γc:固体的回転領域の半径
hυ:渦深さ

邪魔板ある場合のバトル翼の相関式
hυ1/d=5.7Fγ(np^0.7(b/H))^0.2*(1-10(47+(np^0.7(b/d)/nb^0.8(Bω/D))^1.63)^-0.4*(nb^0.8(Bω/D)/Npmax^0.2)^0.48) 
γc=√(γH-(√γH^2-2g/ω^2*hυ1)) 
2γH/d=0.65(D/d)^0.8
γH:自由渦半径
2γH/d=0.65(D/d)^0.8 
nb(Bω/D)=0.24

邪魔板条件と混合時間について
ntm,BC=2.1np^-0.47・(b/D^-074(d/D)^-1.67 
=2.2(np^-0.47(b/d))^-0.74・(d/D)^-2.41 
佐野式 邪魔板条件と混合時間について
ntm=ntm,BC/(1-0.62exp(-6.8nb(Bω/D)) 

数値解析による方法
P=∑I,j,κ(γ'^2・η)ΔV 
槽内壁温度:Tw=qΔR1M1/(2λ)+T1M1 
ポリマーの物性値
本数値解析における初期条件
翼回転速度n[s^-1] 1.67
槽内初期温度To[k] 410
初期粘度η[pa・s] 0.0000524
初期重合率x 0
反応速度 Rp=(2κi・κp^2・M^5/κt)^0.5
[kmol/(s・m^3] κi=2.19*10^5exp(-1.38*10^4/T)
κp=4.18*10^7exp(-4.09*10^3/T)
κt=1.11*10^9exp(-944/T)
M=(1-x)ρ/Ms
熱伝導度 λ=λp+λs(1-x)
[w/(m・k)] λp=0.123+2.16*10^-4(T-353)
λs=0.113-1.17*10^-4(T-423)+6.69*10^-7(T-423)^2
密度 ρ=(1198-T)+(T-153)x
[kg/m^3]
粘度 η=a/(1+b(γ')^c
pa・s x=0.344
a=exp(d・x^2+e・x+∱), b=0,c=0,d-5.22*10^-3
e=25.05, ∱=3.47*10^3(1/T)-18.33
x>0.344
a=exp(d・x^2+e・x+∱)
b=exp(12.77x-8.4)-0.0181
c=9.73x^2+7.22x-0.346, d=5.22*10^-3
e=25.05, ∱=3.47*10^3(1/T)-18.33
比熱 Cp=1.88*10^3
[J/kg・k]
反応熱 -ΔH=7*10^7
[J/kmol]

異相攪拌の流動シミュレーション
混相流に対する支配方程式
流体密度が一定の場合 非圧縮のナビエ・スト-クス式
ρ(∂υ/∂t+υ・∇υ)=-∇p+ρg+∇・(μ∇υ) 

層流域での攪拌所要動力の相関式の誘導
ヘルカルリボン翼
リボン翼を槽壁に投影して槽壁を円周方向に展開した図から、槽壁面での翼板と水平面のなす角度αとピッチsとの関係は次式で求められる。
槽径D 翼径d 翼高さh/sinα 羽根枚数np/sinα
sinα=(1+(πd/s)^2)^-0.5 翼先端速度υosinα 槽壁面での平均せん断応力τω~
fω:流れ場での変数fの槽壁面上での平均値=fn(ln(D/d)/(2πsinα/np)、(2πsinα/np)
fω~とτω~の関係式は、fω~=(D/2)^2ωω~/((np/sinα)(υosinα)γo/2π)=(D/2)^2τω~/(npυoγo/2π)
攪拌所要動力はP=(2πNsinα)(D/2)(πDh/sinα)τω
1/np(d/D)Np・Red=(h/sinα/D)fn(np/sinαln(D/d)、np/sinα)
Np・Red=8np+((75.9z2(np/sinα)^0.85(h/d)/(0.157+((np/sinα)ln(D/d))^0.611ここで、バトル翼:z=1、sinα=1、h=b
翼幅ω
補正係数z2=0.759(np/sinα・ln(d/(d-2ω))^0.139・(npln(D/d))^0.182・np^0.17 2.27式

層流域所要動力に関する代表的相関式
Np・Red=14+(b/D)(670(d/D-0.6)^2+185

Np・Red=2.5np・Aπ(de/d)(D/dc)^2・(4π/(D/de)^2-1)

de/d=D/d-2(ω/d)/ln((D/d)-1+2(ω/d)/(D/d)-1)

A=(h/d)(s/d)/3π・((πd/ssinα)+ln((πd/s)+1/sinα))*(1-(1-2(ω/d))^2)

Np・Red=(16π^3/(2ln(4+8c/ω)-1・(h/dsinα)・(1+0.00539(c/D)^-0.876)*(sinα)^0.555)(np/2)

Np・Red=150(h/d)(np/((s/d)(c/ω)^0.67))^0.5

Np・Red=2.8π^3/(π^2-4)・((1+sin^2α)/(dsinα/(hnp))ln((πdsinα)/npc))

Np・Red=(13+34/η)(2b/D)((D/d)/(1-(d/D)^2)(np/2)^(1/3)

η=1+exp(-10(D/d)-1))

攪拌所要動力の相関変数の誘導
計算範囲
0.5≦d/D≦0.95
羽根枚数np=1~8
レイノルズ数はNp・Red値に影響を与えないND^2/ν≦0.1
翼先端速度υo
翼先端半径ro
非ニュートン流体攪拌での平均せん断速度の推移
槽内の平均せん断速度を示す代表せん断応力は翼先端半径位置での平均せん断応力τdで代表される。この時、τd=τω(D/d)^2の力学バランスを考慮して、
Metzner-Otto定数κsは次のように表現される。
κs=τd/μN=1/npfω=1/π^2(Np・Red)(d/b)
ここで、Np・Redの実測値と2次元解析より求めた計算値との差異を考慮して、
κs=1/π^2(Np・Red(obs)-8np)(d/b)=(7.59z(np/sinα)^0.85/(0.157+((np/sinα)ln(D/d)^0.611
ここで、zはパトルおよびタービン翼に対して1,アンカー翼には2.19式、ヘルカルリボン翼2.27式
z1=(b’/h)+0.684(npln(d/(d-2ω))^0.139 2.19式
sinα=1
補正係数z2=0.759(np/sinα・ln(d/(d-2ω))^0.139・(npln(D/d))^0.182・np^0.17 2.27式
sinα=(1+(πd/s)^2)^-0.5

本相関式を用いて非ニュートン流体攪拌におけるMetzner-Otto定数の簡便な推算式
Ks=(7.59z(np/sinα)^0.85/0.157+((np/sinα)ln(D/d))^0.611

攪拌におけるバップル効果の相関式
バップル作用
1)攪拌目的に応じたフローパタンの形成
2)攪拌動力、吐出流量、せん断速度等の流動特性値の制御
①動力数Npの増加
②吐出循環流量係数Nqの増加
③せん断性能(Np/Nq)^(1/2)・(d/D)の増加

3)伝熱面積の確保
4枚平板バップルw/D=0.13、0.1
w/D:バップル幅 1
ns:バップル本数 2
Np:動力数
(Npmax-Np)/(Npmax-Np∞)=(1-2.9(W/D)^.12・ns)^2 23.04

槽径D 400 mm
液深H 500 mm
H/D 1.25
攪拌翼d/D タービン翼 0.4
ファドラー翼 0.55
フルゾーン翼 0.6
攪拌翼Np (h/L)^x x
タービン翼 0.44
ファドラー翼 0.31
フルゾーン翼 0.5

W/D<0.033では
攪拌翼Np (W/D)^y y
タービン翼 0.46
ファドラー翼 0.25
Np:吐出循環流量係数
θM:混合時間
θc循環時間=V/Qc
Qc=Nqnd^3
Nq=1/(n・θM)

急速攪拌槽の横断面形状の改良によるG値の低減化
攪拌強度G=√(ρCau^3/(2μV)
(B/D)^1.2*n=0.35
ρ:密度 kg/m^3
u:攪拌翼平均速度 m/s
C:攪拌翼抵抗係数
μ:粘性係数 kg/m・s
a:攪拌翼面積 m^2
V:攪拌槽容量 m^3
B:邪魔板の幅 mm
D:攪拌槽の幅 mm
n:邪魔板の枚数

スタピライザーリング
ds:スタピライザーリング外径低速域=(0.25~0.3)di
ds:スタピライザーリング外径中速域=(0.4~0.6)di
ℓs:スタピライザーリングの長さ低速域=(0.5~1)ds
ℓs:スタピライザーリングの長さ中速速域=(0.5~1)ds
d1:翼外径

攪拌槽計算式
h:地盤面からの高さ 16 m
p:風圧=c・q 0 kgf/m^2
q:速度圧 kgf/m^2
C:風力係数
A:受風有効面積(風方向投影面積) m^2

風荷重P=p*A、 0

h≦16m q:速度圧 60√h 240
h≧16m q:速度圧 120*4√h 1920
c=0.7(内筒型塔槽)、c=0.4(球形),c=1(平面)

F:地震荷重=κ・W 300 kgf
κ:地震係数 0.3
W:槽類の荷重 1000 kgf

内圧容器の強度設計
薄肉円筒胴
内圧P
円筒胴半径r
直径D
肉厚t
円周方向応力σt=pD/(2t)
軸方向応力σz=Pr/(2t)

薄肉球形胴(球殻)
σ・2πrt=Pπr^2

労働基準法による圧力容器、JIS圧力容器構造における内圧容器の強度設計

内圧P
円筒胴半径r
直径D
肉厚t
y 0.4
円周方向応力σ=Pr/t
高温におけるクリープを考慮した薄肉円筒胴の式σ=P((ro/t)-y)

圧力容器の構造規格式
肉厚t=(pDi/(200σxη-2(1-y)p))+α
外径基準とすると、
肉厚t=(pDo/(200σxη+2-yp))+α 0
y 0.4
p:内圧
σ:材料引張強さ
σa:許容引張応力
η:溶接継手効率
Di:容器の腐れ後の内直径
Do:腐れ後の外直径
α:腐れしろ

480℃以下
t=(pDi/200σxη-1.2p))+α

厚肉円筒胴
肉厚t=R((√Z)-1)+α
Z=(100σxη+p)/(100σxη-p)
t/ri>0.5にて374℃以下(水の臨界圧225.65kgf/cm^2absに相当する飽和温度)

p:内圧
σ:材料引張強さ
σa:許容引張応力
η:溶接継手効率
Di:容器の腐れ後の内直径
Do:腐れ後の外直径
α:腐れしろ
R:胴板半径

厚肉球形胴
t=R(3√(Y)-1)+α
Y=2(100σxη+p)/(200σxη-p)
但し、t/R>0.356にてかつ374℃以下。
p:内圧
σ:材料引張強さ
σa:許容引張応力
η:溶接継手効率
Di:容器の腐れ後の内直径
Do:腐れ後の外直径
α:腐れしろ
R:胴板半径

円錐胴
円周方向応力σ=pD/(2tcosθ)
板厚t=(pD/(200(cosθ)(σxη-0.006p)))+α

凹面(中底面)に圧力を受ける鏡板、蓋板、底板
a)等分布荷重pを受ける円形平板
σ=M/Z=(πa^2p/2)((2a/π)-(a/(3π))/(2at^2/6)=p(a/t)^2
σmax=κp(a/t)^2
板厚t=d√(cp/(100σx)+α
α:腐れしろ
p:内圧
周辺固定の場合κ=0.75(c=κ/4=0.188)
周辺支持の場合κ=1.24(c=κ/4=0.31)
c:取付方法により決まる係数
d:締付ボルト中心円径

b)等分布荷重を受ける非円形平板
t=d√(Zcp/(100σx))+α
Z=3.4-2.4(d/D)≦2.5
d:最小スパン
D:最小スパンに直角に測ったスパン
Z:非円形平板を円形平板に置き換えたもの

全半球型鏡板槽(竪型)
VT:槽容積(満水時相当)=πDT^3(LT/4DT+1/6)
AT:全接液面積(満水時相当)=πDT^2(LT/DT+1)
ZT:槽深=LT+2hT
hT:鏡板の高さ=0.5DT
DT:槽径
LT:胴長

胴長を槽径と同じ寸法にとると、槽容積VTは、
VT=πDT^3(DT/4DT+1/6)
VT=πDT^3(1/4+1/6)

全半球形VT=0.41666πDT^3
全接液面積AT=πDT^2(DT/DT+1)
AT=2πDT^2
槽深ZT=DT+2(0.5DT^2)
ZT=2DT

半楕円形鏡板槽(竪型)
VT=πDT^3(LT/4DT+1/12)
AT=πDT^2(LT/DT+0.69)
ZT=LT+2hT
AT=πDT^2(DT/DT+0.63)

皿形AT=1.63πDT^2

全接液面積から上部鏡板の分(0.63πDT^2/2)を差し引いた残りの接液面積をジャケットの伝熱面積AJTにとると、次式で表される。
AJT=1.63πDT^2-0.63πDT^2/2

皿形AJT=1.315πDT^2

表. 鏡板付き円筒攪拌槽の標準寸法
鏡板別 VT/DT^3  AT/DT^2  AJT/DT^2  ZT/DT  LT/DT  hT/DT
全半球形 (5/12)π   2π     1.5π     2     1    0.5
半楕円形 (1/3)π   1.69π    1.345π   1.5     1    0.25
皿形   0.313π   1.63π    1.315π   1.388    1    0.194

表.鏡板付き円筒攪拌槽の標準寸法(続き。鏡板の種類には依存しない。)
d/DT  C/DT  b/DT  Bw/DT d co/DT  pc/DT  H/DT  np  nB
1/3    1/3  1/15  1/10    7/10   1/15   1   3    4
0.96   1/4                        4
     0.02                            6

d/Dr=1/3(一般)、0.96(アンカー翼・ヘルカルリボン翼)
C/DT=1/3(一般)、1/4(固液系攪拌),0.02(アンカー翼・ヘルカルリボン翼)
b/DT:標準的な翼幅-翼径比b/d=1/5に基づく。b/DT=(b/d)(d/DT)=(1/5)(1/3)=1/15
dco:コイル外径
Dc:コイル中心径
pc:コイルのピッチを表す。標準的なピッチ外径比p/dcoに基づく。pc/DT=(p/dco)(dco/DT)=(2)(1/30)=1/15
np=3(プロペラ翼)、4(バトル翼)、6(タービン翼)

1.2 攪拌槽の強度計算
内圧が円筒の断面に及ぼす力:FL=Pi(πDT^2/4)
FL=σL(πDTtT)
軸応力σL=FL/(πDTtT)
σL(πDTtr)=Pi(πDT^2/4)
tr:板厚=PiDT/4σL
σθ:円周応力
内圧が円筒の投影面(投影面積DTɭL)に及ぼす力Fθ=PiDTɭL
2σθɭLtT=PiDTIL
tr:板厚=PiDT/2σθ
PiDT/4σL=PiDT/2σθ
σθ:円周応力=2σL

1.2.2 胴の板厚
内圧を保持する円筒胴の板厚tT=PiDT/(2σaη-1.2Pi)+αc
DT:槽内径 mm
Pi:設計圧力 Mpa
tγ:板厚
αc:腐れ代
η:溶接継手効率
σa:許容引張応力

円錐胴の板厚
tT=PiDT/(2cosθ(σaη-0.6Pi))+αc 式1.2.2.2

1.2.3 鏡板の板厚
内圧を保持する鏡板の板厚thは、次式で与えられる。
全半径型、ASME
th=PiDT/(4σaη-0.4Pi)+αc 式1.2.3.1

半楕円形 JIS
th=PiDTKh/(2σaη-0.2Pi)+αc (Kh=1/6(2+(DT/2hT)^2)) 式1.2.3.2
Kh:半楕円形鏡板の形状係数

反応装置シミュレーション

攪拌槽内乱流及び混合
基礎的事項
A成分とB成分の反応を伴う混合を支配する輸送方程式(保存式)はAまたはB=(=i)が低濃度の時Ciをモル濃度、Riを反応によるCiの生成(消滅)速度として次式になる。
∂Ci/∂t+U・∇Ci+Ri
代表速度 uo
代表長さ Lo
∂Ci/∂t+U・∇Ci=1/Pe∇^2Ci+Da1R’
Pe:ペクレ数=Louo/D
Da1:ダムケラー数=Lo/uoτR
τR:反応の代表時間

AとBの不可逆的反応のときRi=-KCACB
この時Dai=-KCAoLo/uo(CAo:初濃度)
マクロにはあらかじめ混合されており(予混合)、かつPe^-1≪Doiであれば簡素化せれ、i=Aとすると
∂CA/∂t=KCACB
になる。
乱流では速度、濃度をUi=U~i+ui  Ci=C~+ci
乱流混合の支配方程式
∂C~A/∂t+U~j∂CA/∂xj=D∂^2C~A/∂xj^2-∂ujCA/∂xj-K(CA~*CB~~+cA~cB~)
速度-濃度相関ujcA
濃度積相関cAcB

いま、シュミット数Sc》1に限る(液相ではたいていそうなる)十分発達した乱流では、cA^2のスペクトル密度G(κ)は波数κ(1m当りに存在する波の数の2π倍)が大なる領域では速度変動のそれと同様に等方化し、かつ3つの小領域に分けられることが明らかにされている
(ICS) G(κ)=Baε^(-1/3)κ^(-5/3):κoc<κ<κk 

(VCS) G(κ)=Cεc(ν/ε)^(1/2)κ^-1*exp(-Cκ^2/κB^2):κk<κ<κB 

Ba:定数
C:定数
ε:乱流エネルギー消散速度[m^2/s]
εc:εと同じ意味の濃度変動消失速度[m^2/s]
ν:動粘度
κoc:ほぼ最大渦径に見合う波数
κk:コルモゴロフ渦径の逆数=(ν^3/ε)^(1/4)=1/κk
κB:バチェラー渦径の逆数=(D^2ν/ε)^(1/4)=1/κB
κBより大なるκの範囲はVCSといわれ、粘性の為に小規模乱流渦は急速に消滅し、乱流エネルギーがすべて熱発生に消散されていく領域、
ICSまでは大きい渦が小さい渦に分裂していくが、乱流エネルギーは保存されている。

ミクロ混合モデル
分裂する渦の寿命時間τ=2π/((κ^3E(κ))^(1/2))
G(κ)に対応する速度変動のエネルギー・スペクトルE(κ)=αε^(2/3)κ^(-5/3)exp(-1.5α(κλκ)^(4/3)) 

攪拌パラメータ 無次元数 使用される現象
攪拌速度N レイノズ数Re=ND^2・ρ/μ 流動状態
攪拌所要動力p 動力数Np=p/ρN^3D^5 攪拌混合に使われる総括エネルギー
吐出液量Q 吐出流量数Nd=Q/ND^3 循環流の強さ
通気量QA 通気数NA=QA/ND^3 気体吹込みによる所要動力の低下 気液間物質移動
混合時間tM 無次元数混合時間NM=NtM 濃度が均一になる時間
重力g フルード数Fr=N^2/g パッフルの影響 固液分散
熱伝達係数h ヌッセルト数Nu=hD/λ 熱移動速度
物質移動容量係数kLa シャーウッド数Sh=kLaD^2/DL 気液間物質移動 酸素供給速度
固液物質移動係数kL シャーウッド数Sh=kL・dp/DL 固液間物質移動 粒子溶解速度 結晶成長速度
表面張力σ ウェ-バ-数We=N^2D^3・ρ/σ 気泡 液滴サイズ

N:攪拌速度 D:分子拡散係数
攪拌所要動力p ρ:密度
吐出液量Q μ:粘度
通気量QA a:気液比表面積
混合時間tM dp:粒子径
重力g
熱伝達係数h L
物質移動容量係数kLa
固液物質移動係数kL
σ:界面張力

重合反応装置
設計の前提条件
F:流量 0.7 kg/s
xi:入口重合率 0.3
x:出口重合率 0.6
T:反応温度 410 k
反応装置形式 完全混合槽型
溶媒の添加 無

.反応速度式及び物性式
反応速度Rp=3.734*10^-4 [kmol/s・m^3]
Rp=A・CM^2.5
A=Ao・exp(A1x+A2x^2+A3x^3)
Ao=1.964*10^5・exp(-1004/T)
A1=2.57-5.05*10^-3T
A2=9.56-1.76*10^-2T
A3=-3.03+7.85*10^-3T
CM=(1-x)・ρ/Ms
Ms:スチレンモノマーの分子量
密度ρ
ρ=(1198-T)+(T-153)x
粘度μ
μ=5*10^-17・x^6.5・Mw^3.4・exp(1157.5exp(2.4x)(1/T-1/473))
0.4<x<0.8、373<T<473
比熱Cp=1.88*10^3
熱伝導率λ
λ=λp・x+λs・(1-x)
λp=0.123+2.16*10^-4・(T-423)+6.69*10^-7・(T-423)^2
反応熱ΔH 70000000 J/kmol
物質収支及び反応装置容積
時間θ 7266 s
dx/dθ=Ms・Rp/ρ-(x-xi)/θ~
V=F・θ~/ρ 5.4 m^3

熱収支
ρ・Cp・(dT/dθ)=ΔH・Rp+Pv-(ρ・Cp/θ)(T-Ti)-U・a(T-Tj)
U:総括伝達係数
a:単位容積当りの伝熱面積
Pv:単位容積当りの攪拌動力
Pv=(Np・Re)・μ・N^2/β’
Np:動力数=P/ρ・N^3・do^5
β’:装置形状に関する係数=V/do^3

反応装置形状及び装置特性
HR:ヘルカルリボン
DT:ヘルカルリボン翼の内側に熱媒体を流せる構造ドラフトチューブ

攪拌動力
HRに対して
(Np・Re)(do/Ht)(M/np)=3π^2ln(1/Δ)
Δ=np・C/(π・do・m)
m=(1+(π・do/S)^2)^-0.5

反応装置の形状
H/Do 1.6
Ht/Do 1.5
S/do 1
do/Do 0.994
Di/di 0.994
(Di-Dt)/Do 0.12
Dt^2=Do^2-Di^2
B/Do 0.25
do 1.509
N

装置形状に関する係数
HR AR
Dt/Do 0.645
Di/Do 0.765
β=V/Do^3 1.518 1.319
β’=V/do^3 1.546 1.343
α1=A1/Do^2 5.88 8.31
α2=A2/Do^2 0 4.21
α1Do=α1/β 3.87 6.3
α2Do=α2/β 0 3.19

A1:攪拌翼が接近する伝熱面積
A2:攪拌翼が接近しない伝熱面積
α1α2:単位容積当りの伝熱面積

M=m・(0.5m^2+0.5)^-1
C:翼と壁のクリアランス=Do-do)/2
do=1.509、S/do=1あるので、Np、Reは次式となる。Np*Re=811
ARに対しては、Np・Re=1480

6.3 循環流量
HRの循環流量係数Nqz=Qcz/N・do^3 #DIV/0! 0.081
ARの循環流量係数Nqz=Qcz/N・do^3 0.17

Qcz:上下方向の循環流量 m^3/s

熱伝達係数
1)翼が近接する伝熱面のhi
HRの容器内壁、ARの容器内壁及びDTの外周壁がこれに相当し、次式を用いる。
hi・Do/λ=0.64((ρ・N・do^2・Cp/λ)・(S/do)(Do/do)(Do/C)・Fn)^(1/3)(μ/μw)^0.1
Fn=(1+((1/0.046)・(C/Do))^4)^((n-1)/n)
hi[W/m^2・K]:伝熱係数
μw[Pa・s]:壁面温度(Tj)における粘度=5*10^-17・x^6.5・Mw^3.4・exp(1157.5exp(2.4x)(1/T-1/473))
n:ニュートン流体なので 1
C/Do 0.003

円筒内の層流域の次式を使う
hi~・Dt/λ=2.02(Qm・Cp/λ・Ht)^(1/3)(μ/μw)^0.14 式16
Qm・Cp/λ・Ht>10
速度助走区間(l/Dt=0.0288ρ・u~・Dt/μ)
u~:平均流速
Qm[kg/s]質量流量=ρ・Qcz=ρ・Nqz・N・do^3

総括伝熱係数U
1/U=1/hi+ri+lw/λw+ro+1/ho
熱媒体側の熱伝達係数ho 1200
プロセス側の汚れ抵抗r1 0.0008
熱媒体側の汚れ抵抗ro 0.0002
壁厚みlw 0.02
壁の熱伝導率λw 16.5

 温度班(ムラ)の均一化
温度班ΔtA≦1とする条件:ln(1+ξ/4)+ξ/4-ξ^2/32+3ξ^3/352-25ξ^4/11264-7ξ^5/28160+5ξ^6/33792-(105/1408)α・θp/Dt^2=0
a=λ/ρ・Cp/ξ=δt/Dt
θp[s]:DT内の平均通過時間である。
θp[s]と温度境界層付近の流体の通過時θB[s]の比は、速度分布を考慮すると、
θp/θB=2(1-(2(Dt/2-δ

エクセルで一次元熱伝導方程式を解く。
境界条件
T1= 300 K
T1=10 1000 K
初期条件
T2~T9= 0 K
発熱Q= 1000 w
熱伝導率K= 803 w/m・K
ΔX 1 m
微分式を中心差分法(2次精度)を使って変形します。
df/dx=(f(i+1)-f(i-1))/2Δx
d^2f/dx^2=(f(i+1)-2f(i)+f(i-1))/Δx^2
分かりやすくするために定常計算、発散なし、一次元の熱伝導方程式にします。
ρc∂T/∂t=κ(∂^2T/∂x^2+∂^2T/∂y^2+∂^2T/∂z^2)+q’v

∂T/∂t=0、∂^2T/∂y^2=0、q’v=0
0=κ(∂^2T/∂x^2)、、、一次元熱伝導方程式
距離
繰り返し回数=N 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
1 300 0 0 0 0 0 0 0 0 1000
2 300 150 0 0 0 0 0 0 500 1000
3 300 150 75 0 0 0 0 250 500 1000
4 300 187.5 75 37.5 0 0 125 250 625 1000
5 300 187.5 112.5 37.5 18.75 62.5 125 375 625 1000
6 300 206.25 112.5 65.625 50 71.875 218.75 375 687.5 1000
7 300 206.25 135.9375 81.25 68.75 134.375 223.4375 453.125 687.5 1000
8 300 217.96875 143.75 102.34375 107.8125 146.09375 293.75 455.46875 7

省エネルギー

ボイラ水管理に於ける省エネルギー
ドレンの回収、ブロー水の有効利用、保温の見直しなどを行うことによって、蒸気の発生、
給水温度の上昇など燃料消費量の削減、放出損失の低減を図ることができる。

ドレン回収例
運転条件
燃料の低発熱量 42.5MJ/kg(37.8MJ/L)
燃料密度 0.89
ボイラ効率 85%
1年間の稼働時間 2400h
燃料の単価 20000\/kl

フラッシュ蒸気の利用
ボイラ用加熱器で利用した1.6MPaのドレン1000kg/hを、フラッシュ・タンクによって0.2MPaの飽和蒸気143.5kg/hを発生させて有効に利用した。これは燃料12.2L/h(29kl/y)
に相当し、年間約59万円の減額となった。フラッシュ・タンクの入熱及び出熱は等しいから、h₀x₀=h₁x₁+h₂(x₀-x₁)
∴x₀(h₀-h₂)=x₁(h₁-h₂)
x₀,x₁:ドレン量、蒸気量[kg/h]
h₀,h₁,h₂:1.6MPaドレン、0.2MPa蒸気、0.2MPaドレンのエンタルピー[kJ/kg]
フラッシュ・タンクから発生する0.2MPaの蒸気量は、
x₁=x₀(h₀-h₂)/(h₁-h₂)=1000・(871.89-591.46)/(2724.89-561.46)=143.5kg/h
この蒸気を発生させるに必要な燃料の量(GL/h)は、
G=0.2MPa飽和蒸気として回収した熱量/(燃料発熱量・燃料密度・ボイラ効率)
=143.5・2724.89/(42.5・1000・0.89・0.85)=12.2L/h
年間の節減量:12.2・2400=29.3kl
年間の節減額:29.3・20000=59万円

水質不良ドレンの間接利用
水質不良ドレン1000kg/hを給水加熱器に通してボイラ給水2000kg/hを15℃(62.98kJ/kg)から30℃(125.75kJ/kg)に上昇させた。
水質不良ドレンからボイラ給水が得た熱量Q[kJ/h]は、
Q=2000・(125.75-62.98)=12540kJ/h
これを燃料節減量に換算すると、
G=125540/(42.5・1000・0.89・0.85)=3.9L/h
年間の節減量:3.9・2400=9.36kl
年間の節減額:9.36kl・20000\/kl≒19万

送風機の省エネルギー

送風機の消費電力を節減する方法として次の2つの面から考えることができる。
一つはプラント側との関連で省エネルギーを図る方法
(1)負荷が変わった時、その変動に応じて風量を調整する方法
(2)消費電力は風量と圧力の積に比例するから、プロセスの必要とする風量や圧力をできる限り下げる。
(3)過剰吸排気するとか空運転を続けることがないように、プラント側が必要とする風量をタイミングよく調整するコントロールシステムを採用する。

二つめは送風機側の問題であり、次のことを検討する必要がある。
(1)高効率でかつプラントの使用に適した特性を持った送風機である。
(2)ケーシングや羽根車にダストが堆積して流路を狭くしていないか。また吸込配管の偏流などによって送風機の吸込性能を低下させていないか。
(3)軸封のラビリンスやバランスディスクからの漏れ量が多く、性能や効率の低下の原因になっていないか。
などが対策としてあげられる。

1.送風機の省エネルギー対策にあたっての注意事項
排熱回収装置に生じる気流振動
⑴事例
ある乾燥装置の後に、排熱回収装置を設置したら、熱交換器周辺で119ホンという異常な騒音・振動を発生した。熱交換器のケーシング幅寸法2470mm、管の直径D:19mm、管ピッチt=l:38mmで正方配置である。熱交換器前面風速はυ:2.7m/sで、排気ガス温度は85℃である。
⑵原因
原因としては、次の2つの場合が考えられた。
a.熱交換器に流体が当たるとき、管背後で管の両側から交互に渦が発生して流出する。この渦をカルマン渦と称している。この渦の流出振動数と、ケーシング内の壁間に存在する気柱の縦振動数とが近い為、共鳴しケーシング内に空気の流れと直角方向に、定在波が発生した

b.管またはケーシング壁面の固有振動数が渦の流出振動数に近い為、大きな振動を起こしている。
上記の事例は、ケーシングや管の固有振動数の測定とカルマン渦の振動数からみて、bの場合ではない事が解った。従って振動の原因はaの場合の疑いがあった。それぞれの振動数について計算する。まず、カルマン渦の流出振動数∱sを求めることにする。
配列管群のストローハル数(無次元共鳴振動数)は、正方形配列管群ストローハル数のグラフを参照して求める。
前面風速V:2.7m/s
ストロ-ハル数St:∱s・D/V*
D:管直径[m]
V*:菅列通過流速[m/s]
t/D=l/D・V=0.038/(0.038-0.019)・2.7=5.4m/s
∴∱s=St・(V*/D)=0.275・(5.4/0.019)=78.2Hz
次に熱交換器ケーシング壁面間の一次の気柱振動数n₁を求める。
t=85℃の時の空気中における音速αは、次式となる。
α=331.7√((273+85)/273)=379m/s
ケーシング両壁間の距離L=2.47m、両端部で閉の半波長の定在波を考えると、
n₁=α/2L=379/(2・2.47)=77Hz
以上の計算結果から、カルマン渦の振動数と、壁間の気柱振動数が近づいた為、気柱の共鳴状態にある事が解った。

⑶対策
対策としては、ケーシング壁間に定在する振動波長を変える為、半波長の波長の1/4の所にバックル板を設置した。これによって気柱共鳴を抑えることができた。

2.ファンの低周波振動
羽根流路幅の広い後向き羽根車を持つ遠心ファンは、一般に遠心ファンの中では風量の多いタイプで、効率も高く、最高効率点付近では性能も安定している。しかし、運転風量を低下させ60%以下にすると、回転数よりやや低い周波数でダクトが激しく振動し、騒音も大きくなる。この現象を遠心ファンにおける低周波振動と呼ぶ。
⑴事例
12t/hボイラに使用された押込ファンについてみると、風量:200m^3/min、
静圧:510mmAq、回転数:2950rpm、出力30kwの遠心ファンを使用する。
風量50%で32Hzのところで卓越した騒音が発生した。
また、送風機ダクト内でも仕様風圧の30~40%の圧力変動が生字ていることが測定できた⑵原因
この振動は低風量域に運転が入った為、羽根入口で擾乱が発生し、1つの羽根が失速すると
順次隣の羽根に失速が移っていく現象で、これは実験的に究明されている。これによれば、旋回失速により卓越した騒音の周波数は、遠心ファンの場合 ∱s=0.72Ni [Hz]
N:回転数[Hz]
i:旋回セル数1,2
上例の場合 ∱s=0.72(2950/60)・1または2=35.5または71Hzとなる。
⑶対策
①カタログからファンを選定する際、風量に余裕をとりすぎないこと
②低い風量運転が当初から予想される場合は、カタログのなかでも回転の速いものよりは、
回転数を下げて低周波のでにくい羽根幅の狭いファンを選ぶ
③既設のファンが強制振動とは異なった低周波の振動や騒音を発生した場合は、バイパスや放風運転があるが、省エネルギー対策にならない。対策として低風量形ファンに交換するか
羽根入口延長形羽根車に改造する。

3.ダクトの影響によるファン性能低下
ファンの性能試験は、空気が均一に然も旋回などの乱れのない状態で吸込むことを条件としており、これが満たされない時は性能が低下する。
性能低下の定量的評価
アメリカの送風機規格AMCA201
①入口の不均一な流れ
②入口の予旋回
③出口の配管の不適切
という3つの性能低下要素に着目し、それぞれについて各種の寸法形状を示し、通過流速をパラメータとした損失圧力という形で、送風機の性能低下量を計算する方法である。(システムエフェクト(SEF)カーブのグラフ参照)

3.回転数制御
回転数制御は省エネルギーの有効な手段であり、数多く使用されている。しかし、回転数制御機構に起因するトラブルや回転数変化による強度上のトラブルもあり、事故防止の為の注意が必要である。
共振による軸の破損
省エネルギーを目的で使用する場合は起動・停止・加減速を繰り返すので、共振点を何度も通過することになる。また回転数変化により軸,カップリングに繰り返し応力が加わり材料疲労の問題が生じる。ため十分な検討が必要である。
⑴脈動トルクの周波数
脈動トルクの周波数∱γは、インバータの方式により次式で表される。
∱γ=nm∱₀ (VVVFインバータの場合)
∱γ=6nS∱s (セルビウスの場合)
n:1,2,3
m:相数6,12,18…
∱₀:インバータの出力周波数=極数・実回転数/120Hz
∱s:電源周波数=50Hzまたは60Hz
S:滑り(周期回転数-実回転数)/同期周波数
⑵共振
送風機-電動機系の慣性モーメントは、継手などの慣性モーメントに比べ遥かに大きい為、一次の共振は2質点系に近似することができる。この場合の固有振動数∱nは次式となる。
∱n=ωn/2π=1/2π・√((κ(J₁+J₂)/(J₁J₂))
J₁,J₂:送風機及び電動機の慣性モーメント
κ:カップリングのバネ定数
一般にギャカップリングでつながれた送風機と電動機の一次固有振動数は20~40Hz前後にあり、脈動トルクの周波数と一致すると過大なトルクが発生し、軸、又はギャカップリングの破損の原因となる。
⑶共振対策
①多重化による脈動トルクの電気的低減
②共振点を運転範囲から除外する。
③共振点通過時の加速レート制御
④軸及びカップリングの強度増大
⑤脈動トルク吸収特性を有するカップリングの採用

自然エネルギー

風車

風車の性能評価

1.パワー係数:Cp=Pe/(1/2・ρAV^3∞)
Pe:実際に得られるパワー[kgm/s]
ρ:空気密度[kgs^2/m^4]
A:受風面積[m^2]
V∞:風速[m/s]

2. トルク係数:CQ=Qe/(1/2・ρV∞^2AR)
Qe:実際に得られるトルク[kgm]
R:風車半径

3. 推力係数:CT=Te/(1/2・ρAV∞^2)
Te:風車に作用する推力

4.周速比:λ=2πnR/V∞
n:風車回転数[rps]

5.ソリディティ比:σ=(1/CL)・(16/9)・(V∞/ωR)^2・(1/√(1+4/9・(V∞/ωR)^2・(1-3/2・κ・(ωR/V∞))
最後の項はほぼ1に近いので簡素化され次式で表される。

σ≒1/CL・16/9・(1/λ)^2
CL:揚力係数
ω:ロータの角速度
κ:抗力/揚力

垂直軸ダリウス型風車やジャイロミル型風車の場合は、次式のようにソリディティ比を定義している。

σ=ZC/(2πR)
C:プレートの弦長
Z:プレート枚数
R:ローター回転半径

水車

ベルトン水車

ノズルから流出する速度:V=Cv√2gH
Cv:速度係数0.98~0.99

羽根車のバケットと噴流が衝突し、羽根車が回転する。羽根車の回転によってバケットが周速度u[m/s]で動いているとし、バケット速度(V-u)m/secで流入し、バケットの面に対して角度βで流出する。

噴流作用によって及ぼされる力:F=ρQ(1+cosβ)(V-u)
ρ:水の密度=1000kg/m^3

Fによってバケットに毎秒当りの仕事:P[w]=F・u=ρQ(1+cosβ)(V-u)u

効率:ηh=P/(ρQu^2/2)=2(1+cosβ)(u/V)(1-u/V)
効率ηhは(u/V)=0.44~0.48で最高効率となる。

フランシス水車

トルク:M=ρQ(rC1u-rC2u)
C1u:羽根車入口半径r1から流入する絶対速度の周方向成分
C2u:羽根車出口半径r2から流出する速度の周方向成分

水から毎秒当り得られる仕事:P=ωM=ρQ(u1C1u-u2C2u)
u1:半径r1の周速度
u2:半径r2の周速度
ω:羽根車の角速度

落差:H=(u1C1u-u2C2u)/ηhg

代替燃料

デイーゼル機関

デイーゼルエンジンを植物油で運転する場合、メチルエステル中の飽和脂肪酸が低温になるとラード状の結晶(グリセリン)として析出され、流動性がよくなくゴムや金属を劣化させてしまう。対策として、植物油に水を攪拌させエマルジョン燃料とするとグリセリンが界面活性剤となり、グリセリンをを発生させることがなくなる。また、燃焼温度の下げる効果もありNOxを抑制することができる。またデイーゼルエンジン本体の改造も必要であり、植物油は粘度が高い、水と攪拌したらさらに粘度が高くなる。軽油に近位した粘度にするには加熱する、加熱すると粘度が下がる。加熱装置が必要となり、ヒータで加熱させると十分加熱したらヒータを停止して、熱交換器においてエンジンの冷却液を利用して燃料予熱を行う。また植物油に適した燃料フィルター、噴射ノズルの考案が必要である。また添加剤による効果も期待される。

軽油と菜種油の燃料品質


菜種油のエマルジョン燃料

菜種油から製造される菜種油メチルエステルで水15wt%とミキシングすると、300時間経過しても相分離しない。(W/O)
ミキシングのせん断応力:τ=μ*∂u/∂x
∂u/∂x:せん断速度[s^-1]
μ:粘度[Pa・s]

Harkerの式

エマルジョンの粘度:μ=37*(T/270)^(2.1v-2.37)
T:燃料の華氏温度F=(40~200F)
V:燃料の混合容積割合(1-Φ=0.5~1)

エマルジョン燃料の噴霧特性

廣安らはデーゼル燃料噴霧の特性について、微粒化液滴のサウダ平均粒径D32について以下に示すような実験式を提案。

D32/do=MAX((D32^Is/do、D32^Hs/do)
D32^Is/do=4.12Re^0.12・We^-0.75・(μl/μa)^0.54・(ρl/ρa)^0.18
D32^Hs/do=0.38Re^0.25・We^-0.32・(μl/μa)^0.37・(ρl/ρa)^-0.47
Re=Vo・do/Vl   We=(ρl・Vo^2・do)/σl

Re:レイノルズ数
We:ウェバー数
d:直径[m]
μ:粘性係数[Pas]
ρ:密度[kg/m^3]
V:速度[m/s]
σ:表面張力[N/m]
添え字o:ノズル
添え字l:燃料液体
添え字a:雰囲気気体
D32^Is、D32^Hs:燃料や雰囲気の条件を代入して求める値

エマルジョン燃料のミクロ爆発

燃料液滴の寿命時間が短くなり、水粒子周囲の燃料が分散することで表面積が増加して燃焼を促進する。燃焼後にシリンダ壁に付着残留する
炭素成分が大幅に減少する。

エンジン燃焼に於ける菜種油の圧力伝播速度は軽油と比べると5%小さい。
a:圧力伝播速度=√(E/ρ)
E:体積弾性率
ρ:燃料密度

エマルジョン燃料の燃焼速度定数:κ
κ=8λ/(Cpρε)・ln(1+(1/YfLf+YωLω+YsLs))((Yo、∞Q/i+Cp(T∞-Te)))

水エマルジョン燃料液滴が加熱されると、界面活性剤の効力が薄れ、水が凝集する。液滴が沸点に達するまで状態を求める。
h:熱伝導率=((K∫Nu)/(τ∫))
Nu:ヌセルト数=1+(1+0.564Pe^(2/3))^(3/4)
dQ∫:燃料部分から水への伝熱量=KwAw・((T∫-Tw)dt/(γw))
K∫:燃料の熱伝導率
Kw:水の熱伝導率

エマルジョン燃料の熱効率

A:熱効率%=((P*t)/(Oil*LCV)*100
P:出力[kw]
t:計測時間[s]
Oil:油の消費量[kg]
LCV:低位発熱量[kJ/kg]

エマルジョン燃料の低位発熱量

HCV:総合発熱量[kJ/kg]=1000*(33.8C+142.5(H-O/8)+9.4S)
LCV:低位発熱量[kJ/kg]=1000*(HCV-21.8H+0.0625O-2.4W)
C:油 1kg 中の炭素質量
H:油 1kg 中の水素質量
O:油 1kg 中の酸素質量
S:油 1kg 中の硫黄質量
W:油 1kg 中の水質量

デイーゼルエンジンの改良

菜種油のエマルジョン燃料を使用するにあたり想定される不具合と対処

1.ゴム類の劣化 
燃料ホースなどゴム製部品をフッ素系ゴム部品に交換。

2.燃料系金属部品の腐食
燃料タンクにターンシートが使用されていないものを選択。

3.DPF自動再生装置不全(燃料の精製が不十分である為、燃料動粘度が高い。)
燃料を加熱処理して低粘度にする。 

4.NOx吸蔵還元触媒システム機能不全
リッチスパイク噴射ロジックの最適化。ヒータなどで燃焼再生させて、セルフクリーニング機能を付ける。

5.SCRシステムの機能不全
尿素水噴射ロジックの最適化

6.EGRシステムおよび吸気部品の機能不全
EGRクーラー前に酸化触媒装置の装備

エマルジョンのミキシング

エマルジョンを電子顕微鏡で観察すると、一方の液体が連続的に拡がる(連続相)中に、もう一方の液体が微小直径の粒子群となって分散する
(分散相)状態になる。激しくミキシングすることでエマルジョンを一時的に形成する。しかし界面の張力が大きいので、液滴相互は合体して表面積を小さくする作用が生じ結果として層状に相分離する。それらに水と油脂に親水性・親油性の双方の性質を同時に持つ物質を添加すると、エマルジョンが安定的に保つことができる。この添加を界面活性剤という。
Taylorの式によると、ミキシングによってGなるずり速度勾配が粘度η’なる液滴が長軸L、短軸Bの回転楕円体に歪む為の条件は次式で表される。
(L-B)/(L+B)=(GDηo/(2γ))・((19x+16)/(16x+16))
γ:界面張力
x:η’/ηo

乳化動力:P[W]
P=2πT
T:攪拌軸のトルク[N・m]

攪拌所要動力に関する無次元数の動力数:Npは、
Np=P/(ρ・N^3・Da^5)
P:動力[kW]
N:回転数[rpm]
Da:翼径[m]

タービン翼周速:vと吐出量:Q
v=n・d・N/60
n=Q・T/V
Q=Nq・N・d^3・1000
v:タービン翼周速
n:ホモミキサーのステーターとタービンの隙間を通過するパス回数
d:タービン径
N:回転数[min^-1]
Q:タービン吐出量
T:処理時間[min]
V:製造量[kg]
Nq:翼吐出係数ホモミキサーの場合0.2とする。

パイプラインミキシングの無次元熱力学的パラメータ 
σ:キャビテーション数=((P∞-Pv)/(1/2・ρ∞・U∞^2))
Re:レイノルズ数=U∞C/ν
∑:熱力学的効果パラメータ=ρv^2・L^2/(ρl・Cpl・T∞√αl)
∑’:無次元熱力学的効果パラメータ=(ρv^2・L^2/(ρl^2・Cpl・T∞)=∑√(C/U∞^3)
U∞:主流の流速
P∞:主流の圧力
ρ∞:主流の密度
ν:主流の動粘度
Pv:飽和蒸気圧
ρv:主流温度に於ける水蒸気の密度[kg/?]
L:潜熱[J/kg]
Cpl:水の定圧比熱[J/(kg・K]
αl:水の熱拡散率[㎡/s]
C:翼弦長[m]


エマルジョンの冷却行程ではミキシング速度・時間が粘度等に影響を与える。
冷却行程でのスケールアップ Batch Cooling式
?n・(T1-t1/(T2-t1))=ωC2/(Mc1)・((K2-1)/K2)・θ
K2=exp・(UA/(ωC2))
M:製品仕込量[kg]
C1:製品の比熱[kcal/kg・℃]
T1:製品の冷却開始温度[℃]
T2:製品の冷却終了温度[℃]
U:総括伝熱係数[kcal/㎡・hr・℃]
ω:冷却水流量[kg/hr]
C2:冷却水の比熱[kcal/kg・℃]
t1:冷却水温度[℃]
A:伝熱面積[㎡]
θ:冷却時間[hr]

乳化物粒径:dυs
dυs∝exp(-√(D・N))
D:タービン翼径[m]
N:回転数[rpm]

クリーミング速度
沈殿速度(浮上速度):u=2r^2(ρ-ρo)g/(9η')又は、g・(Pd/Pc)・d^2/(18・η)
r:粒子半径
ρ:粒子の比重
ρo:連続相の比重
η':連続相の粘度
g:重力定数
Pd:分散粒子の密度
Pc:分散媒の密度

油滴のサイズによる溶解度の違いは、Kelvinの式で表される。
粒子半径rの粒子の溶解度:c(r)
c(r)=c(∞)exp(2σVm/(rRT))=c(∞)(1+2σVm/(rRT))
c(∞):平衡時(バルク)の溶解度
r:粒子半径
σ:界面張力
Vm:分散相のモル体積
R:気体定数
T:絶対温度

エマルジョンの成長速度:ω  Ostwaid式
ω=dr^3/dt=8D・c∞・γ・M/(9σ^2RT)
D:分散相(油)の分子の拡散係数
c∞:分散相の分散媒(水)への溶解度
γ:界面張力
M:分子量
σ:密度
R:気体定数
T:絶対温度

ミキシング中の分散相の粒径と粘度の関係 松本の式
k=exp(0.096+0.01003・(1/D)+0.029・(1/D)^2)
D:分散相の平均粒径

ミキシング中で破壊されずに残りうる最大の液滴の確率直径:Dmax
Dmax∝ε^-0.4・γ^0.6・ρ^-0.6
ε:エネルギー密度[W・m^-3]
γ:界面張力[N・m^-1]
ρ:連続相の密度[kg・m^-3]
エマルジョンの単位体積当りの比面積:S
S≒(D^3・N^2・ρc/σ)^0.33・(I/D)・exp(3.6(ρc-ρd)/ρc)
または、=ΔP^0.75・σ^-0.83・μ^-0.16

ΔP:圧力変化[Pa]
σ:界面又は表面張力[N/m]
μ:液滴の粘度
乳化エネルギーと比界面エネルギー
分散相の単位重量当りの比界面積:Sw
Sw=6/(ρd・dυs)
又は、Sw=κ(NDa)^1.65
分散相の単位重量当りの比界面エネルギー:Es
Es=σ・s・(6σ/(ρd・dυs))

乳化エネルギー:EA
EA=P・Q
ρd:分散相の密度[kg/m^3]
dυs:液滴の体面積平均径[m]
κ:定数
N:回転数[rpm]
Da:攪拌翼直径[m]
σ:界面張力[N/m]
P:動力[kW]
Q:時間[hr]
s:比表面積[m^3/kg]

エネルギー効率:η
η=Es/EA=σ・s/(P・Q)

エマルジョンの散乱強度:I
I=(8π^2・α^2/(γ^2・λ^4))・(1+cos^2・θ)
α:粒子の分極率(粒子径に比例する。)
γ:粒子から測定点までの距離
λ:光の波長=exp(0.096+0.01003/d+0.0029(1/d)^2)
θ:散乱角
d:粒子径
           
エマルジョンのブラウン運動によるt時間後の移動距離:L
L=√((2RT/(3πN))・(t/(ηd))
R:気体定数
T:温度
N:アドガドロ数

エマルジョン粒子の衝突による単分散の粒子数の変化:α
エマルジョンに外力が加わらない時、
α=(4kT/(3η)

ミキシング中の時
α=(2/3)G・d^3

k:ボルツマン係数
T:温度
η:分散媒の粘度
G:せん断速度
d:粒子径

高圧・噴流によるミキシング


分散を行う場合の温度上昇℃:ΔT
ΔT=23.4(P・10.2)/(Cρ)
P:圧力[MPa]
C:比熱[kcal/kg・℃]
ρ:密度[kg/m^3]

高圧ポンプの所要動力[kw]:L
L=PQ/(60・η)
Q:流量[l/min]=αd^2・√((P・10.2)/γ)・2
η:効率0.5とする。
α:ノズル係数0.6とする。
d:ノズル径[mm]
γ:スラリー比重[g/cm^3]

高圧式ミキシング隙間平行部内の流れ
入口圧力:Po
Po=ζ・(ρ/2)(Q/2πy1δ)^2+(6μQ/(πδ^2))ln(y1/y2)+ρ/2(Q/(2πy2δ))^2
隙間内部の速度:νgap
νgap=(3Q/(4πyδ))(1-(2x/δ)^2)
隙間平行部壁面のせん断応力:τw
τw=3μQ/(πyδ^2)
隙間入口から出口までの壁面せん断応力の平均値:τave
τave=6μQ/(πδ^2(y2+y1))
隙間平行部のレイノルズ数:Re
Re=(1.5ρ・(Q/(2πyδ))・(δ/2))/μ=3ρQ/(8πμy)

乳化後の液滴径
境界面上に働く慣性力と界面張力の比を表す無次元数である。ウェーバー数:We
We:ρν^2・l/γ
せん断応力と界面張力の比を表す無次元数である。キャピラリー数:Ca
Ca=μν/γ
せん断力と界面張力の比を慣例的に修正ウェーバー数:Weτ(矢野式)
Weτ=τ・l/γ
ホモジナイザーの乳化作用を表す数値として、主に定数n=1.4~1.7の値を採用。(矢野式)
Weτ=κ(dbcfore/d)^n
dexp:乳化処理後の液滴メジアン径[μm]
dhefore:乳化処理前の液滴メジアン径[μm]
D:バルブ隙間からインパクトリングまでの距離[mm]
L:隙間平行部長さ[mm]
P:圧力[Pa]
Q:流量[m^3/s]
ν:速度[m/s]
νmax:最高速[m/s]=1.5・Q/(2πyδ)
νgad:隙間内部の速度[m/s]
x:軸方向座標[mm]
y:半径方向座標[mm]
δ:バルブの隙間[μm]
μ:粘度[Pa・s]
ρ:密度[kg/m^3]
τw:壁面せん断応力[Pa]
τave:隙間入口から出口までの壁面せん断応力の平均値[Pa]
ζ:損失係数
添字
o:バルブ入口
1:隙間平行部入口
2:隙間平行部出口

超音波によるミキシング

音の強さ:I
I=1/2・((ΔP)^2/(ρc)=1/2・ρcξ’^2=1/2・ρc(ωξ)^2
ΔP:圧力振幅
ω:角周波数
ξ:変位振幅
ξ’:速度振幅=ω^2・ξ=ω√(2I/(ρc))
ρc:媒体の音響インピーダンス

凝集作用
Kundt実験
力学的作用
媒体中に超音波が伝達すると、懸濁粒子と媒体の振動振幅間には、
Xp/XM=(1+((πρ∫d^2)/(9μ))^(-1/2)となる。
Xp:粒子の振幅
XM:媒体の振幅
ρ:粒子の密度
∫:周波数
d:粒子の直径
μ:媒体の粘性係数
Φ:粒子と媒体の振動の位相差

エマルジョン乳化液高粘度の場合Davis式


We:限界ウェーバー数=((ρc・υ^2ω)/(γ/D+ηd・uin/D))
ρc:連続相に於ける密度
υω:乱流速度変動
γ:表面張力
D:液粒直径
ηd:分散相に於ける粘度
uin:(ρc/ρd)^0.5・u
u:外部の速度変動(ε・υc)^0.25

Kolmogorov(コルモゴロフ)の乱流長さと、速度基準を導入すると
Dmax:最大限界液粒直径~(ηd・ρd^0.5ε^0.25・ηc^0.25+γ)^0.6・ρc^0.2(ε")^0.4
ε”:比容積電力密度
ηd:分散相における粘度
ρd:分散相時の粘度

無次元的液粒直径D
D=Φ(ε)^0.4・ρc^0.2(ηd^(-0.5ε・0.25)・ρd^0.25・ηc^0.25+γ)^-0.6

マクロ・ミキシング時間:T
T=tηc/(ρcV^(2/3))・(dE/ds)^2(hs/ln)^0.5
Tt:受音波時間(容積に対する平均時間)
V:受音室容積
ds:ソノトロードの直径
ln:超音波フィールド近傍長さ=α((ds2∫/CL)
α:比例記号
hs:ソノトロードと液槽底の間の距離(高さ)

エマルジョン燃料の燃焼実験計算式

燃料消費量と熱効率
1.正味出力:Ne
Ne=((2π・L・wo・9.8・n/(60・1000))/0.7355 [PS]
L:動力計の腕の長さ[m]
wo:動力計水荷重[kgf]
n:機関回転数[rpm]
0.7355:換算係数[kwからps]

2.熱量に相当する正味出力:Qne
Qne=Ne/4.1868・3600 [kcal/h]
4.1868:換算係数[kJからkcal]

3.有効平均圧力:Pe
Pe=Ne/(π/4・D^2・S・(n/2)・(1/60)) [kgf/c㎡]
D:シリンダ内径[m]
S:ストローク[m]

4.燃料消費量:B
B=(50・10^-6・ρ/t)・3600 [kg/h]
t:50ccの燃料消費時間[s]
ρ:燃料の密度[kg/m^3]
 水分量を差しひいて換算

5.燃料消費量:b
b=B・10^3/Ne [g/ps/h]

6.全供給熱量:Qt
Qt=B・Hu/4.1868 [kcal/h]

7.正味熱効率:ηe 
ηe=Ne/Qt [%]

8.冷却水量:Gw
Gw=V/tw・ρ・3600 [kg/h]
V:冷却水一定水量 10L
tw:冷却水一定水量が流れるのに要する時間[s]
ρ:水の密度[kg/m^3]

9.冷却水損失熱量:Qw
Qw=Gw・Cw・(tw2-tw1)・0.2388 [kcal/h]
Cw:冷却水比熱[4.1186kJ/kg・℃]
tw1:冷却水入口温度[℃]
tw2:冷却水出口温度[℃]
0.2388:換算係数[kwからk]

10.冷却水損失率:ηw
ηw=Qw/Qt・100 [%]

11.吸気量:Gs
Gs=3.7・10^-3・ε・√(γ・P1・hn/101325)・3600 [kg/h]
ε:ノズル係数
γ:実験時の空気の密度[kg/c?]
P1:実験時の大気圧[pa]
hn:ノズル前後の圧力差[mmAq]

12.排気ガス量:Gg
Gg=Gs+B [kg/h]

13.排気ガス損失熱量:Qg
Qg=Gg・(Cpg・Cw)・(tot-toc) [kcal/h]
Cpg:排気タービン出口の排気ガスの等圧比熱[kcal/kg・℃]
Cw:冷却水比熱[4.186kJ/kg・℃]
tot:排気タービン出口温度[℃]
toc:吸気温度[℃]

14.排気ガス損失率:ηg
ηg=Qg/Qt・100 [%]

15.その他損失熱量:Qs
Qs=Qt-(Ne+Qg+Qw) [kcal/h]

16.その他損失率:ηs
ηs=Qs/Qt・100 [%]

燃料噴射率
ボッシュ長菅法(ノズル出口の管内圧力Pが比例する一次元単一波の理論に基ずく方法)
dQ/dt=f/(aρ)・P
dQ/dt:噴射率[m^3/s]
f:圧力測定部の管断面積[㎡]
P:圧力測定部の変動圧[pa]
a:燃料中の圧力伝播速度[m/s]=√(E/ρ)
ρ:燃料の密度[kg/m^3]
E:体積弾性率

乳化(エマルジョン)について

HLB指数
界面活性剤の親水性と親油性比をHLB指標で表す。非イオン界面活性剤のHLB(グリフィン式)は
HLB=20(MH/M)
MHまたはMw:親水基部分の分子量
MまたはMo:界面活性剤の分子量
HLB:1~5 界面活性剤は油中水型(W/O)
HLB:7~18 界面活性剤は水中油型(O/W)
Atlas社HLB式
HLB=7+11.7logMw/Mo

例題
界面活性剤A(HLB=4)とB(HLB=10)を用いて、要求HLBが8.5の油を水と乳化して乳剤をつくる。AとBをそれぞれ何%の割合で混合すればよいか。

解:4x+10y/x+y=8.5
4.5x=1.5y
x:y=1.5:4.5
1.5/(1.5+4.5)=0.25
4.5/(1.5+4.5)=0.75
x=25%  y=75% となる。

静電反発力による安定化
DLVO理論(2つの粒子が互いに近づくにつれ、それらにイオン雰囲気が重なりだし、反発力が発生することを説明する為にゼータ電位を用いる分散安定化理論)によると、粒子間に働く全ポテンシャルエネルギーVTは静電的反発エネルギーVRとファンデルワールス引力ポテンシャルの和で表される。
全ポテンシャルエネルギーVT=VR+VA
VR:2つの球粒子間に働く反発ポテンシャル=εaψo^2/2・ln(1+exp(-κH)
VA:引力ポテンシャル
ε:溶媒の誘電率
a:粒子半径
ψo:粒子表面の電位
κ:Debyeパラメーター=(8πnez^2/(εκbT))拡散二重層内の電位の変化状況を決める定数
H:2個の球状粒子の最近接表面間距離
n:表面から無限に離れた距離でのイオン密度
e:電気素量
z:イオン価
ε:溶媒の誘電率
κb:ボルツマン定数
T:絶対温度
引力ポテンシャル VA=-aA/(12H) または -A/(48πH^2)
A:Hamaker定数=n^2・π^2・β
n:単位体積当りの分子量
β:London定数

粒子の表面電位が高く、対イオン濃度が低い時には、VR線図(VRとVAとVTの関係を図で表したもの)の相互作用ポテンシャルエネルギー曲線にエネルギー障壁が現れる。その高さが粒子の熱エネルギー(κT)より大であれば凝集が起こらないが、イオン価の大きい対イオン濃度が増すと、VR線図は左側に偏寄する為エネルギーの障壁が減少しやがてゼロとなる。この点を臨界凝集濃度Ccという。V=0,dV/dH=0としてCcを式で
表すと、Cc=8・10^-22・(α^4/(A^2・υ^6))
であるから、α、Aの値を一定と考えると、臨界凝集濃度Ccは、対イオン価υの6乗に逆比例する。

オストワルドヴァルト熟成
乳化粒子中の油成分の連続相中への分子拡散は、小さな液滴中の成分ほど大きく、より大きな粒子へ凝縮して大粒子化が進むオストワルドヴァルト熟成がおこる。その効果を表したのがKelvin式である。

相図
相平衡図を用いた界面活性剤の油水中での溶解特性の把握する為の図で、与えられた条件(温度、圧力、濃度などの状態関数)の下で表現した図で、Gibbsの相律という基本的な法則に従う。自由度を規定する式で、相数をP、自由度をF、成分の数をCとすると、この系が平衡状態に或るときF=C-P+2の関係式が成立する。例えば一成分系として水の場合、水蒸気、水、氷の3つの相が平衡状態で共存しているときP=3、C=1であるからF=0となる。典型的な2成分系の相図を示すと縦軸は温度、横軸は成分A、Bの組成で軸の左端が成分Aのみ、右端が成分Bのみの条件となる。図の温度低い条件では部分的に相互溶解しており、溶解度曲線の内側は2液相、外側は1液相となっている。温度上昇により相互溶解度は増加し、ある温度(UCT・臨界点)に達するグラフ山頂点では完全溶解となる。2相領域に引かれた直線はタイラインと呼ばれる。タイライン上にある組成の系は2相に分離するが、分離したそれぞれの相の組成は、タイラインと溶解度曲線が交わる点の組成となる。臨界点では平衡状態にある2相の組成は同じになる。

分散
乳化は液体同士を混じり合わせるに対し、分散は液体と固体を混じり合わせることを行う。

粘性率と液状分散系の構造
Einsteinの式
相対粘度:ηret=η/ηo=1+aΦ
溶液の粘性率:η
連続相の粘性率:ηo
分散相の空隙体積分率:Φ

エマルジョンに於ける定数a及びbの値

a b エマルジョン
~5 W/O
2.3~2.8 ~9.7 W/O
2.6~5 ~8.5 O/W
2.1~2.3 O/W
2.3~3.2 W/O/W
定数:a=(ηo+5η’/2)/(ηo+η’)

分散相の空隙体積分率:Φ=c/ρs
粒子濃度:c
球状密度:ρs
比粘度:ηsp
還元粘度:(η-ηo)/ηsp/c=2.5/ρc

粒子が亜鈴状の場合、Simhaの式が用いられる。
(η-ηo)/ηo=3L^2Φ/2r^2
亜鈴状粒子長さ:2L
球の半径:r

研究課題

脱炭素化に向けての得策として、バイオエマルジョン燃料が内燃機関にどのような影響をもたらすか。最適なバイオエマルジョン燃料とは何か?内燃機関をバイオエマルジョン燃料使用にあたり、どのように改良しなければならないのか。そのような事柄を検証していくことが研究課題である。

乳化(エマルジョン)今後の役割



燃料
環境に優しい脱炭素化に向けて、クリーンで高品質なバイオエマルジョン燃料の製品化。

医療 標的治療(targeting)
癌治療の際、抗癌剤を全身投与した場合、漫然と投与し続ければ高率に副作用が発現するのは周知の事実である。もし抗癌剤を膜乳化法により病巣局所に集中させることが可能であれば、抗腫瘍効果の向上と抗癌剤による副作用の軽減となる。

食品
乳化剤を食の安全性の観点から化学的合成添加物を減らし、天然添加物の依存量を増やしていく乳化食品化。

化粧品
環境と安全性を考慮した自然素材の原料を使用する。ナチュラル/オーガニック化粧品の製品化。

気泡


ホイッピングに於ける平均気泡径
生成する気泡群の平均直径は操作条件と液物性の影響を受ける。
dbm=∫(d、u、μ、σ、ρ)
d:気泡棒直径[m]
dbm:算術平均気泡径[m]=∑(nidbi)/∑ni
ni:直径dbiをもつ気泡の数
u:起泡棒の運動速度[m・s^-1]
μ:液の粘度[kg・m^-1・s^-1]
σ:表面張力[N・m^-1]
ρ:液密度[kg・m^-3]

dbmを無次元化すると、dbm/d=∫’(We、Re、Fr)
但し、We=u^2dρ/σ、Re=udρ/μ、Fr=u^2/(gd)
g:重力加速度[m・s^-2]
We:Weber数
Re:レイノルズ数
Fr:Froude数

関数形で、みかけの定常状態に達した気泡群として求めると
dbm/d=0.552(We)^-0.725・(Re)^0.187・(Fr)^0.147となる。
粘度の影響については
u2/u1=(μ1/μ2)^0.193

泡沫層内の液流下
Haas and Johnsonの報文より
起泡操作停止後比較的短時間に起こる液流下についてのモデルである。
泡沫層内の気泡は図のように多面体の形になる。2つの気泡が接する薄膜中の液体と、3つの気泡が接する所に形成される”Plateau border”にある液体とに大別して考えると、Plateau borderの液は、薄膜部液より曲率が大なので、
PFilm-PpB≒Pb-PpB=σ/γpB だけ薄膜部液よりも静水圧が低い。
Plateau borderを通る流れを相当径δの垂直な毛菅流れで近似すると、Poiseuilleの式より
u=(ρg(1-ε)δ^2)/(32μ)
g:重力加速度
u:毛管内平均液流速
ε:泡沫層中の液体の体積分率
μ:液粘性
ρ:液密度
(1-ε):泡沫層の高さを毛管の有効高さに補正する項
液流下に関与するPlateau borderが単位断面積当りで占める面積率εPBは
εPB=n(1-ε)(π/4)δ^2
n:液流下終了状態に於ける単位断面積当りのPlateau border数

気泡を含んだ油の粘度
気泡のある油の粘度は実験によると、
μb/μ₀=1+0.015β
μb:気泡のある油の粘度
μ₀:気泡のない油の粘度
β:気泡の%

気泡のある油の体積弾性係数
気泡のある油についての実験結果によると、その圧縮は等温変化に近い、それは油が速やかに圧縮熱を吸収する為である。そのため等温体積弾性係数が用いられる。
βb:気泡のある油の等温体積弾性係数[kgf/cm^2]
βb=(β₀il(V₀il/Vair+210/P))/(Voil/Vair+210βoil/P^2)
βoil:油のみの等温体積弾性係数[kgf]
Voil:油のみの体積
Vair:気泡のある油の体積
P:気泡のある油の圧力[kgf/cm^2]

ミキサー保全計算式


ミキサーの振動
Nc:軸の固有振動数=60/2π・√(g/δ)[1/min]
δ:荷重点における荷重による静的撓み[cm]
g:重力加速度980[cm/sec^2]
We:翼等価重量=∑Wi(li/L)^3[kgf]
Ws:軸等価重量=33/140・q・L=0.236・L
q:軸の単位重量[kgf/cm]
L:軸の長さ[cm]
δ:軸先端撓み=((We+Ws)L^2(Ls+L))/(3EI)[cm]

ミキサー軸の軸封
グランドパッキン漏れ量
Q:漏れ量=π・d・s^3・ΔP/(12η・L)
d:軸径[cm]
s:軸とパッキンのクリアランス[cm]
ΔP:円筒両端の差圧[gf/c㎡]
η:流体の絶対粘度[gf・sec/c㎡]
L:パッキンの装備長[cm]

Q’:パッキン内部の浸透漏れ=K・(ΔP/L)A
K:流体の透過係数
液体[cm^3・cm/(kgf/c㎡)・sec・c㎡]
気体[cm^3・cm/atm・sec・c㎡]
A:透過部断面積[c㎡]
ΔP:圧力差[kgf/c㎡またはatm]

カップリング
フランジ型撓み軸継手
サイズの選定
原動機定格出力及びカップリング回転数からトルクを求め、これより荷重負荷を乗じて補正トルクを算出する。
Te:補正トルク=973.5・S/N・K≦T [kgm] ps単位に換算すると、Te=716・S/N・K
S:原動機定格出力
N:回転数[rpm]
K:荷重係数(表より参照)

ベルト
歯付きベルト
L:ベルト長さ=2C+1.57(Dp-dp)+((Dp-dp)^2/(4C))
C:軸間距離[mm]=(B+√(B^2-2(Dp-dp)^2))/4
Dp、dp:大、小プーリのピッチ径[mm]

ベルト幅の決定
Pr:ベルト幅25.4mmの基準伝導容量=0.5135・dp・n・(Ta-Tc)・10^-6 [kw]
Tc:ベルト幅25.4mmの遠心力=(ωV^2/g)
dp:小プーリピッチ径[mm]
n:小プーリ回転数
Ta:ベルト幅25.4mmの許容張力[kgf]
ω:ベルト幅25.4mmの長さ1m当りの重量[kgf]
V:ベルト速度[m/s]
g:重力加速度[m/s^2]
嚙み合い歯数による補正係数
Zm:小プーリ嚙み合い歯数=Z・φ/360°
φ:小プーリ接触角度=180°-((57°(Dp-dp)/C)
Z:小プーリ歯数
Dp:大プーリピッチ径[mm]
dp:小プーリピッチ径[mm]
C:軸間距離
ベルト幅の計算
Kω=Pd/(Pr・km)
Kω:ベルト幅の補正係数
km:噛み合い歯数による補正係数(表参照)
Pd:設計動力[kw]
Pr:基準伝動容量[kw]

ディーゼルエンジン技術


性能試験
T:軸トルク(Nm)は出力軸の回転力(モーメント)を表す。
T=F・r=9549・(P/N)
F:力の大きさ
r:回転半径
P:軸出力(Kw)はエンジンが単位時間に行う仕事を表す。
P=F・2πr・N/(60・1000)=T・N/9549
2πr:移動量
N:回転数

走行性能曲線図
走行性能曲線図は走行抵抗線図、駆動力線図及びエンジン回転速度-車速の関係を示したものである。走行抵抗線図は、車速ν[km/h]と走行抵抗R[N]の関係を示したものである。
走行抵抗R=Rr+Ra+Rg+Ri=μmgcosθ+1/2C・ρSν^2+mgsinθ+(m+Δm)as
μ:転がり抵抗係数
m:車両重量[kg]
g:重力加速度
θ:坂道勾配角[deg]
Cx:空気抵抗係数
ρ:空気密度[kg/㎡]
S:車両全面投影面積[㎡]
Δm:回転部分相当質量[kg]
as:前後方向の加速度[m/s^2]
Rr:転がり抵抗
Ra:空気抵抗
Rg:勾配抵抗
Ri:加速抵抗

車速に対する駆動力及びエンジン回転速度の関係
歯車式手動変速機 駆動力Fx=Te・im・if・ηt/γ
エンジン回転速度nと車速の関係はν=3πneγ/(25im・if)
Te:エンジンの軸トルク[Nm]
im:トランスミッションの変速比
if:ファイナルギャの終減速比
ηt:動力伝達効率
γ:駆動輪タイヤの有効半径[m]
ne:エンジン回転速度[rpm]

実際のP-V線図と平均有効圧力
ηg:線図効率=Pi/Pυ
Pi:内部仕事の平均有効圧力
Pυ:完全プロセスの平均有効圧力=ηυ・(Hu/(λ・Lmin))
Hu:燃料の発熱量[kJ/kg]
λ:空気の過剰率
Lmin:燃料1kgを燃焼させるのに必要な最小空気量[m^3/kg]

平均有効圧力とピストン速度
Pme:平均有効圧力=4πT/(1000・Vh)=(60・2・P/(Vh・N)
T:トルク[Nm]
Vh:排気量[m^3]
P:出力[kW]
N:回転数[rpm]
Cm:平均ピストン速度=2・S・N/60[m/s]
S:行程[m]
Pi:シリンダ当りの図示出力=Pme・Vh・N/α
α:サイクル当りのクランク軸回転数[rpm]

効率と燃料消費率
ηm:機械効率=(Pi-Pr)/Pi=Pe/Pr
Pi:図示出力
Pr:摩擦出力
Pe:軸出力
be:軸燃費率=mB/Pe[g/kw・h]
mB:単位時間当りの燃料量
bi:図示燃費率=mB/Pi=be/ηm[g/kw・h]
ηe:軸効率=ηυ・ηg・ηm
ηg:線図効率(ディーゼルエンジンでは0.7~0.9となる。)
ηυ:熱効率(完全機関の熱効率=∫(ε、Pmax)は、圧縮比と筒内最高圧力の関数)
ηi:図示効率=ηe/ηm=ηυ・ηg=3600/(bi・Hu)
Hu:燃料の発熱量
ε:圧縮比デーゼルエンジンでは11~22が一般的
Pmax:シリンダ内最高圧力(着火圧力Pz)は、過給なしのディーゼルエンジンでは50~75bar、過給付では100~180bar
ηth:理論熱効率=1-(1/ε^(κ-1)((ρ^κ・λ-1)/(λ-1+κλ(ρ-1))
ε:圧縮比
λ:最高圧縮比
ρ:締切り比
κ:比熱比

吸気効率と平均圧力
混合気発熱量Qm=Hu/(λ・Lmin)
必要な空気量λLn・Vh・(n/a)・ρn
図示平均圧力Pi=pi・Vh・n/a
Pe=λLn・ηe・(Hu/λ・Lmin)

燃焼サイクルの計算
圧力理論式
dQ=dU+APdV=d(GCυT)+APdV
ここで、PV=GRT AR=Cp-Cυであるから、
GCυT=CυPV/R=(A/(κ-1))PV
d(GCυT)=(A/(κ-1))d(PV)=(A/(κ-1))(PdV+VdP)
dQ=(A/(κ-1))(PdV+VdP)+APdV=(A/(κ-1))(xP(dV/dθ)+V(dP/dθ)

Q:ガスの受熱量
P:圧力
V:容積
R:ガス定数
Cυ:定容比熱
θ:クランク角度
U:ガスの内部エネルギー
G:重量
T:温度
Cp:定圧比熱
κ:比熱比
A:仕事の熱当量

筒内容積Vi及びその変化率(ΔV/Δθ)
Vi=Vc+(π/4)D^2・Si=Vc+(π/4)D^2γ((1-cosθi)+((sin^2・θi)/(2λγ))
(ΔV/Δθ)i≒(dV/dθ)=(π/4)D^2・γ(sinθi+((sin2θi)/(2λγ))
D:筒径
S:ピストン行程
Vc:隙間容積
γ:クランク腕長さ
λγ:連悍比

燃料噴射弁について
自動弁にかかる圧力
Po:弁座開口圧力=Ps/π/4(D^2-d^2)
Pc:弁閉鎖圧力=Ps/π/4D^2
Ps:ばね圧

自動弁の構造
噴口直径の概算
Nc:正味馬力
be:正味燃料消費率[g/psh]
n:回転数[rpm]
G:1回の噴射量[kg]
4サイクルとして、G=be・Ne/60・n/2・z・10^3=beNc/30nz10^3
2サイクルとして、G=be・Nc/60・n/2・10^3
別式でG=μ∫γ∫ωt
∫:噴口の面積[m^2]=G/μγ∫ωt=i・πd^2/4
z:気筒数
i:噴口の数
ΔP:噴射圧力差[kg/cm^2]
α:噴射クランク角
t:噴射時間[s]=60/n・α/360=α/6n
μ:噴射係数[0.85~0.95]
ω:噴射速度[m/s]=√(2gΔP・10^4/γ∫)
γ∫:燃料油の比重[kg/m^3]
d:噴射径=√(4∫/iπ)

噴射率の測定法
衝撃圧力波を利用する方法
燃料がノズルから油で満たされた測定管内に噴射されると、噴射量に相似の圧力波を生じるこの圧力波の変化を圧力変換器によりシンクロスコープ上に描かせる。この場合の関係式は衝撃波の理論から次式で表される。
q:噴射率=∫L/aq・P[cm^3/s]=1000/(6n)・(∫L/aρ)・P[mm^3/NW]
a:音速[cm/s]
∫L:管断面積[cm^2]
ρ:燃料密度[kgs^2/cm^4]
P:圧力[kg/cm^2]
n:カム軸の毎分回転数
NW:カム軸角度

[例題]4サイクル6気筒直接噴射式デーゼル機関において次の条件のもとで噴口径を定めるNe=300ps、300rpm、燃料消費率171g/psh、気筒内径280mm、行程450mm、圧縮比12.5、気筒数6、ΔP=285-35=250kg/cm^2、α=30°、γ∫=900kg/m^3、μ=0.9、噴口数i=6
[解] t=30/6・300=1/60s
G=171・300/30・300・6・10^3=0.95・10^-3kg
ω=√(2・9.8・250・10^4/900)=234m/s
∫=0.95・10^-3/0.9・900・234・1/60=0.301mm^2
d=√(4・0.301/6π)=0.25mm

ディーゼルエンジンの着火過程
ΔT=γ/(Lmin・cp)
γ:蒸発潜熱[kJ/kg]
Lmin:必要空気量[mn^3/kg]
cp:燃料の比熱
着火までの燃料温度は、T=TL-(TL-To)・e(3・α/(ρFl・cp・γo))/t
着火遅れts=(ρFl・γo・cp/(3・α))・ln(TL-To/(TL-Ts))
試験チャンバーを使って実験で求める場合はts=C・(e^(b/T)/P^n)
油滴の熱の受け方dQ=α・A・(TL-To)dt mFL・cpdT
mFl:油滴の質量[kg]
A:油の表面積
γo:油滴の外径
To:噴射時の油滴温度[℃]
TL:圧縮空気の温度[℃]
Ts:自己着火温度[℃]
α:油滴表面の熱伝達係数[kJ/㎡・s・k]
cp:燃料の比熱[kJ/kg・k]
t:時間[s]
ρFl:燃料密度[kg/m^3]
b=∑E/R
E:活性化エネルギー
R:燃料と空気との混合気ガス定数
T:温度
C:実験装置定数
n:定数
P:シリンダ内圧力

コンロッド
疲労強度
F:引張荷重=Wp/g・rω^2(1+r/L)
Wp:往復部分重量
r:ストローク/2
ω^2:角速度
L:大小短距離
座屈強度
コンロッドにおける座屈強度はジョンソン曲線(縦軸に実体品耐力/材料の耐力(%)横軸に
細長比)と式がほぼ一致する。
Wer:座屈荷重=Aσ(1-(σc/(4nπ^2E))λ^2)
σc:圧縮破断応力
n:両端支持条件
E:ヤング率

クランクシャフト
トルク変動
レシプロエンジンの場合、クランクピンの接線方向力とクランク半径の積が、クランク軸に作用するトルクである。
T=Pc・π/4・D^2・r(sinθ+ρ/2・sin2θ)WREC・r/g・ω^2(cosθ+ρcos2θ)
Pc:筒内圧[kgf/m^2]
D:ボア[m]
r:クランク半径[m]
ρ:r/1
l:コンロッド大小端間長さ[m]
WREC:往復運動部重量[kg]
ω:クランク角速度[rad/sec]
g:重力加速度[m/s^2]
慣性力
慣性力は、クランクピンおよびコンロッド大端部などの回転質量部分とピストンなどの部品の往復運動部分の2種類の部分から発生する。
FROT=WROT・rω^2/g
WROT:回転運動部重量[kg]
FREC=WREC/g・rω^2((e^(-iθ))+ρ(e^(i2θ)+e^(-i2θ))
V型エンジンの場合
ピストンが左右のバンクで異なる方向に運動するので次式になる。
FREC、L=WREC/g・rω^2(cos(θ+β/2+φ)+ρcos2(θ-β/2+φ))e(-iβ/2)
FREC、R=WREC/g・rω^2(cos(θ+β/2)+ρcos2(θ-β/2))e(-iβ/2)
β:バンク角[deg]
φ:クランクピンオフセット[deg]

アンバランス偶力
各スローの往復運動部重量によって発生する慣性力をクランクシャフト長手方向に見た時の偶力のつり合いである。
CALL=WRECr/g・ω^2・((A・e^(iθ+γi)+B・e^(-iθ+γ2))+(C・e^(i2θ+γ3)+D・e^(-i2θ+γ4))
1次の1項は((A・e^(iθ+γi)+B・e^(-iθ+γ2))はクランク回転方向と同方向の回転アンバランス偶力を表す。このアンバランス偶力はクランクシャフトに取り付けるカウンターウエイトのによってバランスさせる事が出来る。2項の(C・e^(i2θ+γ3)+D・e^(-i2θ+γ4))は、
クランク回転方向と逆方向の回転アンバランス偶力を表す。クランクシャフトとは反対方向に回転するバランサが必要となる。
1次逆回転方向の偶力についてのクランクピンオフセット量aは、
a=(90°-β)・2
β:バンク角

ベアリング
動荷重における滑り軸受の油膜特性は、流体潤滑の基礎式である。レイノルズ方程式により
∇(h^3/η・∇p)-6(U/R・(∂h/∂θ)+(2∂h/∂t))=0
h:油膜厚さ=C(1-εx・cosθ-εγsinθ)+Lp
t:時間
η:潤滑油の粘度
p:油膜圧力
R:軸の半径
U:2面の相対滑り速度
θ:円周方向の座標系
C:半径クリアランス
L:コンプライアンスマトリックス
ε:偏心率

連結装置
流体トルクコンバーター
トルクコンバーターにはオイルが充填されており、オイルの流体力によってエンジントルクを伝達する。この装置は、エンジンとドライブトレイン構成部品の回転数の差を補正する為車両の発進機能として最適である。運動エネルギーはインペラにより流体エネルギーに変換され、タービン内で運動エネルギーに再変換される。インペラ入力トルクMp及び、入力動力Ppは、以下のように算出する。
Mp:インペラ入力トルク=λρD^5・ωp^5
Pp:入力トルク=λρD^5・ωp^3
λ:性能指数
ρ:媒体密度(作動液の場合、約870kg/m^3)
D:油圧回路の直径[m]
ωp:インペラ角速度
トルクコンバーターは流体機械の性質として、
T₁=K₁n₁^2・D^5 T₂=K₂n₁^2・D^5
t=K₂/K₁ η=t・e=(K₂/K₁)e
n₁:入力軸回転速度[s^-1]
n₂:出力軸回転速度[s^-1]
T₁:入力軸トルク[N・m]
T₂:出力軸トルク[N・m]
D:ポンプ羽根車外径[m]
e=n₂/n₁:速度比
t=T₂/T₁:トルク比
K₁,K₂:比例係数

トルクコンバーターの特性と設計
特性解析法
トルクコンバーター内の液は回路を還流して初めの状態に戻るから、定常状態では各羽根車から液に与えられるトルク総和は0となる。
i番目の羽根車が液に与えるトルクTlは次のようになる。
Tl=ρQΔ(rυu)t
ρ:液密度
Q:単位時間に羽根車を通過する液の体積(流量)
Δ(rυu):羽根車出口と入口における絶対速度のモーメントの差
添字:₁入口 ₂出口
Δ(rυu)l=(rυu)l₂-(rυu)l₁
羽根車が液に付与するヘッドH=Tω/(ρgQ)=(1/g)・Δ(uυu)
g:重力加速度
ω:羽根車回転速度
u:羽根車周速=rω
エネルギー式(1/g)∑Δ(uυu)l-∑hL=0
hL:回路内の還流における全損失ヘッド

トルクコンバーターの特性計算式
1番目の羽根車をポンプに選び、これを基準の羽根車とし、
ω₁:ポンプ回転角速度
ωi:i番目羽根車回転角速度
r1₁:ポンプ入口半径
r1₂:ポンプ出口半径
ri₁:i番目入口半径
ri₂:i番目出口半径
αi₁:i番目羽根車入口直後における相対流れの子午面となす角(近似的には羽根角度)
αi₂:i番目羽根車出口直後における相対流れの子午面となす角
Ti:i番目羽根車が液に与えるトルク
c:流速の子午面成分
A:流路面積
ρ:液の密度
e:速度比=ωi/ω₁
β:循環速度=c/(r1₂ω₁)
τi:トルク係数=Ti/(ρar1₂^5・ω^2) β((ρl₂el-βκl₂)ρl₂-(ρl-1₂el-βl-1₂)ρl-1₂)
ρl₁:半径比
α:流路面積数=A/r1₂^2
κl₁:流れの羽根角度数
λ=7Re^-0.25
Re:レイノルズ数=cd/ν

トルクコンバーターの設計要領
⑴流路をいくつかに分割し、各分割流路で作られる部分トルクコンバーターの合理的な羽根形状を決める。
⑵流路幅にわたっての流速分布を適当に仮定し、平均流線上の羽根角度から流路幅にわたっての羽根角度分布を求める。なおトルクコンバーターは、ターボ式のポンプとタービンの組合せであるから、まずは比速度を計算する。
ns:トルクコンバーターのポンプ部比速度=53α^0.5・β^(5/4) [rpm,m,m^3/s]
ns':タービン部の比速度=nse(ρηγ/102)^0.5 [rpm,m,kw]
ηp:ポンプ部の水力効率
ηγ:タービン部の水力効率
トルクコンバーターの特性試験結果が予想特性から多少外れた場合には、いずれか一つの羽根車の角度を変えることが有効で、回転と逆方向に寝かせてやれば失速トルク比が増大する尚、それに応じて失速点付近の入力軸トルク係数が減少するので、あまり極端な修正を行うと最高効率が低下してしまう。

吸気
レゾネータ
エアクリーナーの容積だけで吸気騒音の消音効果が改善できないときは、エアクリーナーやエアダクトの途中にレゾネータを設定することが多い。レゾネータの種類については下記の種類がある。
1.ヘルムホルツ型
ヘルムホルツ型のレゾネータの共鳴周波数は次式で求めることができる。
∫=C/2π・√(S/VL)
C:音速
S:連通パイプ断面積
V:レゾネータボリューム(容積)
L:連通パイプ長さ

2.同軸型の共鳴周波数
∫=C/2π・√(Co/V)
Co=nπα^2/L
C:音速
α:穴の半径
L:穴の長さ(板厚)
n:穴の個数

3.サンドブランチ型の共鳴周波数
∫=C/4L
C:音速
L:サイドブランチ長さ
拡張型レゾネータの最大減衰量の周波数の算出式
∫=C/4L(2n+1)
C:音速
L:拡張部軸方向長さ
n:0,1,2・・

吸気慣性効果
吸気行程においてピストンが上昇し、シリンダ内に吸入空気を吸気管に吹き返してしまう。そのタイミングで反射された正圧波がバルブ位置に来ると吹き返しが抑制され、体積効率が向上する。この効果を吸気慣性という。
慣性効果の要因
∫=α/(2π)・√(A/(VL))・(1/2)
∫:周波数
V:行程容積
A:吸気管断面積
L:吸気管長さ
α:音速

デーゼル機関の過給
過給による出力増加
E:1サイクルの供給燃料[kg]=ηυVhγs/λLo
Vh:工程体積
ηυ:体積効率
We:1サイクルの有効仕事[kgm]=ηeHuE/A
ηe:正味熱効率
Pe:正味平均有効圧[kg/m^3]=We/Vh=ηe・Hu・E/(ALoλ)=ηeηυ・Huγs/ALoλ=κ・γs
γs:吸気の比重量[kg/m^3]
Lo:最小必要空気量[kg/kg]
λ:空気過剰率
Hu:燃料の低発熱量
A:仕事の熱当量1/427 [kcal/kgm]
Ne:正味出力=z・PeVh・n/C
z:気筒数

[例題] 圧力P1=1kg/cm^2、温度T1=288Kの空気を圧力P2=2kg/cm^2に圧縮した場合の密度比γ2/γ1を求めよ。但し断熱圧縮とする。また断熱効率80%としたときはどうなるか

[解] κ=1.4として、T2=T1(P2/P1)^((κ-1)/κ)=288・1.22=351K
次にηad=0.8を下記式に代入して
γ2/γ1=P2/P1・((1/(1+1/ηad((P2-P1)^((κ-1)/κ)-1)=1.57

エンジン性能修正値(ガソリンエンジンとの比較) JIS D 1982 による。
ガソリンエンジン
κ=(Po/P)^1.2・(t/to)^0.6
κの適用範囲
80≦P≦110kpa
288≦t≦308K
で、かつ 0.93≦κ≦1.07

ディーゼルエンジン
κ=(∫a)^∫m
無過給エンジンの場合
∫a=(Po/P)・(t/to)^0.7
排気タービン過給の場合
∫a=(Po/P)^0.7・(t/to)^1.5
∫m=0.036(q/γ)-1.14  (40≦q/γ)
  =0.3        (q/γ<40)
  =1.2        (q/γ>65)
κの適用範囲
80≦P≦110kpa
283≦t≦313K
で、かつ 0.9≦κ≦1.1

κ:出力修正係数
Pa:全大気圧[kpa]
P:乾燥大気圧[kpa]
t:吸込み空気温度[K]
to:標準吸入空気温度(298K)
∫a:大気係数
∫m:空燃比係数
q:燃料供給量、mg/l・サイクル
γ:過給機の圧縮機の圧力比
 無過給の場合(γ=1)
 過給の場合 (γ=P2/P1)
P2:過給機前圧力 [kpa]
P1:過給機後圧力 [kpa]

Wa:シリンダ内の空気量=Pm・Vcy1・ηvol/(R・Tin)
Vcy1:エンジン排気量
Pin:インテークマニホールドの空気圧力
Tin:温度
ηvol:容積効率

ηtm:タービン効率=Lc/(Wg・Cpg・Tt(1-(1/πt)^((κ-1)/κ))
Lc:圧縮機の駆動力=Wa・Cpa・Ta(πc^((κ-1)/κ)-1)/ηc
Cpa:空気の定圧比熱
πc:圧縮機圧力比
Wg:ガス流量
Ta:圧縮機入口温度
ηc:圧縮機効率
Cpg:ガス定圧比熱

遠心圧縮機
理論揚程Hthと駆動力Lの関係式
Hth・g・W=W((1-μ)U2^2+U2Cr2tan(β2b))=-L
L:駆動力=WCpTco1/ηb・((π^(κ-1)/κ)-1)
β2b:インペラ出口羽根角度
g:重力加速度
W:質量重量
μ:滑り係数
Tco1:圧縮機入口温度
Cp:定圧比熱
ηb:圧縮機効率
κ:比熱比
NS:比速度(ターボ機械形式を表す物理量)=N√Q/(CpTo1(π^((κ-1/κ)-1))^(3/4)
Q:流量
N:回転数

タービン
修正流量(Ps>Pcrの場合):W√(Tω1)/Pω1=A√((2κ/(κ-1))(1/R)((P5/Pω1)^(2/κ)-(P5/pω1)^((κ+1)/κ))
修正流量(Ps<Pcrの場合):=A√((2κ/(κ-1))(1/R)((2/κ+1)^(2/κ-1)-(2/κ+1)^((κ+1)/(κ-1)))
Tω1:タービン入口温度
Pω1:タービン入口圧力
P5:タービン出口圧力
Pcr:臨界出口圧力
A:ノズル喉部面積
R:ガス定数
πcr:臨界圧力比
M:マッハ数=ND4π/60/(√κRTω1)=N/√Tω1・((D4π/60)/√(κR))

冷却装置
液体冷却法
水冷機関からの放熱量
Q:毎時放熱量[kcal/h]=φbeNeHu/1000
Ne:正味馬力[ps]
be:正味燃料消費量[g/psh]
Hu:燃料低発熱量[kcal/kg]
φ:燃料の全発熱量中冷却水に奪われる熱量の割合(20~30%)
Gω:毎時冷却水量=Q/Δt

空気冷却法
空冷機関の放熱量Q[kcal/h]=φabeNeHu/1000で、φa(燃料の全発性熱量に対する冷却装置によって持去る熱量の割合)が水冷より小さく15~25%である。
冷却面積
Qa’:シリンダ外面から冷却空気への伝熱量[kcal/h]=αF(tm-ta)=αFΔt
tm:平均シリンダ表面温度[℃]
F:冷却面積
ta:冷却空気入口温度[℃]
Δt:(tm-ta)
α:熱伝達係数[kcal/m^2h℃]空気速度20~40m/sとしてα=100~140
F:総放熱面積[cm^2]=C・DLNe^2/Vh
D:シリンダ内径[cm]
Ne:正味馬力
Vh:行程体積[l]
L:行程[cm]
C:定数 C値は機関形式により異なり、次の値をとる。
単列星形機関C=0.016~0.024
直列型機関C=0.04
小型2サイクル機関C=3.4~3.8
小型サイクル機関(ファン付)C=2.7~3.3

冷却用送風機の動力
Qa:放熱量[kcal/h]
Va:冷却空気量[m^3]=Qa/γaCp(t2-t1)
γa:空気の比重量[kg/m^3]
Cp:空気の比熱[kcal/kg℃]
(t2-t1):空気の出入口温度差(50~60℃)
ΔP:全風圧水頭[kg/m^2] mmAq (自動車機関で≒300mmAq)
η∫:送風機効率[≒66%]
N∫:送風機駆動馬力=Vn・ΔP/75・η∫・3600

ディーゼルエンジンの騒音
ディーゼルエンジンは燃焼ガス圧力が高く、着火後の圧力比も大きい為に燃焼騒音の寄与率が高い。騒音は燃焼騒音と機械騒音からなり、燃焼騒音は、燃焼ガス圧力に相関がある。
Ic:燃焼騒音の強さ=K・Ip
Ip:燃焼ガス圧力の強さ
SAL:構造減衰量=10 log1/K
T.Priedeらの簡易式
SPL:騒音レベル[dB]=50 logD+30 logNe+α
D:シリンダ内径[mm]
Ne:エンジン回転数[rpm]
α:燃焼方式などによって決まる係数
音源が単位時間に放出する音のエネルギーを音響出力Eといい、パワーレベルとして次式で定義される。
PWL=10 log10(E/Eo) [dB]
Eo=10^-12  [w]
音源の強さPWLは、直接計測出来ないので、SPLと音源までの距離r及び周囲の環境条件から算出する。例えば、音源が自由空間にあるときは、
PWL=SPL+20 log10r+11 [dB]

潤滑油
油によって潤滑されている回転軸とそれを支持する軸受間について考えると、軸半径r、軸と軸受隙間をδ、軸の周速度をuとすると、摩擦力F=η・u/δ また摩擦係数をμ、軸受荷重W、軸投射面積A、軸受出力Pとすればμ=F/W=F/APとなり、また軸回転数をnとすれば
u=2πrnとなるからμ=1/δ・ηu/AP=2πrηn/δAPとなり、δ/rを一定とすれば、μ∝ηn/Pとなる。
流体潤滑範囲に於ける摩擦係数には次の実験式を使う。
μ=c1ηn/Pψ+c2
ψ=δ/r
c1:定数
c2:定数
この場合の発熱量をHとすると、
H∝μPu
H=c3ηu^2/ψ+c4Pu
c3:定数
c4:定数

潤滑油と温度の間には、一般に次の関係式が成立する。
loglog(ν+0.7)=A+B・logT
ν:動粘度[mm^2/s]、 T:温度K、 A、B:潤滑油による定数
粘度の温度による変化の度合の尺度として粘度指数(VI)が用いられている。VIが大きいほど温度による粘度の変化は小さい。また潤滑油粘度は圧力の増加に伴い指数関数的に増加し、圧力P及び大気圧での粘度を各々ηp及びηoとすれば、
ηp=ηo・exp(αp) Barusの式
α:潤滑油粘度の圧力係数

鉱油系潤滑の高圧粘度の推定式(Roelandsの式)
log(ηp/ηo)=(P/(5.066・10^7))^y・((0.002CA+0.003CN+0.055)(3+logηo)+0.228)log(Y-0.89)=0.00855(CA+1.5CN)-1.93
P:圧力[pa]
η:粘度[pa・s]
CA、CN:潤滑油を構成する炭化水素中の全炭素数に対する芳香族炭素数及びナフテン炭素数の割合を百分率で表したものである。
一般に温度による粘度変化の大きい潤滑油は、圧力による変化も大きい傾向にあり、パラフィン系に比べてナフテン系炭化水素の方が圧力による温度変化は大きい。鉱油では、1℃の温度変化による粘度変化は、1.5~4MPaの圧力変化をもたらす粘度変化にほぼ等しい。
また鉱油の密度も圧力上昇と共に増加する。圧力に対する密度の変化は、圧力P及び大気圧での密度をρpとρoとすれば、0.4GPa以下の圧力に対して次式で精度よく近似できる。
ρp/ρo=1+(0.58P・10^-9/(1+1.68P・10^-9))

潤滑油蒸発とエンジンのライナ壁面(燃焼室内熱伝達率の影響)
油膜蒸発量の解析
ピストンの下降に伴いライナ表面に付着したオイルの蒸発について、油膜表面におけるエネルギーバランスは、q₁-q₂=q₃+q₄ ① で表される。
q₁:燃焼ガスから対流による熱流束
q₂:油膜蒸発熱流束
q₃:油膜内部エネルギの変化
q₄:ライナ壁に移動する熱流束
蒸発に直接影響を与えるライナ表面に付着したオイル温度Tは燃焼ガスから油膜、ライナ壁を経て冷却水の熱移動を考え、次式の非定常一次元熱伝導式を用いて解析する。
ρC(∂T/∂t)=κ(∂^2・T/(∂x^2) ②
ここで、エネルギーバランスから温度境界条件として次式を設定する。
x=X₀ -κ(∂T/∂t)=q₁-q₂ ③
x=0 T=TL  ④
燃焼ガスから対流によりオイルに流入する熱流束q₁は次式で求められる。
q₁=hg(Tg-Tx=X₀) ⑤
また、オイル表面から蒸発する熱流束q₂=Lv・dm/dt ⑦
蒸発熱Lvはオイル表面温度や臨界温度の関数で表される。蒸発速度dm/dtは質量伝達数、
拡散係数、混合気体の密度、拡散境界層厚さの関数である。
また、オイル表面から蒸発する熱流束q₂は、
q₂=Lvdm/dt ⑧
Lv:蒸発量
dm/dt:蒸発速度=hg/Cp・ln(1-Ys/(Ys-1))
Ys=1/(1-(1-Pg/Pls)(Wgas/Wls))
hg:熱伝達率
Cp:雰囲気ガスの比重
Ys:界面における質量分率
Pg:雰囲気圧力
Pls:オイルの飽和蒸気圧
Wgas:雰囲気ガスの分子量
Wls:オイルの分子量

Cp:雰囲気ガスの比重
300K<Tg<1000Kの場合
Cp=(3.653-1.337e-3・Tg+3.294e-6・Tg^2-1.911e-9・Tg^3+0.275e-12Tg^4)Rg

1000K<Tg<3000Kの場合
Cp=(3.653-1.337e-3・Tg+0.488e-6・Tg^2-0.085e-9・Tg^3+0.0057e-12Tg^4)Rg

燃料
着火性
セタン指数は、蒸留性状や密度から求められる計算値であり、以下の式により算出できる。
セタン指数=45.2+(0.0892)(T10N)+(0.131+0.901B)(T50N)+(0.0523-0.420B)(T90N)+(0.00049)((T10N)2+107B+60B2
ここで、
B=exp(-3.5(D-0.85))-1
D=密度 15℃に於ける。
T10N=T10%-215
T50N=T50%-260
T90N=T90%-310
国内の軽油のセタン価は55程度である。

エンジン内部流動計測

レーザ・ドップラ流速計(LDV)
LDVの基本原理は、流体中に混入した粒子に当たったレーザ光がドップラ効果によって周波数に変化を生じる現象に基づいている。空気の場合1~0.5μmぐらいの粒子径が適当である光の周波数は高いので2つのレーザ光を公差させて、ビート周波数を検出するのが一般的である。ほぼ同じ強度の2つのビームがxy座標の原点付近で公差すると、干渉縞が生じ混入した粒子が縞の明部にあるとき散乱光が強く、暗部の時弱い、散乱光強度変化の周期∫dは、
∫d=Vy/D∫ となる。Vy:粒子速度の干渉縞に垂直な方向成分、D∫は縞の間隔とする。
2つのビームの波数ベクトルをK1、K2、粒子速度をVとすると、ドップラの原理から、
2π∫d=(K2-K1)・V=2K1(sinθ/2)Vg、但し、K1=2πn/λ、K1=K2、λ:入射光の波長
n:気体屈折率
以上より、D∫:縞の間隔=λ/(2πsinθ/2)となる。
Dm:ビームの最小径=4∱aλ/(πDb)
∱a:レンズの焦点距離
Db:ビームを絞る前の径
θ:公差角

内燃機関排ガス測定


排気ガス水分量測定
アスマン法による検定
蒸気圧e(mb)=e’s-KP(t-t')
K(アスマン0.00066、サーミスタ0.0008)
蒸気圧より、混合比r=0.622e/(P-e)
水分量Xw(%)=1.24・100/(771.93+1.24r)

塩カル法による検定
ガス中の水分を塩化カルシウムに吸収する方法Zw=1.24m・100/(V・(273+θ)+1.24m
m:吸収水分の重量[g]
V:乾燥空気量[ℓ]
θ:ガス温度[℃]

排気ガス密度γ=((CO2%/100・44+(N2%/100・28+(100-CO2%-N2%-X)/100)・32+(Xw/100)・18))/(273+t)/273)

車両のセンサー

振動ジャイロメータ
車両のヨー軸周りの絶対ヨーレートΩを測定するセンサーで、原理は回転運動時に振動運動と共に発生するコリオリ加速度を用いる。
α:振幅=2・υy・Ωz
υy:速度
Ωz:ヨーレート

加速度センサーと振動センサー
加速度センサーは質量mに作用する力を測定し、加速αを求める。加速度センサーはスプリングが用いられる。つまり、慣性質量は測定する物体に弾性結合されている。静的状態では加速度は変位量xに対応する復元力と均衡する。
F=m・α=c・x
c:バネ定数
このシステムの測定感度Sは、S=x/α=m/c つまり、大きな慣性質量と剛性(バネ定数)に小さなスプリングを組み合わせると測定感度が高くなる。この系の共振周波数ωo=√(c/m)となる。また測定感度と共振周波数の間には以下の関係がある。
Sωo^2=1 共振周波数が2倍になると、感度は1/4に低下する。減衰係数は次式のようになる。D:減衰係数=P/(2c)・ωo=p/(2・√(c・m))

体積流量センサー
ダクト内流れは、体積流量Qv=υ・Aと質量流量QM=ρ・υ・Aとなり、オリフィスプレート前後で圧力差が生じる。この圧力差Δpは質量流量と体積流量との積に比例する。
Δp=ρυ^2∝Qv・QM
体積流量センサーは流れの中に障害物を置くと、下流側の一定距離の位置でカルマン渦が発生する。この時、周辺部で圧力、音波の計測を行うと、渦列の周期信号が得られる。周波数は次式で表す。∫:周波数=1/T=定数・Qv
Qv:体積流量

酸素濃度センサー
燃料計量システムは、O₂センサーで検出した排気ガス残留酸素含有量を用いて、空気過剰率λ=1の達成に必要な空燃比を正確に調整する。ZrOセラミック材の固体電解質は300℃で酸素イオンを通す電気的導体に変化し、センターの端子にガルバニ電荷(ネルンスト電圧)Usが発生する。端子は白金の多孔質圧膜ででき、セラミックスピネル層でコーテイングされている。
Us:ガルバニ電荷=RT/(4F)ln(po”₂/po’₂)
po₂:酸素分圧
R:気体定数
T:絶対温度
F:ファラデー定数

温度センサー
センサー素材の温度係数
センサー素材   温度係数TC      測定範囲
Ni       5.1・10^-3/k     -60~320℃
Cu       4.1・10^-3/k     -50~200℃
Pt       3.5・10^-3/k     -220~850℃
TC:温度係数=(R(100℃)-R(0℃))/(R(0℃)・100K)=α100
R:抵抗
K:絶対温度

光電センサー
光は、光量子(光子)の流れの集まりである。光子のエネルギーEphは、その周波数∫又は、波長λにのみ依存する。
Eph=h・∫=h・c/λ
h:プランク定数
光子の放出に必要なエネルギーは、原子の価電子帯のエネルギーレベルEvと伝導帯レベルELの差、つまりバンドギャップEgに等しい。
Eg=EL2Ev

油脂の知識

植物油の抽出
植物種から液相への抽出は十分迅速で内部拡散過程を阻害しないと考えて拡散法則を適用すると、一定濃度で抽出する場合に対して次式が適用できる。
E:残油率=ω/ωo=8/π^2・exp(-Dπ^2・θ/(4L^2)
ω:抽出開始後時間θにおいて残存する抽出量
ωo:始めに抽料中に存在した抽出量
D:拡散係数
θ:抽出時間
L:平板の厚み
θを抽出速度の指数として、厚みLとの関係を求めると次式のようになる。
θ=KL^n
ここで、K、n:定数、L:厚み

        n    K
綿実      1.5  35~67
大豆      2.2  1~3.5
ピーナッ    2.5  0.12

抽出流中のモル分率の求め方は不溶性固体の各モルが底流中で1モルの溶液を含んでいるとする。これは底流中のどこにおいても不溶性固体が含んでいる溶液のモル%が一定であることを意味し、直角三角線図(原点:担体、縦:抽材、横:抽質)の斜辺に平行な直線で表される。不溶性固体のモル数/抽剤のモル数=1/Kとなり、xc=不溶性固体のモル数/(抽剤のモル数+不溶性固体のモル数)=Lxc/(KLxc+Lxc)=constとなる。

酸価(AV)
油脂1gの中に存在する遊離脂肪酸を中和するに要する水酸化カリウムのmg数をいう。天然油脂ではトリグリセライドが分解して多少の脂肪酸が生成するその脂肪酸の大小を示す値である。
酸価から脂肪酸含量を求める時、一般の植物油ではオレイン酸%で表すのが便利である。
オレイン酸%=AV・0.5
オレイン酸以外の脂肪酸が多い場合
脂肪酸%=AV・(脂肪酸の分子量/56.1)・(1/10)

けん化価(SV)
アルカリで油をセッケンとグリセリンに分解することをけん化するといい、けん化価とは油脂1gを完全にけん化するのに要する水酸化カルウムのmg数をいう。
例えば、ある油脂中の不けん化物が4.5%でけん化価が180であったとき、純油脂100-4.5
=95.5%となり、
純油脂のけん化価=180/0.955
油(トリグリセライド)の分子量MT=56108・3/(SV)式より、
MT≒893
脂肪酸の分子量=(トリグリセライドの分子量-グリセリンの分子量)/3=(883-38.01)/3
≒285

アルカリ精製
アルカリの使用量を考えると、例えば脂肪酸含量1%の綿実油を16°Be’のカセイソーダ0.3%過剰で精製する時、そのアルカリ溶液使用量Y%は、
カセイソーダ溶液使用量Y%=(脂肪酸含量%・∫+過剰量%)/(アルカリ濃度%/100)
但し、∫=カセイソーダの分子量/脂肪酸の分子量
脂肪酸をオレイン酸と考えると、その分子量は282であるから、
∫=40/282=0.142
また、16°Be’のカセイソーダ溶液の濃度は11.06%であるから、
Y=((1・0.142)+0.3)/(11.06/100)=4%
16°Be’のアルカリ溶液を原油100kgに対して4kg用いればよい。
この時のアルカリ過剰率E%
E%=使用した全アルカリ量/脂肪酸の中和に必要なアルカリ量)=(1・0.142+0.3)/(1・0.142)=310%
油の酸価がわっていれば、アルカリ溶液使用量Y%が求められる。
Y%=(AV・0.0713+過剰量%)/(アルカリ濃度%/100)

脱色
白土使用量
油脂の脱色は白土の吸着表面と色素との親和力による吸着現象であると考えられ、次式が成立する。
x/m=KC”
x:吸着された色素の量
m:吸着剤の量
C:吸着されないで油中に残っている色素
K、n:定数
白土量が増えれば吸着量も増え、油の色素量が多いほど吸着色素量も大となる。
log(x/m)=logK+nlogC

脱臭
脱臭は真空水蒸気蒸留の一種であって、水蒸気の吹込量も脱臭条件の一つである。脱臭すると油の色は淡くなり、酸化物は分解除去されAOM安定度もよくなる。有臭成分だけではなく遊離脂肪酸も取り除かれ、その酸価は0.2以下となる。
水蒸気吹込量と脱臭損失
水蒸気を吹込むとその水蒸気分圧と脂肪酸の蒸気分圧の和が脱臭時の真空度となり、留出する脂肪酸の量は分圧に比例する。
WB/Ws=MB・pB/(18・ps)=284/18・((EPB/(π-EPB))
WB:留出物の重量
Ws:吹き込んだ水蒸気重量
MB:留出物の分子量(C18として284)
pB:留出物の分圧
ps:水蒸気の分圧
PB:留出物の蒸気圧
E:蒸気効率(通常0.6~0.7)
π:系内の圧力

ディ-ゼルエンジンのシュミレーション

エクセルに式を代入して求める。
統計的実験モデルを適用したディーゼル燃焼モデルの構築
実験条件
Engine speed
機関回転数 2000 rpm
Total injection quantity
総燃料噴射量 29.4 mg/str
Pilot injection quantity
パイロット噴射量 1.5~3.5 mg/str
Pilot injection interval
15 deg
Main injectiontiming
メイン噴射量 -1~7 deg.BTDC
Rail pressure
コモンレール圧力 100~160 Mpa
Fresh air quantity
蒸気量 550~660 mg/str
Boost pressure
過給圧 125~145 kPa

0次元2領域噴霧・燃焼モデル
熱発生予測モデル
累積加熱量:Q
Q/Qfuel=1-exp(-6.9(θ-θig/θb)^(m+1))  式1
Qfuel:供給熱量
θ:クランク角度
θig:燃焼開始時間
θb:燃焼期間
m:適合パラメータ
η:燃焼効率
dQ/dθ:熱発生率=6.9*((ηQfuel/θb)(m+1)(θ-θig/θb)^m*exp(-6.9(θ-θig/θb)^(m+1)) 式2

ディーゼル燃焼における熱発生率を再現する際、2つのWiebe関数を組み合わせることが一般的である。
パイロット噴射及びメイン噴射の2段噴射を想定し、図3にWiebe関数を用いた際の熱発生率を算出する。
dQ/dθ:熱発生率=∑3~i=3*6.9*((ηQfueli/θbi)(mi+1)(θ-θigi/θbi)^m*exp(-6.9(θ-θigi/θbi)^(m+1)) 式3

式3と式4の誤差二乗和が最小となるようにWiebe関数におけるすべてのパラメータを同時に決定する。
dQ/dθ=(1/κ-1)*V(dP/dθ+κ/(κ-1)*P(dV/dθ)-((PV/(κ-1)^2*(dκ/dθ) 式4
P:筒内圧力
V:燃焼室容積
κ:比熱比

噴霧モデル
燃料の半径方向濃度分布をもとに噴霧領域を3分割し、噴霧領域内の不均一性を考慮している。
噴霧外周部:r0
噴霧中心:0
領域Ⅰ:0~ro/3
領域Ⅱ:ro/3~2ro/3
領域Ⅲ:2ro/3~ro

c/cm=1-1/2(r/rb)^(3/2) 式5
c:燃料濃度
cm:噴霧中心軸における燃料濃度
rb:半径幅=2^(2/3)*r0=(2/3)r0 式6
0:噴霧外縁濃度
S:噴霧先端到達距離
S=0.39*√((2ΔP)/(ρf))  (0<t≦tb)
S=2.95*(ΔP/ρa)^(1/4)*√(d0t)  (tb<t≦tmj)  式7

ΔP:噴射差圧
ρf:燃料密度
ρa:雰囲気密度
d0:噴射孔
t:噴射開始からの時刻
tb:分裂長さ=28.65*((ρfd0)/(√ρaΔP)  式8
tmj:噴射期間
vup:噴霧先端速度
cD:抗力係数
Atip:噴霧先端断面積
M:噴霧速度
Δvup/Δt=-cD*Aup*((ρav^2up)/2M)  式9

尚、全ての噴霧領域で噴霧先端到達距離は等しいとする。
ここで、噴霧領域の体積は噴霧形状を円錐形と仮定する。
α:噴霧角=0.05((ρaΔP0^2)/μa^2)^(1/4)  式10
μa:雰囲気の粘性係数
Vsoray:噴霧体積=π/3*S^3*tan^2*(α/2)  式11
Ga:空気導入量=((2Gftanα/2)/(√(Cc))*√(ρa/ρf)*(s/d0)  式12
Gf:燃料質量
Cc:噴射ノズルの縮流係数

さらに、多段噴射における噴霧間干渉及び、筒内流動による空気導入を考慮し、筒内現象を図ると、
((dGa/dt)interact=Vmain/Vpilot*Gpilot  式13
((dGa/dt)interact=A*Vp^2  式14
Vpilot:パイロット噴霧領域の体積
Vmain:メイン噴霧領域の体積
Gpilop:パイロット噴霧領域の質量
A:モデル定数
Vp:ピストンの平均速度

燃焼モデル
dGb=((dQ)/(LHV))
dQ:各計算ステップの発熱量
LHV:燃料の低位発熱量

ΔGfb:燃焼する燃料質量=(Q/Qtotal)*Gfjni=∑i*Δgpti  式16
∑i*ΔGpti=ΔGfb+ΔGo2b+ΔGN2b  式17

Q:各計算ステップでの発熱量
Qtoutol:累積発熱量
Ginj:燃料噴射量
ΔGft:燃料蒸気の移動量
ΔGpt:燃焼ガスの移動量
i:領域番号

また、燃焼期間中は燃焼による乱流誘起により空気導入が活発に行われることから、空気導入係数βcombを掛けて空気導入量を計算する。
(dGd/dt)comb=βconb*(dGa/dt)  式18

エミッションモデル
NO=a*[o2]max^b*exp(-c/Tmax)*θb^d  式19

a~d:モデル定数
[o2]max:メイン噴霧領域内における最大酸素濃度
Tmax:筒内の最大温度
θb:燃焼期間
ms:煤の質量 kg
As:モデル定数
mfuel:燃料蒸気質量 kg
p:筒内圧力 pa
Ef:活性化エネルギー j/mol
R:一般ガス定数 j/mol*k
T:筒内温度 k
MWc:炭素の分子量 kg/mol
ρs:煤の密度 kg/m^3
Ds:煤の粒径 nm
κA、κB、κT、κz:n次反応における反応速度定数 m^3/(mol^(n-1)*s
po2:酸素分圧 pa
dms/dt=(dms/dt)formation-(dms/dt)oxidation  式20
(dms/dt)formation=A・mfuel・P^0.5・exp(-((Ef/RT))  式21
(dms/dt)oxidation=((6MWc/(ρsDs))・ms・Rtot  式22
Rtot=((κAPo2)/(1+κzPo2))x+κB*Po2(1-x) 式23
x=1//((1+κT/κB)*Po2) 式24

ディーゼルエンジン加給圧制御へのオンラインリファレンスガバナの応用検討
制御対象のモデリングと閉ループ系の構成
過給圧及び排気圧のダイナミックは、エネルギー保存則により、それぞれ以下のように記述される。
P1=(γR/V1(TcWc-T1-Wc) 式1
P2=(γR/V2(Te(We+Wf)-T2Wt) 式2
P:圧力
V:容積
T:絶対温度
W:通過流量
R:気体定数
添字1:吸気マニホルド
添字2:排気マニホルド
添字c:コンプレッサ
添字e:エンジンシリンダ
添字f:燃料
添字t:タービン

コンプレッサ通過新気流量Wcは以下のように導出する。

無次元化ヘッドパラメータ:Ψ=(cpTa((P1/P2)^(κ-1/κ)-1)/(1/2Uc^2) 式3
cp:定圧モル比熱
cκ:定積モル比熱
κ:比熱比cp/cκ
Uc:可変ベーンの回転速度=π/60・dc・Nt 式4
dc:タービン直径
Nt:タービン回転数
φ:標準化コンプレッサ通過流量=Wc/(ρa(π/4)d^2・Uc) 式5、∫φ(ψ,M) 式7
M:マッハ数=Uc/(√κRTa) 式6
ψ:ヘッドパラメータ=∫ψ(ψ,M)

Wc:コンプレッサ通過新気流量=∫φ((2cpTa((p1/pa)^(κ-1/κ)-1)/(1/2(π/60・dcNt)^2)、πdcNt/(60√(κRTa))*(π^2/240)ρadc^3・Nt
∫Wc(p1,Nt) 式8

自動車に対するモデルベース開発

定常状態のエンジン吸入空気量Mc=F(ω、Pm、θc)
Mc ω Pm θc wo w1 w2 w3 w4 w5
吸入空気量 エンジン速度 吸気圧 可変吸気弁 係数
位相角 0

アッカーマン理論
1/tanβ-1/tanα=T/W α β W T
内側前輪の 外側前輪の ホイールベース トレッド 切れ角

エンジン制御を中心とした自動車における制御技術
適用されている制御理論 Dohnerによる定式化
LQI制御によるアイドル回転数制御 操作ベクトルをu(空燃比、点火時期、EGR率)とする時、評価関数Jは、 J=ftf~0(L(.t)+ct/((w(c(ut)-2ct))dt ①式
また束縛条件は、x1(tf)≦HC、x2(tf)≦CO、x3(tf)≦Nox ②式
システムの伝達特性Tz=0.222z+4.167/(x^2-1.655z+0.719) L:燃料流量
tf:モード運転終了時刻
空燃比によるパラメータ変動のため移動する。 c(t):許容トルク変動幅
最小実現によるシステム方程式は w:重み
x(κ+1)=Ax(κ)+Bu(κ)、y(κ)=Cx(κ) c(u,t):瞬間トルク変動
xi:累積排気ガス量
A= 0 1 -0.719 1.665 定められたモード運転で、2式を満足し、かつJを最小にするuを求めることに帰着する。即ち、ラグランジ乗数をp1としたハミルトニアンHを最小にすれば
B= 4 0 167 222 H=L(u,t)+c(t)/w(c(u,t)-2c(t))+Σ3~i=1*pifj

ディーゼルエンジン吸気システムのモデリングとモデル予測制御による制御系設計
吸気システムのモデリング
スロットルバルブを通過する質量流量m’th=Ath(αth)√(2poρo)φ 0
√(κ/(κ-1)((pi/po)^(2/κ)-(pi/po)^(κ+1)/κ)、pi/po>2/(κ+1)^(κ/(κ-1) #DIV/0! pi/po> 2
φ= (2/(κ+1)^(κ/(κ+1))・√(κ/(κ+1))、pi/po≦(2/(κ+1))^(κ/(κ-1) 0 pi/po> 2

Ath(αth):バルブ開度αth単位degに対する有効開口面積を表す関数。
po:単位Kpa上流圧力
pi:単位Kpa下流圧力
ρo:上流密度kg/m^3
φ:圧力関数
κ:比熱比
(κ/(κ+1)

ディーゼルエンジン制御モデルにおける燃料噴射段数の拡張
噴霧モデル
噴霧長Lspray=2.95(ΔP/(ρFuel))^0.25*√(dHole・tspray)
噴霧角tspray=A+B*Qtotal+C*Nengine

SICE自動車エンジン制御ベンチマーク問題のための多項式簡易エンジンモデルの導出
簡易エンジンモデルの導出過程
モデル導出に用いる物理法則
Table1:各記号の意味と値

Pa 大気圧 101300 Ta[k] 大気温度 298.15 25
Ath[m^2] スロットルの断面積 0.001963495  θth[rad] スロットル角
α[kg/m^3] スロットル流量に関する定数 519.4848  ω[rad/s] エンジン回転速度 2000
η 体積効率 0.8 Vh[m^3] 1気筒当りの排気量 0.002
R[J/K・kg] 空気の気体定数 287.9  Pm[Pa] マニホルド内の空気圧力
Vm[m^3] マニホルドの容積 0.01  Tm[k] マニホルド内の空気温度
ρm[kg/m^3] マニホルド内の空気密度  γ 空気の比熱比 1.4
P Pm/Pa 正規されたpm T 正規化されたTm Tm/Ta

有効開度断面積u=Ath(1-cos(θth))
吸気マニホルド内に流出する空気の流量:mth=α(1-(Pm/Pa)^2)u 式1
α:スロットル流量に関する定数

シリンダへ流入する空気流量mc
PmΔVc=ΔmcRTm 式2
Vh:1気筒当りの排気量
η:体積効率
ΔVc:1サイクル当りに吸気マニホルドから各シリンダに流入する体積=4ηVh
ω:エンジン速度
mc’:平均流量=ω/4πΔmc=ωηVh/(πR)・(Pm/Tm) 式3

吸気マニホルド内の空気に関する質量保存則
d(ρmVm)/dt=-mc'+m'th=ωVh/(πR)・((Pm/Tm)+α(1-(Pm/Pa)^2)u 式4
理想気体の状態方程式より
ρmVm=PmVm/(RTm) 式5
纏めると
d/dt(Pm/Tm)=-(ωηVh/(πVm)・(P/T)+α(Rta/PaVm(1-P^2)u
内燃機関の性能測定試験
計算項目
1)軸トルクと軸出力
T:軸トルク=F・r Nm
F:動力計ロータ-の周囲にかかる摩擦力 N
r:動力計ローターの半径 m
P:軸出力=((F・2πr・ND)/(60・1000)) kW
ND:動力計回転数 rpm

2)修正軸トルクと修正軸出力
To:修正軸トルク=κa・T Nm
Po:修正軸出力=κa・P kW
κa:出力修正係数=(po/p)^1.2*((θ+273)/(θo+273))^0.6
ND:動力計回転数 rpm
po:標準乾燥大気圧 101.325 kpa
p:乾燥大気圧 kpa
θ:吸込空気温度 ℃
θo:標準大気温度 25 ℃

3)燃料消費率
g:燃料消費率=Vf/P・γ・1000 g/(kwh)
Vf:燃料流量 ℓ/h
P:軸出力 kw
γ:燃料密度 0.72 g/mℓ

4)吸込空気量
吸込空気量:Gs=α・((π/4)・d^2)・√(2ρa(P1-P2)*10^3) 0 kg/s
試験環境下での湿り空気密度ρa=ρd+ρω kg/m^3
α:丸形ノズル流量係数 0.822
d:丸形ノズル絞り径 m
P1-P2:ノズル上流側、下流側の差圧 kpa
ρd:試験環境下での乾燥空気密度 1.293 kg/m^3
ρω:試験環境下での水蒸気密度(付録の表2) kg/m^3

5)体積効率
ηv:体積効率=(Va/Vh)*100=(ρaVa/ρaVh)*100 %
Va:1サイクル当りの新気体体積
Vh:総工程体積
ρa:温度θ[℃]、大気圧Pa[kpa]、湿度φにおける湿り空気密度[kg/m^3]
D:シリンダ-内径[m]
S:行程[m]
n:シリンダ-数

6)正味熱効率
ηe:正味熱効率=((P*3600/Qf)*100[%]
Qf:単位時間当たりの燃料の発熱量=H・Vf・γ[kJ/h]
P:軸出力[kw]
H:単位質量当たりの燃料の低発熱量[kJ/kg]
Vf:燃料流量[ℓ/h]
γ:燃料密度[g/mℓ]

7)空燃比(混合比)
AFR:空燃比=Gs/(Vf・γ)*3600[kg/kg]
Gs:吸入空気量[kg/s]
Vf:燃料流量[ℓ/h]
γ:燃料密度[g/mℓ]

8)理論空燃比
CnHm+(n+m/4)O2 完全燃焼すると、nCO2+(m/2)・H2O
CnHmの燃料の理論空燃比AFRth=(4.312*32(n+m/4))/(12n+m))

クランク機構
x:ピストンの変位[m]=r(1-cosθ)+r^2/4ɭ(1-cos2θ)
υ:速度[m/s]=ωr(sinθ+r・sin2θ)
a:加速度[m/s^2]=ω^2・r(cosθ+r・cos2/ɭ)

性能総合試験装置エンジン性能計算

天候 エンジン形式 腕の長さ
気温 ℃ 出力 ボア内径
湿度 %RH 最高回転速度 ストローク(工程)
大気圧 KPa サイクル数 気筒数
動力計荷重 N シリンダ数 排気量
燃料消費量 cc シリンダ内径 コンロット(連結棒)長さ
冷却水流量 ℓ/h 行程 最大出力
潤滑油温度 ℃ 総工程容積 最大トルク
回転数 rpm 圧縮比 圧縮比
燃料消費時間 s ピストン速度 冷却方式
冷却水入口温度 ℃
吸込空気温度 ℃
排気ガス圧力 KPa
冷却水出口温度 ℃
吸込空気圧力 KPa
排気ガス温度 ℃
潤滑油圧力 Mpa

T:軸トルク(Nm)は出力軸の回転力(モーメント)を表す。
T=F・r (Nm)

P:軸出力(KW)はエンジンが単位時間に行う仕事を表す。
P=F*2πr*ND/(60*1000) (KW)

脈動効果
m:同調次数=fs/ns=30a/nL
fs:圧力波の吸気管内の振動数=a/4L
ns:毎秒吸入回数=n/(60*2)

慣性効果の条件でts/2とtの比をqとすると
q=(ts/2)/t=((60/n)*(θs/360)/2)/(2Ls/a)=(θs/720)・(30a/nLs)
q=(θs/720)m 式7

 共鳴効果
f=(n/(60*2))・Z[Hz] 式8 Hz
fo=ao/2π・√(A/(I・V))[Hz] Hz
n:エンジン回転数 rpm
Z:エンジン気筒数
I:吸気管長さ m
A:吸気管断面積 m^2
ao:音速 m/s
V:サージタンク容積 m^3

共鳴効果発生のエンジン回転数n=(60ao/Zπ)・√(A/IV)

吸気性能の評価方法
体積効率:ην=ρaVa/ρaVs=Va/Vs
ρa:大気密度
Va:大気状態に換算した吸入空気体積
Vs:行程容積
ρaVa:吸入空気質量
ρaVs:大気状態で行程容積を占める大気質量

性能表示法
ガスタービンでは
回転速度:N/√(θo)
圧縮比:P3/P

走行性能曲線図
走行性能曲線図は走行抵抗線図、駆動力線図及びエンジン回転速度-車速の関係を示したものである。
走行抵抗線図は、車速ν (km/h)と走行抵抗R (N)の関係を示したものである。

走行抵抗R=Rr+Ra+Rg+Ri=μmgcosθ+1/2CxρSν^2+mgsinθ+(m+Δm)as 0

車速に対する駆動力及びエンジン回転速度の関係
歯車式手動変速機 駆動力Fx=Te・im・if・ηt/γ
エンジン回転速度nと車速の関係はν=3πneγ/(25im・if)

測定の解析
動力計回転速度:Np 1246 rpm
軸トルク:T=WL 87.096 Nm
動力計の長さ:L 0.2865 m
軸出力:P=2πWLNp/(60*1000) 11.36435705 kw
動力計制動荷重:W 304 N

燃料消費率
F:燃料消費量=b/t*(3600/1000) 3.64556962 ι/h
b:測定時間内の燃料消費量 80
t:燃料消費量の測定に要した時間 79

g:燃料消費率=F/P・γ・1000 230.968643 g/kWh
γ:燃料密度 0.72 g/mι

燃料全熱量
Qf:燃料全熱量=HFγ 120741.2658 kJ/h
H:燃料の低発熱量 46000 kJ/kg

正味熱効率
ηe:正味熱効率=3600P/Qf*100 33.88376386 %

排気損失
ρa:空気密度=P/RT 1.210800817 kg/m^3
P:大気圧 101300
R:ガス定数 287.06
T;温度 18.3
Gs:吸入空気量=αε・(π/4)d^2・√(2ρa(P1-P2)*10^3) 0.008875163 kg/s
α:丸形ノズル流量係数 0.822
ε:空気膨張補正係数 0.99
d:槽壁ノズル絞り径 0.048
P1-P2:マノメータの読み差圧 0.015
Gg:排気ガス量=Gs+Fγ/3600 0.009604277 kg/s
Qg:排気損失熱量=GgCpg(tg2-tg1)*3600 20308.47873 kJ/h
Cpg 0.285
水の比重 4.2
tg2 509
tg1 18.3
ηg:排気損失=Qg/Qf*100 16.81983255 %
Qω:冷却損失=GωCpω(tω2-tω1) 30752.4 kJ/h
Gω:冷却液流量 140 ι/h
Coω:水の比熱 4.2 kJ/kg
tω2:冷却液出口温度 74.1 ℃
tω1:冷却液入口温度 21.8 ℃
ηω:直接冷却損失=Qω/Qf*100 25.46966838 %
ηm:機械損失=100-(ηe+ηg+ηω) 23.82673522 %
同様にして、他の計算を行い次の表を得る。
回転数 軸トルク 軸出力 燃料消費量
N[rpm] T[N・m] P[kW]

インジケータ線図の測定及び解析
エンジン筒内に取り付けたピエゾ式圧力ピックアップKISTLER製6052C
圧力ピックアップからの出力電荷は、チャージアンプKISTLER製5011により電圧に変換・増幅した後、燃焼解析装置DS-0328を介してコンピュータにデータ
として記録する。
A/D変換の間隔及び変換の開始時期は、供試機関クランク軸に直結した光電式角度検出信号(トリガー信号)によって設定した。
燃焼解析装置DS-0328にインジケータ線図の測定開始が指示されると、DS-0328はトリガー信号待ちの状態となり、光電式角度検出器から、
トリガー信号の入力により測定及び記録は直ぐに開始され、チャージアンプを介して得らる圧力ピックアップの出力電圧をクロック信号に従って
記録されるようになっている。
尚、DS-0328の角度分析増幅機能により0.5CAのクロック信号から最小0.1CA毎の測定・記録が可能である。
変換は200サイクルにわたって行った後、その結果は数値データとしてコンピュータに記録される。
このようにして得られたインジケータ線図をもとに図示仕事や熱発生率などを算出した。

インジケータ線図の解析
a) 熱発生率算出の基礎式
dQ=dU+PdV=mCυdT+PdV[J]
Q:筒内への入熱量[J]
U:作動ガスの内部エネルギー[J]
P:筒内圧力[Pa]
V:筒内体積[m^3]
Cv:作動ガスの定積比熱[J/(kg・K)
T:作動ガス温度[K]
m:作動ガスの質量[kg]

また、マイヤーの関係式より定積比熱は式2で表す。

Cv=R/(κ-1) [J/(kg・K] 式2
R:ガス定数[J/(kg・K)
κ:作動ガスの比熱比

さらに、気体の状態方程式PV=mRTより
dT=((PdV+VdP)/mR) [k] 式3

式1に式2と3を代入し、式4を得る。
dQ=(1/κ-1)(VdP+κPdV) [J] 式4

従って、壁面への熱損失を含んだ真の熱発生率は式5で与えられる。
dQ/dθ=(1/(κ-1))(V(dP/dθ)+κP(dV/dθ)+dQIoss/dθ [J/CA] 式5
θ:クランク角度[CA]
Qloss:壁面への熱損失[J]

EGRを行う場合のEGRガス量VEGRは、
VEGR=V0-Vair[m^3/cycle]
V0:EGRを行わない場合の吸込み空気量=Cπ/4*d0^2*√(2*(ΔP0/ρair))*(2*60/ne)
Vair:EGRを行う場合の新気量=Cπ/4d0^2√(2(Δpair/ρair))*(2*60/ne)
ρair:新気の密度=1.29(273/(Tair+273))(Pair/(1.01*10^6))
Δpo:EGRを行なわない場合の丸形ノズル差圧
Δpair:EGRを行う場合の丸形ノズル差圧
air:大気温度
air:大気圧
ⅱ)吸入行程終了までの筒内に流入する作動ガス量の測定
Mair=1/Pair(18Pw+28.8(Pair-Pw)) [g/mol] 式10
Pw:新気の水蒸気分圧 [pa]=6.11*10^(7.5Tw/(Tw+237))*100-0.000662Pair(Tair-Tw) 式11 
Tw:湿球温度℃

従って、1サイクル当りに機関に導入される新気のモル数nairは式12で与えられる。
nair=Vair(ρair/Mair)・1000 [mol/cycle] 式12

新気中に於ける水蒸気、酸素、及び窒素のモル数nair_H2o,nair_o2,及びnair_N2
nair_H2o=nair(Pw/Pair)[mol/cycle] 式13
nair_o2= =nair(0.21(Pair-Pw)/Pair)[mol/cycle] 式14
nair_N2 =nair(0.79(Pair-Pw)/Pair)[mol/cycle] 式15

(ⅲ)EGRガス量及び組成
MEGR:EGRガスの見掛けの分子量=1/100(18H2OEGR320₂ex+44CO₂ex+28N₂ex)
ρEGR:EGRガスの見掛けの密度=((PEGR・MEGR)/RTEGR)・(1/1000)
H₂OEGR:EGRガス中の水蒸気濃度
O₂ex:排ガス中の酸素濃度
CO₂ex:排ガスの二酸化炭素濃度
N₂ex:排ガスの窒素濃度
PEGR:EGRガス圧力
TEGR:EGRガス温度
EGRガスの水蒸気濃度H₂OEGRはEGRクーラによる冷却後は露点以下であると仮定し、排ガス中の窒素濃度N₂exは
全体から酸素、二酸化炭素、及び水蒸気を差し引いたものとして式18,19で与えられる。
H₂OEGR=100/PEGR(6.11*10(7.5TEGR/(TEGR+273)*100) [yol%」 式18
N₂ex=100-(H₂OEGR+O₂ex+CO₂ex) [yol%] 式19

従って、1サイクル当りに機関に導入されるEGRガスのモル数nEGRは
nEGR=VEGR(ρEGR/MEGR)・1000 [mol/cycie] 式20
nEGR_H₂O=nEGRH₂O [mol/cycie] 式21
nEGR_O₂=nEGRO₂ex [mol/cycie] 式22
nEGR_CO₂=nEGRCO₂ex [mol/cycie] 式23
nEGR_N₂=nEGRN₂ex [mol/cycie] 式24

ⅳ)残留ガスのガス量及び組成
nrN2=0.78((PrVc)/(RTr))
nrO2=((O2ex)/100))((PrVc)/(RTr))
nrCO2=((CO2ex)/100)((PrVc)/(RTr))
nrH2O=(1-0.78-(O2ex/100)-(CO2ex/100))*((PrVc/(RTr))
Vc:隙間容積=Vh/(ε-1)=π/4D^2・2r・(1/(ε-1))
Pr:残留ガス圧力
Tr:残留ガス温度
ε:圧縮比
D:ボア直径
r:クランク半径

投入燃料の発熱量及びモル数
mfuel:1サイクル当りの燃料消費量=Rfuel・((2・60)/ne)
Rfuel:1秒当りの燃料消費量
ρfuel:試供燃料密度

筒内容積、容積変化率、圧縮上昇率、及び筒内平均ガス温度

液体燃料の混合気当たりの発熱量Qm=Hu/(λ・Lmin) 単位KJ/m^3
液体燃料       融点  沸点  密度  燃料当たりの 発熱量 必要空気量  発熱量
ノーマルペンタンC5H12      36  0.625     45500     11.85    3840
ノーマルヘキサンC6H14       69  0.659     44700     11.79    3790
ノーマルヘプタンC7H16      98.5  0.684     44400     11.75    3780
ノーマルオクタンC8H18      125.5  0.703     44600     11.71    3810
イソオクタンC8H18       99.5   0.692     44000     11.71    3760
ガソリン               0.725     43500     11.6     3750
ベンジンAral             0.783     43540     10.5    3850
ベンジンC6H6    5.5   80   0.879     40200      10.3    3900
メチルアルコールCH3OH  -94   64.5  0.792     19800
エチルアルコールC2H5OH -112  78   0.789     27000
ノーマルノナンC9H20  -53.3  150.5  0.718
ノーマルデカンC10H22  -29.5  174   0.73
ノーマルアンデカンC11H24 -25.5  196   0.74
ノーマルドデカンC12H26 -9.5   216   0.749
軽油                 0.86    43500     10.65

蒸発潜熱 ΔT=γ/(Lmin・cp)=

着火までの燃料温度は、T=TL-(TL-To)・e(3・α/(ρFl・cp・γo))・t

着火遅れts=(ρFl・γo・cp/(3・α))・ln(TL-To/(TL-Ts))

又は試験チャンバーを使って実験で求める場合はts=C・(e^(b/T)/P^n)

油滴の熱の受け方dQ=α・A・(TL-To)dt  mFL・cpdT

エンジンの吸気・排気及びガス交換
弁タイミング 弁開口面積υG・Aυ=Aκ・Cm 弁リフトμ・Aυ=μ・π・dυh・cosθ≦(dυ^2-ds^2)・π/4
弁速度と加速度 弁の等価荷重mvredを考えてバネに加わる力Ff=(1.2~1.8)αsmax・mvred+Fg

排気ガス測定
内燃機関の性能測定試験排気ガス水分量測定
水分量測定法の検討
アスマン法による検定
蒸気圧e (mb)=e’s-KP(t-t’) K(アスマン0.00066、サーミスタ0.00080) 0
蒸気圧より、混合比r=0.622e/(P-e)
水分量Xw(%)=1.24r*100/(771.93+1.24r)

e':湿球温度の 乾湿計定数  p:圧力  t:乾球温度  t':湿球温度
mb:飽和蒸気圧

塩カル法による検定
ガス中の水分を塩化カルシウム(CaCl2)に吸収する方法Zw=1.24m・100/(V・(273/(273+θ)+1.24m)
m:吸収水分の重量g
V:乾燥空気量ℓ
θ:ガス温度℃

排気ガス密度γ=((CO2%/100*44+(N2%/100*28+((100-CO2%-N2%-X)/100)*32+(Xw/100)*18))/(22.4*((273+t)/273)
co2 % 6.99
N2 % 85.85

空飛ぶガスタービン車

飛行する走行順序は、ドローンの機構で垂直に上がり、自動運転制御によりガスタービン
エンジンで高速に移動する。
ガスタービンエンジンは、バッテリーで始動して蓄電する仕組みとなっておりタービンの推力で飛行する。
現在の技術で実現可能でNoxが出ない環境に優しい車ではあるが、今後の課題になるのがジェット騒音である。

ジェット騒音対策
ジェット騒音は速度の8乗と推力の2乗に比例して増します。。騒音対策として、吸込み風量を大にして排出速度を減らしたり、バイパス比と排気速度のサイクル選定で決まってしまうが、エンジン内あるいは排気ノズル出口部にミキサを取付て低減化を図ることができる。
排気ノズルにギザギザを付け、排気ジェットの混合を促進しジェット騒音を低減するシェブロンノズルが採用されている。大気中の二次空気を取り入れ音のある周波数に変え、減音させる方法もある。
またエンジンの空気取入口(インテーク側)ファンケースや排気側に内張り材として、共鳴型でパンチング板とハニカム構造を有するものが用いられている。吸音材は水滴などを、吸収すると性能劣化する上に、氷結、火災の心配がある為、用いられていないが今後の課題であろう。
また翼形状そのものの工夫により動静翼干渉音の低減も図れている。スィ-プリーン静翼と呼ばれるものでファン出口案内静翼の外側を下流に傾けることで動翼後流と静翼の空力的な干渉を弱め、かつ静翼の外径側を円周方向に傾け、動翼後流と静翼の空気的な干渉が起こる位置を半径方向にずらすことで騒音低減効果が得られる。
今後の騒音対策について期待したいと思います。

超音速ジェット騒音
亜音速ジェットの構成要素である乱流混合に加え、衝撃波とせん断層内の乱れの干渉によって発生する広帯域衝撃波関連騒音(BBSN)と離散周波数のスクリーチ音から構成される。
スクリーチ音は騒音の発生と乱流の生成の間にフィードバックループが生じる為に特定の
周波数のみ卓越する現象でPowellが、周波数の予測式を提唱している。
∱screech=n/(L/uc+L/c)  n=1、2.…

ここで、uc、c、Lは其々、大規模乱れの移流速度、周囲大気に於ける音速、フィードバックループの片道距離である。

BBSNの音圧が最大になる周波数の予測には次式が用いられる。
∱screech=n/(Ls/uc+Ls cosθ/c)  n=1、2.… ②
Lc:ショッセル1つ分の長さ

①式に、フィードバックループの片道距離Lに7hを代入すると約3Hzとなり、スクリーチ音の次に音圧の高い
周波数にほぼ一致する。
∱∼1/(7h/uc+7h/c) ③

噴射の音響パワーレベル
PWL=10log₁₀(Σpi^2・dSi10^(0.4SPLi/10)/ρcI₀)
ρ:周囲大気の密度
c:周囲大気の音速
I₀:基準音響パワー(10^-12W)
dSi:計測点iの計測面上の面積

噴流騒音
噴流中心からθ角度の点に於ける音圧強度I
I(r,θ)=ρ₀/(16π^2・c^5(1-Mc・cosθ)^5・r^2(S₁+S₂(S₁+(S₂(cos^4・θ+cos^2・θ/2)
cMc:運搬速度
S₁:乱流によるセルフ音
S₂:噴流と大気との境に生じる平均流の速度勾配と乱流成分によって発生するせん断音の項

回転体騒音
角速度をdθ/dt=Ωとし、羽根枚数をBとすると、cosineカーブからのずれた部分も含んで
いるので、これをフーリェ等級で表現すると、p(θ,t)=∑ancos(nB(θ-Ωt)+φn)となる。
結果をスペクトル解析器にかけて、ピークになる位置を翼通過周波数(BPF)という。

吸音材
英国バース大学の研究チームが、騒音レベルを最大16db低減できる超軽量材料を開発した
酸化グラフェン(GO)とポリビニルアルコール(PVA)から構成され、多数の気泡を含む
エアロゲル材料であり、0.79という高い吸音率をしめすとともに、重量密度2.1kg/m^3で
他の吸音材に比べ著しく軽量である。
様々な酸素官能基を有した酸化グラフェンは、数μサイズの2D形状を有すると共に、安定
した懸濁液を形成することから、気泡と組み合わせて吸音機能を持たせることも期待される

食品工学

塑性流動を示す液体食品
べき指数法則
ニュートン流体と非ニュートン流体食品の流動挙動は、次の一般式で表すことが出来る。
(τ-τy)=c(γ')^n
τ:ずり応力
τy:降伏応力
c:粘性指数
γ':ずり速度
n:流動性指数
この一般式から各流体の特性を次のようなべき指数式で示すことができる。
τ=ηγ'        ニュートン流体
(τ-τy)=ηpγ'     ビンカム塑性流体
τ=ηapp(γ')^n    擬塑性流体(n<1)
τ=ηapp(γ')^n    ダイラタント流体(n>1)
(τ-τy)=ηapp(γ')^n  非ビンカム塑性流体

流動曲線の作製法
MacMichael型回転粘度計による流動曲線作製法
①ずり応力τを求める。τ=M/2πRbh
②角速度Ωを求める。Ω=2π∫
③τとΩを方眼紙にプロットする。
④曲線がY軸(τ)と交わる点として降伏応力τyを求める。
⑤(τ-τy)とΩを両対数紙にプロットする。
⑥両対数プロットの直線の勾配から流動性指数nを求める。
⑦上で得られたnを用い、測定値(τ-τy)とΩを次式に代入しcを求める。cについての平均値c⁻を求める。
Ω=(n/2)(τ/c)^(1/n)・(1-(Rb/Rc)^(2/n))
⑧c⁻、n及びτyを次式に代入し、各ずり応力τ(測定値)に対応するずり速度γ'を求める。
⑨τ、γ'を方眼紙にプロットし、流動図を得る。
M:回転トルク
Rb:ボブ直径
h:液体高さ
∫:回転数
Rc:シリンダー半径

発酵・生物学的反応速度
反応形式分類
⑴希薄水溶液中のイオン反応
⑵希薄水溶液中の非イオン反応(エステル、加水分解)
⑶酵素触媒による反応(発酵、自己消化、腐敗)

反応次数
化学反応速度は反応物質の濃度に比例する。反応が進行すると反応速度は次第に低下する。
一次反応
反応系に存在する反応物質が一つ、或いは二つ以上存在してもその一つが極端に過剰で一つと考えてもよい場合(凝一次反応)反応物質の濃度に比例するもので、分解反応に多くみられる。一次反応速度式は次式で表される。
dx/dθ=κ(α-x) ①
κ:反応速度定数
α:反応物質の始めの濃度
x:θ時間経過後の濃度減少量
α-x:θ時間経過後の残留濃度
①式を積分すると、-ln(α-x)=κθ+C ②  Cは積分定数
これを定めるにはθ=0の時、x=0となるから、-lnα=Cとなり、これを②式に代入すると
κ=1/θ・ln(α/(α-x)) ③
常用対数に直すと、
κ=2.303/θ・log(α/(α-x)) ④
④式でlogα/(α-x)を縦軸に、θを横軸にとると直線となり、κの値が大きいほど直線の傾斜は急になる。
反応速度の簡単な比較を表す目安として反応物質の半減期を用いる。④式に於けるα-xを1/2とおいた場合、半減期をθ₀.₅とすると、
κ=2.303/θ₀.₅・log(1/0.5) ⑤
θ₀.₅=0.693/κ ⑥
この反応は放射性元素の崩壊反応、加水分解反応、エステル化反応、及び発酵、自己消化、
腐敗、ビタミン分解及び油脂酸化などの多くの生物反応にみられる。
二次反応
二次反応については、その反応速度は次式で表せれる。
dx/dθ=κ(α-x)(b-x)・log((b(α-x))/(α(b-x))) ⑦
そこでθに対してlog(α-x)(b-x)をプロットして直線が得られれば二次反応と考えることができる。
複合次数反応
ペプシンの熱変性では、高濃度の場合は一次反応に従うが、稀薄な濃度に於いては濃度の5割に比例する。この場合ある任意の時間に於ける反応が、反応物質の濃度のある指数関係にあると仮定すると、このような反応は次式で表すことができる。
dC/dθ=κC^n ⑧
1/(1-n)(C^(1-n)-α^(1-n))=κθ ⑨
α:反応物質の始めの濃度
C:θ時間経過後の反応物質の濃度
n:反応次数

温度係数
④式に於ける定数κは反応速度定数であり、これは温度の関数であることがわかり、反応速度に及ぼす温度の影響を表す式としてArrhenius式で表すと、
κ=Ae^(E/RT)
lnκ=lnA-E/RT
A:反応に特有の定数
R:気体定数
E:活性化エネルギ[cal/mol]
T:絶対温度[k]
反応速度に対する温度の影響をみる場合、温度差10℃に於ける反応速度定数を比較すると便利であり、この反応速度定数の比をQ₁₀で表し、これを温度係数と呼ぶ。絶対温度Tと温度をTより10℃上げた場合の温度係数は次式で表せれる。
logQ₁₀=2.18・(E/(T(T10))

腐敗速度
山村は魚肉の腐敗過程を検討し、一次自触媒反応が適用できるとしている。
dx/dθ=κ・x(a-x) ①
a:分解物質の始めの濃度
x:θ時間経過後に生じた分解生産物
κ:反応速度定数
可逆的反応を加えると次式のようになる。
-dx/dθ=κ1x(a-x)-κ₂x^2 ②
κ₂:逆反応速度定数
κ₁a/(κ₁+κ₂)=Aとして、②式に代入すれば、
dx/dθ=x(κ₁a/A)(A-x)
  =x(κ₁+κ₂)(A-x)  ③
③式を積分してκ₁a/2.303=A(κ₁+κ₂)/2.303=K:腐敗速度定数とすれば、
log(x/(A-x))=Kθ+C
K=1/θ(log(x/(A-x)-C) ④
C:定数

殺菌速度
微生物の熱による不活性化は一次反応であり、κ=1/θ・ln(α/(α-x))より反応速度定数κで表される。殺菌反応が真の対数型とすれば、理論的に完全な殺菌はできないことになる。
しかし、微生物の初めの濃度αからα-xが1/10^8倍まで減少したものとすると、lnα/(α-x)
は一定値となりこれをNとおくと、κ=N/θd
これをArrheniusの式κ=Ae^(E/RT)に代入すると、θd=N/(Ae^(E/RT)
常用対数をとると、logθd=E/(2.303RT)+C
ここで、C:lnN/2.303-lnA/2.303であり、Cについては中性倍養液では-35.5である。
また活性化エネルギEはデータによれば、Clostr-idium botulinumの胞子において
65,000cal/moleであるから、これを代入すると、logθd=14200/T-35.5となる。

ビタミンの破壊速度に於ける活性エネルギ
活性化エネルギEを求めるには一般に三つの方法があって、その一つの方法は、近接した二つの温度T₁,T₂の速度定数が求められた時、式lnκ=lnA-E/RTよりκ₁,κ₂の二つの式を求め、
両辺を差し引いて整理すると次式を得る。
E=RT₁T₂/(T₁-T₂)ln(κ₁/κ₂)=2.3・(RT₁T₂)/(T₁-T₂)・log(κ₁/κ₂)
もし多数の測定値のある場合は、式lnκ=lnA-E/RTを微分して変形した次式より求める。
E=RT^2・(dlnκ/dT)

熱交換による食品処理
プレート式熱交換器
Buonopaneはプレート式熱交換器の境膜伝熱係数hについて次の実験式を与えている。
hDe/κ=0.2536(Re)^0.65(Pr)^0.4
De:相当直径

回転式熱交換器
ニュートン流体の場合の回転式熱交換器の境膜伝熱係数の計算式は、Skellandにより次のように示されている。
h:境膜伝熱係数(スクレーパで掻き取られる流体膜の境膜伝熱係数)[kcal/m^2・h・℃]
h=24(κ/Dt)(Dtuρ/μ)^0.57(Cpμ/κ)^0.47(DtN/u)^0.17(Dt/L)^0.37
Dt:円筒管の系[m]
u:平均流速[m/h]
ρ:密度[kg/m^3]
κ:熱伝導度[kcal/m^2・h・℃]
L:スクレーパの長さ[m]
N:掻き取り羽根の回転数[rpm]
Cp:比熱[kcal/kg・℃]

電気的加熱
電気抵抗の熱エネルギによる加熱
連続式パン焼窯としては、加熱架台が水平軸の周囲を回転し、入口と出口が同じ個所にあって、1回転する間に焼き終わるリール窯とエンドレスベルトの一端よりドウを入れて、他端より取り出すトンネル窯とがある。
GaleとPallyは強制循環のパン焼窯に於ける境膜伝熱係数hを次式で表している。
h=0.125G^0.75
G:熱風の質量速度[Ib/ft^2]
赤外線加熱
Tiller及びGarberは薄膜の赤外線加熱について時間と温度の関係を次式で示した。
(Tm-T)/(Tm-T₀)=e^(-Fhcθ/cp・ρ・L)
T:時間θに於ける薄膜の温度[℃」
T₀:薄膜の初期温度[℃」
hc:境膜伝熱係数[kcal/m^2・h・℃]
Tm:物体、周辺の空気環境のある条件にあって一定の放出エネルギに到達しうべき最高温度で次式のように表せる。
Tm=Ta+0.859αI/(Fhe)
cp:薄槽の比熱
ρ:薄槽の密度
L:薄膜の厚さ[m]
Ta:周囲の温度[℃」
α:放射による薄膜の吸収率
I:表面に於ける放射エネルギ[Watts/m^3]

食品殺菌
ビタミンの破壊速度は一次反応であり、反応速度κ=1/θ・ln(α/(α-x)) [1/min]で表せれる
α:初めのビタミンの濃度
x:θ時間経過後のビタミン減少量

殺菌条件
微生物耐熱性表示法としては大別して三つの方法があり、1)所定の温度に於いて与えられた
微生物を90%死滅させるのに要する時間[s]と定義されたD値で表す。
2)ある加熱温度で微生物の集団をある数(10^-n)まで減少させるのに要する加熱時間と定義された加熱減少時間で表す。
3)加熱致死時間曲線によるF値及びZ値で表す。この値を形対数方眼紙上の対数軸に、温度を横軸にとればTDT曲線が得られる。
TDT曲線が一つの対数サイクルを横切るに要する温度差として定義されて、Z値が大きいほど温度上昇による殺菌効果が小さいということができる。
F,Zの関係は次式で表せる。
log(θd/F)=(250-t)/Z
θd:温度tに於けるTDT[s]
F:250°Fに於けるTDT[s]

遅れ係数jの求め方
遅れ係数は伝熱データより次式で求められる。
j=(te-Pstc)/(te-tc)
te:レトルト温度[F]
tc:缶内温度[F]
Pstc:缶内の実質的色温度[F]

殺菌加熱時間
殺菌加熱時間は温度差te-Psteを0とするのに要する時間として算出すればよいが、実際にはレトルト温度より低い温度で殺菌を終了している。この最終期に於けるレトルトと缶内容物の温度差をgとすると、g=tc-tce(tceは最終期の缶内温度)の加熱時間だけを差し引いてよいこととする。
温度差を1/10にする時間は∱hとして求めているから、常用対数を用いると殺菌加熱時間θは次式で求めることができる。
θ=∱h(log(te-Pste)-logg)

食品の加熱殺菌では、その殺菌効果(菌の死滅率)を表す値としてF値(単位min)が用いられる
F=t/60*10^((T250)/z)
T:殺菌温度 F
t:殺菌時間 s
z:対象菌のz値

熱交換器内のように温度が経時変化する部分の殺菌効果は
F=1/60∫θt~0*10^((Tpθ-250)/z)・dθ

熱交換器内部の温度時間曲線Tp=Tpi+((Tmo-Tpi)*B()+Tpi-Tmo)/((WpCpp/WmCpm)-1)
ここで、B(0)=exp(-(u(1-wpcpp/wmcpm)/wpcpp)*θ/θ1*A)
A:伝熱面積
Cp:比熱
U:総括伝熱係数
W:流量
θ:液の器内通過時間
添字のiは、入口、mは熱媒、pは製品、oは出口を示す

空気圧縮による殺菌
発酵槽の空気供給は、槽内の液圧に打ちかつために、加圧空気として供給する方法がとられている。空気が高圧で断熱、圧縮した際に生ずる温度は十分殺菌効果をもち、耐熱性の胞子を除いてはかなり有効である。断熱圧縮によって達し得る温度TAは圧縮前の温度と圧縮前後の圧力,及び定圧,定容の比から次式で求めることができる。
T₂=T₁(P₂/P₁)^((r-1)/r)
T₁,T₂:圧縮前後の絶対温度[k]
P₁,P₂:圧縮前後の圧力
r:定圧と定容に於ける比熱比

ソーセージの加熱時間
Gurney-Lurieの図表を使って計算する。
φ((κ/Cpρ)・(θ/R^2)・(x/R)・(κ/hTR)・((T-t)/(T-t₀))=0
パラメータm=κ/hTRは固体表面の液浴側の境膜伝熱係数hTと、固体の熱伝導率κの比率を示すもので、κに比例してhTも大きい場合m=0と消去してよい、またパラメータn=x/Rは温度を算出したい箇所の中心からの距離比を示すもので、円柱,球の中心温度を求める場合はx=0とし、n=0となる。

凍結
凍結速度
凍結するまでに食品より除かれる全熱量をq[kcal/h]とすると、食品表面に於ける全熱量qは
q=hA(t₁-t₂) [kcal/h]
A:食品の表面積[m^2]
h:食品表面の境膜伝熱係数[kcal/m^2・h・℃]
t₁:食品の表面温度[℃]
t₂:冷媒の温度[℃]
凍結時間
Neumannの式
√(π/4F₀)exp(1/4F₀)erf(1/√4F₀)=1/K₀ ①
ここで、erf(x)=2/√π・∱₀x・exp(-x^2)dxは誤差関数
F₀:フーリェ数κθ/CpρL^2
K₀:Kossovitch数λ/ΔtCp
κ:伝熱係数、Cp:比熱、λ:潜熱
ρ:密度、θ:時間、Δt:凍結点と冷媒体の温度差、L:長さ
①式の逆数をとり展開すると、
2F₀(1-1/(6F₀)+1/(90F₀)・・・)=K₀
F₀の値が大きい場合
2F₀=K₀
2(κθ/ρL^2)=λ/Δt

Plankの凍結時間式
θ:凍結時間=λ'/Δt(PL/h+RL^2/κ)
λ':単位容積当りの潜熱
h:境膜伝熱係数
Δt:凍結点と冷媒点の温度差
κ:凍結相の熱伝導率
L:距離(円筒の直径、平面の厚さ、直方体)
P:球1/6、円筒1/4、平面1/2
R:球1/24、円筒1/16、平面1/8

空気凍結法
空気凍結法には棚管式凍結法と送風凍結法とがある。
棚管式凍結法は冷却空気の自然循環により熱移動を行うもので、その熱伝達係数が低く凍結速度が遅いが装置が簡単の為、広く用いられている。
送風凍結法はエアブラスト凍結法ともいわれ、-35~-40℃の冷風を風速2~5m/secで循環させて凍結する。
食品と冷却空気の伝熱係数は長岡によると魚の場合
フックで吊るした場合 hH=10+12u^(4/3)
トレーに寝かした場合 hT=10+3.5u
hH,hT:境膜伝熱係数 [m^2・h・℃]
u:風速[m/sec]

熱による食品の脱水
蒸発
a.沸点上昇
一般に水溶液の蒸気圧は同一温度における水の蒸気圧より低い、その為に一定圧における液の沸点は純水より若千高いこれを、沸点上昇という。
食品工学において取り扱う溶液は比電解質のものが多い、また蒸発缶の液層が深くなれば
それに相当する静圧が液に加わり、沸点が上昇する。さらに、管内の流速が速ければ管内の摩擦損失が圧を増加させることになり沸点を上昇させる。
液深による圧力は次式で表せれる。
P:液深による圧力=p+h(ρ/13.6) [mmHg]
p:管内圧力[mmHg]
h:液深[mm]
ρ:液比重[g/cm^3]

 食品乾燥速度を支配する因子と脱水応答計算機シミュレーション
脱水応答下にある食品中水分の依存状態
水分活性値:Aw=PH2O/Po
PH2O:水蒸気分圧
Po:水の飽和蒸気圧

含水率:W^n=((ln(1-Aw)/(-κ・T))
κ:ファクター定数
n:ベキ指数乗数
T:絶対温度

Aw値
自由水0.75~1
結合水0~0.25
イオン基に結合した水0.2~0.8

Caurie
高Aw値0.78~1凝結分子
中間域0.3~0.78凝結水分子とガス状分子の混在
低Aw値0~0.3ガス状水分子の3つの水分種に分離した。
lnW=lnW^0-Awlnγ
W:任意のAw時の含水率
Wo:o時の含水率
γ:傾斜の真数
τc:相関時間

1/T2=((γ^4・h^2・I(I+1))/5γ^6・(3τc+((5τc/(1+ωo^2・τc^2)+(2τc/(1+4ωo^2・τc^2))
T2:水のプロトンのスピン-スピン緩和時間
γ:プロトンの磁気回転比
h:モデイファイドプランク定数
I:プロトンの角スピン粒子数
γ:水分子ないのプロトン間距離
ωo:共鳴周波数
τc:水のプロトンの相関時間

蒸発物質収支と熱収支
飛沫同伴による損失を無視した場合の物質収支を求めると
Li=V₀+L₀
LixFi=L₀xF₀
V₀:蒸気蒸発速度[kg/h]
L₁:原液供給速度[kg/h]
xF:原液供給濃度[%]
L₀:濃縮液排出速度[kg/h]
xF:濃縮液濃度[%]
Vi:供給蒸気温度[kg/h]
熱損失を無視した場合
Viλs=LiCp(tb-ti)+V₀λυ
λs:供給蒸気の凝縮による潜熱[kcal/kg]
λυ:発生蒸気の潜熱[kcal/kg]
Cp:供給原液の比熱[kcal/kg℃]
tb:原液の沸点(濃度増加により上昇する)
ti:原液の温度
蒸気の凝縮によって与えられた熱量の総伝熱量は、総括伝熱係数を用いれば、
Viλs=q=UAΔTとなる。

真空蒸発
蒸発温度と圧力の関係を示す式にはAntoine式がある。温度tに於ける蒸気圧をPmmHg,物質によって異なる定数をA,B,Cとすれば、logP=A-B/(t+C)となる。
液体についての定数A,B,Cは其々7,1500,210前後である。

例題
牛乳の高温瞬間殺菌機の冷却行程において、牛乳が73℃で入り、23℃で出てゆく。また冷却井戸水は13℃で入り、18℃で出てゆく。この場合の対数平均温度差L.M.T.Dを求めよ。

解) 向流または並流熱交換器においては、対数平均温度差は対数平均面積差の式
高温体から低温体に伝熱が起こる場合、伝熱速度は次式で表される。
高温体制:q=h₁A₁(t₁-tω₁)
金属壁:q=κaυAaυ(tω₁-tω₂)/L
スケール:q=hsA₂(tω₂-tω₃)
低温体制:q=h₂A₂(tω₃-tω₂)
上式に対応して、Δtm=((Δt₂-Δt₁)/(2.3logΔt₂/Δt₁)
向流の場合は題意により、
Δt₂=73-18=55 Δt₁=23-13=10
これを上式に代入すると、
Δtm=(55-10)/(2.3log5.5)=26.4℃
この場合、相加平均温度は32.5℃であるから、両者の差は約20%である。一般には(Δt₂/Δt₁)≦2ならば両者の差はつねに4%以下となる。

多重効用缶
蒸発缶より発生した蒸気の潜熱の有効利用法として、蒸発した水蒸気を沸点の低い蒸発缶の加熱管に導けば、適当な温度差が保たれて熱源として役立たれる。その為には水蒸気の導かれた第二缶は減圧して沸点を下げればよいわけである。

例題
ショ糖溶液を三重効用缶で濃縮する。第1缶に供給されるスチーム温度を112℃とし、その温度差を9℃とする場合、第2缶、第3缶の温度差はいくらになるか。各缶の伝熱面積は同じとする。
解)U₁=2000、U₂=1200、U₃=600とする。Δt₁=ts-t₁より題意を入れると、
t₁=112-9=103℃
t₂=t₁-t₂よりΔt₂を求める。
Δt₁/Δt₂=U₂/U₁  ∴9/(103-t₂)=1200/2000 t₂=88℃
Δt₂=103-88=15℃
またΔt₃=Δt₂-Δt₃より同様にΔt₃を求める。
Δt₂/Δt₃=U₃/U₂  ∴15/(88-t₃)=600/1200 t₃=58℃
Δt₃=88-58=30℃
同じ伝熱面積を有する缶を多く並べても全蒸発量は変化しない。総括伝熱係数の低下に応じて伝熱面積を増加する必要がある。

乾燥
溶解物の移動
乾燥は食品内部の水分を表面に向かって移動させる。この際水に溶解した物質も表面に運ばれる。しかし、細胞のもつ半透明の性質はある種の水溶性物質の移動を阻害したり、促進したりする。材料の収縮は移動を促進させる。
Van Arsdelは表面に向かっての移動の反対方向、すなわち中央部に向かって溶解した物質が移動することを導いた。表面が乾燥して水分が蒸発すると、表面部分の水溶液濃度が上昇し、中央部水溶液との間に濃度勾配を生じ、溶解物は中央部に向かって移動する。
収縮
乾燥初期の低い乾燥速度では収縮量は水分移動量と簡単な関係にあるが、乾燥が終末に近くなると収縮は減じ、最終の物質の形状は乾燥の終わる前に決まってしまう。
乾燥初期では材料の面積は次式のように変化する。
A/A₀=((W+0.8)/(W₀+0.8))^(2/3)
A₀:材料の初めの面積 [m^2]
A:含水量Wのときの面積 [m^2]
W₀:材料の初めの含水率  [kg/kg-D.M.]

冷凍および空気調和設備

空気調和
日射量
地表での太陽光線に垂直な平面の単位面積が受ける日射量のうち直達日射量は、太陽の
通過率をP、太陽の高度をh度とすれば次式で表せれる。
I=I₀・P^(1/sinh) [kcal/m^2・h]
水平面日射量
Ih=Q/S'=Q/(Scosech)=Q/S [kcal/m^2・h]

室内気候の表示
グローブ温度
放射によって移動する熱量は周壁面温度によって変化するので、室内のある点に周壁から
放射される熱量の程度は、グローブ温度ta℃によって次式のMRT(平均輻射温度)式で示される。
MRT=tg+2.4√υ・(tg-t) [℃]
υ:風速[m/s]

熱の移動
壁体を通過する熱量qは壁体の両側の流体の温度差に比例する。
q=(ti-t₀)A/Rt、q=K・A(ti-t₀)
ti:高温側温度
t₀:低温側温度
K:熱通過率[kcal/m^2h℃]

管の通過熱量
管1m当りの単位時間についての伝動熱量q
q=2π(θi-θ₀)/(∑(1/λn)logeRn)=2π(θi-θ₀)/(2.3∑(1/λn)log₁₀Rn
また、管内外面の熱伝達率をαi,α₀とし、管内外の流体の温度をti,t₀とすると、
q=2π(ti-t₀)/(1/αiri+2.3∑(1/λn)log₁₀Rn+1/α₀r₀)[kcal/mh] となる。

放射による熱の移動
高温物体は、その分子の熱振動の為、放射線(熱線)を放射している。
絶対温度T°Kの完全黒体の単位表面積から出る放射エネルギの総和Ebは、
Eb=Cb(T/100)^4 [kcal/m^2h]
Cb:完全黒体の放射常数 ≒4.95[kcal/m^2h°k^4]

作動流体
η:熱効率は、W/Q₁=(Q₁-Q₂)/Q₁<1で表される。Q₁/T₁≦Q₂/T₂となるので、熱効率は最大値すなわち、カルノー効率ηc=(T₁-T₂)/T₁となる。
冷凍機においてはQ₂/Wを、ヒートポンプの場合はQ₁/Wを其々、成績係数または動作係数といい、冷凍機については(COP)R、ヒートポンプでは(COP)Hで表せれる。
即ち、(COP)R=Q₂/W=Q₂/(Q₁-Q₂)可逆機関では=T₂/(T₁-T₂)
(COP)H=Q₁/W=Q₁(Q₁-Q₂)可逆機関では=T₁/(T₁-T₂)
理想サイクルは、熱機関では、
①一定の温度T₁を保ちながら等温膨張する。
②熱源から切り離して断熱膨張させて温度をT₂にする。
③一定温度T₁を保ちながら等温圧縮させる。
④熱源から切り離して断熱膨張させて温度をT₂にもどす。
①~④までの1サイクルをライキンサイクルという。
エンタルピーhを使って、ライキンサイクルの熱効率ηRは、
ηR=((h₃-h₄)-(h₂-h₁))/(h₃-h₁)-(h₂-h₁))≒(h₃-h₄)/(h₃-h₂)
一方、逆ランキングサイクルでは、
(COP)R=(h₁-h₄)/(h₂-h₁)
(COP)H=(h₂-h₃)/(h₂-h₁)

車室内温熱環境

人体の対流熱伝導率hc 単位W/m^2k=max(2.38(Tsk-Tair)^0.25、12.1√ν) 0 0
外部環境への熱流qeν=w・LR・FpclfclhcAsk(psk-Pa) 0
Tsk :人体表面温度 Tair :周囲平均温度 w :濡れ面積率 LR :ルイス数 
Fpcl :衣服の 皮膚と衣服 の透湿効率 fcl: 皮膚と衣服の表面積比 Ask :皮膚表面
X:室内絶対湿度  Pa:室内蒸気圧 Psk:皮膚表面の飽和蒸気圧 he:熱伝導率
σ:ステファン定数

HVAC機能
1.インテークドアによる内気、外気の取り込み
2.ブロアファンによる送風
3.エバポレータによる冷却
4.ヒータコアでの加熱
5.ミックスドアによる温調
6.モードドアによる配風

蒸発による熱移動は相対湿度φと空気と皮膚表面の飽和水蒸気圧Pair、Psk単位KPaを用いて次で表される。
Eeυ=ωheAsk(φPair-Psk)
濡れ率ω=0.06+(0.94Esω/(heAsk(φPair-Psk))
潜熱伝達率he=LRhc 0
放射収支Qrd=Aiεiσ(ΣN、j=1・Gi、j(Tj+273.15)^4-(Ti+273.15)^4) 0

クーリングタワー

冷却能力の計算
循環水負荷側出口温度、入口温度が解っている場合
Q:負荷容量=yb・Lb・cb・(Tout-Tin)・0.07
cb:循環水比熱[cal/g・℃]
yb:循環水密度[g/cm^3]
Lb:循環水流量[ℓ/min]
Tout:負荷出口温度[℃]
Tin:負荷入口温度[℃]

被冷却対象物の冷却時間と湿度が判明している場合
Q=Vs・Cs・γs・(Tb-Ta)/t
Vs:比冷却対象物体積[m^3]
Cs:被冷却対象物比熱[kJ/g・℃]
ys:被冷却対象物密度[g/cm^3]
Ta:被冷却対象物冷却前の温度
Tb:被冷却対象物冷却後の温度
t:被冷却対象物冷却時間[sec]

蒸発量E
E=Δt・L/600 [L/min]
Δt:循環水入口・出口の温度差[℃]
L:循環水量[L/min]

補給水量M
M=E・C・B
C:キャリーオーバ量
B:ブローダウン量=E/(N-1)-1

濃縮倍数Nと補給水量Mとの関係
N:濃縮倍数=(E+C+B)/(C+B)=M/(C+B)

M:補給水量=N/(N-1)・E
循環水温度差が5.5℃の時、濃縮倍数を3とすると、補給水は概略1.5%見込む必要があります。
飽和空気の絶対温度、比エンタルピー及び比容積
20~50℃の温度範囲で誤差1%未満となるような近似式
xs:絶対湿度=-0.010165+1.8914・10^-3t-5.4854・10^-5・t^2+1.1152・10^-6・t^3
(E<0.8%、22~50℃の範囲ではE<0.5%)
hs:比エンタルピー=27.02+6.027t-0.1478t^2+0.002967t^3
(E<0.8%、22~50℃の範囲ではE<0.6%)
vs:比容積=1/(1.2573-2.8729・10^-3・t-6.1406・10^-5・t^2)
(E<0.12%、22~50℃の範囲ではE<0.06%)

エネルギーの保存式
水の入口、出口に於ける質量流量:Gw₁、Gw₂[kg/hr=1/hr]
水の入口、出口の比エンタルピー:hw₁、hw₂[kJ/kg]
水の入口、出口温度:tw₁、tw₂[℃]
湿り空気中の乾き空気の質量流量:GA[kg(DA)/hr]
湿り空気の入口、出口比エンタルピー:hA₁、hA₂[kJ/kg(DA)]
湿り空気の入口、出口の湿球温度:tA₁、tA₂[℃]
エネルギーの保存式
Gw₁hw₁-Gw₂hw₂=GA(hA₂-hA₁)

紫外線殺菌灯について


殺菌効果は波長253.7nm付近が最も強く、直射日光に含まれる、紫外線350nmの1600倍である。

殺菌の残存生菌率:S=N/No=10^(-Et/D)
殺菌率:P=1-S=1-10^(-Et/D)
殺菌率Pを得る為の必要な殺菌線量:Q=-D・log(1-P)

殺菌効果は、殺菌照度E(W/㎡)と照射時間t(秒)の積(殺菌線量J/㎡)で決まり、殺菌線量を等しくすればよい。殺菌線に対する菌の感受性は、種類と環境条件によって異なり、D値(殺菌を10分の1にする殺菌線量)で表します。
N:殺菌線の照射後の残存生菌数(殺菌線の照射培地の生育コロニー数)
No:殺菌線の照射前の菌数(殺菌線の「非」照射培地の生育コロニー数)
E:殺菌照度W/㎡
t:照射時間sec
D:殺菌の種類によって決まる「90%殺菌率」の殺菌線量J/㎡

層流環状光反応器に於ける枯草菌胞子の殺菌特性
反応器内が層流域である場合
狭い隙間(平行平板間距離2b[m])を1次不可逆反応(反応速度定数κ₁[s^-1])を
伴う反応流体が層流で流れている場合の反応特性は、限定反応成分Aに関する
定常下での物質収支より
DA:A成分の分子拡散係数[m^2・s^-1]=∂^2・CA/∂y^2-u₀(1-(y/b)^2)∂CA/∂x-κ₁CA=0 ①
u₀:最大流速[ms^-1]=3u/2
CA:反応器出口濃度
CA₀:反応器入口濃度

無次元数の因子
κ₁l/u₀、 κ₁b^2/DA
①式の無次元パラメーターX=x/l、Y=y/b、Z=CA/CA₀を用いて無次元化し、反応特性に影響を与える因子を求めると、
∂^2/∂y^2=1/b^2・(∂^2/∂y^2)より、
∂^2・z/∂y^2-(u₀/κ₁l)(κ₁b^2/DA)(1-Y^2)∂z/∂x-(κ₁b^2/DA)・Z=0
よってZに影響を及ぼす無次元パラメーターは
κ₁l/u₀、 κ₁b^2/DAになる。

無次元反応時間:κ₁l/u₀=2κ₁l/3u=2/3κ₁Tlm
Tlm=l/u:層流反応器に於ける平均滞留時間
反応速度と拡散速度の比:κ₁b^2/DA=(κ₁CA)b/(DA(CA/b))

水殺菌
クーリングタワー水のτは、冷却水に溶融している物質のうち殺菌放射透過率に影響すると考えられる物資として,鉄分と有機炭素TOC(ペプトン)を含む蒸留水で作成すると、3価の鉄は殺菌放射を強く吸収することがわかる。
これらの複合のτ値は次の式で示すことができる。
τ=1/((1/0.53)・(TOC/4.6)-(Fe/0.17)単位m 0 m
TOC:有機炭素濃度 ppm
Fe:鉄イオン濃度 ppm
(1/0.53):蒸留水に対する水道水の透過率 1.886792453

静止水の殺菌効果
殺菌放射を菌に照射した時の残菌率Sは次式で表す。
S=10^(Et/D)=exp(-Et・ln10/D)  ①
E:殺菌放射照度 W/m^2
t:殺菌放射時間
D:菌数が1/10に減少殺菌照射エネルギーの値
ランプ中心からr単位mの点における殺菌放射照度Eo=P/2πr W/m^2  ②
P=nPo/h:殺菌ランプ単位長当りの出力W/m
Po:殺菌ランプ1本当りの殺菌放射出力W
n:殺菌ランプ灯数
h:殺菌ランプ発光部長さm

殺菌槽に水を入れた場合、殺菌放射は散乱・吸収されて減弱し、殺菌槽中心からr単位mの位置における殺菌放射照度Eは
E=Eo・10^-(γ/τ)=Eo・exp(-γ・ln10/τ)  ③
τ:殺菌放射強度を10分の1に減弱する水の厚み

殺菌槽の中心から半径r(m)の地点の微小空間における残菌率S
S=exp((P・ln10/2πrD・exp(-r・ln10/τ)・t)  ④

④式を殺菌槽全体で平均し、殺菌槽の平均の残菌率Sを求める。
殺菌ランプからの放射は②式で表わされるので、ランプ管軸方向の殺菌効果は一様でありS’は殺菌ランプ管軸と直交する面(殺菌槽の円筒断面)の平均を求めれば良い。
④より、殺菌槽内の平均の残金率Sを計算する。

lnS’=P・τ/(πR^2D)(1-exp(-R・ln10/τ))=-Bt
S’=exp(-Bt) ⑤
B=P・γ/(πR^2D)・(1-exp(-R・(ln10/τ))
ここに
R:殺菌槽の内径m
⑤を常用対数で表すと、
ーlogS’=P・t・τ/(πR^2D・ln10)・(1-10^(-R/γ)

殺菌効果を考慮した殺菌槽内の平均の殺菌放射速度E単位W/m^2は、
S’=10^(-E't/D) ーlogS'=Et/D
E=P・t・τ/(πR^2・ln10・(1-10^(-p/τ) W/m^2
殺菌放射の水中透過率:τ

菌の数が10分の1になる殺菌放射エネルギー:D
D:大腸菌 30 J/m^2
D:レジオネラ菌 31 J/m^2
V:殺菌槽容量 m^3
M:貯水槽の容量 m^3
υ:流量 m^2/s
R:殺菌槽半径 0.15 m

殺菌ランプによる水殺菌の研究
水の殺菌放射透過率:τ=(1/((1/0.53)-(TOC/4.6))-(Fe/0.17)) m
TOC:有機炭素濃度 rpm
Fe:鉄イオン濃度 rpm
1/0.53:蒸流水に対する水道水の透過率

殺菌灯の計算方法


空気殺菌
ファン循環型殺菌装置を設置した場合、浮遊殺菌濃度の時間的な変化(T時間後の殺菌濃度CT)次式で求める事ができる。
T時間後の細菌濃度CT=Coe^(αT/R)
α=εnV
Co:初期細菌濃度
T:時間[h]
R:部屋の容積[m^3]
ε:殺菌された空気の殺菌率
n:台数
V:殺菌装置の循環風量
e:自然対数

間接照射方式による空気殺菌 自然対流の場合
吊下げ器具式
S:殺菌線が照射される天井面の面積
N:単位時間内に殺菌エリアを通過する空気の循環回数(自然対数1分2回)
V:空気総量=(4S・h・1/3)・N
ε:自然対流による殺菌率=1-10^(-Et)
E:平均殺菌線照度(W/㎡)
t:殺菌時間(秒)
n:取付台数
α:=εnV
Cγ:T時間後の室内の浮遊細菌濃度=Coe^(αT/R)

殺菌灯によるオゾン発生器
チオ硫酸ナトリウムの添加量によりオゾン生成量
オゾン生成量Mo3=22400/1000・n・C・M

溶解・損失過程での溶存オゾン濃度の時間変化dC/dt=(D/δ)(A/V)(Cs-C)-κdC^n=κL(A/V)(Cs-C)-κdC^n=κLa(Cs-C)-κdC^n

オゾン濃度C=A/αTs・log(Io/Ix) オゾン生成効率η=60*10^-3*Q*C/Pac g/kWh
A定数
αオゾンの吸収係数
Tsセルの空隙
Io紫外線入射光量
Ix紫外線吸収光量
Pac放電電力w
C測定オゾン濃度g/Nm^3
Q酸素ガス流量mɭ/min

計算例
対象となる菌:大腸菌(空気中)
部屋の大きさ:間口
使用器具:fa01996z
n:取付台数
自然対流の周期:2回/1分
ε=1-10^(-Et/D)=
α=εnV
よって、T時間後の室内の浮遊細菌濃度Cγは
Cγ=Coe^(αT/R)

換気ダクトでのGL15殺菌灯本数求め方
所要本数N=0.18L/D
L:照射ダクトへの送風量
D:照射ダクト切口の短辺の長さ

空気清浄機の効果的な利用
C:室内汚染濃度=Coe^((-qη/v)t)+M/qη(1-e^((-qη/v)t)
M:室内汚染発生量mg/h
V:室容積m^3
C:室内汚染物質濃度mg/m^3
η:空気清浄機捕集率
t:経過時間h
q:空気清浄機の処理風量m^3/h

オゾン発生原理
τ1=(8/n(dρ’/dt))^0.5)j=jmax
j:電流密度
jmax:最大電流密度
dρ’/dt=d(ρ1-ρ2)/dt=(d(ρ1-ρ2)/d(E/n))・(d(E/n)dt)
ρ1:電離速度定数
ρ2:付着速度定数
ρ’:実効電離速度定数
E:電界
n:粒子数

空気原料によるオゾン生成
電子の半径方向への拡がりの時間変化は、 r(t)=√(2t・D)
拡散係数Dは中性ガス密度に反比例するので、放電柱の半径の圧力依存性は、r(p)=ro/√(P/Po)

空気原料オゾン発生器の場合、ギャップ長d1及び圧力Pを変化させた時の半径r(p,d1)=150mm*(√d1/P)^1/2

紫外線照射による菌類の生存率
S=P/Po=e・Et/Q
タンク殺菌計算例
条件
選定根拠
対象水 純粋(水温範囲:5~25℃) 名称 タンク殺菌装置120w1灯
殺菌性能 枯草菌(芽胞)殺菌率99.9%以上 特記仕様 ジャケット長変更:約2m
処理水量 80m^3 紫外線照射量 20.3 mJ/cm^2
タンク仕様 サイズ:8000*D3500*H4000mm 紫外線出力維持率 0.6
材質SUS304 容量100m^3 ジャケット汚れ 0.8
その他 推移:タンク上部より0.3~0.8m 時間 2 h 0.033333333 min/h 0.000555556 sec/min
入替回数:8回/日

紫外線照度=紫外線照射量/紫外線出力維持率/ジャケット汚れ/時間 0.005873843 mW/cm^2

設置位置
ランプはタンク中央に設置し、ランプジャケットの長さを2m程度にして水位が上位より0.8m下がったときでもランプが水面上に出ないようにする。

空気殺菌
室内空気殺菌の殺菌灯の算出
必要灯数N=0.05V/HF 器具による係数:15w吊下げ型1.5 15wトラフ型0.72 10wトラフ型0.29
この条件は空気の対流が理想的に行われ、他に汚染のない状態で、9分後に大腸菌を99.9%にすることが期待できる灯数を求める。
ダクト殺菌の取付け灯数の算出

必要灯数N=KL/CRD
K:GL15=0.18  GL30=0.08
R:反射率0の場合1 反射率50の場合1.35
表面改質、分解
光の持つエネルギーは、光の波長から計算することができます。
E=1.24/λ 0.00488189 ev E=1/4.2・N・h・c/λ 1.15823E-29 kcal/mol

皮膚又は目に対する紫外線254nm照射の被爆許容照度TLV

1日当たりの被爆時間  実効照度
        秒  s μW/cm^2
      28800   0.2
      14400   0.4
       7200   0.6
       3600   1.6
       1800   3.4
        900    6
        600    10
        300    20
         60   100
         30   200
         10   600
          1  6000
         0.5  12000
         0.1  60000

適合RED値の算出方法

S:紫外線照射後の生存率
D:紫外線照射量
Do:不活化速度定数
Ds:不活化速度定数曲線のX軸切片であり、fは下記に示す。1~6までの補正係数の積(fL*fr*fD*fj*fH*fBH)である。
①fL:LEDの紫外線強度維持率

紫外線の殺菌作用とその効果

微生物には種々の種類があり、それぞれの形態が異なっているため、これらを殺菌するには紫外線照射量は一定ではなく大きく異なっている。紫外線の照射量(mW・sec/cm^2)は紫外線照度(mW・cm^2)
と照射時間(sec)の積で表され、微生物の生存率は次式で表わされる。

S=P/Po=exp(-Et/Q)

S:生存率
Po:紫外線照射前の微生物菌数
Po:紫外線照射後の微生物菌数
E:照度
t:照射時間
Q:Sを1/e=36.8%にするのに必要な照射量(照度*照射時間)

空気衛生を目的とする殺菌灯器具取付数の算定について
送風ダクトを利用した空気殺菌
生菌数は照度時間に対してほぼ指数関数的な減少を示し、生存率S次の関係式で表される。

S=e^(-It/Q)
I:殺菌紫外線の放射照度
t:照射時間
Q:生残率I/eとする照射量(Wmin/m^2)

常用対数の関係式に書き直せば
S=10^(-It/Eo)
Eo:生残率を10^-1とする照射量(Wmin/m^2)
ーlogS=IAD/EoL=FD/EoL=F/EoCJ
L:ダクトへの送気量m^3/min
t:空気が照射ダクトを通過する時間を(min)
J:風速(m/min)
F:ダクトの照射部分へ入射する殺菌紫外線の全放射束、所要紫外線入力F(W)
F=0.23L/D=0.23CJ
G:殺菌紫外線の有効出力(W) 2.5 W 汚れ係数 2 1.25

所要灯器数N=0.23L/DG=0.23CJ/G
近似的に
N=0.18L/D=0.18CJ

作業場の環境衛生への使用における灯数計算
部屋の被照射空間の寸法をもぅた仮想ダクト殺菌灯を取付けて部屋全体の空気を連続的に殺菌する。
浮遊細菌の生残率Sと諸量の関係は
ーlogS=FH/EoV
V:室容積m^3でこの照射ダクトにおける通風量にあたる。
F:照射空間への殺菌紫外線入力(w)
H:照射との距離

殺菌紫外線の所要入力F(W)=ーlogSEoV/H
G:殺菌紫外線の有効出力
所要灯器数N=ーlogSEoV/GH
公衆空気衛生への使用における灯数計算
1日6時間以上にわたって衛生通風量Bm^3/min
B=80P^2/V 1280

P:最大在室人数で1より大 2
V:室容積m^3 4
被照射空間の寸法をもつダクトへ殺菌灯を取付けて、衛生風量Bと同量の室内空気の殺菌を行うと

ーlogS=FH/(EoB)=FHV/(80EoP^2)
E= 0.115 W・min/m^2
S= 0.368

殺菌紫外線の所要総入力F(w)=4P^2/(HV)
G:有効出力 w
所要灯器数N=4P^2/(GHP)

結び
灯数計算式

a)送気ダクトを利用した空気殺菌を行う場合、
所要灯器数N=0.23L/DG=0.23CJ/G #DIV/0!
L:照射ダクトの通気量 m^3/min
D:照射ダクト断面の一辺 m
G:灯器の殺菌紫外線有効出力 w
C:灯取付部ダクト断面の一辺 m
J:風速 m/s

食品製造や医薬関係の作業場などで特に高度の空気殺菌が望まれるところでは、次式を適用する。
所要灯器数N
N=0.9L/DG=0.9CJ/G #DIV/0!

b)閉ざされた室内へ殺菌灯器具を取り付けて上層空間の照射を行う場合、所要灯器数Nは
N=0.05V/GH

V:室容積m^3
H:灯器と天井との距離
G:前出、器種により特定な値

高度の空気殺菌が望まれる場合は
N=0.2V/GH

空気感染の防止が望まれる場合は
N=4P^2/GHV

UR-UVGIの殺菌性評価方法

殺菌率KR=1-e^(-klt)
殺菌係数k m^/J
紫外線強度:I W/m^2
暴露時間:t s
紫外線照射量:Uvdose=I・t

滞在時間
UR-UVGIが設置された室内局所領域における空気の平均滞在時間は
Tp=Vp/(VF/PFR)

Vp:局所領域の体積
Tp:平均滞在時間

バッシブスカラー輸送方程式
D/t濃度の時間変化+vj/σ・D/xj流れによる物質拡散=∂/xj+I物質の発生
D:紫外線照射量 J/m^2
I:紫外線強度 W/m^2
vj:渦動粘性係数
σ:乱流シュミット数

流入境界
kin=3/2*(Uin*0.05)^2
εin=Cu*kin^(3/2)/Iin
Um:風速
Iin:吹出代表長さ
Cu: 0.09

殺菌灯の実験式

強度I[molm^-2・s^-1]の254nm光が照射された時、胞子の光吸収断面積をα[spores mol
^-1]、不活性化量子収率をφ[spores mol^-1]とすると、平均ピット数qはφαItで与えられ
る。φα[m^2mol^-1]は254nm光照射下での不活性化断面積と呼ぶ。
以上により、単細胞微生物の不活性化率xj=(1-exp(-φα)It))^mとなる。

滞留時間分布が反応特性に及ぼす影響
層流環状光反応器に於ける枯草菌胞子の殺菌特性
反応器内が層流域である場合
狭い隙間(平行平板間距離2b[m])を1次不可逆反応(反応速度定数κ₁[s^-1])を
伴う反応流体が層流で流れている場合の反応特性は、限定反応成分Aに関する定常下での
物質収支より
DA:A成分の分子拡散係数[m^2・s^-1]=∂^2・CA/∂y^2-u₀(1-(y/b)^2)∂CA/∂x-κ₁CA=0 ①
u₀:最大流速[ms^-1]=3u/2
CA:反応器出口濃度
CA₀:反応器入口濃度

無次元数の因子
κ₁l/u₀、 κ₁b^2/DA
①式の無次元パラメーターX=x/l、Y=y/b、Z=CA/CA₀を用いて無次元化し、反応特性に
影響を与える因子を求めると、
∂^2/∂y^2=1/b^2・(∂^2/∂y^2)より、
∂^2・z/∂y^2-(u₀/κ₁l)(κ₁b^2/DA)(1-Y^2)∂z/∂x-(κ₁b^2/DA)・Z=0
よってZに影響を及ぼす無次元パラメーターは、κ₁l/u₀、 κ₁b^2/DAになる。
無次元反応時間:κ₁l/u₀=2κ₁l/3u=2/3κ₁Tlm
Tlm=l/u:層流反応器に於ける平均滞留時間
反応速度と拡散速度の比:κ₁b^2/DA=(κ₁CA)b/(DA(CA/b))
環状反応器の層流速度分布
u(r)=2u((1-(r/r₀)^2+(1-κ^2)ln(r/r₀)/l(1/κ))/((1-κ^4)/(1-κ^2)-(1-κ^2)/ln(1/κ))
表面改質、分解
光の持つエネルギーは、光の波長から計算することができます。
E=1.24/λ 0.00488189 ev E=1/4.2・N・h・c/λ 1.15823E-29 kcal/mol

BF=ΣiGFiPi/(ΣiPi) 0.76
ペトリ皿液内の平均紫外線強度 I 0.32 mW/cm^2
照射時間 t 80 sec
生存率 S 0.1
波長253.7nmの不活化速度定数Do 8.44963344 mJ/cm^2
Do=-BF・I・t/ln(S)

RED実測=-Doln(S) 19.456

紫外線強度変換係数の最小値Bfmin

UV-LEDの仕様
パッケージとしての発光分布仕様
ピ-ク波長
半値全幅
5nmごとのP値:280nmが1、270nmと290nmが0.25、275nmと285nmが0.75、その他は0

モジュールとして追加される発光分布仕様
ピーク波長範囲:±15nmでバラツキが正規分布

波長 MSの 発光分布
nm  GFi  Pi   Gfi*Pi
235  0.69  0    0
240  0.6   0    0
245  0.68  0    0
250  0.86  0    0
255  1.06  0    0
260  1.21  0.011  0.01331
265  1.24  0.097  0.12028
270  1.1  0.385  0.4235
275  0.94  0.798  0.75012
280  0.77  1 0.77
285  0.58  0.798  0.46284
290  0.38  0.385  0.1463
295  0.17  0.097  0.01649
300   0   0.011   0
合計 10.28  3.582   2.70284

BFDATA= 0.755 Bfmin 0.253

この場合、fBF= 0.335099338

κの算出例
ペトリ皿表面の半分方向を10分割し、配光特性が先の例f(θ)=(cosθ)^1.13θ^2の場合について
d= 1.7 cm
rp= 1.725 cm
I= 0.68 mW/cm^2
f(θ)=(cosθ)^(1.13・θ^2)の場合
I=κ∫rp~0・2πxf(θ)/ɭ^2/∫r~0^p・2πxdx 10分割
x ɭ cosθ θ xf(θ)/ɭ^2

試供液内の平均紫外線強度の計算方法
ペトリ皿表面を半径方向と液深さを各10分割し、配光特性が先の例の∫(θ)=(cosθ)^1.13θ^2
Iav=κ∫h~0∫r~0^p・2πx(f(θ)/ɭ^2・T^(l・y/(d+y))dxdy/(∫h~0・∫rp~0・2πxdxdy)

配管

蒸気配管の圧力損失
経済的配管径
管径が大きくなると、配管工事費及び放熱損失が大きくなり、ボイラの燃料消費量が大きくなる。経済流速Vは、
V:飽和蒸気=93.6d^0.482
V’:過熱蒸気=117d^0.489
d:経済的管径(飽和蒸気の場合)=0.177(W/ρ)^0.403
d’:経済的管径(過熱蒸気の場合)=0.163(W/ρ)^0.402
W:蒸気流量=0.25πd^2ρV
ΔP:圧力損失=1.68・10^-5W^2・l(1+0.09/d)/(ρd^5)
l:相当直管長=lo+nele+nυlυ
d:管内径[m]
lo:直管長[m]
le:エルボの相当直管長=25d^1.4[m]
lυ:弁の相当直管長 仕切弁=18d^(1/4)、 玉形弁=110d^(1/2)
ne:エルボの数
nυ:ベンの数
ρ:蒸気密度[kg/m^3]

配管の熱応力
Is:配管の熱応力指数=0.0048DY/(L-U)^2 Is≦1であれば、熱応力は許容できる。
Y:拘束された線膨張量(移動量)=(Δx^2+Δy^2+Δz^2)^0.5=e(x^2+y^2+z^2)^0.5
e:管の単位線膨張量=a(t-15)+b(t-15)^2
a:単位線膨張量式の定数
b:単位線膨張量式の定数
D:配管の呼び径A[mm]
L:固定点間の配管の延べ長さ[m]
t:管の温度[℃]
U:固定点間の直線距離[m]
x:拘束Aのx座標[m]
y:固定点Aのy座標[m]
z:固定点zのz座標[m]
Δx:拘束されたx方向線膨張量[m]
Δy:拘束されたy方向線膨張量[m]
Δz:拘束されたz方向線膨張量[m]

乱流の場合は、Fanningの式を使用する。
管摩擦損失:ΔP=4f(ρu^2/2)(l/D)(1/98070) kgf/cm^2
Re=ρuD/(μ*10^-3)
f:摩擦係数
l:相当長 m
ρ:流体の密度 kg/m^3
e/D’:管壁の粗度
u:配管内流速 m/s
D:配管内径 m
μ:流体の粘度 cp

ポンプの押込み力が、いくらあるかを液中高さで表す。
有効NPSHav=(P-Vp-ΔP)/ρ*10^4+(Hsυ-Hp) -1.120453149 m
P:ポンプ吸込側容器の圧力 3.059 kgf/cm^2・A
Vp:ポンプを通る液体の蒸気圧 3.059 kgf/cm^2・A
ΔP:ポンプ吸込配管抵抗 0.006877875 kgf/cm^2
ρ:ポンプを通る液体密度 571 kg/m^3
Hsυ:ポンプ吸込容器内の液の地上からの高さ m
Hp:ポンプ吸込ノズルの液の地上からの高さ 1 m

5.5 コントロールバルブのCυ値
Cυ:バルブのCυ値=0.03692*Q√(ρ/ΔP) 0
Q:バルブを通る液体の体積流量
H:ポンプヘット
e:ポンプ効率

ポンプ吸込側の配管抵抗
表7 計算に必要なノルマルブタンの物性
蒸気圧kgf/cm^2・A 3.059 6.526 10.197
飽和温度℃       32  60  79
液密度kg/m^3    571  533
液粘度cp       0.16  0.13

管内流速 0.931098696 m/s l:配管長さ 21 m
配管内径 0.0179
レイノルズ数 501751.6

管路断面積の急激な変化に伴う抵抗
管路断面積が急激に縮小した時の抵抗は上流の管路断面積が非常に大きい場合
ΔPc=1/2(ρu2^2/2)(1/98070) 0.001261919
e/D’ 0.0003
f 0.004
ポンプの吸込側配管の摩擦損失
管摩擦損失:ΔP=4f(ρu^2/2)(l/D)(1/98070) 0.005615956

流体管路系の過渡現象
∂H/∂t+u・∂H/∂x+a^2/g・∂u/∂x=0 
∂H/∂t+u・∂u/∂x+g・∂H/∂x=g(So-Sf)
t:時間
x:位置
ρ:流体密度
A:流路断面積
u:流路断面上の平均流速
F:外力項
g:重力加速度
H:管断面上の静水圧
So=-dz/dx:管路勾配
z:基準面からの管路高さ
Sf:摩擦勾配
a:管路内流れの圧力波伝播速度=ao/√((1/K)+(1/k)+(aopo/p^2))

溶接

プラグ溶接(線溶接)とは穴を開けてその穴を埋めて接合する溶接のことをいう。
1個のプラグ溶接の許容荷重は、次の算式によって算定する。
F:1個のプラグの許容荷重=(0.8d-5)^2・σα [kgf]
d:プラグの孔底の直径 [mm]
σα:母材の許容応力[kgf/mm^2]

溶接継手の強さ
平突合せ・T継手継手
σ:引張強さ=W/tl [MPa]
W:引張荷重 [N]
t:板厚[mm]
l:溶接長さ[mm]

曲げのみが働く場合の応力
平突合せ溶接
σbmax:完全溶込み=M/Z=6M/lα^2
σbmax:不完全溶込み=M/Z=M/(l/6t(t^3-(t-2h)^3)=3tM/(th(3t^2-6th+4h^2)
T継手溶接
σbmax:横曲げ完全溶込み=6M/αl^2、縦曲げ完全溶込み=6M/(αl^2)
σbmax:横曲げ不完全溶込み=3tM/(lh(3t^2-6th+4h^2)、縦曲げ不完全溶込み=3M/hl^2

四隅開先溶接
σbmax:最大応力=6・l2M/(l1l2^3-(l2-2h)^3・(l1-2h))

曲げとせん断が働く場合
T型継手溶接
σb:横曲げ完全溶込みの主応力=6PL/(αl^2)、τmean=P/lα、τmax=3P/(2lα)
  縦曲げ完全溶込みの主応力=6PL/α^2、τ=P/αl
σb:横曲げ不完全溶込みの主応力=3tPL/(lh(3t^2-6th+4h^2)
  縦曲げ不完全溶込みの主応力=3PL/hl^2、τmean=P/2lh、τmax=3P/4lh

捻じれの場合
T突合せ溶接
τ:完全溶込みせん断応力=T((3l+1.8α)/(α^2l^2))
τ:不完全溶込みせん断応力=T(3l+1.8・2h)/(4h^2l^2)
円周隅肉溶接
α=0.707h、τ=T/2Sα
S:肉厚中心を通る線によって囲まれる面積
S=π・((d+α)/2)^2=π/4(d+α)^2
から τ=2T/(π(d+α)^2・α)、d≫αの時、τ≒2T/(πd^2・α)
四角周隅肉溶接
α=h/√2=0.707h
S=(l1-α)(l2-α)
τ=T/(2α(l1-α)(l2-α))
α:のど厚
t:板厚
h:溶込み厚
P:荷重
l:溶接線長

工業計測・診断

設備診断の基本的事項

基本用語
(1)兆候パラメータ:振動や音、温度などのように異常の情報キャリアーをいう。振動などを測定し、異常兆候を抽出する。
(2)兆候:特定の異常によって変化する変数のこと。
(3)検出遅れ時間TL:機械の内部に異常が発性してから設備診断によって異常が検出されるまでの時間のこと。
(4)リードタイムTl:異常が検出されてから機械が故障するまでの時間
(5)検出率P₀:設備に異常が存在する時、診断によって正しく検出できる確率をいう。
検出率P₀は技術的検出率Ptと診断周期依存検出率Piの積で表されます。
P₀=Pt・Pi
(6)過検出率α:設備が正常なときに異常であると誤って判断する確率のこと。統計学では一種の誤りという。
(7)見逃し率β:設備に異常があるのに、その異常を見逃して診断する確率で、統計学では二種の誤りという。
P₀+β=1の関係がある。

技術的検出率
例としてクラックの目視検査の検出率P₀は次の(Weibl)分布で示されます。
P₀=1-exp(-L/L₀)
L₀:検出可能な最小クラック長[mm]
L:検出すべきクラック長さ[mm]
α:クラックの形状により定まる係数

流量計測

校正装置の補正係数
K:補正係数=Q/(W/t)
Q:出力
W:重量
t:時間

レイノズル数の補正係数
レイノズル数は、一般的に次のように定義される。Re=DU/ν=DQm/(Sμ)、D:管径、
U:流速、ν:流体の動粘性係数、S:管路の断面積、μ:流体の粘度
レイノズル数の不確かさの計算
(δRe/Re)^2=(δD/D)^2+(δQm/Qm)^2+(δS/S)^2+(∂μ/∂P)^2(δP/μ)^2+(∂μ/∂T)^2(δT/μ)^2
δの付いた量は微小変動量で、その量の不確かさを表しその値のばらつき程度のこと。
流体の粘度μは、流体の圧力Pと温度Tの関数で、圧力・温度が測定できれば決定することができる。δK:補正係数の不確かさは次式で表される。(δK/K)^2=(δRe/Re)^2

測定された流量の不確かさ
Qm=K(Re)・流量計の指示値
(δQm/Qm)^2=(δK/K)^2+σ1^2+σ2^2
σ1、σ2はそれぞれ、適合曲線を使用した時の残差の標準偏差と流量計の出力の標準偏差(繰り返し性)である。

差圧式流量計
絞り流量計
絞り流量計はオリフィス、ベンチュリ、ノズルなどに分類される。これらの流量計では測定する流れのパラメータは差圧である。絞り流量計を使用する為には、その形状とレイノルズ数に応じた補正係数(流出係数)Cを校正によって決定することが必要となる。絞り流量計によって計測される質量流量Qmは、次式で与えられる。
Qm=CSo)2ρΔP/(1-β^4))^0.5
So:絞り部の最小断面積
ρ:流体の密度
ΔP:絞り部の上流と下流の圧力差
β:絞り部最小断面部分直径/管路の直径

熱式流量計
流量Qmはセンサー間の温度差ΔTから次式を用いて算出される。
Qm=CΔT/Cp
C:補正係数(センサー部分とバイバス部分との分流比率など流量計に依存した係数)
Cp:気体の定圧比熱

渦式流量計
管路内に置かれた渦発生体から生じるカルマン渦のストローハル数を利用したもの。
安定した渦が発生する領域しか使用できず、特に低流域での使用が限られている。
ストローハル数Stは、渦周波数∫、渦発生体の直径D、管内の平均流速Uとすると、
St=∫D/U、但しRe数2・10^4以上の流量範囲において使用される。

超音波流量計
流れの上流と下流側其々に向けて超音波を打った時に生じる伝搬時間の変化量を計測するというものである。この伝搬時間の変化量の検出方法によって時間差方式、位相差方式、シングアラウンド法、ドップラー法、ビーム偏差法など様々な方式が提案されている。
音速a、平均流速U、センサー間の距離L、流れに沿う方向の伝達時間t1、流れに逆らう方向を伝達時間t2とすると、∫1、∫2それぞれの超音波センサーの受信周波数は、
∫1=1/t1=(a+U)/L、 ∫2=1/t2=(a+U)/L
Δ∫:受信周波数の差=∫1-∫2=2U/(Dsinθ)
Qv:体積流量=CUS=CSΔ∫D/(2sinθ)
S:管路断面積

コリオリ式流量計
コリオリ力を利用した流量計で、2本のU字型のチューブをその軸に垂直方向に位相をずらして振動させる。この時U字管の内部を流体が流れると質量流量に対応したコリオリ力が作用して2本のチューブの振動に初期の位相差からの位相のずれが生じる。そこでこの位相差を計測すれば、その時の質量流量を知ることができる。実際は位相差の代わりに2本のチューブの基準点を通過するときの時間差Δtを計測する方法とることが多い。チューブに加えられる強制振動数をω、流体が流れる事により生じるチューブ捻じれ振動数をωs、チューブのバネ定数をKsとすると計測される質量流量Qmは、
Qm=CKsΔt(1-ω^2/ωs^2)/(2W^2)

音速ノズルの測定原理
スロート部の断面積をS、スロート部での密度をρ'、流速をu'とすると、スロートを通過する質量流量Qmは、Qm=Sρ'u'
気体密度ρ=PNg/(ZRT)
Ng:測定気体の分子量 Z:測定気体の圧縮係数 R:普遍気体定数 P:上流側圧力
T:上流側温度
10気圧以下の条件下ではほとんどの気体は、理想気体として取り扱ってもよい。
T'=2/(γ+1)To  P'=(2/(γ+1)^(γ/(γ-1))・Po

潤滑油分析

通常油の劣化を判定する為、次の物理化学性状検査を行います。物理化学性状を知る為の兆候パラメータは、
①油中固形分[%vol]
②油中水分[%vol]
③粘度[cst]
④全酸価[TAN]
⑤塩基価[TBN]

摩耗粒子
潤滑油中の金属粒子サイズは、統計的には対数正規分布に従うことが知られています。これは金属摩耗粉のような物理的に極めて大きいサイズと小さなサイズを併せ持つような分布は対数正規分布となることからきています。MIL規格1246(米軍規格)で摩耗粉の寸法と発生個数の関係を示した対数正規確率紙に摩耗の種類(スカッフィング、アブレシブ、疲労摩耗)ごとに、粒子サイズと個数をプロットしたもので、摩耗の種類ごとに分布形が異なるのが読み取れる。
対数正規分布の密度関数は、∫(x)=1/√(2πσe^2・x)exp(-(lnx-μLe)^2/(2σ^2・Le))
より一般の分布について、データ解析の手法を述べれば、
log ln(1/n)=lnα+β ln(x-γ)と二重に対数を取ります。
ここでY=log(1/n)、A=lnα、X=ln(x-γ)とおくと、Y=A+Bxとなり、直線の方程式になる
従って分析データを用いて分布形の特徴を示すパラメータα、βを求めれば摩耗の種類を知る事ができる。ここに、nは直径がxより大きい粒子の数、βは粒子サイズ分布の形に関係するパラメータで摩耗の種類を示す。αは粒子の材質に関係するパラメータ、γは位置パラメータである。

金属摩耗粉の除去率と均衡速度
発生した摩耗粉は、潤滑システムを循環する間に除去される要因があります。
①フィルターによる捕捉
②パイプなど曲線部での衝突
③タンクに於ける沈殿
④大粒子の粉砕
⑤化学変化
などの要因があります。
この除去率は粒子の直径、形状、密度などの影響を受けます。
システム中の金属粉の濃度Nは、第一サイクルで、N(αi,1)=x
第二サイクルではx個発生し、αix個減少しますので(αiは直径iの除去率)
N(αi,2)=x+(1-αi)x となり、従って第nサイクル後は、
N(αi,n)=x+x(1-αi)+x(1-αi)^2+…+x(1-αi)^n ここでn=∞とすると、
N(αi、∞)=x/αi
これが粒子の平衡濃度を表します。平衡濃度N(αi、∞)は、
①単位時間の摩耗粒子の発生率xに比例する。
②粒子除去率αiに反比例する。

潤滑油交換や潤滑油追加後、何サイクルで平衡に達するか、平衡濃度に到達するサイクルは
R≧lnβ/(ln(1-αi)) となります。
x:粒子発生量
αi:除去率
n:サイクル
N:(αi,n):除去率αiの粒子のnサイクル後の温度
R:平衡濃度に達するサイクル

潤滑油の取換え、補充の補正法
米国のAmenican Airlineの補正式
R:摩耗率=1/T(CA-CB)+q/2V₀(3CA+CB)
T:経過時間(飛行時間ta-tb)
CA:taでの濃度分析値
CB:tbでの濃度分析値
q:油充填率(期間中の補充量を期間長で割った値)
V₀:潤滑システムの全油量

英国のRoils Royceの補正式
R:摩耗率=V₀/T(CB((2V₀+VA)/(2V₀))-CA((2V₀+VA)/(2V₀))
VA:期間中の全補充量

定量フェログラフィによる診断
サンプル油中の大粒子摩耗粉は、プレシピログラフィ装置(磁石が装備されている。)の通路を通り、油中の大粒子摩耗粉は、プレシピログラフィ前方に沈殿し、小粒子は後方に付着する。その間にフェログラムリーダーでフェログラム上の摩耗粒子の量を光の透過量で測定し百分率で表示する。
0%=摩耗粒子なし、100%=摩耗粒子で光を通さない。
TL:フェログラム入口(55mm)に於けるリーダーの値[%]
TS:フェログラム位置50mm
TL+TS(全摩耗量)
TL-TS(差摩耗量)異常を起こすとTL≫TSとなる。
過酷度指数SI=(TL+TS)(TL-TS)=TL^2-TS^2

絶縁油の分析による変圧器の異常診断
油中ガス分析の原理
油中ガス分析法による、電力用変圧器の内部異常検出は、変圧器内部でコロナ、アーク、或いは局部加熱が発生すれば、絶縁材料が分解してガスを発生する事実に基づいています。
診断に当たって、ガス成分の分析データから、まず変圧器が正常か異常かを判定します。
異常と判定されれば、ガス成分より異常の種類と位置を推定する。
油中ガス分析と診断の手順
J. Radaudらの方法
ステップ1:成分パターンの定性的なグループ分類
⑴アセチレンが(他の成分に関係なく)存在→アセチレングループ
⑵アセチレンが存在せず、エチレンが存在→エチレングループ
⑶アセチレン又はエチレンが存在せずCO₂が存在→CO₂グループ
⑷アセチレン、エチレン、CO₂ともに存在せず、H₂が存在→H₂グループ

グループごとの故障の分離
⑴成分パターンがアセチレングループの場合
①[C₂H₄]/[C₂H₂]1→電気的異常
②[C₂H₄]/[C₂H₂]<1→電気的異常と熱的異常の重畳

⑵成分パターンがエチレングループの場合
①[C₂H₄]/[C₂H₆]>1かつ[C₃H₆]/[C₃H₈]>1→熱的異常
②[C₂H₄]/[C₂H₆]<1かつ[C₃H₆]/[C₃H₈]<1→電気的異常の可能性

⑶成分パターンがCO₂グループ場合
①[CO]/[CO₂]<0.1→熱的劣化
②[CO]/[CO₂]>0.1→電気的異常

⑷成分パターンがH₂グループの場合
部分放電の可能性がある。

ステップ3:各異常の過酷度の評価
この判定を一覧表にしたもの。(絶縁油中の溶存ガスによる電気用変圧器の故障同定表)

腐食・摩耗診断

プロセスの運転時の腐食モニタリング
電気抵抗法
電気抵抗要素を環境中に暴露し、減肉による電気抵抗の増加を電気的に測定する。
原理は、腐食が進行して抵抗エレメントが減肉すると、抵抗値が上昇します。抵抗エレメントが、中空のシリンダー状のワイヤーとすると、その抵抗値Rは次式のようになる。
R=ρ(l1/(π((r-x)^2))
ρ:抵抗率
l1:抵抗エレメントの長さ
r:抵抗エレメントの初期半径
x:腐食による減少厚み

溶液やリード線の抵抗を考慮した本装置の等価回路は、次のように表す。
この回路で、暴露抵抗エレメントR1の両端の電圧効果Em、参照抵抗エレメントR2の両端の電圧効果をERを測ると、次式で減肉量xを知ることができる。
x=r(1-(√((l1/l3)(1/(Em/ER-l2/l3)))

回転機械の診断

機械振動の性質
調和振動
ばね定数κのスプリングと質量Mを直列に接続した系統で錘を自然長からDだけ引いて離しますと、錘は上下に周期運動をします。この時、錘の任意の時間における位置(変位)は時間の関数x(t)となり、次のように表せれます。
x(t)=Dsin(2π/T・t+φ)=Dsin(ωt+φ)
D:片振幅[mm] [μm]
2D:両振幅[mm] [μm]
T:[s]
∱:周波数=1/T =ω/2π [Hz]
ω:角周波数=2π/T=2π∱ [rad/s]
ψ:位相=ωt+φ
φ:初期位相
υ:調和振動の速度=dx(t)/dt=Dωcos(ωt+φ)
α:加速度=d^2・x(t)/dt^2=Dω^2・cos(ωt+φ)
これより速度υ、加速度α、変位x(t)はそれぞれの振幅V,A,Dと周波数∱により、
V=ωD=2π∱D
A=ω^2・D=(2π∱)^2・D
ここで変位Dの単位をμm、速度Vの単位をcm/s、加速度Aの単位をgとしますと、
V=6.28∱D・10^-4
A=(2π∱)2・D/980・10^-4=4.02∱^2・D・10^-6

振動の実用単位
 振動量   基本単位  実用単位
D:変位   m     cm(10^-2m),mm(10^-3m),μ(10^-6m)
V:速度   m/s    cm/s(10^-2m),mm/s,(10^-3m)
A:加速度  m/s^2   cm/s^2(10^-2m),Gal(1cm/s^2,10^-2m/s),G9.8m/s^2

振動のデシベル表示
1.加速度
A:加速度dB=20log₁₀(Am/Ar)
Am:測定加速度(mm/sec^2)
Ar:基準加速度(0.01mm/sec^2)

2.速度
V:速度dB=20log₁₀(Vm/Vr)
Vm:測定振動速度(mm/sec)
Vr:基準振動速度(10^-5mm/sec)

調和振動のパラメータ
平均値daυ=2/π・D=0.637D
実効値drms=D/√2=0.070D
平均値daυ,実効値drms,ピーク値Dなどは変位のときはμm、速度の時はcm/s、加速度の時は、cm/s^2などの単位を持つ量です。このような単位をもったパラメータを有次元パラメータといいます。これに対して、次のように2つの有次元パラメータの比で表わされる量を
無次元パラメータといいます。

波形率
定義:Xrms/Xa
性質 :波の形を示す指数で、主として正弦波からのずれや、歪率を表す。
用途
⑴低周波領域のアンバランス、ミスアラメントなど
⑵脈動波形∱zなどの定量化
K:波形率 F∱=実効値/平均値=π/(2√2)=1.11 正弦波の時

波高率
定義:Xp/Xrms
性質:波の高さの指数
用途
⑴軸受の通過振動の定量化
⑵歯車の噛み合い振動の評価
C:波高率 Fc=片振幅/実効値=D/(D/(D/√2)=1.41 正弦波の時

衝撃指数
定義:Xp/Xa
性質:衝撃性を示し、とくにピ-ク値が問題となる時に用いる。
用途
⑴軸受通過振動の定量化
⑵歯車の噛み合い振動の評価
I:衝撃指数 π/2=1.571 正弦波の時

間隙率
定義:Xp/(Xr)^2
性質:波の詰まり度合を示す。
用途
C、Iなどと同様の用途に使用するが、とくに微小局部欠陥の検出能力が高い。
L:間隙率 √3=1.732 正弦波の時

クートシス値
定義:4次モーメント/(Xrms)^4
性質:確率密度関数P(x)の拡がり程度を示す。
用途
⑴軸受、歯車の診断
⑵回転機種の診断
β:クートシス値 3 正弦波の時

振動の測定法
圧電型ピックアップ
圧電型ピックアップは、0.1Hz~40kHzの範囲の10^-3~10^4Gまでの振動加速度の測定が
可能である。
圧電型ピックアップの等価回路から発生電荷qaは、
qa=Sq・α [pc]
ea:発生電圧=Sυ・α [mv]
∱e:ピックアップの固有振動数=1/2π・√(κ/m)
α:加速度[G]
R:漏洩抵抗[Ω]
Sυ:電圧感度 [mv/G]
Ca:ピックアップの静電容 [pF]
Sq:電荷感度 [pC/G]
Ga:漏洩コンダクタンス[S]
ea:発生電圧 [mV]=qa/Ga=Sq/Ca・α

サーボ型加速度ピックアップ
サーボ型加速度ピックアップは、測定すべき機械の振動によって変位yが生じると、内部の
振子の変位xが生じます。このxによってそれに比例した電圧ecを生じ、サ-ボ増幅器はこれを受けてxを0にするような復元力F=Bliを発生させるように駆動電流iを流します。iはRによって電圧降下e₀を生じ、このe₀が変位yの加速度d^2・y/dt^2に比例する。
つまり出力e₀は、e₀=-Rm/Bl・(d^2・y/dt^2)となり、2項の加速度と比例します。

ガスクロマトグラフ
準備・試料導入
実際のカラム内のキャリヤ-ガス流量Fcは補正してつぎ式のようになります。
キャリア-ガス流量Fc=F(Tc/Tr)((Po-PH20)/Po)
Po:カラム出口圧力 101 kpa
PH20:飽和水蒸気圧
Tc:カラム温度
Tr:室温(絶対温度)
F:室温での流量

メタン保持時間(to)から流量を求める方法

キャリヤーガス線速度u[cms^-1]=L/to
to:メタンの保持時間[sec]
L:カラムの長さ[cm]
F:キャリヤーガス流量[mLmin^-1]=60πr^2u/J 0
r:カラム内径[cm/2]
J:圧力勾配補正因子=3(P^2-1)/(2(P^3-1)) 1.5
P:大気圧+カラム入口圧[kpa]/大気圧[kpa]

パッシサンプラー
フィックの第一法則拡散層を単位時間に通過する分析種の量J[gs^-1]=DAdc/dxD
D:大気中の分析種の拡散係数
A:サンプラーの開口部の表面積
dc/dx:拡散層の分析種の移動方向の濃度勾配
M:サンプラーによって捕集される分析種の量=Kt(e)Co
t(e):暴露時間(サンプリングしている時間)
Co:大気中の分析種の濃度
K:サンプラーによって決まる分析種の取り込み速度=DA/L
L:拡散層の長さ

半導体式センサー
ガス検知メカニズム

R:センサー抵抗値=KCn
K:定数
n:定数
C:ガス定数
ΔV:ガス感度=Vt-Vo
Vo:清浄空気中での電気的出力
Vt:ガスがある時の出力値
S:臭いセンサー値=A*log10C+B
A:定数
B:定数
log10Cj=(Ai*log10Ci+Bi-Bj)/Aj

トルエン換算した全濃度Ctvoc=∑10((Ai*log10Ci+Bi-Bj)/Aj)

室内での臭いセンサー値Stvocとトルエン換算した全濃度には、次式の相関があると考えられる。
Stvoc=At*log10Ctvoc+Bt=At*log10∑10((Ai*log10Ci+Bi-Bt)/At)+Bt
At:トルエン定数
Bt:トルエン定数

モデルによるファン・ブロワの性能試験と検査

1.運転条件
モデル試験は次の条件を満足する回転速度比で行う。
p₂/p₁>1.03の場合
Dg/Dt√((κt/(κt-1))Rt・T1t((0.98πs(1/ng)^(nt-1)-1)/((κg/(κg-1))Rg・T1g(πs^((mg-1)/ng)-1)≦Nt/Ng≦Dg/Dt√((κt/(κt-1))Rt・T1t((1.02πs(1/ng)^(nt-1)-1)
/((κg/(κg-1))Rg・T1g(πs^((mg-1)/ng)-1)
D:羽根車外径[m]
κ:ガスの断熱係数
R:ガス定数[J/kg・k]
T₁:送風機吸込口における絶対静温度[k]
πs:送風機の静圧比、πs=p₂/p₁
p₁:送風機吸込口における絶対静圧[pa]
p₂:送風機吐出口における絶対静圧[pa]
n:ポリトロープ指数=η=ηp'κ/(ηp'κ-κ+1)=1nπs/1n(T₂-T₁)/(1nπs/1n(T₂/T₁))-1)
T₂:送風機吐出口における絶対静温度[k]
ηp':静ポリトロープ内部効率=(ηp-G/pa(pd₂/ρ₂-pd₁/ρ₁))/(1-G/pa(pd₂/ρ₂-pd₁/ρ₁))
ηp:ポリトロープ内部効率
pd₁:送風機吸込口における動圧[kpa]
pd₂:送風機吐出口における動圧[kpa]
ρ₂:送風機吐出口における密度[kg/m^3]
ρ₁:送風機吸込口における密度[kg/m^3]
G:ガスの質量流量[kg/s]
pa:内部ガス動力[kw]=psh-pm
psh:軸動力[kw]
pm:機械損失動力[kw]
添字 g:実物送風機、規定点における状態
   t:モデル送風機、試験状態
尚、モデル送風機と実物送風機の作動ガスがいずれも空気である場合、次式を使用してもかまわない。
Dg/Dt√((T₁t(0.994πs^(0.286)-1)/T₁g(πs^(0.286)-1)≦Nt/Ng≦Dg/Dt√(T₁t(1.006
πs^(0.286)-1)/(T₁g((πs^0.286)-1) ①
実機又はモデル機のいずれか一方の機械マッハ数Muが次の値を超える場合、①式に加えて
次の条件を満足しなければならない。
Mu≧0.8の時
0.95<Mu,t/Mu,g<1.05
Mu≧0.9の時
0.98<Mu,t/Mu,g<1.02
Mu≧0.95の時
0.99<Mu,t/Mu,g<1.01
ここに,Mu=u/√(κRT₁)
u:羽根車先端の周速度[m/s]
κ:ガスの断熱係数
R:ガス定数[J/kg・k]
T₁:送風機吸込口の静温度[k]

2.計測点
⑴安定した運転状態での測定は、規定点と規定点を挟む2種類以上の空気量またはガス量に対して行う。
⑵規定点の測定は次の範囲内で行う。
0.96Q₁g/(NgDg^3)≦Q₁t/(NtDt^3)≦1.04Q₁g/(NgDg^3)
サージング限界に近い最小安定空気量付近においても測定を行い、圧力-流量特性の勾配を求めておくことが望ましい。この特性曲線の勾配が小さくなる領域では、現地試験でサージングに入ることがあるので、サージング限界確認試験を現地で行う際の参考になる。

機械保全


d:中空丸軸の直径[mm]
do:中空丸軸の外径[mm]
L:伝動力[L1=kw、L2=HP]
τ:軸の許容捻じり応力[kgf/mm^2]
T:軸に作用する捻じりモーメント[kgf-m]
di:中空丸軸の内径[mm]
n:di/do
N:軸の回転数[rpm]
σb:軸の許容曲げ応力[kgf/mm^2]
M:軸に作用する曲げモーメント
T=974L1/N=716.2L2/N

捻じりモーメントのみを受ける軸
d・₃√(16T/πτ)=10・₃√(16T/(πτ(1-n^4))
=10・₃√(16・974/πτ・(L2/N))

曲げモーメントのみ受ける軸
d=10・₃√(32M/πσb)=10・₃√(32M/(πσb(1-n^4))

捻じりと曲げモーメントを同時に受ける軸
d=10・₃√(16/πτ・(√M^2+T^2))
=10・₃√(16/(πτ(1-n^4)・(√M^2+T^2))

軸径を推定する簡略式
d=10・₃√((5.1/((1-n^4)τα)・(√(κmM)^2+(κtT)^2))
d:求める直径[mm]
M:曲げモーメント[kgf-m]
T:捻じりモーメント[kgf-m]

捻じり剛さに基ずく丸軸の設計
d=₄√(584・(T/(1-n^4)G・(l/θ)・10^6)
d:求める軸径[mm]
T:捻じりモーメント[kgf-m]
l:丸軸の長さ[m]
G:軸材料の横弾性係数[kgf/mm^2]、標準値8300kgf/mm^2、軟鋼の時(8~8.5)・10^3、Ni、Ni-Cr、Cr-V鋼の時(8.4~8.6)・10^3
n:中空軸の内径/中空軸の外径(中空軸のときはn=0)
θ:捻じれ角度°(剛性不足は捻じれ振動の原因となるので0.25°/mとする。)

曲げ剛さに基ずく丸軸の設計
d=10・₄√(64・I/(π(1-n^4))
d:求める軸径[mm]
I:丸軸の断面の慣性モーメント[cm^4]=π(1-n)^4・d^4/(64・10^4)
n:中空軸の内径/中空軸の外径(中空軸のときはn=0)

軸受間の距離lの求め方
l=K・₃√(d^2/10^2)
l:軸受間の距離
d:軸径
K:係数(表参照)

極圧潤滑膜の強さ
切削油剤中の極圧添加剤は、工具すくい面などにおいて、被削材金属と化学反応を起こして
母材金属よりもせん断強さの低い化合物を生成し、それが極圧潤滑剤として有効に作用し、切削刃先のおける摩擦を減少させる。
S:等方性結晶体の温度T°Kにおける静的せん断強さ[kg/mm^2]
S=0.427(L/3)ρ・loge(Tm/T)
T:同上の観察温度
Tm:同上化合物の融点
L:同上化合物の融解の潜熱[cal/gr]
ρ:同上の密度[gr/m^3]

摩擦・摩耗

表面と接触面
表面自由エネルギーG=γA=U-TS
γ:表面張力
S:表面自由エンタルピー=-(∂G/∂T)p
T:絶対温度
A:表面積
U:表面エネルギー
U/A=γ-T(∂γ/∂T)p 表面エネルギーは、表面を等温的に単位面積だけ広げる際に必要とされる仕事と、その際に吸収される熱量の和として表せれ、T=0のみ表面張力と等しくなる。
2物体間の接触に伴うエネルギーの変化について、A及びBよりなる物体の単位面積の界面をA及びBに分離すれば、この系には表面張力γA及びγBが生成し、界面張力γABを失う事になる。分離するに必要な仕事である凝集仕事WAAが働く。
WAA=2γA

吸着
気体の固体表面への吸着は、主として方向性のない物理吸着である。
気体の吸着量υの評価として、Freundlich式の等温吸着式(活性炭へのSO₂、H₂Oの吸着や、タングステン蒸着膜への吸着に対して成立する。)
υ=KP^(1/n)
Pは圧力、K及びnは定数
Langmuirは、吸着は表面上の吸着点(吸着席)においてのみ生じ、吸着点が満席になるまで起こると考えた。気層から固体表面への到達分子数は、気体運動論からP/(√2πmκT)
P:圧力、m:分子の質量、κ:ポルツマン数、T:絶対温度
吸着分子の表面被覆率をθとすれば、吸着速度Sαは空の吸着点の比率(1-θ)と到着分子数に比例するので、Sα=καP(1-θ)となる。但しκα=κo/(√2πmκT)とする。
一方、脱離速度Sd=κdθexp(-E1/RT)となる。
E1:吸着熱
R:ガス定数
α=κα/κd・exp(E1/RT)=κα/κd・((exp(E1/RT)/(√2πmκT))とおけば、
θ=αP/(1+αP)となる。これをラングミュアの吸着等温式という。

モータ

回転運動の基本式
直進運動と回転運動の関係式
運動方程式
直進運動 F=Mα=M(dn/dt)
回転運動T=Jαθ=J(dω/dt)

動力
直進運動P=Fυ
回転運動P=Tω

運動エネルギー
直進運動A=1/2Mυ^2
回転運動A=1/2Jω^2
ω:角速度=(2π/60)n [rad/s]
J:慣性モーメント=(GD^2/4) [kg・m^2]

実際には、角速度の代わりに回転速度、慣性モーメントの代わりにその4倍の値である
弾み車効果を用いる。
GD^2:弾み車効果[kg・m^2]
T:トルク=GD^2/38.2・(dn/dt) [N・m]
P:動力=0.1047Tn [w]
A:GD^2・n^2/730 [J]
重力単位で表すと、
T'=GD^2/375(dn/dt) [kgf・m]
P=1.027T'n [w]

モータの使用に関して、よく使われる計算式
1.交流モータの同期回転速度ns=120∱/p[rpm]
2.誘導モータの定格回転速度n=ns(1-s)[rpm]
p:極数 ∱:周波数[Hz] s:滑り
3.定格トルクT=Pkw/n・9550=P₀/0.1047n[N・m]
 T’=Pkw/n・974=P₀/1.027n[kgf・m]
 Pkw:出力[w] P₀:出力[w]
4.馬力とkwの換算PHp=Pkw/0.746[Hp]
5.GD^2とWK^2の換算GD^2=4WK^2[Ib・ft^2]・0.0405[kg・m^2]
直進運転等価GD^2=365/n^2・W・υ^2[kg・m^2]
W:直線移動質量[kg] υ:直線移動速度[m/s]
回転速度n₁に換算したGD₁^2=GD₂^2(n₂/n₁)^2
6.加速時間、減速時間t=GD^2・Δn/(375Ta')[s]
Δn:回転速度範囲[rpm] Ta':加速トルク、減速トルク[kgf・m]
定格トルク加速時間(加速定数)ta=GD^2・n^2/(365Pkw・1000)[s]
7.エネルギーA=GD^2・n^2/730[J] A’=GD^2・n^2/7150[kgf・m]
8.冷却風量Qa=損失[kw]・3.5[m^3/min]
 冷却水量Qω≒損失[kw]・3.5[ℓ/min]
9.冷却用送風機所要動力P=K・Qa・H/6120η[kw]
 K=1.3 η=0.45 Qa=損失[kw]・3.5[m^3/min] H:風圧
 H=50[mmAq]とするとP≒0.085・損失[kw]
10.騒音値と距離r[m]自由空間で反射なし
音圧レベルSPL=音源パワーレベルPWL-20logr-11[dB]


町工場の製造管理

定期発注法と発注点法
発注量=((発注間隔+調達期間)の需要推定量)-(発注残+在庫残)+(安全在庫)
発注点=調達期間中の需要推定量+安全在庫
安全在庫=(安全係数)*√(調達期間)*(単位期間の消費量のバラツキ)
R:安全在庫=κ√Lσ
√Lσ:標準偏差
TC:在庫管理の年間費用=在庫の年間発注費用+在庫の年間保管費用
年間発注費用=(年間発注回数)*(1回当りの発注費)=((年間推定需要量S)/(1回当りの発注量Q))*(1回当りの発注費C₁)
年平均の在庫量は販売量が一定であるという仮定のもとで
年間保管費用=((発注量Q/2)+安全在庫R)*(一個当たりの年間保管費用C₂)

需要予測
最小2乗法のよる直線式の推定
過去の販売傾向が、何らかの理由で直線を表していると判断されたとき、一般に直線の方程式は、y=a+bt (t=1,2,3・・・n) ①となる。
すべての点からこの直線までの距離の合計が最小になるようにa,bの値を決定する。
すべての点からこの距離の合計は、Q'=∑(yt-(a+bt)) ②
2乗して微分可能とすると、Q=∑(yt-(a+bt))^2 ③となり、この誤差を最小にするa,bを求める(最小2乗法) ③式を微分してゼロとおき次の2つの連立方程式を解いて求める。
∂Q/∂a=2∑(yt-a-bt)(-1)=0、∂Q/∂b=2∑(yt-a-bt)(-t)
整理すると、∑yt=5a+b∑t、∑tyt=a∑t+b∑t^2 ④
時間の中心に原点を移動すると、∑t=0
従って④式は∑y=5a、∑ty=b∑t^2
これより、a=∑y/5、b=∑ty/∑t^2 ⑤となり、直線の方程式が求められる。
この式に求めるtの値を代入すれば需要予測値yが求められる。

指数平滑法
St:t期期待需要量=αyt+(1-α)St-1
yt:t期需要実績
α:平滑化定数(0≦α≦1)

指数曲線による予測
過去データに最もよく当てはまる指数曲線を決定し、その指数曲線を使って将来の需要を予測する。
具体的な計算方法としては、次の変形によって指数関数を直線に直し、最小2乗法の公式を使う。
y=ab'、logy=loga+logb(t)、Y=A+Bt
但し、Y=logy、A=loga、B=logb

回帰直線による予測
2つの要因間の関係から予測する回帰直線による予測方法
線形回帰モデルy(t)=a+bx(t) yt:目的変数、xt:要因
誤差の2乗和Q=∑(y(t)-a-bxt)^2を最小にするa,bを求める。そこで∂Q/∂a、∂Q/∂bをゼロとおいてa,bを求める。
回帰係数b=∑(x(t)-x)(yt-y)/(∑(xt-x)^2)=n∑xt-yt-(∑xt)(∑yt)/(n∑xt^2-(∑xt)^2)
定数項:a=y-bx

付録

無次元数一覧

無次元数         記号と定理          意味
ビオ数      Bi=hL/λs           熱伝達と固体の熱伝導
ボンド数     Bo=(ρl-ρυ)gL^2/σ      重力と表面張力
エトベ数     Eo=gd^2Δρ/σ        浮力と表面張力
エッカート数   E=u^2/2cpΔT        運動エネルギーとエンタルピー
フーリエ数    Fo=αt/L^2          無次元時間
フルード数    Fr=u^2/gL          慣性力と重力
ガリレオ数    Ga=Re^2/Fr=gL^3/ν^2   重力と粘性
グラスホフ数   Gr=βgL^3ΔT/ν^2      浮力と粘性
グレッツ数    Gz=RePr(d/x)        管内流(助走区間)
ヤコブ数     Ja=(ρl/ρυ)cpΔT/h∫g     液体の過熱
クヌ-ドセント数 Kn=l/L=Ma/Re        気体の稀薄度
ルイス数     Le=Sc/Pr=α/D        温度伝導と物質拡散
マッハ数     Ma=u/a            流速と音速
ヌッセルト数   Nu=hL/λ           熱伝達と熱伝導
ペクレ数     Pe=RePr=uL/α        強制対流の強さ
プラントル数   Pr=ν/α            運動量輸送と温度拡散
レイリー数    Ra=GrPr           自然対流の強さ
レイノルズ数   Re=uL/ν           慣性力と粘性力
ロスビー数    Ro=u/ωL           慣性力とコリオリ力
シュミット数   Sc=ν/D            運動量輸送と物質拡散
シャ-ウッド数  Sh=hDL/D          物質伝達の大きさ
スタントン数   St=Nu/RePr=h/ρcpu     強制対流熱伝達
ステファン数   Sf=c(Ts-T∫)/ΔL        相変化のある熱伝導
ストローハル数  Sr=ωL/u           流体の周期運動
ウェーバ数    We=ρuL^2/σ         慣性力と表面張力
テイラー数    Ta=ωL^2/ν          コリオリ力と粘性力
オーネゾルゲ数  Sb=μ/√(ρσdn)=We^0.5/Re  噴流の安定性を表す
キャビテーション数 K=(P∞-Pυ)/(1/2ρV∞^2)  キャビテーション係数
キャピラリー数  Ca=μV/σ           粘性力と表面張力
ジェット数    Je=ρ(ΔV)^2dn/σ・(ρg/ρl)^a' 相対速度を考慮したウェーバー数
スト-クス数   St=ρd^2V/(18μ)       粒子運動の状態
    
記号はそれぞれ、a:音速、c:比熱、cp:定圧比熱、d:管径、D:直径、∫:周期、
g:重力加速度、h:熱伝達率、h∫g:蒸発潜熱、hD:物質伝達率、l:平均自由行程、
L:代表長さ、ΔL:相変化熱、t:時間、T:温度、ΔT:温度差、u:流速、x:位置座標、
α:温度伝導率、β:体膨張係数、λ:熱伝導率、ν:動粘度、ρ:密度、σ:表面張力、
ω:振動数、a':指数
下付添字はそれぞれ、s:固体、表面、l:液体、υ:蒸気、∫:相変化

次元解析と相似側

物理量   記号     単位      次元
長さ     l       m       L
質量     m      kg       M
時間     t       s       T
速度     u、υ     m/s      LT^-1
加速度    α、g     m/s^2    m/s^2
力      F       N       MLT^-2
角速度    ω       rad/s     T^-1
面積     A、S     m^2      L^2
体積     V       m^3      L^3
重量     W       N       MLT^-2
密度     ρ       kg/m^3    ML^-2
比重量    γ       N/m^3     ML^-2T^-2
圧力     P       N/m^2(pa)   ML^-1T^-2
体積流量   Q       m^3/s     L^3T^-1
質量流量   m’       kg/s      MT^-1
仕事エネルギー  E       N・m(J)     ML^2T^-2
動力     L       J/s        ML^2T^-3
トルク    T       N・m       ML^2T^-2
せん断応力  τ       N/m^2      ML^-1T^-2
粘性係数   μ       N・s/m(pa・s)  ML^-1T^-1
動粘性係数  ν       m^2/s      L^2T^-1
体積弾性係数 K、E     N/m^2      ML^-1T^-2
表面張力   σ       N/m       MT^-2

次元解析の手法


ロード・レイリー法
現象に関する物理量を選定し、無次元の係数(実験値)を仮定して、ベキ式による関数関係式を作り、この式の両辺の次元が等しいことを利用して所要の方程式を得る方法。
例として、F=(ρ、υ、A、μ、d)を次のようにベキ式で記述する。
F=(κ1・ρ^x1・υ^x2・A^x3・μ^x4・d^5)+(κ2・ρ^y1・υ^y2・A^y3・μ^y4・d^5+・・・式1
左右両辺の次元が等しいことを利用すると、
F=ρυ^2A(κ1(μ/ρυd)^x4・(d^2/A)^((x4+x5)/2)+κ2(μ/ρυd)^x4・((d^2/A)^((y4+y5)/2)+・・・式2
右辺のカッコ内は、2つの変数μ/ρυdとd^2/Aだけの関数なので∫(μ/ρυd、d^2/A)として
F=ρυ^2A・∫(μ/ρυd、d^2/A)となる。式3
ロード・レイリー法では、式1の1項のみを考えばよいことになる。
A:管の断面積
d:管の内径
F:摩擦力
υ:管内の平均流速
ρ:流体の密度
μ:流体の粘性係数
κ1、κ2:比例定数

バッキンガムのπ定理
⑴解析対象の現象に関する物理量を考察し、n個の物理量Q1、Q2・・Qnを設定する。

⑵Q1~Qnを構成している基本次元数mを調べる。

⑶(n-m)個の無次元積π1、π2・・、π(n-m)が得られる。φ(π1、π2、・・、π(n-m))=0
ある現象に関する物理量がn個の時、一般には(n-3)個の無次元積πが得られる。ここに(n-3)における3は基本次元の数である。

⑷Q1~Qnの中からm個の繰り返し物理量を選び、繰り返し物理量以外の物理量(例えばA)に対する無次元積πを求める。この時下記のように繰り返し物理量に対する指数表示を行う。
π=u^x・ρ^y・l^z・A 繰り返し物理量としては、基本単位T、M、Lを代表する量の流速u、流体密度ρ、代表長さlを選ぶ事が多い。u、ρ、lのいずれかの繰り返し物理量がない場合は他の物理量で代替させることができる。

⑸1つの無次元積において、基本単位T、M、Lごとに指数の代数和を0にする代数方程式を作る。そして、それらの代数方程式を連立させて各指数の値を決定する。同一次元の2つの物理量があるときには、それらの比をとることにより、ただちに1つの無次元積πを得ることができる。Q1~Qnの中に無次元量があったならば、それはただちにπとなる。

⑹得られた(n-m)個の無次元積π1~π(n-m)の各式に対して力学的な考察を行い関数の形に整理する。
関数の形にするには目的とする無次元積以外の無次元積を変数として右辺に移項する。
π1=∫(π2、π3・・、π(n-m))
各無次元積は次のように変形できる。
πは、1/π
πは、π^2、(1/π)^2、√πなど
∫(π2、π3)は、κ・π2・π3
κ:定数

役立つ式

アスペクト比
アスペクト比Aは翼の細長さを表すパラメータである。
A=b^2/S=b/((cr+ct)/2) b:翼幅 S:主翼面積=b/2(cr+ct)
cr:翼根弦長 ct:翼端弦長ct
λ:翼のテーパ比=ct/cr

アレニウス式
ある温度での化学反応を予測する式で反応の速度定数κは
κ=Aexp(-(Ea/RT))
A:温度に無関係な定数
Ea:活性化エネルギー(1molあたり)
R:気体定数
T:絶対温度

安定数
静止雰囲気中の円筒状液体噴流では、代表長さをノズル径、代表速度を液体噴出としたウェ-バー数とレイノルズ数に対して、Sb=We^0.5/Reが成り立ち、大気中で水噴流が乱流噴流から噴霧流へ変わる条件として、Sb=100Re^-0.92となり、一方、気体中の液滴では、Sbが大きくなると分裂の臨界ウェーバー数が増加することが知られている。

API度
米国石油協会が定めた石油類の密度表示法で、次式で表す。
API deg:API度=141.5/(60/60°F)-131.5
(60/60°F):60F(15.56℃)における水の質量(密度0.99901kg/dm^3)に対すると、60°Fに於ける水と等容積の試料の質量比。

穴あき板
∫o:穴あき板の共鳴周波数=c/2π・√(P/(L(l+δ)) [Hz]
P:開口率
L:板と壁の距離[m]
δ:穴が円の場合=0.8d d:穴直径[m]
c:音速[m/s]

移動分散方程式
土壌中で例えば、移動、拡散、混合過程が同時に進行しており、このうち拡散と混合を合わせて溶質分散という、溶質移動は移流と分散によって生じるといえ、そのフラックスは
qs:溶質フラックス=-D(∂c/∂x)+qlc [mgcm^-2s^-1] ここで、D:溶質分散係数
[cm^2s^-1]、c:溶質濃度[mgcm^-3]、ql:液状水フラックス[cms^-1]
上式を連続方程式(一次元の場合)に代入することにより、移動分散方程式(CDE)の
∂(θc)/∂t=-∂/∂x(-θD(∂c/∂x)+qlc)となる。θ:体積含水率、右辺括弧内1項は分散孔、2項は移流項となる。D:溶質分散係数=Di+Dm、Di=拡散係数=Dw・τs、Dm:水力学的分散係数、Dw:水中の拡散係数、τs:溶質拡散に関する屈折係数

一次反応
反応次数が1の化学反応をいい、普通は反応速度がただ1種類の反応物の濃度に比例する
ものを指す反応物の初め濃度のがαで、t時間後にα-xに変わったとすれば、その時刻の反応
による濃度変化速度は、-d(α-x)dt=κ(α-x)で与えられる。κは速度定数、この式を積分する
と、κ=(1/t)log(α/(α-x)の関係が得られる。

ウェーバー理論
大気中の円柱形液体噴流の表面変形に対する。液体の粘性を考慮した線形安定性理論。
λmax:最も不安定な波動の波長=2πα(2(1+(3μl/(√2ρlσα))^0.5
αmax:対数成長率=1/(2α(√2ρlα/σ)+6μlα/σ)
α:液柱半径

円板摩擦
T:円板摩擦による抵抗トルク=C∫ρω^2r^5/2
C∫:円板摩擦抵抗係数
ρ:流体密度[kgf・s^2/m^4]
ω:円板の角速度[1/s]
r:円板半径[m]

SO2の生成量
燃料の組成と空気比によって排気ガス中に含まれるSO2量の計算式
組成が炭素C80%、水素H15%、硫黄S5%である液体燃料を空気比m=1.2で燃焼させ、燃焼中の硫黄がすべてSO2になると仮定すると、生成するSO2量は、
1.乾きガス量を求める。
Ao=8.89C+26.7H+3.3S=11.252m^3N
G’=mAo-5.6H+0.7S=13.5374m^3N
2.SO2量を求める。
SO2=22.4S/32=0.7
S=0.7・0.05=0.035m^3N
3.SO2の濃度計算
SO2量/G’・10^6=2585.5ppm

液滴ウェ-バー数:Wed
液滴に作用する気相の動圧と表面張力による復元力の比を表す。周囲空気と液滴の相対速度をΔV、等価液滴径をd、気体の密度をρg、表面張力をσとすると、
Wed=ρgΔV^2d/σ

音速:c
c=331.5(1+t/273)^0.5≒331.5+0.61t [m/s]
t:気温[℃]

音響エネルギー密度:E[J/m^3]
E=1/2ρ(ue^2+(pe^2/(ρ^2c^2))
ρ:空気密度[kg/m^3]
c:音速[m/s]
ue:粒子速度の実効値[m/s]
Pe:音圧の実効値[pa]
平面進行波の場合:Pe=ρcueの関係が成り立つから、E=Pe^2/(ρc^2)=ρue^2

温度回復係数
気体流れ中に温度計を入れ温度を、計測する場合に次式で示される係数:α
α:温度回復係数=(Tt'-Ts)/(Tt-Ts)=(Tt'-Ts)/(1/Jcp・(V^2/2g)
Tt’:感温部表面に於ける気体温度[℃]
Ts:静温度[℃]
Tt:全温度[℃]
V:流速[m/s]
g:自由落下加速度m/s^2]
cp:定圧比熱[kcal/kgf・℃]
J:熱の仕事当量[kgf・m/kcal]

温度変化による空気平均比熱
0~1000℃の範囲
Cp.m=0.30998-5.0086・10^-7・t+7.517・10^-8・t^2-7.4511・10^-11・t^3+2.7639・10^-14・t^4
1000~2000℃の範囲
Cp.m=0.306432+3.4775・10^-5・t-2.5933・10^-9・t^2-8.9433・10^-13・t^3+5.7477・10^-17・t^4

汚染物質濃度:CN
排ガス中の測定汚染物質濃度を標準酸素の場合に換算する式
CN=CM・((21-ON)/(21-OM))
CM:排気ガス分析時の汚染物質濃度
OM:酸素濃度

カルマン渦列
流れの中におかれた物体の両側から渦が発生し、2列の渦列を形成する。その渦が次式のように成立すれば安定である。
cosh(πα/l)=√2、h/α=0.2806
h:列の間隔
α:渦の間隔

カルマン・チェンの法則
マッハ数Mの亜音速中に物体がある場合、ホドグラフ面を利用して近似的に解くと圧力係数Cp=Cpo/(√(1-M^2)+(M^2/(1+√(1-M^2))・(Cpo/2))
Cpo:非圧縮流体の圧力係数

拡散計算式
ハブ式
条件:無風時に瞬間的に放出された煙の拡散濃度計算に適応する。
仮定:有効煙突高さHeで濃度が最大周囲に均等に拡散する。拡散濃度はガウス分布に従う濃度:C=Q’F(x)F(y)F(z)/((2π)^1.5・σxσyσz)
プルーム式
条件:有風時に連続的に排出された煙の拡散濃度計算に適応する。
仮定:風はx方向に吹き、拡散もx方向のみ起こる。y,zは無風であるのでハブ式を適用する濃度:C=(Q/(2πσyσzU))F(y)F(z)

ガス吸収の理論
ガス吸収は界面で発生し、ガス境膜と液境膜で起こるものと考えられている。
dNA:物質移動速度=Kg(P-Pe)=Kl(Ce-C)
Kg:気相総括物質移動係数[kg・mol/m^2pa・h]
Kl:液相総括物質移動係数[m/h]

カニンガムの補正係数:Cm
ガスの粘性係数を補正する為の係数です。電気集塵機の性質に関係します。
Cm=1+2.54(λ/dp)+0.8(λ/dp)exp(-(0.55λ/dp))
λ:気体分子の平均自由行程[m]=6.61・10^-8・(T/293)・(1/P)、dp:粒子径

換算孔
風圧相当値で、羽根車1mに換算した場合の排風口を基準値にしたもの。
0.00534Q/R√(p/γ)[m^2/m]
Q:風量[m^3/min]
p:静圧[mmAq]
γ:ガスの単位体積当りの重量[kgf/m^3]
R:羽根車の半径[m]

管摩擦係数:λ
円管壁の摩擦抵抗により生ずる流体の圧力降下を与える無次元係数で、次式で表す。
λ:管摩擦係数=(ΔP/γ)/(l/d・υ^2/2g)
ΔP/γ:圧力ヘッドの降下(損失ヘッド)[m]
γ:流体の単位体積当りの重量[kgf/m^3]
l:管長[m]
d:管内径[m]
υ:管平均流速[m/s]
g:自由落下加速度[m/s^2]

干渉係数
単独翼と翼列で各無揚力角から測った同じ迎え角において、単独翼の揚力係数をCLo翼列の揚力係数をCLとする時、
κ:翼列の干渉係数=CL/CLoとなる。

凝結
気相から液相を生ずること、均質核形成過程では安定な核として存在しうる水滴の大きさ、臨界半径rは次のケルビンの関係式で与えられる。
r=2Mσ/(ρlRTlnP/P∞)
P:蒸気圧、P∞:温度Tにおける平らな液面に対する飽和蒸気圧、σは液相の表面張力、ρ:密度、M:分子量、R:気体定数

機械レイノルズ数:Rem
Rem=uB/ν
u:初段羽根車の最大径の周速度[m/s]
ν:吸込み状態における動粘度[m^2/s]
B:軸流式では初段動翼の先端翼弦長[m], 遠心式では初段羽根車の出口幅[m]

機械インピーダンス:Zm
物体の駆動点に作用する力Fと、これによって駆動点に生じた速度υとの比
Zm=F/υ [N・s/m]

キャビテーション係数:κd
キャビテーションの初生あるいは発生条件下における流体力学的条件を示すパラメータで、次式のように表す。
κd=((P∞-Pυ)/(ρ・(V∞^2/2))
P∞:十分上流における静圧[kgf/m^2]
V∞:十分上流における流速[m/s]
Pυ:流れと同温化の液体飽和蒸気圧[kgf/m^2]
ρ:密度[kgf・s^2/m^4]

逆自乗側
点音源の音響出力をP[w]とし、音源から自由空間中に音が拡散すると、音源からr[m]離れた位置に於ける音の強さI[w/m^2]は、I=P/(4πr^2)となり音源からの距離二乗に反比例します。この関係を逆自乗側といいます。また音源からの距離がr1~r2になったときの測定点における音圧レベルの減少をΔLで表すと、ΔL=20log10・(r2/r1) [dB]
距離が倍になるとlog2=0.301であるので約6dB音圧が小さくなる。

ガス動力
送風機・圧縮機が規定のガス量を圧縮し、吐出する為の必要な動力で、機械損失動力は含まない。Lg:ガス動力=L-Lm [kw]  L:軸動力[kw]、Lm:機械損失動力[kw]
または
Lg=G’(i2-i1)/860+Lr+Lsl
G’:羽根車を通過するガスの重量流量[kg/h]
i2:吐出し状態のガス全エンタルピー[kcal/kg]
i1:吸込み状態のガス全エンタルピー[kcal/kg]
Lr:ケーシング及び付属配管からの放熱損失相当する損失動力=1.16・Sc(tc-ta)hr・10^-3[kw]
Sc:ケーシング及び付属配管の放熱面積[m^2]
tc:ケーシングの平均温度[℃]
ta:外気温度[℃]
hr:熱伝達率[kcal/m^2・h・℃]
Lsl:軸封部から外部への漏れによる損失動力=漏れの重量流量*温度上昇*比熱*1.16・10^-3 [kw]

球面波
点音源から出た音の波面が球面状を形成しながら拡がる音波のことをいう。球面波の波動方程式は、∂^2(φr)/(∂t^2)=c^2・∂^2(φr)/(∂r^2)
一般解は、φ=(1/r)∫(ct-r)+(1/r)・g(ct+r)
進行波のみを考慮し、正弦音波の場合は、φ=(A/r)・e^(j(ωt-κr)
φ:速度ポテンシャル
r:極座標における音源からの距離[m]
c:音速[m/s^2]=√(K/ρ)
K:体積弾性率
ρ:媒質の密度[kg/m^3]
A:音源の強さ[m^3/s]
ω:角振動数[rad/s]
κ:波長定数[rad/m]
u:粒子速度[m/s]=∂φ/∂r=((1+jκr)/r)・(A/r)e^(j(ωt-κr))
P:音圧[pa]=ρ(∂φ/∂t)=jωρ(A/r)e^(j(ωt-κr)

ケルビン・ヘルムホルツ不安定性
密度の異なる2種類の流体がその境界面に平行に相対運動しているときに生じる界面の不安定性、基準とする水平境界面をx-z平面、それに垂直にy軸をとり、密度ρ1、ρ2の非粘性流体が境界面を挟んで速度V1、V2でx方向に運動する時、界面のy軸方向の変位ηのフーリエ成分をη(x,y,t)=Aexp(i(κx+mz)+st)で表すと(sは複素数)、界面が不安定となり波動が成立条件は次式となる。
√(κ^2+m^2)・g(ρ1^2-ρ2^2)<κ^2・ρ1ρ2(V1-V2)^2
渦面の不安定性として、並行気流を伴う液膜流の変動や気流中に高速で噴出された液膜の変動はこれに起因する。

高発熱量:Hh15と低発熱量:Hl 15
液体燃料の場合
液体燃料を分析して、15℃に於ける密度D[g/cm^3],硫黄分S[%],水分[%],灰分[%],
単位質量当り高発熱量は
灯油、軽油、A重油及びB重油の場合
Hh15=(51916-8792D^2)(1-0.01(W+A+S))+94.2S
C重油の場合
Hh15=(52190-8802D^2)(1-0.01(W+A+S))+94.2S
単位質量当り低発熱量
灯油の場合
Hl15=(41679.6+0.25407・API(1.8AP+32))(1-0.01S)+101.6S
API:15℃密度から換算したAPI度
AP:アニリン点
軽油、A重油、B重油の場合
Hl15=(46423-8792D^2+3170D)(1-0.01(W+A+S))+94.2S-24.49W
C重油の場合
Hl15=(46704-8802D^2+3167D)(1-0.01(W+A+S))+94.2S-24.49W
石油製品の場合、高発熱量と水素含有量h(質量%)で次式によって低発熱量を求められる。
Hl15=Hh15-24.661(9h+W)

抗力係数:FD
流体の流れの中に置かれた物体には抗力や揚力などの力が作用し、流れに押し流される抵抗の力が生じる。この力を抗力という。
FD=CD・(ρV^2/2)A
A:物体の投影面積
V:流体速度
ρ:流体密度

コインシデンス効果
単板材料に音波が入射する時、単板材料における曲げ波の進行速度と斜め入射波の材料表面の速度成分の大きさ一致すると、材料がより大きく振動して遮音能力が著しく低下する現象をいう。遮音能力が低下する共振周波数をコインシデンス周波数という。
∫:コインシデンス周波数=c^2/(2πhsin^2θ)√(12ρ(1-σ^2)/E) [Hz]
h:板厚[m]
ρ:板の密度[kg/m^3]
σ:ポアソン比
E:縦弾性係数[pa]
θ:音波の入射角
ここでθ=90°の時、コインシデンス周波数は最も小さく、この周波数を限界周波数といいます。限界周波数∫c=c^2/2πh・√(12ρ(1-σ^2)/E)≒c^3/2πh・√(12ρ/E) [Hz]

コゼニー・カルマン式
粒子充填層の流体抵抗を表す式で、ダスト層の圧力損失を求める時に使われる。
Δpd:ダスト層の圧力損失=(180(1-ε)mdμυ)/(ds^2・ε^3・ρp)
ε:ダスト層の空間率
md:ダスト層による負荷
μ:ガス粘度
υ:見掛けの濾過速度
ds:ダストの比表面積径
ρp:ダスト密度

コンカワ式
煙の上昇高さを推定する式で、煙突からの排出熱量と風速から計算する。
ΔH:煙の上昇高さ=0.175QH^0.5・U^-0.75
QH:排出熱量[cal/s]
U:風速[m/s]

サイクロン
駆動部分を持たない気流遠心式集塵器でダストの前処理に使用されることが多い。
Dpc=(μD/(ρp・υ))^0.5
μ:ガス粘度
D:内筒径
ρp:粒子密度
υ:入口速度

散逸関数
粘性流体の流れにおいて、粘性により単位体積の流体が単位時間に運動エネルギーが熱エネルギーに変換させる割合で、次式で表す。
φ=μ(2((∂u/∂x)^2+(∂υ/∂y)^2+(∂ω/∂z)^2)+(∂υ/∂x+∂u/∂y)^2+(∂υ/∂z+∂ω/∂y)^2+(∂ω/∂x+∂u/∂z)^2)-2/3μ(∂u/∂x+∂υ/∂y+∂ω/∂z)^2
u,υ、ω:x,y,z方向速度成分
μ:流体粘度

室内顕熱負荷と送風量
空調機の受け持つ室内顕熱負荷と送風量の関係
V:送風量=3600・qsH/Cp・ρ(tR-tD)
qsH:冷房室顕熱比[kw]
Cp:空気の比熱≒1.006[J/kg・k]
ρ:空気の密度≒1.2[kg/m^3]
tR:室内温度[℃]
tD:室内吹出し空気温度[℃]

水力機械の漏れ量
オープンインペラの羽根端とケーシング壁との間隙部では、羽根圧力面から低圧面側への漏れ、掻き揚げ渦、漏れによる渦があり、流れは複雑で損失も大きい。
片側の壁面が回転する二円筒壁面の環状隙間を通る漏れ流量Qlは、隙間前後の液体の角速度の大きさが壁面角速度のほぼ1/2のときは、
Ql=πdb√(2gh)/((λl/2b)+αx+1.5)^0.5 [m^3/s]
b:隙間幅
l:ラビリンス溝の部分を差し引いた隙間の長さ
d:隙間部の平均径
z:ラジアル溝の数
α:係数(溝幅10~16bで十分な深さの場合α=1)
λ:摩擦係数

スト-クスの抵抗法則
レイノルズが非常に小さい場合には、直径dの固体球を過ぎる速度Vの一様流によって固体球に働く抵抗は3πμVdとなる。ρ:密度、ρV^2/2:動力とすると、抵抗係数CDは、
CD=3πμVd/(1/2・ρV^2・1/4・πd^2)=24μ/ρVd=24/Re となり、これがスト-クス式である。

吸音型消音器
Att:長さ1m当りの減衰量=K(P/S)
P:ダクトの周長[m]
S:ダクトの断面積[m^2]
K:内張材料の吸音率と係数のグラフより、読み取った値

友近の理論
異種流体中に噴出された円柱形液体噴流の表面変形に関する理論で、液体噴流及び周囲流体ともに非粘性流体と仮定すると、表面の成長率αは次式で表せる。
α^2=σ/ρα^3・((1-κ^2・α^2)κα/(ρc/ρ・(Ko(κα)/(K1(κα))+(Io(κα)/I1(κα))
Io:0次の第一種修正ベッセル関数
I1:1次の第一種修正ベッセル関数
Ko:1次の第二種修正ベッセル関数
K1:1次の第二種修正ベッセル関数
α:液噴流半径
κ:変動波の波数
ρ:密度
σ:界面張力
κα:無次元波数

抜山・棚澤の式
自動車気化器の実験から考案された多種の液体微粒化用ノズルについての粒径分布式であり次式の∫(d)で表せれる。
Δn/N=∫(d)Δd=Ad^α・exp(-Bd^β)Δd
d:粒径
N:総液滴数
Δd:分布の粒子径の分割幅
Δn:Δdの中に入る液滴数
α、b、A、B:定数
α、β:分布指数
質量基準で分布関数を表示する場合
Δw/W=∫w(d)Δd
W:総重量
Δw:Δdに対する粒子質量の増分
また、抜山・棚澤は単孔式の気流噴射弁の微粒化特性を調べ、体表面積平均粒径D32に対する実験式として次式を得た。
D32=585・10^3・(√α/((Vg-Vl)√ρl)+26.7(μl/(√(ρlσ))^0.45・(10^3・(ql/qg))^1.5
Vg-Vl:気液間の相対速度
qg:空気の体積流量
ql:液体の体積流量
μl:液体の粘度
ρl:液体の密度
σ:表面張力

重油の予熱器熱出力:W[kw]
W≧1.9・F・ΔT/(3600・η)
F:最大重油流量[ℓ/h]
ΔT:予熱器入口に於ける重油最低温度[k]
η:予熱器の熱効率

燃料油の比熱c・エンタルピー変化ΔH・定圧モル比熱Cso2・理論燃焼空気量Ao
c:比熱=(1.687+0.00339t)/d^0.5
ΔH:エンタルピー変化=(1.687+0.00339t)/d^0.5
適用範囲
d:油の密度=0.72~0.96
t:油の温度=0~400°
Cso2:定圧モル比熱=1.3146+0.0274θ-0.0033755θ^2
ここに、θ=T/100
Ao:理論燃焼空気量=(xc/12.011+(xH/4.032)+(xs/32.066)-(xo/31.999)・4.7719[kmol]

熱拡散率γ
温度伝導率ともいわれ、熱伝導率Kとγ=K/ρcpの関係がある。(ρは密度、cpは定圧比熱)
熱伝導率はJ/kg・kの単位だが、熱拡散率は動粘度νと同じ速度*長さの次元で単位は
m^2/secとなる。動粘度νと熱拡散率γの比ν/γはプラントル数といわれる無次元数である。

ハッチ・コート式
ハッチとコートにより提案された粉末の粒径分布式
dn/N=1/(√(2π)・lnσg)exp(-1/2・((lndg-lnDg)/(lnσg)^2)^2・d(ln(d/Dg))
d:粒径
Dg:幾何平均粒径
σg:散乱度(幾何標準偏差)
lnσg=((∑(lnd-lnDg)^2/N)^0.5
対数正規分布と一致する。

波動方程式
音波や弾性波などが伝播する現象は波動方程式で記述される。
∂^2∫/(∂t^2)-c^2・(∂^2∫/(∂x^2))=0
双曲型の二階偏微分方程式で、cは波の速度、x,tの代わりに特性座標ξ=x-ct、η=x+ctを用いると容易に積分できる。有限振幅の音波などの場合は非線形の双曲型偏微分方程式となり
いくつかの場合には特性曲線法により解が求められる。

平板の層流境界層
特徴
境界層内のすべての断面の速度分布は相似する。
境界層の厚さは、前縁からの距離の平方根に比例して増加する。
平板両面の摩擦抵抗係数は、前縁からの距離の平方根に逆比例して減少する。これを前縁か
ら長さlまで積分すると次式が得られる。
Cd=2(1.328/√Re) 
Re=Vl/ν、l:平板長さ

平板の乱流境界層
特徴
せん断応力の発生機構が層流とは異なり、表面での速度勾配が大きい。
層流よりも剥離が起こりにくい。
対数速度分布を用いて、平板両面の摩擦抵抗係数が次式で表される。
Cd=2(0.455/((log₁₀Re)^2.58・(1+0.144M^2)^0.65)  M:マッハ数
層流から乱流に推移する領域では、Re=5・10^5付近から推移するとして、平板両面の
摩擦抵抗係数が次式で表される。
Cd=2(0.455/((log₁₀Re)^2.58・(1+0.144M^2)^0.65)-2(1700/Re)

必要加湿能力計算式
必要加湿能力[kg/h]=風量[m^3/min]・60・絶対湿度差[kg/kg(DA)]・空気密度1.2kg[(DA)/m^3]

必要冷却能力及び除湿能力の計算
風量[m^3/min]・60・エンタルピー差[kcal/kg]・空気密度/0.86

表面エネルギー
気体に接する液体や固体の表面上の分子は液・固相内部の分子に比べ配位数が少ない為、液・固相体表面は液・固相内部に比べ高いエネルギー状態にある。表面がもつこのような過剰エネルギーを表面エネルギーという。
Es:表面エネルギー=σ-T(∂σ/∂T)
σ:表面張力
T:絶対温度

微粒化効率
微粒化動力に対する液体表面エネルギーの増加割合を表す。
η:微粒化効率=Sσ/E
E:機械に供給した圧力、運動、電気などのエネルギー
S:液滴の表面積の総和
σ:表面張力

ピアスの式:TD 
硫黄酸化物の酸露点の計算式
TD=1000/(1.784-0.0269log10(PH₂O)-0.1029log10(PSO₃)+0.0329log10(PH₂O)log10(PSO₃)
Td:酸露点[k]
PH₂O:H₂O分圧[atm]
PSO₃:SO₃分圧[atm]

吹き降ろし速度
水平方向の速度Vの空気の流れが、発生した渦によって、翼から十分離れた位置で吹き降ろ
し速度2ωが生じて流れ方向が曲げられる。プラントルは、翼幅方向の循環分布が楕円分布
(楕円翼)の場合には一秒間に速度2ωで吹き降ろされる質量m'は次のように表されることを
示した。
m'=ρ(πb^2/4)V ρ:空気密度 b:翼幅 V:速度
尚、吹き降ろされる質量m'から、運動量理論から揚力Lが次式より与えられる。
L=m'・2ω
ω:翼位置に於ける吹き降ろし速度=L/2m'=0.5ρV^2・SCL/(0.5ρπb^2・V)=
VSCL/πb^2=CL/πA・V
吹き降ろしによる誘導迎角と揚力傾斜
吹き降ろし速度の流れによって減少する迎角α₁を誘導迎角といい式で表わすと、
α₁=ω/V=CL/πA となり、翼に発生する揚力Lもα₁の角度だけ後ろに傾くことになる。
その結果、速度方向と反対方向に次式で表される誘導抗力Diが生じる。
Di=L・α₁ ∴CDi=CL^2/πA
これから揚力傾斜が次式で表される。
CLα=α₀/(1+α₀/(πA))
α₀:翼型の揚力傾斜

深井戸揚水量の計算式
Thiemによれば、
Q:揚水量=2πκb(H-h)/(2.3log₁₀(R/r) [m^3/s]
r:井戸半径[m]
b:採水槽の長さ[m]
κ:透水係数[m/s]
R:影響半径[m]
H-h:水位降下[m]

付着指数
粒径が小さい場合、付着の判定が難しい場合に、被覆率CR%と付着程度の付着指数nの関係は次式で表せれる。
CR=0.05・2.5^(n-1)[%]
但し、n<8

フラクタル
図形を定量的に取り扱う為にマンデルブローが提唱した概念で、1次・2次元などの整数以外の次元をもつような図形をいう。n次元空間での図形をスケールlの要素N個で近似でき、次式で表し、dをフラクタル次元という。N=Cl^-d C:定数、n>dであって、dが比整数となる場合をフラクタルといい、自己相似性があり一部分を拡大すると全体と同じ形が現れるという性質がある。噴流形状、火炎形状やクラウドキャビテーションの形状にフラクタル理論を適用させたりする。

フルード数:Fr
慣性力と重力との比を表す無次元数で、Fr=V^2/gLで表す。直径dnのノズルから鉛直下方に流出する滑らかな噴流直径djの変化は、表面張力は考慮しないとしてdj/dn=(1+1/Fr・(2z/dn))^(-1/4)場合などにフルード数が使われる。

フローナンバー
圧力噴射弁などの有効流路断面積に関係する量で、液体供給圧力から噴霧量を見積もる時に利用する。液体の体積流量をQ、質量重量m、密度ρl、液体の供給圧力と雰囲気圧力との差をΔpとすると、体積流量基準のフローナンバーFNυと質量流量基準のフローナンバーFNmは、FNυ=Q/√Δp、FNm=m/√(ρlΔp)となる。

フロイドリッヒの式
吸着剤単位重量当りの被吸着物質の吸着量x、溶液中の被吸着物質の濃度をCとすると、
x=κ・C^(1/n)で表される。κ及びn(または1/n)は定数、両辺の対数をとると、
logx=logκ+(1/n)・logcと表すことができ、logcとlogxの関係をプロットすると、切片が
logκで、勾配が1/nの直線になる。尚、気体の場合には、分圧が液体の場合の濃度に相当
する。

噴流の分裂時間
噴流の液柱、液膜、液滴あるいは液魂などが分裂して新たな液滴を形成するまでの時間を示す。気流中で大きな液滴が再分裂する場合を例にとると、液滴ウェーバー数We=ρgΔV^2d/σが臨界ウェーバー数Wecrit(=12)に近い場合、分裂時間tbu=√3/2・(d/ΔV)・√(ρl/ρg)となる。 ここでd、ΔVはそれぞれ粒径、液滴と気流の相対速度を表し、ρl,ρg、σはそれぞれ液滴及び気流の密度、表面張力を表す。液滴ウェーバー数が大きい場合は、分裂時間は、次式で表す。tbu≈π/8・√((ρld^3)/σ)

ポリトロープ圧縮
真の圧縮状態の代わりに、入口塞き止め状態1tから出口塞き止め状態2tまで
pt/ρt^m=const またはpt/Tt^(m/(m-1))に従う滑らかな変化を仮定する圧縮をポリトロープ圧縮という。指数mはポリトロープ指数で入口・出口における温度と圧力から次式より求まる。
m/(m-1)=log(pt₁/ρt₁)/log(Tt₂/Tt₁) 

ポリトロープ効率
ポリトロープ仕事(ポリトロープ圧縮の仮定によって導かれる有効仕事Epo₁=m/(m-1)/(κ/(κ-1))・(I₂-I₁)と比仕事W=P/mの比として、ηpo₁=Epo₁/Wをポリトロープ効率という。
圧縮機を強制的に冷却または加熱しない時は、外部熱Qは十分小さく、W=(I₂-I₁)-Qとみなすことができる。この場合は、ηpo₁=n/(n-1)/(κ/(κ-1))となり、効率と指数nが一対一に対応する。従って、駆動力や流量測定なしで温度と圧力の測定のみから効率を評価できる。
駆動動力の算定に必要な比仕事W=I₂-I₁=CpTt₁((Pt₂/Pt₁)^((κ-1)/(κnPo₁)-1)となる。

マーゲル・エバンスの式
マーゲルとエバンスによって提示された粉体の粒径分布を表示する分布関数である。
メディアン径と対数正規分布での重量分布の極大値が一致することを特徴とする。
Δw/W=1/√(2πσ)exp((ln(d/Dm))^2/(2σ^2)・Δ(ln(d/Dm)
W:粒子の総重量
Δw:分級幅Δln(d/Dm)における粒子質量
Dm:質量基準のメディアン径
σ=∑i((ln(di/dm)^2・(Δni/N)^0.5
N:粒子の総重量
Δni:分級幅における粒子数

ラバールノズル
構造が狭まり(喉部)と拡がり管からスロート部を持つ構造で、ノズル外側の背圧が下がりノズル出口圧と背圧が等しくなり(pb=pj適正膨張)、スロートにおける圧力が臨界圧力(p/po=0.528)になると、そこでの速度はマッハM=1となり、末広部で超音速流となる。
この時の断面積Aとマッハ数の関係は、ノズルスロート断面積をA'とすると、
A/A’=1/M(2(1((x-1)/(2M^2))/(x+1)^((κ+1)/(2(κ-1))
x:比熱比
微粉粒子を含む固気二相流の流動状態は単相流のそれとは異なるが、高速に於ける粒子の最大衝撃力δmは次式で表す。
δm=Eβ(ρυ^2/E)^n
E:弾性係数
υ:衝突速度
n、β:定数
ラバールノズルの出口に衝突板を設置すると、粒子は粉砕される。粉砕処理量Qとすると、
Q=κdo^3(PN-PNmin)^n
κ:定数
n:1.1~1.5
do:ノズル直径
PN:動力

ラプラス・ヤングの式
液架橋力を表す式
PL:架橋液の内圧=σ(1/r₁'-1/r₂')
r₁'、r₂':₁液半径、₂液半径
r₁'=(1+(dy/dx)2)^(3/2)/(d^2y/dx^2)
r₂'=y(1+(dy/dx)2)^0.5
一方、架橋液表面の蒸気圧Pdは次のケルビンの式で与えられる。
Pd/pso=exp(-Mσ/RTρL・(ds/dυ)≅Pκe₁
pso:液体平面上の飽和蒸気圧
M:液の分子量
R:気体定数
T:絶対温度
ρL:液の密度
s:気液界面の面積
υ:液の体積
ラプラス・ヤングの式を満足する架橋形状について、ds/dυを求めると次のような近似式が得られる。
r₀(ds/dυ)≒1.5/R₂ 又は、ds/dυ≒1.5/r₂

ラングミュアの式
被吸着分子が単分子層として吸着されるとみなし、吸着速度と脱着速度が等しくなり、平衡
状態に達したときに成立する。
ラングミュアの式は、x=a・b・p/(1+a・p) 又は、x=a・b・p/(1+a・c)  で表される。
xは吸着量、pは分圧、cは濃度、a,bは定数である。この式を変形すると、p/x=(1/b)p+1/
(a・b)と表すことができる。

炉内温度とNOx濃度
NOxの生成率は炉温が1300℃の時のNOx濃度を1とした時の炉温を換えた場合のNOx濃度をいい、NOxの生成率Nは近似式で、N=1.029^(θ^2-21.75θ₊94.6)
θ:炉温[k]/100]

リプチンスキー・アダマードの式
粘性流体中を運動する球形液滴(又は気泡)の抗力を与える式で、ストローク近似の成り立つ微小液滴に対する式である。液滴直径をd、移動速度をV、液滴の粘度をμl、周囲流体の粘度をμとすると、抗力Fは次式で与えられる。
F=πμdV((2μ+3μl)/(μ+μl))

粒子層の引張強度:σt
ルンプの式
σt=(1-ε)κ/(πD₁^2)F₁
ε:層の空隙率
κ:配位数(1個の粒子が平均何個の粒子と接しているかを示す値で、
例えばκ=13.8(1-√(1.21ε-0.297)のようなεとの相関式がある。
D₁:層を構成する一次粒子の直径

理論燃焼温度:tp℃
p:酸素富化率=0~0.2の範囲
水素や一酸化炭素の場合:tp≒(α/0.21)^0.65・t1
炭化水素気体燃料の場合:tp≒(α/0.21)^0.7・t1
液体燃料の場合:tp≒(α/0.21)^0.75・t1
t1:空気比が1の時の理論燃焼温度
α:酸素富化空気の酸素含有率=(0.21+p)/(1+p)

粒径二乗側
燃料液滴をその燃料の着火温度以上の高温空気中にさらすと、着火遅れ過ぎた期間後に着火し燃焼を始める。やがて過渡期間を過ぎると蒸発は準定常となり、燃焼状態も準定常状態になる。この準定常期間は、液滴粒径の二乗の減少率がほぼ一定であり、次式で表す。
d^2=do^2-Cbt
do:初期直径
d:準定常期間の直径
Cb:燃焼速度定数(又は蒸発速度定数)

レイリー限界:qR
液滴表面の電荷を徐々に増加させた場合、ある値以上になると、液滴がもとの安定な形状を保つことができなくなり、いくつかの小さな液滴に分裂する。液滴が保持できる電荷の限界値をレイリー限界といい、次式で表す。
qR=8π√(εo・σ・α^3)
α:液滴半径
σ:表面張力
εo:真空の誘電率

レイリー・テイラー不安定性
比重の異なる二種類の液体に於いて、その境界層に生じる不安定性y=0を二種類の境界面にとり、y>0の流体の密度ρ1、y<0の流体の密度ρ2とすると、境界面の変位基準モードを、
η(x,t)=Aexp(iκx+st)で表し変位の支配方程式に代入すると、次の不安定モードが得られるs=(gκ((ρ1-ρ2)/(ρ1+ρ2))^0.5 ρ1<ρ2の場合sは純虚数になり、振幅は変わらず+xと-x方向に伝播する波動(内部重力波)を表す。

レイリー理論
大気中の円形液体噴流の界面変形に対する線形安定性理論(液柱分裂理論)液柱の表面軸方向に周期的な軸対象波動の存在を仮定し、表面張力と圧力が釣り合うとすると、液柱半径αに対して波長がλ>2παの波長は不安定、最も不安定な波動の波長はλmax=9.02α、その波動の対数成長率はαmax=0.343(σ/ρlα^3)となる。σ:表面張力、ρl:密度
不安定な波動が成長してその1波分ずつが液滴に分裂する時、液滴径d=3.78αと比較的よい一致となる。実際の層流液体噴流がこの理論に従って分裂すると、分裂長さlbは次式で与えられる。 lb/2α=1.04CWe^0.5、 We:ウェーバー数=2ρlV^2α/σ、V:噴出速度
C:実験定数

レ-レー線
加熱又は冷却される管内流れにおいて、2断面間で流体の単位重量あたりに加えられた熱量qは次のようになる。q=CpΔTo ここにCp:定圧比熱、To:全温度、また、管の断面積が一定で、摩擦損失がない場合、運動量の法則はP+ρω^2=const、連続式ρω=const、ここに、P:流体の静圧、ω:流体速度、ρ:流体の密度、これらの関係より、あるωに対してP、ρ、I:エンタルピー、S:エントロピーが求まる。これをエントロピー線図に書いたものをレーレー線図という。ファンノ線と合わせて描くと、その交点のI、Sの値より衝撃波の状態が解る。

ロータルピー
ターボ機械で動翼と流体の間のエネルギー交換を考える際に、全エンタルピーをio、絶対速度c、相対速度ω、動翼の周速度をuとすると、ロータルピー:ro=io+1/2(ω^2-c^2-u^2)となる。

ロジン・ラムラーの式
ロジンとラムラーが石炭の粉砕粒子の篩上の分布に指数法則を適用し、累積分布曲線を定式化し、次式を考案した。P=wd/W=1-exp(-bd^β)
wd:粒径がd以下の粒子群の質量
W:粒子群の総質量
b、β:実験定数
上式を残留分に直すと、R=1-wd/W=exp(-bd^β)

翼型

NACA4字系翼型
NACA4字系翼型は、最初に統計的に研究されたものである。翼厚は優れた翼型であった
ゲッチンゲン398やクラークYを参考として、次のような翼弦長座標xの関数式を仮定した。
yt=a₀√x+a₁x+a₂x^2+a₃x^3+a₄x^4
この式の5つの係数a₀,a₁,a₂,a₃,a₄は、次の条件で決める。
前縁付近(x=0.1):(yt)x=0.1=0.078
最大翼厚(x=0.3):(yt)x=0.3=0.1,(dy₁/dx)x=0.3=0
後縁(x=1):(y₁)x=1=0.002,(dy₁/dx)x=1=-0.234
即ち、翼幅分布は翼厚比2yt=0.2を基準として次のように決定された。
y₁/c=(t/c)/0.2(0.2969√x-0.126x-0.3516x^2+0.2843x^3-0.1015x^4)
この式から前縁半径r₀が次のように得られる。
(x-r₀)^2+yt^2=r₀^2
∴r₀/c=lim(x/2+1/2((yt/c)/√x)^2=1/2((t/c)/0.2・0.29668)^2=1.1019(t/c)^2
中心線の反りをキャンバーといい、最大キャンバー位置x=pの前と後を次の二次曲線で
表す。yc=b₀+b₁x+b₂x^2
x=pの前側は、係数b₀,b₁,b₂は次の条件で決める。
前縁(x=0)   (yc)x=0
最大キャンバー(x=p):(yc)x,p=m、(dyc/dx)x,p=0
後縁(x=1)  (yc)x,₁=0
その結果、x=pの前と後は次の2次曲線となる。
yc=m/p^2(2px-x^2)、yc=m/(1-p)^2((1-2p)+2px-x^2)

気象の式

運動方程式と気圧傾度力
大気中の気圧差から生じる力を気圧傾度力と呼び空気素分の加速度を生ずる。
ρ(du/dt)=-∂p/∂x ①
du/dt=-1/ρ(∂/∂x) ②
ρ:流体の密度[kg・m^-3]
du/dt:x方法の加速度
p:気圧
∂p/∂x:x方向の気圧傾度力

時間変化とオイラー的表現
da/dt=∂a/∂t+u(∂a/∂x)+υ(∂a/∂y)+ω(∂a/∂z) ①
dA/dt=∂A/∂t+υ・∇A ②
a:t,x,y,zの関数であるスカラー量
A:t,x,y,zの関数であるベクトル量
d/dt:時間的全微分(ラグランジュ的全微分)
∂/∂t:局地的時間変化(偏微分)
υ(u,υ,ω):速度(その3成分)
∇:微分演算子(∇=i(∂/∂x)+j(∂/∂y)+κ(∂/∂z)
短い時間間隔Δtに於けるa(t,x,y,z)の変化⊿aは、
⊿a=(∂a/∂t)⊿t+u(∂a/∂x)⊿x+υ(∂a/∂y)⊿y+ω(∂a/∂z)⊿z
⊿x,⊿y,⊿zは⊿tに於ける考えている質点(流体素分)の移動距離である。両辺を⊿tで割算し、
⊿tを無限小にすれば、u=dx/dt,υ=dy/dt,ω=dz/dtであるから、①式が得られる。
①式の右辺、第2,3,4項を「aの移動項」と呼ぶ。ベクトル各成分についても式①と同形式に書けるから、3成分まとめれば、式②が得られる。
また①式da/dt=∂a/∂t+u(∂a/∂x)+υ(∂a/∂y)+ω(∂a/∂z)
書き換えると、
∂a/∂t=da/dt-(u(∂a/∂x)+υ(∂a/∂y)+ω(∂a/∂z))となる。
これは、実質変化da/dtと移流項が解れば、ある固定点での局地的(偏微分的)時間変化が知られることを意味している。もしda/dt=0例えば、乾燥断熱変化ではdθ/dt=0である。
ならば、da/dt=-(u(∂a/∂x)+υ(∂a/∂y)+ω(∂a/∂z))
つまり、偏微分的時間変化と移流項(-をつけた)はバランスしている。

地球の引力と重力
g*=GMm/r^2
g=g*/m+Ω^2・Ra
g*:質量M(地球)とmの物体の間に働く万有引力
G:万有引力定数(6.673・10^-11 [N・m^2・kg^-2] [m^3・kg^-1・s^-2]
Ω:地球自転角速度(7.292・10^-5 [rad/s^-1] [s^-1]
r:Mとmの間の距離(地球の赤道半径=6378km)
g:重力加速度
M:地球の質量(5.974・10^24kg)
Ra:地点Pからの地軸までの距離
引力=GMm/(r+h)^2=GMm/(r^2(1+h/r)^2≈GMm/r^2・(1-(2h/r))

流線と流跡線
dx/u=dy/υ:流線
dt=dx/u=dy/υ:流跡線
(dx,dy):流線の線要素ベクトル、dt:時間素分、(u,υ):流体の速度ベクトル

大気の運動方程式(x,y,z座標)
角速度Ωで自転している地球上の緯度φの地点での運動方程式を(この地点の地面は、天頂に対してΩsinφの角速度で回転している),x,y,z座標系で書き表した式であり、気圧傾度力、重力、コリオリ力及び摩擦力の項を含む。空気運動を調べる為の基本式である。
du/dt=∱υ-(1/ρ)∂P/∂x+Fx
dυ/dt=-∱υ-(1/ρ)∂P/∂y+Fy
dω/dt=-g-(1/ρ)∂P/∂z+Fz
(u,υ,ω):速度のx,y,z成分[m・s^-1]
∱:コリオリ因子(=2Ωsinφ、Ω=7.292・10^-5[s^-1]
p:気圧[Pa=N・m^-2]
ρ:密度[kg・m^-3]
g:重力加速度
Fx,Fy,Fz:単位質量当りの摩擦力のx,y,z成分[m・s^-2]

極座標(γ,θ)と大気の運動方程式
自転している地球の緯度φである地点で見ると、地面は鉛直軸に対してΩsinφなる角度で、絶対空間に対して回転している円板である。この円板上で、(γ,θ)座標によって記述された大気(気魂)の運動方程式が次式である。台風、竜巻などの円形等圧線をもつ現象の風を調べるときに使われる。
m(dυγ/dt-γ(dθ'/dt)^2-∱uθ)=Fγ
m(d^2・θ//dt^2+∱υγ+2υγ(dθ'/dt))=Fθ
υγ:γ方向(外向き)の速度、uθ:接線方向の速度
dθ'/dt:座標に相対的な角速度、∱:コリオリ因子
Fγ:γ方向の力(気圧傾度力や摩擦力)
Fθ:θ方向(接線方向)に働く力(気圧傾度力や摩擦力)
m:物体の質量

地衡風
大気の運動は、du/dt=-βu+∱ ①と書ける。
∱:大気の圧力勾配の寄与で、圧力が大きな所から小さな所へ力が働く。
β:摩擦抵抗
風速が時間によらない場合は、u=∱/β ②となり、風は圧力勾配の方向に吹く。
しかし地球上の大気の運動ではコリオリの力を受ける。方程式は
du/dt=2u・ω-βu+∱ ③のようになる。大気の水平方向の運動に限ろうとする。
すると、u・ω=(Ωsinθuy,-Ωsinθux,0)=Ωsinθu・z ④
なので、定常的な速度は2Ωsinθuy,-βu+∱=0 ⑤できまる。
ここで速度はx,y成分しかない。⑤式とzとの外積をとって公式(u・z)・z=-uを用いると
-2Ωsinθu-βu・z・∱・z=0 ⑥
⑤,⑥式より、u=1/β(∱+(2Ωsinθ/β)∱・z/(1+(2Ωsinθ/β)^2が導かれる。
必ずしも風は圧力勾配の方向には吹かない。特に上空では摩擦係数βが小さいので、β=0
と置くと、u=∱・z/(2Ωsinθ)となり、等圧線に沿って風が吹くことになる。

ガス力学

分子間の相互作用
分子間の力は大まかに分けて2種類に分類できる。一つは近距離で作用する化学反発力、他の一つは遠距離で作用するファンデルワールス吸引力である。
化学的反発力は二つの分子の持つ電子雲が重なり合ったときに大きくなる。この力は量子力学的原因によるもので、主として交換積分に関係している。
通常この作用は距離に関して指数関数的に減少し、
UAB=c₁e^(-c₂rAB) ①
c₁,c₂は定数
ファンデルワールス力は、各分子の持つ双極子、四重双極子などによる静電気に起因する項
と、量子力学的原因に基ずく項から成り立っている。

乱流

乱流の拡散性
ある決まった長さスケールでの拡散
長さスケールLの大きさの部屋にラジエーターが置いてある状況を考えて見る。部屋の中の空気の流れがなければ、熱は分子運動のみによって拡散していくことになる。この分子拡散は温度をθ、熱拡散率をγ(一定)とすると
∂θ/∂t=γ・((∂^2・θ)/(∂xi∂xi)) ①
と表せる。ここで①式を境界条件を与えて解くのではなく、次元解析によって大まかな見積もりを行ってみると、次元のみを考えると①式は Δθ/Tm~γ・(Δθ/L^2) ②と書ける。
Δθは代表的な温度差とする。②より、Tm~L^2/γ ③ が得られるが、この式は分子拡散の時間スケールTmと2つの独立なパラメータL、γとの関係を示している。

噴流

二次元自由噴流
層流の場合
噴流は、x=-x₀の1点すなわち仮想原点から発して、周囲流体を巻き込んで速度を減少させながら流下していく。
仮想原点x₀は、
1)ノズル出口x=0で流量Qを実際のそれとマッチングさせる。
2)x=0での噴流運動エネルギーを実際のそれとマッチングさせる。
3)ノズル出口が適切な流線の接線方向になる。
などの方法によって、求めることができる。
尚、二次元層流噴流の速度分布に対する理論解が、Schlichtingにより求められている。
u=0.4543(K^2/νx)^(1/3)・(1-tanh^2・ξ)
υ=0.5503(νK/x^2)^(1/3)・(2ξ(1-tanh^2・ξ)-tanhξ)
ここで、ξ=0.2752(K^2/νx)^(1/3)・(y/x^(2/3))
K=J/ρ=∫∞u^2・dy
u:x方向速度
υ:y方向速度
K:J/ρ
J:噴流の運動量∫∞ρu^2・dy
ρ:密度
h:ノズル・エッジ間距離

圧縮性流体

板の縁に伝わる衝撃波
板の縁だけに大なる変位を起こすような波動の基礎解は次式で示される。
ω=(Ae^-αy+Be^-βy)e^(i(pt-∱x))
α=√(∱^2+p√(ρ(1-υ^2)/Eκ^2))、β=√(∱^2-p√(ρ(1-υ^2)/Eκ^2)
p/∱=γ'∱√(Eκ^2/ρ)、2π/∱=波長、2π/p=周期

σ      α/∱     β/∱     A/B     γ'
0      1.414    0      0      1
1/8      1.414   0.006    0.0667   1.009
1/4     1.413   0.023    0.1425   1.032
3/8     1.41    0.074    0.228   1.071
1/2     1.405   0.153    0.323    1.13

板の縁からηだけ内部にある点Pからから、ω₀=-ieiptH₀(mr) 但し、m^4=ρp^2(1-υ^2)/Eκ^2のような周期的な衝撃が働く場合、板の縁を伝わる波動は、
ω=8ie^(-√∱₁^2-m^2)e^(ipt-∱₁x)m^2(∱₁^2(1-ν)+m^2)/(F'∱₁)、x>>0
ω=8ie^(-√∱₁^2-m^2)e^(ipt+∱₁x)m^2(∱₁^2(1-ν)+m^2)/(F'∱₁)、x<<0
ここに∱₁=√(p/γ')√(ρ/Eκ^2)
F'(∱₁)=(∱₁^2(1-ν)-m^2)^2√(∱₁^2+m^2)(4∱(1-υ)/∱₁^2(1-υ)-m^2+∱₁/(∱₁^2+m^2)-(∱₁^2(1-υ)+m^2)^2・√(∱₁^2-m^2)・(4∱(1-υ)/∱₁^2(1-υ)+m^2+∱1/(∱₁^2-m^2))

管内の固気液3相流の流動特性

外力項の定式化
Fig:気相の抗力=圧力抗力+摩擦抗力
圧力抗力(液相中の物体表面に作用)
摩擦抗力(液相との滑りに基づく抗力)
Fig=(1/8)ρlaigCDg(ug-ul) ①
aig:界面濃度
CDg:抗力係数
気泡流の界面積濃度aigb=6αg/(dsm) ②
となり、スラグ流とチャーン流の界面積濃度aigsは、
aigs=4.5/D((αg-αgs)/(1-αgs))+(6αgs/(dsm)((1-αg)/(1-αgs)) ③
dsm:液相スラグ中の小気泡のザウター平均直径
αgs:液相スラグ中の小気泡の体積分率
D:パイプ内径

αgs実験値
αg          (0<αg<0.25)     ④-1
0.3929-0.5714αg  (0.25≦αg<0.6)     ④-2
0.05         (0.6≦αg<1)      ④-3

dsmに対しては、次式で求める。
dsm=1.06(σ/ρ^(1/3))^(1/3)((αg(1-αg)D^2)/(j(-dp/dx))^(2/9) ⑤
気泡流からスラグ流への推移が始まる気相の体積分率をα₁とし、推移が完了したときの気相
の体積分率α₂とする。
気泡流からスラグ流への推移領域及びスラグ流からチャーン流への推移領域に於いては、次
の重み因子
r=1/2(1+sin(π/2((2αg-α₁-α₂)/(α₂-α₁)) ⑥
⑥式を導入することによって界面積を補間することができる。rは0≦r≦1の範囲内にある。
従って、気泡流からスラグ流への推移に対しては
αig=(1-r)αigb+rαigs ⑦とし、
スラグ流からチャーン流への推移に対しては
αig=(1-r)αigs+rαigc ⑧
rαigc:チャーン流の界面積濃度
αigs:スラグ流の界面積濃度

土壌の計測

粒度試験
粒度試験方法には、比重計法とピペット法がある。比重計法とピペット法の原理は、球形の微粒子の水中に於ける沈降速度は粒径の2乗に比例するというストローク式を応用しており
直径d[m],密度ρw[Mgm^-3]の粒子が、密度ρw,粘度η[pas]の分散媒の中を深さh[m]まで沈降するのに要する時間t[s]は、重力加速度g[ms^-2]とすれば、
t=1.8・10^-7・hη/(d^2g(ρs-ρw)) ① となる。
懸濁している粒子の最大直径は、①式を変形した次式から求める。
d=√((18η/(g(Gs-GT)ρw)(L/t)) MKS単位
d=√((30η/(980(Gs-GT)ρw)(L/t)) CGS単位
但し、G=√(30η/(980(Gs-GT)ρw)
d:最大粒径[mm]
η:水の粘性係数[pas]
L:土粒子がある時間内に沈降する距離[cm]
t:沈降時間[min]
Gs:土粒子の比重
GT:T℃の水の比重
ρw:T℃の水の密度[gcm^-3]
有効深さLは次式より求める。
L=L₁+1/2(L₂-VB/A)
L₁:比重計球部の上端から軸上で読み取った点までの距離[cm]
L₂:比重計球部の全長[cm]
VB:比重計球部の体積[cm^3]
A:メスシリンダーの断面積[cm^2]
各読み取りに対して、深さLにおいて1mL中に懸濁している土の百分率は次式から求める。
P=(100/(Ws/V))(Gs/(Gs-GT)(γ₂-(1-F))
P:懸濁して残っている土の百分率(試料の炉乾燥質量の%で表す)
Ws:炉乾燥試料質量[g]
V:懸濁液の体積[cm^3]
Gs:土粒子の比重
GT:T℃の水の比重
γ₂:比重計の読み
F:補正係数(表参照)

土壌の水分保持力の測定
土壌水のポテンシャルをどのように測定するか、またその測定結果をどのように土壌の保水性として表現するか?
土壌水のポテンシャルは、土壌構造に強く依存するので、土と水の相互作用によるこのようなポテンシャルをマトリックスポテンシャルφmで表す。
単位系の換算は、Jm^-3=(Nm)m^-3=Nm^-2=Paとなる。
マトリックスポテンシャルの水頭値に於ける負号を省略し、数値だけを取り出したものをサクションと呼ぶ、サクションを常用対数で表し、(pF)としてpは対数、Fは自由エネルギーの異である。サクションをhで表せば、pF=log₁₀hとなる。

水の通りやすさの測定
飽和透水係数(変水頭法)
ダルシー則
飽和土壌中の水分移動量は、動水勾配に比例する。
例えば、カラム内土壌のA端にhAの(圧力)水頭が与えられ、水は土壌カラム内を左から右に流れている。A端,B端の位置水頭は、基準面からの高さで定義され、土壌A端の位置水頭はZA,B端の位置水頭はZBである。位置水頭と圧力水頭の和を全水頭という。
A端の全水頭はZA+hA、B端の全水頭はZB+hBであり、両者の差(ZA-hA)-(ZB+hB)が全水頭差である。土壌中でAからBへの移動距離はカラム長さLに等しい。この時、全水頭差/移動距離、即ち、((ZA+hA)-(ZB+hB))/L=ΔH/L
を、動水勾配という、ΔHは全水頭差である。
このようにして、土壌中の飽和水分流量が動水勾配に比例するので、ダルシー則で表すと
q=Ks(ΔH/L)
q:水フラックス
Ks:飽和透水係数

データ解析
(1)温度T℃に於ける変水頭法による飽和透水係数Ks,T[cms^-1]を次式で計算する。
Ks,T=αL/(A(t₂-t₁))ln(h₁/h₂)=2.3aL/(A(t₂-t₁))log₁₀(h₁/h₂) ①
(2)温度15℃に於ける飽和透水係数Ks₁₅[cms^-1]は水の粘性を考慮して次式で計算されるKs₁₅=KsT(ηγ/η₁₅) ②
ηγ:温度T℃に於ける蒸留水の粘性係数[pa・s]
η₁₅:15℃に於ける蒸留水の粘性係数[pa・s]
(3)炉乾燥前後の質量(M₁,M₂)とサンプラーの質量(Mc),体積から含水比(ω),乾燥度(ρd)、
体積含水率(θ),間隙率(n)、飽和度(=θ/n)を計算する。
データ解析で用いる式の導出は、長さLのカラム内を時間tの間に移動する飽和流量をQと置けば、動水勾配は、h/Lであるからダルシー則は、
Q/At=Ks,T・h/L ③
hはバット越流水面からスタンドパイプ内の水面までの距離である。ここで測定点Δh(スタンドパイプ内でΔt時間に低下した水位)とストップウォッチで測定したΔtであるから、パイプ内の減少水量-aΔhとカラム内総流量QΔtと等しいと置いて、
-aΔh=AKs,T(h/L)Δt ④
④式をhについてh₁からh₂までの積分
-∫dh/h=AKs,T/aL・∫dt ⑤
を行えば、Ks,Tに関する式①が求まる。

物性値の定義

圧縮率
κ:体積弾性係数=-ΔP/(ΔV/V) [pa]
体積弾性係数の逆数β=1/κを圧縮率という。
温度伝導率
熱伝導率λ[W/(m・k)]が物体の熱伝導のしやすさを表す量に対し、温度伝導率λ/(cρ)[m^2/s]は温度の伝播のしやすさを表す量。ρ:密度、c:比熱である。
拡散係数
成分Bの物質中に成分Aが拡散する場合、その拡散質量速度は成分Aの質量濃度の勾配に比例する。その時の比例定数を拡散係数Dm[m^2/s]という。
ガス定数
理想気体の状態方程式はPυ=RTで表される。P:圧力[pa]、υ:比体積[m^3/kg]、
T:温度[K]であり、R:ガス定数と呼ばれる。空気の場合は、287.03[J/(kg・K)]である。
蒸発(気化)潜熱
沸点または昇華点において気化するのに必要な熱量[J/kg]
潜熱
物質に熱を加えるとそれに比例した温度変化が現れる場合、その時の熱を顕熱という、一方蒸発熱や融解熱のように熱を加えても温度変化が現れない場合もある。このような熱を潜熱という。
比熱
単位質量の物質温度を1Kだけ上昇させるのに必要な熱量をいう。気体の比熱は気体に加える熱の加え方によって異なる。圧力一定で熱を加える場合の比熱を定圧比熱Cp、体積一定の条件で熱を加える場合の比熱を定積比熱Cvといい、次式で表せれる。
Cp=(∂q/∂T)p  Cv=(∂q/∂T)v、理想気体のCpとCvとの間にはCp-Cv=Rという関係があり、またCp/Cv=κを比熱比という。
粘度
流体内のとなりあう槽の間に速度差があり、間で相対運動が行われているならば、速度を平均化する力が働く、このような性質を粘性という。この時作用する力であるせん断力τは、ニュートン流体の場合は速度勾配に比例する。この時の比例定数μを粘度という。
τ=μ(∂u/∂y) 粘度を密度ρで除したものν=μ/ρを動粘度という。

基本物性の推算

物質の種類によらず分子の凝集状態がよく似ているといわれる臨界点を共通の基準値とし、一般の状態(T,P)におけるある物性Gの隔たりを共通の尺度、Tr=T/Tc、Pr=P/Pcで表すと、
物質の種類によらず、次の関係が成立する。
Gr=G/Gc=∱(Tr,Pr) ①
GcはGの臨界点に於ける値でTr,Prを其々、対臨界温度、対臨界圧力と呼んでいる。
蒸気圧を扱うフロストーカークバルフーソドスの式を引用すると、
logPvr=β((9/5)logTr+1/Tr-1)+(8/3)logTr+0.1832(Pvr/Tr^2-1) ②
ここで、蒸気圧をPv、温度をTとすると、Pvr=Pv/Pc、Tr=T/Tcで、βは物質定数で第3のパラメータに相当する。ωには次の定義の値を普通使っている。
ω=-logPv|Tr₌₀.₇-1 ③
②式と③式を比較すると、βとωは次のように一価関数の関係にある。
-β=2.6961+6.6779ω+0.2479(10)^-ω ④-1
≒2.946+6.367ω ④-2
例えば、全フッ化トリエチルアミン(C₂F₅)₃Nの標準沸点は71.5℃、臨界点はそれぞれ、
Tc=471.2k,Pc=18.5atmである。70℃,120℃の蒸気圧を計算してみる。
Trb=Tb/Tc=(71.5+273.2)/471.2=0.7315
Prb=P₁atm/Pc=(1/18.5)=0.05405
Gr=∱₃(Tr,Pr:ω,Xp) ⑤ 式⑤に代入すると、β=-6.0389となる。
70℃,120℃は其々、対臨界温度Tr=0.7284及び0.8345に相当するから、β値を使って
⑤式から試探法でそれぞれに相当するPvrを求める。
70℃:Pvr=0.0514
∴Pv=0.951atm Pve=0.958atm
120℃:Pvr=0.2081
∴Pv=3.58atm Pve=3.939atm

臨界点、沸点の推算
臨界点の推算式はK.G.Jobackの寄与因子法がある。臨界点、標準沸点に関するJobackの
構造寄与因子の表より計算した各因子の総和∑Δから、次式により算出される。
Tc=Tb(0.584+0.965∑ΔT-(∑ΔT)^2)-1 [k] ⑥-1
Pc=(0.113+0.0032nA-∑ΔTp)^-2 [bar] ⑥-2
Vc=17.5+∑Δv [cm^3/mol] ⑥-3
⑥-1式はTbr=Tb/Tcの表現精度は高いが、Tbの推算の精度がよくない。ここに、
Tb=198+∑Δb [k] ⑦
⑦式は平均偏差12.9kであるので、沸点測定可能であれば測定値が好ましい。
標準沸点にはキニー・アダスンの寄与因子法があり、同じく分子の各単位構造について沸点数が定められており、総沸点数から次式に従い推算する。
tb=230.14(全沸点数∑)^(1/3)-543 [℃]  ⑧

特殊な物質類にはそれぞれ沸点の推算式がある。例えば全フッ化アルカンCnF₂n+₂の沸点はアルカン類CnH₂n+₂の沸点から推算するのがよく、次式で表す。
Tbn:炭素数nの全フッ化アルカン沸点=T'bn-5.65n+21.75 [k]
T'bn:同じ炭素数のアルカン類の沸点n=20まで正確な値が与えられている。
Tbn=T'bn-5.65n+21.75 [k] (n≧2)

推算式例
1.表面張力
σ:表面張力=σ₀((1-Tr)/(1-Trb))x  ⑨-1
フロン類では、
σb=Pc^(2/3)Tc^(1/3)(0.9508-0.7046ω+0.935ω^2) ⑨-2
x=1.4241-1.255ω+2.13ω^2 ⑨-3

粘度・熱伝導率
標準沸点の液熱伝導率κLbは佐藤によると、分子量の平方根に比例する。
κLb=1.11M^-0.5  ⑩-1
温度Tに於ける常圧熱伝導率κLは次式で推算できる。
κL=(1.11M^-0.5・(3+20(1-Tr)^(2/3)/(3+20(1-Tbr)^(2/3) ⑩-2
常圧気体(蒸気)についての粘度式は次のReichenbergの方法がある。
μv=M^0.5・T/(α(1+(4/Tc))(1+0.36Tr(Tr-1))^(1/6)(Tr(1+270μ^4)/(Tr+270μr^4)
μr=52.46μ^2・Pc/Tc^2
非極性蒸気の場合は当然μ=0である。
α=∑niCi
ここに、niは単位構造i種の数、Ciはi種の構造寄与因子
低圧気体の熱伝導率は、粘度との関連において推算される場合が多い。一つの方法として、
Stiel-Thodosの方法
κvM/(μvCv)=1.15+(2.03/(Cv/R))=1.15+(2.303/(Cp/R)-1)
κv:熱伝導率[w/mk],μv[N・s/m^2] 
Cv:定積比熱=Cp-R[J/mol・k]
R:気体定数 8.314[J/mol・k]
M:分子量[kg/mol]

蒸発潜熱
蒸発潜熱Δυは、クラウジウス・クラペイロンの式から、
ΔHv/RTc=-(dlnPvr/(d(1/Tr))(zv-zL)
右辺1項は、dlnPvr/(d(1/Tr)=2.303β-(9/5β+8/3)Tr+0.8438(Pvr/Tr)/(1-0.4219(Pvr/
Tr^2)

分子容積
VL/V=VR(₀)(1-ω'VR(δ)) Hankinsonらの式
ここに、
VR(₀)=1-1.52816(1-Tr)^(1/3)+1.43907(1-Tr)^(2/3)-0.81446(1-Tr)+0.190454(1-
Tr)^(4/3)  0.25<Tr<1
ω':偏心因子の近似値
V:臨界体積Vcの近似値
フルオロカーカーボン類には次式に当てはめる。
V=(RTc/Pc)(0.5218098-2.346916ω+5.407302ω^2)
沸点体積と臨界体積の間にはチン・カラスの式を使用する。
V₀=0.285Vc^1048 [cm^3/mol]
同温度における飽和蒸気体積と飽和液体積との関係は、ハウゲンの与えた圧力係数差
(zv-zL)の数値表を次式で表すと便利である。
(Vv-VL)Pv/RT=zv-zL=(1-Pvr)-0.56(0.191-Pvr)Pvr^0.43・(1-Pvr)^0.32
ここに、Pvr=Pv/Pcである。

Ib値
Ib値はMillerが、I係数を定義し流体選定の尺度にする式の沸点値である。
Miller式
I=1-((T/Cp)/(dT/dS))D、I=1/CpD(∂υ/∂T)pD(ΔHv/(υG-υL) より、
I=(1.947/Cpv)(8/3+β(9/5-2.303/Tr))
Cpv=Cp+5.03(Pr/Tr^3)
Ibは上式で(I)bDに相当する。Dは露線上を表す。

状態方程式
ベン・ロビンソの式(P-B式)
p=RT/(V-b)-(a/(V(V+b)+b(V-b))
a=045724(R^2・Tc/Pc)(1+m(1+m(1-√(T/Tc))^2
m=0.37464+1.54226ω-0.26992ω^2
b=0.0778RTc/Pc
上記の式を多成分系に適用するには、エネルギ項a(温度の関数)、容積項b(物質定数)に対し
次の混合則を使う。
a=∑i∑jxixjaij
b=∑i∑jxixjbij
aij、bij:i成分のj成分間の相互作用を表し、i≠jの場合にはaには幾何平均をbには算術平均
を用いて、
aij=(1-δij)√(aiaj)
bij=(1-βij)((bi+bj)/2)
δij、βijはi成分のj成分間の相互作用係数である

熱力学的状態量
熱力学的状態量として、エンタルピーh及びエントロピーsについて書けば、
h=∫υ∞(P-T(∂P/∂T)υ)dV+Pυ+u
s=∫υ∞(R/V-(∂P/∂T)υ)dV+Rln(V/RT)+s
u:その温度の理想ガス状態の内部エネルギー=∫Cp・dT-R(T-T₀)+u₀
s:その温度の理想ガス状態の内部エントロピー=∫(Cp/T)dT+s₀

番外編 旧車の技術

気化器(キャブレター)
理論混合比
混合比=吸入空気量g/燃料消費量g
ガソリンは主として、炭素と水素の化合物である炭化水素よりなっており、その分子式はCn Hmで示される。これが酸素と結合して完全燃焼する時は、次の化学式が成立する。
CnHm+(n+m/4)O₂=nCO₂+(m/2)H₂O ①
空気成分は、容積的に酸素(O₂)0.21,窒素(N₂)0.79,重量的には酸素0.232、窒素0.768と考えられる。従って①式は
2nCnHm+2(n+m/4)O₂+2・3.76(n+m/4)N₂
=2nCO₂+mH₂O+2・3.76(n+m/4)N₂     ②
原子量は、H=1,C=12,N=14,O=16であるから1gの炭化水素を完全燃焼させるのに必要な空気量[g]は、32(n+m/4)+28・3.76(n+m/4)/(12n+m)=137.28(n+m/4)/(12n+m) ③
ガソリンはパラフィン系炭化水素、もしくはナフテン系炭化水素に属し、その中の一つであるオクタンの分子式はC₈H₁₈で前式中n=8,m=18となる。
従って、オクタン1gを完全燃焼させるのに必要な空気量は、③式より15.05gであるからオクタンの理論混合比は15.05となる。またエチル・アルコールが完全燃焼して炭酸ガスと水になる場合の混合比も同じ方法で計算することができる。
エチル・アルコールの分子式はC₂H₆Oであるから、
2C₂H₆O+6O₂+22.56N₂=4CO₂+6H₂O+22.56N₂
混合比=6・2・16+22.56・2・14/(2(2・12+6・1+16))=8.95

気化器の構造
主系統
1.ベンチュリ
2段2連ベンチュリ選定
D:ベンチュリ径cm(但し2重ベンチュリ構造では大ベンチュリ径)
V:エンジン全行程容積ℓ
N:エンジン最高回転数rpm/1000
a^2:気化器大ベンチュリ気流障害断面積cm^2
ストロバーグ気化器は、D=1.02√(VN) ①
ウェーバー気化器は、D=0.9√(VN/i) ②
但し、i:エンジン気筒数
4サイクル4,6気筒エンジンに対して、D=√(VN+a^2) ③
調査した各気化器のベンチュリ径D₀と③式で求めたベンチュリ径Dとの比をKとした場合
K値は0.76~1.04まで分布しているが、平均値は0.89となる。
従って③式は、D₀=0.89D=0.89√(VN+a^2) ④

ベンチュリ部の流量係数を1として、次式が成立する。
ηυ(VN/2)=υa(π/4D^2-a^2)(60・100/1000^2) ⑤
N:エンジン最高回転数1000rpm
ηυ:エンジン最高回転数における容積効率
υa:ベンチュリ最狭部の空気流速m/s
⑤式を書き直すと、
D=√(4/π(ηυ/υa(VN/2)・(1000^2/6000)+((4/π)a^2))=√(1000ηυ/3πυa・VN+(4/π)a^2) ⑥
a^2<1であるから、(4/π)a^2=a^2とすると④と⑤式より
√(1000ηυ/3πυa)=0.89 ⑦

単胴気化器使用の場合、③式でベンチュリ径を選定して吸入効率を最高回転速度時に75%
に仮定すると(a^2は省略する)
π/4D^2υa=ηυ(NVs/(2・60)・(1000^2/100)
③式よりD^2=NV
π/4NVsυa=ηυ(NVs/(2・60))・(1000^2/100)=0.75(NVs/(2・60))・(1000^2/100)

最高回転速度の空気流速が遅ければ、部分負荷における空気流量が少ない時の空気流速はさらに低下し、主燃料の噴出遅れ、さらには低速系統から主系統に移る際フラット・スポットを発生する。いま④式ベンチュリを選定すると、ηυ=0.75と同一条件で⑦式より、
υa=100m/secとなる。

2段2連気化器ベンチュリ
2段2連気化器の4000rpmにおける吸入効率ηυの比較は単胴気化器の75.6%に対して、2段2連気化器では85%となっている。次に最高効率のエンジン回転速度は、単胴気化器の約
2000rpmに対して、2段2連気化器を使用したものは3600rpmになっている。
後者の場合、高速型カムを使用している。しかし全負荷中速までの吸入効率は低速型カムを使用した単胴気化器の方がよくなっている。これはベンチュリ部の影響ではなくベン開閉時期の影響といえる。
2段2連気化器は全開低速においてはベンチュリ径の小さい1段側気化器を使用し、ベンチュリ部の吸入空気流速を増し、燃料の微粒化をよくして各気筒への混合配分を均一にしトルクの低下を防いでいる。
いま、2段2連気化器の1段側気化器ベンチュリ径d₁cm、2段側気化器作動開始回転数(全負荷時)をN₁rpmエンジン全行程容積Vℓとすると、
d₁=√(K₁VN₁) ⑧
K₁値を比較することにより1次側ベンチュリ径の比較ができ、さらにK₁値をデータにより、平均値1.555と置き換えると①式は、
d₁=√(1.555VN₁')となる。
K₁=1000ηυ/(3πVa)

2段側ベンチュリ径
2段側ベンチュリは最高出力を左右する。1段側ベンチュリと2段側ベンチュリが作用して、
d₁^2+d₂^2=K₂VN₂
d₂:2段側ベンチュリ径cm=√(K₂VN₂-d₁^2)
K₂:気化器全体が全開して運転しているときのエンジン吸入効率を含んだ係数
N₂:最高出力時の回転速度rpm

単純気化器
単純気化器とは絞り弁、ベンチュリ、主ノズル、主ジェット及びフロート機構のみを備えた気化器である。
hω':主ノズル先端とフロート・レベルとの落差[cm]
p₀:外気圧力
p₁:ベンチュリ最狭部の圧力
とし、空気入口とベンチュリ最狭部の距離を無視すると、ベルヌーイの定理から
p₀=p₁+1/2ρaυa^2 ①
ρa:空気密度
υa:ベンチュリ最狭部の空気速度
①式を書き直すと
1/2ρaυa^2=p₀-p₁=ρωghω ②
ρω:ベンチュリ最狭部に取付けたマノメータの水の密度
②より
υa^2=ρω/ρa・(2ghω)
υa=√(ρω/ρa・(2ghω))
従って、空気重量Waは、
Wa=C(π/4)D^2・g ρa υa=C(π/4)D^2・√(ρaρω2g^3・hω) ③
C:ベンチュリの流量係数
D:ベンチュリ径
g:重力加速度
次に、燃料を考えると、フロート室内のフロート油面に於ける燃料の速度は0であるから、
p₀=p₁+1/2ρ∱υ∱^2+ρ∱ghω' ④
ρ∱:燃料密度
υ∱:主ノズルにおける燃料流速
p₀-p₁=1/2ρ∱υ∱^2+ρ∱ghω' ⑤
②と⑤式より
ρωghω=1/2ρ∱υ∱^2+ρ∱ghω'
υ∱^2=2g/ρ∱(ρωhω-ρ∱hω')
従って、燃料重量W∱は、
W∱=C’(π/4)d^2・ρ∱gυ∱
=C'(π/4)d^2√(2g^3・ρ∱(ρωhω-ρ∱hω')) ⑥
C':主ノズルの流量係数
d:主ノズル内径
次に、ベンチュリを流れる空気を断熱変化と仮定すれば、
(T₁/T₀)=(p₁/p₀)^((κ-1)/κ)
T₁=T₀((p₀-ρωghω)/p₀)^((κ-1)/κ)
ρ₀=γa/g
T₁:ベンチュリ最狭部に於ける吸入空気の絶対温度 273+t₁°
T₀:大気の絶対温度 273+t₀°
κ:断熱指数 1.4
γa:空気単位体積の重量[kg/m^3]=1.293(273/(273+t₁))・(p₁/760)
従って、気化器の供給する混合比Rは
R=Wa/W∱=((CD^2・√(2γahω))/(C'd^2・√(2γ∱(hω-γ∱(hω-γ∱hω')) ⑦

⑦式で求めたRの値は、空気ブリード・ジェット、二重ベンチュリなどを設けない単純気化器の混合比(空燃比)である。
もう一つの例として、ベンチュリ直径D=19mm、ベンチュリの空気流量係数C=0.83、
大気温度t₀=16℃、大気圧p₀=762mmHg、ガソリン比重γ∱=0.74g/cm^3、主ノズルのガソリン流量係数C'=0.75としたとき、hω=30cmでR=15になるようにノズル内径dを決定したとすると、吸込空気量すなわちhωに対して混合比Rがどうなるか計算する。
但し、この際にベンチュリおよび主ノズルの流量係数CC'は流速の関数であるレイノルズ数
によって変化するものであるが、計算簡素化の為に流速には無関係に一定とする。さらに、ガソリンの単位体積の重量も、ノズル先端温度により変化し、かつノズル先端で空気中に噴出する際に気化する為、実際には気化潜熱の影響なども考慮に入れなければならないが、今回はすべて影響しないと仮定する。
T₁=(273+16)((762-hω/13.6)/762)^((1.4-1/1.4)
γa=1.293・(273/(273+t₁))・(p₁/760) [kg/m^3]
Wa=3.2927・√(γahω) [g/s]    ⑧
次にhω=30cmでR=15の条件によりdを求める。但し、この際気化器のガソリン落差hω'=
1cmとする。
d=0.1042cm=1.042mm
従って、ガソリン消費量W∱は、
W∱=0.75・(π/4)・0.1042^2・√(2・980・0.74(hω-0.74))
=0.2436√(hω-0.74) [g/s]   ⑨
吸入空気量が増すにつれて、単純気化器の供給する混合比は次第に濃くなる欠点があり、
ストロンバーグ構造で、空気ブルード方式が採用されているのもその為である。

主空気ブリード理論
主空気ジェットと称する調整したジェットを通して、空気を主燃料系統中に導いて、主ジェットに作用する負圧を弱めて、空気量の増加と共に混合気が濃くなるのを防ぐのである。
主空気プリードのジェット径をdAとし、主ノズル先端に働く負圧は水柱hωで主ジェットに働く負圧は、水柱hω"に減るものとする。従って、主ノズル(内径d)から燃料と空気を吸い出す圧力差は、水柱hω-hω"である。主ジェット(内径dM)から燃料を吸い出す負圧はhω"となる。今主ジェットの流量係数をCM,燃料密度ρ∱とすれば、
W∱=CM(π/4)dM^2・√(2g^3・ρ∱ρωhω") ⑩
⑩式は⑥式において、hωの代わにdM,C'の代わりにCMとおき、hω'を省略したものである
主ノズル先端部では、主空気ジェットより入った空気と燃料とが混合して流れる為、いまd₁を燃料のみによって占められる主ノズル内の相当直径とすれば、π/4(d^2-d₁^2)は空気ジェットから入る空気が占める断面積となる。
実際には燃料に作用する負圧、さらには、燃料が空気と混合したエマルジョンの場合には、
上述のように簡単に燃料比重が一定と仮定したり、燃料蒸気発生を無視することは不可能であるが、結局は理論的に簡素化することが必要である。
次に、π/4d₁^2を流れる燃料流速V∱'は、
V∱'=C'√(2g(ρω/ρ∱(hω-hω")) ⑪
従って
π/4・d₁^2=((W∱/gρ∱)/V∱')=((CM(π/4)dM^2・√(2g(1/ρ∱)ρωhω"/(C'√(2g(ρω/ρ∱(hω-hω")) ⑫
κ∱(π/4)dM^2・√(ρωhω/(ρω(hω-hω"))=κ∱(π/4)dM^2・√(hω"/(hω-hω") ⑬
但し、κ∱=CM/C'
従って、π/4(d^2-d₁^2)の面積を流れる空気重量Wabは、
Wab=Ca'(π/4)(d^2-d₁^2)・γab・√(2g(ρω/ρab)(hω-hω")) ⑭
一方Wabの空気は空気ジェットを流れて入るのみである。
Wab=CA(π/4)dA^2・γAB"√(2g(ρω/ρAB")hω") ⑮
⑭,⑮式におけるCa',CAはそれぞれ主ノズル、主空気ジェットにおける空気の流量係数としてρab、ρAB"はそれぞれの空気密度とする。⑬,⑭,⑮式より、
CA(π/4)dA^2・√(2g^3・ρAB"ρωhω")=C’a(π/4)(d^2-d₁^2)√(2g^3・ρabρω(hω-hω")=Ca'((π/4)d^2-κ∱(π/4)dM^2・√(hω"/(hω-hω"))・√(2g^3・ρabρω(hω-hω"))
=√(ρAB"/ρab)=κa(d^2/dA^2)√((hω-hω")/hω"-κb(dM^2/dA^2) ⑯
但し、κa=Ca'/CA  κb=Ca'/CA・κ∱=κa・κ∱
⑯式よりdM,dA,dを与えるとhωとhω"との関係が求められる。
従って、混合比Rは
R=Wa/W∱=C・(π/4)D^2・√(ρaρω2g^3・hω)/(CM(π/4)dM^2√(2g^3・ρ∱ρωhω")
=CD^2√(ρahω)/CMdM^2√(ρ∱hω") ⑰

ここで、単純気化器について数値解を求める。
すなわち、d=2dA,dA=dM,κa=κb=1とし、hω=20cmでR=15と仮定する。かつ⑯式を解く場合に、ρabとρAB"とが問題になるが、主空気ジェットを通るときと主ノズル内を燃料と混合して流れる時の空気密度は同一とみなす。
⑯式より
1=4√(hω-hω")-1 1/2=√(hω-hω")
∴hω"=4(hω-hω")
即ち、5hω"=4hω hω"=4/5hω ⑱
従って、hω=20においてはhω"=16
15=0.83・(π/4)・1.9^2√(1.2105/1000・20)/(0.75(π/4)dM^2√(0.74・16))
dM=0.11cm
W∱=0.75・(π/4)・0.11^2√(2・980・0.74hω")=0.271√hω" [g/s] ⑲
⑱式にhωを代入して求めたhω"を⑲式に代入すれば、燃料消費量W∱を求めることができる

二重ベンチュリ
ストロ-ハルバーグ型気化器の特長である二重ベンチュリの燃料消費量W∱の求め方は、
仮定として、ρAB=ρAB'、κa=κb=1、h=10mm、dA=0.6mmdM=0.9mm、d=1.6mm
として計算してみる。⑯式に代入すると、
1=(1.6/0.6)^2・√(Hω-hω"/hω")-(0.9/0.6)^2
√hω"=7.11√(Hω-hω")-3.37√hω" hω"=0.726Hω ⑳
W∱=0.75・(π/4)・0.09^2・√(980・2・0.74hω")=0.181√hω" ㉑
一方、吸入空気量は⑧式より、Wa=3.2927・√(γahω) [g/s] 

三重ベンチュリ
大中小ベンチュリを3段に重ねた三重ベンチュリを使用した気化器がある。
二重ベンチュリに比べて気化器の吸入空気量が同一の時には、主ノズル働く負圧が高くなる
作用をさせるので、燃料の補正手段には極めて有効である。
負圧が高いので、三重ベンチュリは主燃料の噴出始めが早くなり、低速燃料と主燃料との
つなぎの点に於けるフラット・スポットを防ぐ手段となる。
また三重ベンチュリは空気と燃料の相対速度も負圧が高いので早くなり、燃料の粒径も小さ
り燃費がよくなる。尚、三重ベンチュリにはカーター気化器、ゼニス気化器などが知られて
いる。

フロート系統
燃料ポンプ圧力とフロート油面

燃料ポンプの締切圧力によるフロート油面の変化について

d:フロート弁座径mm

p:燃料ポンプ締切圧kg/cm^2

Fv:フロート浮力g

Fw:フロート重量g

a:b フロートのレバー比

FN:フロート弁重量g

ρ:ガソリン比重g/cm^3

A:フロートの横断面積mm^2

h:フロートの油面以下の深さmm

 

フロート弁に使用するポンプ締切圧による力P

P=π/4・d^2・p・(1000/100)=5/2πd^2・p [g] ①

フロート油面が静止している条件は、

a(P+FN)=b(FV-Fw) ∴FV=Fw+(a/b)(P+FN) ②

①,②式より、Fv=Fw+(5/2πd^2p+FN) ③

③式より、dFv/dp=a/b・(5/2)πd^2 ④

 

フロートの浮力Fv

Fv=ρ/1000(Ah+C)

但し、Cは各フロートによる一定値

dFv/dh=ρ/1000・A

従って、燃料ポンプ締切圧とフロート油面の関係は、

dh/dp=dFv/dp/(dFv/dh)=a/b・(5/2)πd^2・(1000/ρA)=2500πad^2/(bρA)

例えば、フロート油面差0.5mmでは、フロート調整誤差内では問題ないが、燃料ポンプの締切圧力が0.1kg/cm^2高ければ、フロート油圧は計算で1mm高くなる。


燃料比重とフロート油面

ガソリン比重の温度による変化は、次式で表わされる。

ρt=ρ₁₅-K(t-15)

ガソリンの場合K=0.00079、15℃に於ける比重ρ₁₅=0.73で正規フロート油面が得られたとし、今仮にガソリン温度を35℃とすると、

ρ₃₅=0.73-0.00079(35-15)=0.714となる。

フロート浮力Fvは変化しないと仮定すると、ρ₁₅h=ρ₃₅h₃₅=ρ₃₅(h-⊿h)

⊿h=h(ρ₁₅/ρ₃₅-1)

logp:ガソリンの蒸気圧=6.7-(1350/T)mmHg

単純気化器に於いて、エアクリーナの抵抗増加による混合比の変化

po'=po-⊿p=p₁+1/2ρaυa^2 ①

po-⊿p=p₁+1/2ρaυa^2 ②

従って空気重量Waは、

Wa=C(π/4)D^2・gρaυa=C(π/4)D^2・√(ρaρω2g^3・hω-ρa2g^2・⊿p) ③

燃料重量W∱は、
W∱=C’(π/4)d^2・ρ∱gυ∱ 
=C'(π/4)d^2√(2g^3・ρ∱(ρωhω-ρ∱hω')) ④

混合比Rは、

R=Wa/W∱=CD^2/C'd^2・√(γa/γ∱・(hω-⊿p/hω-γ∱hω')) ⑤

次に、内部通気方式ではフロート室内の圧力は、poの代りにpo'を採用しなければならない為、po'-p₁=1/2(ρ∱υ∱^2+ρ∱ghω' ⑥となり、

①式と⑥式より、

po-p₁=1/2(ρ∱υ∱^2+ρ∱ghω')

ρωghω-⊿p=1/2(ρ∱υ∱^2+ρ∱ghω')
υ∱^2=2/ρ∱(g(ρωhω-ρ∱ghω')-⊿p)

従って、燃料重量W∱は、

W∱=C'(π/4)d^2・ρ∱gυ∱

W∱=C'(π/4)d^2・√(2g^3・ρ∱(ρωhω-ρ∱ghω')-2g^2・ρ∱⊿p)

従って、混合比Rは、

R=Wa/W∱=CD^2/C'd^2・√(γa/γ∱・(hω-⊿p/hω-γ∱hω'-⊿p))

=CD^2/C'd^2・√(γa/γ∱・(Hω/(Hω-γ∱hω'))

但し、Hω=hω-⊿p


材料力学/機械設計演習問題

例題1.
直径20mm長さ3mの軟鋼棒の軸方向に、50kNの引張力を加えると伸びはいくらになるか
但し、E=206GPaとする。

解答
λ=Wl/AE=50・10^3・3・10^3/((π/4)20^2・206・10^3)=2.32[mm]

例題2.
例題1.において、軟鋼棒はどれ程細くなるか。ポアソン比を1/3として計算せよ。

解答
d-d'=dσ/mE=(20・(4・50・10^3/(π・20^2))/(3・206・10^3)=0.00515[mm]

例題3.
縦弾性係数Eが206GPaであるバネ鋼の弾性限度を740MPaとすれば、最大弾性エネルギーはいくらか。

解答
u=σ^2/2E=740^2/(2・206・10^3)=1.33[N・mm/mm^3]

例題4.
伝達動力50ps、原動機回転数1450rpm、減速比1:4の1段歯車減速機を歯車の曲げ強さだけを設計してみる。小歯車歯数:z₁=20、モジュール6とすれば、大歯車歯数80で、20°並歯として中心距離はa=240+60=300とする。

解答
ピッチ円接線力Pu、周速υを計算すると、
Pu=4.5H/(πn₁d₀₁)・10^6=4.5・50・10^6/(3.14・1450・6・20)=412kg
υ=πn₁d₀₁/6・10^4=9.12m/s
バースの速度係数∱υは、ボブ切り精度jis4級として、
∱υ=6/(6+υ)=6/(6+9.12)=0.397 となり、
歯形係数は、標準平歯車の歯形係数表からy'π=₂₀=0.543 y'n=₈₀=0.735となる。
材料はS45Cとすれば、σb=30kg/mm^2, 負荷に中衝撃程度を予想して、使用係数∱s=
1.25とすると、小歯車についてのルイスの式Pu=σb・b・m・y'・∱υ/∱sは、
412=30・b・6・0.543・0.397/1.25
∴b=13.27≈14mm
同様に大歯車について求めると、
412=σb・14・6・0.735・0.397/1.25から、σb=21kg/mm^2であり、大歯車はS30Cでもよい。

例題5.
曲げ強さの計算例を用いた1段歯車減速機の歯面の強さを求めてみる。
m=6、z₁=20、i=4、∱υ=0.397、使用係数S=1.25であり、材料の許容接触応力表から、
κ=0.053
Pu:許容荷重=2b・dm・∱υ・κ(i/(i+1))/S=2・42・6・20・0.397・0.053(4/(4+1))/
1.25=136kg となり、歯面は50psの動力を伝える荷重412kgには到底耐えられない。
歯面の強さを高めるには、ブリネル硬さσ₀上げるのが効果的である。許容歯幅bを計算してみる。材料の許容接触応力表からκ=0.069とし、
b=Pu・S/(2∱υ・d₀₁・κ)((i+1)/i)=412・5・1.25/(2・0.392・6・20・0.069・4)=98mm

例題6.
バネ材料SWPB、素線の直径d=1mm、平均コイル直径D=10mm、有効巻き数Na=8
総巻き数Nt=10、自由高さH₀=32mmで、バネの使用範囲が高さH₁=24mmでP₁=1kgf
から高さH₂=12mmでP₂=2.5kgfであり、毎分800回の正弦波形の繰り返し荷重を受ける場合の疲れ寿命を推定せよ。

解答
τmax=K(8PD/(πd^3)=1.15(8・2.5・10/(π・1^3)=73.2kgf
上限応力係数は
τmax/σB=73.2/230=0.318
また,
r=Pmin/Pmax=1/2.5=0.4
繰り返し荷重を受けるバネの図にプロットして、10^7以上の寿命を持つことができることを推定できる。

例題7.
m=25kgの質量がκ=10kN/m,c=120N・s/mのバネとダンパーによって吊られている。
このmにFsinωt=20sin15t[N]の励振力が働くときの質量の応答を求めよ。
但し、初期条件はx(0)=0,x'(0)=0.1m/sとする。

解答
運動方程式mx"+cx'+κx=Fsinωtより、
ωn:固有角振動数=√(κ/m)=√(10000/25)=20rad/s
ξ:減衰比=c/2mωn=120/2・25・20=0.12
ωd:減衰固有角振動数=√(1-ξ^2)・ωn=20√(1-0.12^2)=19.9rad/s
∴xc=Ce^(-2.4t)・sin(19.9t+ψ)
また、系の特殊解は、
xp=(F/√((κ-mω^2)^2+(cω)^2)・(ωt-φ)=120/√(10000-25・15^2)^2+(120・15)^2)sin(15t-φ)=4.23・10^-3・(15t-φ)
φ=tan^-1((2ξω/ωn)/(1-(15/20)^2))=tan^-1((2・0.12・15/20)/(1-(15/20)^2))
=0.39(22.4°)
∴x=Ce^(-2.4l)sin(19.9t+ψ)+4.23・10^-3sin(15t-0.39)=0
さらに初期条件によりC,ψを決定すれば、
x(0)=Csinψ+4.23・10^3・sin(-0.39)=0
∴Csinψ=1.61・10^-3
x(0)=2.4Csinψ+19.9Ccosψ+15・4.23・10^-3cos-0.39=0.1
∴Ccosψ=2.27・10^-3
となる。これよりC=2.78・10^-3、ψ=0.617+4.23・10^-3sin(15t-0.39) [m]

例題8.
例題7の強制振動の定常応答を複素表示法によって求めよ。

解答
((κ-mω^2)+jcω)X=F
((10000-25・15^2)+j・120・15)X=20
(4375+j・1800)X=20
X=20/(4375+1800j)=20/4730e^(j0.39)=4.23・10^-3・e^(j0.39)
X=4.23・10^-3・e^(j(15t-0.39)
∴xp=Im(X)=4.23・10^-3sin(15t-0.39) [m]

例題9.
直径d=400mm、厚さt=40mm、の円板テーブルがある。回転軸中心に関する慣性モーメントIを求めよ。テーブルは鋼製とし、密度ρ=7.86g/cm^3とする。

解答
m:質量=ρ(πd^2/4)l=7.86・(π・40/4)・4=39508.67[g]=39.51[kg]
I:慣性モーメント=1/2・m(d/2)^2=1/2・39.51・(400・10^-3/2)=0.79[kg・m^2]

例題10.
外径D₂=φ200mm、内径D₁=100mm、長さl=100mmの中空円柱がある。中心軸xに
関する慣性モーメントIxを求めよ。また重心を通りx軸に垂直なy軸に関する慣性モーメント
Iyを求めよ。比重をρ=7.85g/cm^3とする。

解答
m:質量=ρπ(R₂^2-R₁^2)l=55.49[kg]
Ix=1/2m(R₁^2-R₂^2)=3.47・10^-1[kg・m^2]  3470[kg・cm^2]
Iy=1/4m(R₁^2+R₂^2)+(l^2)/3)=1.56[kg・m^2] 15600[kg・cm^2]

例題11.伝達動力15kw、1500rpmの伝動軸の直径を求めよ。但し、許容せん断応力τ=
60N/mm^2とする。

解答
d=₃√((16/πτ)Ml=₃√((9.55・10^5・16・15)/(π・1500・60))=20mm

例題12.軟鋼材を用い、荷重50kNを支える為のボルトの大きさを求めよ。

解答
W=30d^2 d=√(W/30)
W=50kN=50000N
d=√(50000/30)=40.8≒42mm

例題13.荷重8kNを支える軟鋼製締付ボルトの外径、及びナットの高さを求めよ。

解答
W=8kN=8000N
d=√W/30=√(8000/30)=16.3mm≒20mm
q:接触面圧力=10W/2nd^2=10・8000/(2・30・20^2)=3.4
d=20mmのピッチは2.5mmであるから、H:ナット高さ=3.4・2.5=8.5mm

例題14.軸の回転数1400rpm回転して3.7kwを伝達するキー溝をもつ軸径を求めよ。
尚、材料はS40Cとし単純な捻じりモーメントのみを受けるものとする。又、沈みキーの
材質はS45C-Dで許容せん断応力30N/mm^2とする。

解答
T:伝達トルク=9550・(H/N)・10^3=25240[N・mm]
d:軸径=₃√(16T/(πτυa))=16.24≒20mm
キー溝幅b=6、ρ=0.2とする。キー深さt=3.5
τn=16T/πd^3≒16[N/mm^2]
ここで、
b/d=0.3、t/d=0.175、ρ/d=0.013
キー溝を有する軸の形状係数の図より、ακ≒2.62
τmax=ακ・τn=42[N/mm^2]

例題15.深溝玉軸受6010で、回転数750rpmでラジアル荷重2kNを受ける場合の寿命時間を
求めよ。

解答
荷重はラジアル荷重だけであれば、等価荷重Prは、Pr=Fr=2kN
6010の基本動定荷重Crはカタログより、21.8kNである。よって回転数750rpmに対する
玉軸受の速度定数は、スケール図より∱n=0.35であるから、寿命係数∱h=∱n・(C/Pr)より
∱h=0.35・(21.8/2)=3.8
この寿命係数に対する寿命時間は、スケール図より約27000時間に相当する。

例題16.軸受系列60の単列深溝玉軸受を用い、1430rpmでラジアル荷重1500N、
アキシアル荷重530Nを受けさせ、8000時間以上の寿命を必要とする時の呼び番号を選定
せよ。

解答
アキシアル荷重が加わるので、係数X,Yの値の表よりeを求める。
Fa/Fr=530/1500=0.35
X=0.56,Y=1.31とする。これによって動等価ラジアル荷重Prは、
Pr=XFr+YFa=0.56・1500+1.31・530=1534[N]
∱n,Lhの図より、10000時間に対する寿命係数∱h=2.7、1430rpmに対する速度係数∱n
=0.29を得る。
基本動定格荷重Cr=∱h/∱n・Pr=14282[N]
よって、深溝玉軸受の呼び番号及び寸法表より、6007を選定する。
同軸受のC₀rは表より10.3kNである。アキシアル荷重比は530/10300=0.051
Fa/Fr値は0.36、表よりX=0.56
Y=1.99+((1.71-1.99)/(0.056-0.028))・(0.051-0.028)=1.76
動等価荷重Pr=0.56・1500+1.76・530=1773[N]
6007のCrは、表より16kNであるから、
∱h=0.29(16000/1772)=2.62
∱h=2.62からスケール図より、9500時間となる。

例題17.モジュールm=4、歯数z₁=20、z₂=30、x₁=+0.2、x₂=0の歯車に於ける中心距離
を求めよ。但し、圧力角α₀=20°とする。

解答
1.噛み合い圧力角α'の計算
invα'=2tanα₀((x₁+x₂)/(z₁+z₂))+invα₀=2・0.363397・(0.2/50)+0.014904=0.0178157 ∴α'=21°11'
2.中心距離増加係数yの計算
y=((z₁+z₂)/2)(cosα₀/cosα')-1)=(20+30)/2(cos20°/cos21°11')-1)=0.194751
3.中心距離aの計算
a=((z₁+z₂)/2+y)m≒100.78

例題18.質量20kgのシャンデリアを天井からワイヤで吊下げる。使用する線形はφ1mmで
引張強度は50MPaとする。安全率を4とすれば必要なワイヤの本数を求めよ。

解答
必要本数nとすれば、n・σal・A>mgより、
n>4mg∱/(πd^2・σ)=4・20・9.8・4/(π・1^2・500)=1.997≈2本以上となる。

流体力学演習問題

例題1.
半径r₁=40mmの表面が滑らかな鋼製のロットが半径隙間ε=500μmで粘度μ=300mPa・s
の油で満たされた長さl=20cmの穴に挿入されている。今このロットを一定速V=0.6m/sで
移動させる時に必要な力Fを求めよ。
解答
γ':ずり速度=V/ε=600/0.5=1200s^-1
F:抵抗力=2πr₁lτ=2πr₁l(μγ')=2π・40・10^-3・20・10^-2・300・10^-3・1.2・10^3=18.1N

例題2.
20℃の水の中に内径7mmのガラス管を垂直に立てた。ガラス管内の水面よりどの位上昇するか求めよ。接触角θ=9°として計算せよ。

解答
ρg((π/4)d^2)h=πdσcosθ h=4σcosθ/(ρgd)より
σ:表面張力=72.75mN/m
ρ:密度=10^3kg/m^3
g:重力加速度=9.8m/s^2
d:内径=7mm
θ:接触角=9°
上式に代入すると、h=4・72.75・10^-3・cos9°/(10^3・9.8・7・10^-3)
=4.18・10^-3m=4.18mm

例題3.
遠心圧縮機の羽根車出口で、圧力0.5MPa,気温450K、流速400m/sの空気流をただちに
ディフューザ出口での静圧及び全圧を求め、損失がないものと比較せよ。
i₁=CpT₁=1007・450=453000J/kg
損失がない場合
i₃'=400^2/2+i₁=533000J/kg T₃'=529.3K
i₂'+150^2/2=i₃' i₂'=521750J/kg T₂'=518.1K
P₃'/P₁=(T₃'/T₁)^(κ/(κ-1))=1.765 P₃'=0.882MPa
P₂'/P₁=(T₂'/T₁)^(κ/(κ-1))=1.638 P₂'=0.819MPa
損失がある場合
i₂s+150^2/2+0.2・400^2/2=i₃ i₂s=505750J/kg T₃=502.2K
i₂+150^2/2=i₃ i₂'=521750J/kg T₂=518.1K
P₂s/P₁=(T₂s/T₁)^3.5)=1.468 P₃=0.734MPa
P₂/P₁=(T₃/T₂)^3.5)=(T₃'/T₂')^3.5=1.078 P₂=0.791MPa

例題4.
温度100℃、1気圧に於ける炭酸ガスCO₂の密度を一般気体定数を使って求めよ。

解答
CO₂分子量は44
R=8312/44=189J/kg・k
ρ=p/RT=1.44kg/m^3

例題5.
池の中の水はその中に含まれる泥の為、池の底に近づくに従い密度が増加しており、水面下
h[m]の点では、それはρ=ρ₀+0.04h^3[kg/m^3]で表される。ρ₀=1000kg/m^3の時、深さ10mの池の底の水圧はいかほどか。

解答
dp/dh=ρg=(ρ₀+0.04h^3)g
∫₀P・dp=∫₀h・(ρ₀+0.04h^3)gdh
p=(ρ₀h+0.04/4・h^4)g=(1000+0.04・10^3/4)10・9.81=9.91・10^4[pa]
=99.1[kpa]

例題6.
羽根車の外径D₂=200mm、ウェアリングリングの径Dr=100mmの揚程H=12m、吐出量Q=9ℓ/s、回転数n=1450rpmの渦巻ポンプがある。ウェアリングリングの隙間を0.2mm
隙間長さを28mmとしたら、ウェアリングリングからの漏れ量qはいくらか。但し、計算に
必要な定数Ks=0.42、λ=0.015とする。

解答
ΔH=H(1-K₃^2)-(1/4)((u₂^2-ur^2)/2g
u₂=π・0.2・1450/60=15.15m/s、u₂^2=230(m/s)^2
ur=π・0.1・1450/60=7.83m/s、ur^2=56.6(m/s)^2
ΔH=12(1-0.42^2)-(1/4)((230-56.6)/(2・9.8)=7.68m
a:隙間断面積=πDrb=π・10・0.02=0.2π[cm^2]=2π・10^-5[m^2]
q=a/√(0.015・(0.028/(2・0.0002)+1.5)=√(2・9.8・7.68)=48.25・10^-3[ℓ/s]
=0.48[ℓ/s]

例題7.
羽根車の外径D₂=200mmで、回転数n=1450rpmのポンプがある。常温の水を取り扱う場合の円板摩擦損失は何馬力になるか。

解答
L∱:円板摩擦損失=1.2・10^-6・γu₂^3・D₂^2
γ=1000kgf/m^3
u₂=πD₂・n/60=π・0.2・1450/60=15.15[m/s]
u₂^3=15・15^3=3.48・10^3[m^3/s^3]
D₂^3=0.04m^2
代入すると、L∱=1.2・10^-6・1000・3.48・10^3・0.04=0.167[ps]

例題8.
次のような要項のポンプ羽根車の設計をする。
H=220m、Q=1.5m^3/minで駆動は2極3相誘導電動機50c/sとする。

解答
n=60・2∱/N
滑り3~4%とし、n=2900rpmとする。
i:段数=4
ns:比速度=n(√Q/(H/i)^(3/4))=2900・(√1.5/(220/4)^(3/4))=176[m,m^3/min、rpm]
L:軸動力=Lω/η=γHQ/(75・η)=1000・220・1.5/(60・75・0.72)=102[ps]
Md:捻じれモーメント=71620・110/2900=2719kgf・cm
σt=150kgf/m^2
d:軸径=3√(5Md/σt)=3√(5・2719)/150=4.48cm=45mm
漏れ量を5%として、ηυ=Q/Q'≒0.95、Q'=1.58m^3/min
Km₀:目玉の速度定数=0.1+0.00023・176≒0.14
υm₀:目玉部分の流速=0.14・√(2g・55)=4.6m/s キャビテーションを考慮して4.3m/s
軸スリーブ厚さ8mmととると、ボス径Db=45+(8・2)=61mm
Ds=√((4Q'/πυm₀)+Db^2)=√((4・0.0263/(π・4.3)+0.061^2)=0.1067=0.107m
=110mm
υ₁=4.4m/sとし、D₁=Ds=110mmとすると、b₁=Q'/(πD₁υ₁)からb₁=17.3mm=18mm
羽根入口では旋回流がなくα₁=90°とすると、υ₁=υm₁としての概略のβ₁は(κ=0.9として)
tanβ₁=υm₁/κu₁=4.4・60/(0.9・π・0.11・2900)=0.293
これからβ₁=16.3°となり、17°とする。出口角β₂=25°とすれば、β₁+β₂=42°
D₂/D₁=2ととるとD₂=220mm
z:羽根枚数=6.5(sin((β₁+β₂)/2)((D₂+D₁)/(D₂-D₁))=6.5・sin21°・(0.33/0.11)≒7
t₁=πD₁/z=π・0.11/7=0.0494m=49.4mm
s₁:入口羽根厚さ=2mm
σ₁=s₁/sinβ₁=2/0.2588=7.7mm
b₁=Q'/(πD₁υm₁(t₁-σ₁)t₁=0.0263・0.0494/(π・0.11・4.4・(0.0494-0.0077)
=0.0204m、b₁=20mmにとる。従ってυm₁=4.4・0.0204/0.02=4.5m/s
tanβ₁=4.5/(0.9・16.7)≒0.3
これから、β₁=17°と最終決定する。
揚程係数φと比速度ns図より、ns=176、β₂=25°を用いてφ=0.52と読む。しかし安全を
みてφ=0.5とする。
u₂=√(gH/φ)=√(9.8・55/0.5)=32.8m/s=33m/s
D₂=60u₂/(πn)=60・32.3/(π・2900)=0.217m、s₂=2mm
σ₂=2/sin25°=2/0.4226=4.74mm
t₂=πD₂/z=π・0.217/7=98mm
定数0.6として、ψ=0.6+0.6sin25°=0.854 
S=1/2(r₂^2-r₁^2)=1/2(0.1085^2-0.055^2)=0.00437m^2
P=ψ/z・(r₂^2/S)=0.854/7・0.0114/0.00437=0.315
ηm=0.9と仮定して、ηκ=η/(ηυ・ηm)=0.84
υm₁=0
υm₂/u₂=(1-((1+0.315)/0.84)・(9.8・55/33^2)=tan25°=0.1054
υm₂=33・0.1054=3.48m/s
b₂=Q't₂/(πD₂υm₂(t₂-σ₂)=0.0263・0.098/(π・0.217・3.48(0.098-0.0047)=0.0116m=11.6mm

例題9.
単段ボリュートポンプの、揚程H=30m、吐出量Q=4.5m^3/min、回転数n=1450rpm
である。この場合の軸方向推力はいか程となるか。但し羽根出口角β₂=23°とする。

解答
ns:比速度=1450・√(4.5/30^(3/4))=240[m,m^3/min、rpm]
L:軸動力=γHQ/(75・η)=1000・30・4.5/(60・75・0.82)=36.6ps 40psとする。
η:効率は、ポンプ効率図(効率と比速度)より、82%と読む。
Md:捻じりモーメント=71620・L/n=71620・(40/1450)=1976kg・cm
σt=150kg/cm^2にとる。
d:軸径=3√(5Md/σt)=3√(5・1976/150)=4.04cm=41mm
ηp:体積効率=96%に見込んでQ'=Q/0.96=4.69m^3/min(=78.1ℓ/s)
Km₀=0.1+0.00023・ns=0.155
目玉のメリジアン速度υm₀
υm₀=Km₀√(2gH)=0.155√(2・9.8・30)=3.76m/s 3.7m/sにとる。
ボス径
軸スリーブ厚さ8mmとし、Db=41+(8・2)=57mm
Ds=√((4Q'/πυm₀)+Db^2)=√((4・4.69/(π・60・3.7))+0.057^2)=0.173m
=173mm=180mmとする。
揚程係数φと比速度ns図より、ns=240、β₂=23°を用いてφ=0.49と読む。
u₂=√(gH/φ)=√(9.8・30/0.49)=24.5m/s
ウェアリングリングの直径DrはDsにほぼ等しいから
A₁=π/4・Ds^2=π/4・18^2=254cm^2=0.0254m^2
軸スリーブの断面積As=π/4・Db^2=π/4・5.7^2=25.5cm^2=0.00255m^2
K₃^2は、渦形室の設計定数の図(縦軸ボリュート速度係数K₃横軸比速度ns)より、K₃^2=0.15とする。
ウェアリングリングのところの周速urは、
ur=πDrn/60=π・0.18・1450/60=13.66m/s
T:推力=(0.0254-0.00255)・1000・(30・(1-0.15)-1/4((24.5^2-13.66^2)/(2・.8))
=462kgf
F=γQ'υm₀/g=1000・4.69・3.7/(60・9.8)=29.5kgf

例題10.
揚程H=60m、吐出量Q=2m^3/min、回転数n=2890rpmを定格とする片吸込みポンプがある。取り扱う液体が80℃の清水であるとしたら、キャビテーション発生を防止するためには吸込条件をいかにしたらよいか。但し吸込管における流動のための損失を1mとする。

解答
Δh=7.88・10^-5・2890^(4/3)・2(2/3)=5.15m
80℃の水の比重量及び飽和蒸気圧を求める表より、
γ=0.9718kgf/ℓ
Hυp=4.83m
-Hs:キャビテーション限界における吸込み高さ=10/0.9718(1.03-0.48)-1-5.15=-0.5m

例題11.
揚程2.5m,吐出量125m^3/minの立軸軸流ポンプを設計せよ。羽根車の中心位置は吸水面
が最低水位の場合でも水面下1mであるとする。揚程については案内羽根に於ける損失ヘッド及び安全を見込んで2.8mとする。尚、吐出量についても漏れ損失を含めて4%を多くして130m^3/minとする。

解答
ns:比速度=1500として回転数を求める。
ns=1500=n(130^0.5/2.8^(3/4))より、
n=286rpm
電源が50c/sで、4極3相誘導電動機を使用するとして、滑りを見越すと1450rpmであり、
これを1/5に減速すると、ポンプ回転数n=290rpmとなる。n=290rpmとして改めてnsを
求めてみると、ns=1535であるからn=290rpmをとることとする。
羽根車外径Dは、D=(1.8~2.2)√(2gH)・60/(π・n)より、
D=2・√(2g・2.8)・60/(π・290=0.975m
υ∱=Q/((πD^2/4)(1-(Db/D)^2)・60)=130/((π/4)(1-0.55^2)/60)=3.97m/s
これはυ∱=0.537√(2gH)の関係にあるので、以上のように定めた諸値を採用することとする。ボス比=0.55、外径D=1mからDb=0.55となる。翼素図を表し、外径とボスを含めて
4個の径の所についてそれぞれ計算を進めることとする。

①まずηh=0.95と仮定して、υu₃=gH/(ηhu)=9.8・2.8/(0.95・15.2)=1.9m/s
tanβ∞=υ∱/(u-(υu₃/2)=3.97/15.2-(1.9/2)=0.279
これからβ∞=15°35'となる。λ=1°と仮定すると、
ηh=1-υ∱/u(sinλ/(sinβ∞sin(β∞+λ)=1-(3.97・0.017/(15.2・0.268・0.285))=0.94
翼形を定める式
CL(l/t)=2υu₃/υ∱((cosλsin^2・β∞)/(sin(β∞+λ))=2・1.9・0.298^2/(3.97・0.285)
=0.249 (cos1°=0.9998≒1として)
l/t=0.6ととったから、CL=0.415となる。
4枚羽根を採用すると、t=πD/4=0.785m、従ってl=0.47m、さらに翼型をNACA4406に採ればα=0°20'を得る。
翼の取付角βは、β=α+β∞=15°55'

②前と同様に
u=π・0.85(290/60)=12.9m/s
υu₃=9.8・2.8/(0.95・12.9)=2.24m/s (ηh=0.95として)
tanβ∞=3.97/(12.9-1.12)=0.337、β∞=18°38'
sinβ∞=0.319 sin(β∞+λ)=0.336 (λ=1°として)
ηh=1-(3.97・0.017/(12.9・0.319・0.336))=0.95
CL(l/t)=2・2.24・0.319^2/(3.97・0.336)=0.343
t=π・0.85/4=0.67m t=0.43m l/t=0.66
CL=0.343/0.66=0.52
翼型NACA4409にとり、α=1°10'、β=19°48'

③u=π・0.7・(290/60)=10.6m/s
υu₃=9.8・2.8/(0.95・10.6)=2.73m/s (ηh=0.95)
tanβ∞=3.97/(10.6-1.37)=0.43 β∞=23°16'
sinβ∞=0.395 sin(β∞+λ)=0.411 (λ=1°として)
ηh=1-(3.97・0.017/(10.6・0.395・0.411))=0.96
CL(l/t)=2・2.73・0.395^2/(3.97・0.411)=0.522
t=π・0.7/4=0.55m l=0.395m l/t=0.72
CL=0.522/0.72=0.725
翼型NACA4412にとり、α=3°30' β=26°46'

④u=π・0.55・(290/60)=8.35m/s
υu₃=9.8・2.8/(0.97・8.35)=3.38m/s (ηh=0.97として)
tanβ∞=3.97/(8.35-1.29)=0.562 β∞=29°20'
sinβ∞=0.49 sin(β∞+λ)=0.505 (λ=1°として)
ηh=1-3.97・0.017/(8.35・0.49・0.505)=0.81
t=π・0.55/4=0.432m l=0.36 l/t=0.834
CL=0.81/0.834=0.97
翼型をNACA4412にとり、α=5°50' β=35°10'
以上を要約すると、
D[m]   翼型NACA    β     l[m]    CL     l/t    ηh
1     4406     15°55'    0.47   0.415   0.6    0.94
0.85   4406      19°48'   0.43   0.52    0.66    0.95
0.7    4412     26°46'    0.395  0.725   0.72    0.96
0.55   4412      35°10'   0.36   0.97    0.83    0.97

次にキャビテーションに対する検討を行う。
翼に沿っての流れ内で最も低い圧力Pmin(絶対圧力で)
Pmin/γ=Ha+Hs-(1+∱)(υ^2/2g)-C(ω∞^2/2g)
Ha:大気圧(絶対圧力で)
Hs:吸込高さ
∱:吸込管に於ける流動損失係数
C:翼に於ける圧力降下係数
υ:吸込管内の平均流速
ω∞:翼に対する相対速度
C(ω∞^2/2g)は、翼種類ならびに迎え角αによって定まる圧力降下である。
要求吐出量における翼先端の断面を当たってみる。
題意によりHs=1m、また∱=0.1と仮定し、C値は揚力係数の関数として与えられた翼の圧力降下係数の表より、CL=0.41に対する読みとしてC=0.4を得る。これらを用いて
Pmin/γ=10.3+1-1.1(3.97^2/(2・9.8)-0.4(14.8^2/(2・9.8)=5.95m
ω∞=√(υ∱^2+(u-υu₃/2)^2)=√(3.97^2+(15.2-(1.9/2))^2)=14.8m/s
常温の清水の飽和蒸気圧をHυpとすると、
Pmin/γ>Hυpなる関係があるから、キャビテーションの恐れはない。
降下係数Cの値は大であるが、ω∞が小である為、局所的な圧力降下Cω∞^2/2gの値は翼先端のところより小である。したがって、全部の径に対してキャビテーションの心配はない。

次に案内羽根を考える。
tanβ∞v=υ∱/(υu₃/2)であるから、まず翼先端の径のところから計算を始めて
tanβ∞v=2υ∱/υu₃=2・3.97/1.9=4.17 β∞v=76°36'
また、sinβ∞v=0.972
そこで翼型NACA6309を採用し、案内羽根数7枚とする。
tv=π・D/7=π/7=0.449mである。案内羽根の損失ヘットhvはtanλvに比例して大きくなるので、tanλvはできるだけ小さい方が良い。迎え角αvを4°とったとして、NACA6309性能及び翼形の表より、CLv=0.95 CDγ=0.01 従って、tanλv=0.01/0.95=0.0105となる。
υu₃=CLv(lv/tv)(υ∱(1+tanλv/tanβ∞v)/(2sinβ∞v))より、
1.9=0.95(lv/0.449)((3.95・(1+0.0105/4.17)/(2・0.972)
これから、lv=0.417m
案内羽根取付角βvは、βv=β∞v+αv=76°36'+4°=80°36'
損失ヘットhvは、
hv=CLv(lv/tv)(υ∱^2/2g)(tanλv/sin^3β∞v=0.95・0.417・3.97^2・0.0105/(0.449・2・9.8・0.972^3)=0.008m
他の径に対しても同様の計算を行いその結果を表にすると、
D[m]   翼型NACA    βv       lv[m]      hv[m]
1      6309     80°36'     0.417      0.008
0.85    6309     79°03'      0.375      0.011
0.7     6309     76°47'      0.35      0.014
0.55    6309      73°41'      0.305     0.019

例題12.
単動のピストンポンプで2個のシリンダ(位相差180°)の形式のもので、吐出量500ℓ/min
とする。主要寸法及び空気室の大きさを決定せよ。

解答
体積効率ηυは普通0.9~0.97の範囲であるが、ここではηυ=0.93にとる。
qmean=Qt=Q/ηυ=500/(60・0.93)=8.95ℓ/s=0.00895m^3/s
平均ピストン速度umを、往復ポンプの平均ピストン速度表からum=0.4m/sにとるとする
qmaen=2ALn/60 um=2Ln/60から
D=√(4qmaen/(um・π))=√(4・0.00895/(0.4・π))=0.169m
A=(π/4)D^2=π・0.169^2/4=0.0224m^2
L/D=1.5とすると、
L=1.5・0.169=0.254m
n=um・60/2L=30um/L=30・0.4/0.254=47.3rpm
V=AL=0.0224・0.254=0.00569m^3
β=0.03 δ=0.11 往復ポンプの過剰吐出体積比δと排水曲線の山の数κの表より、ℓ/r=4
として、υ₀=δAL/β=0.11・0.00569/0.03=0.0207m^2
吸込管内流速υs=1.1~1.3m/s 吐出管流速υd=1.5・1.2=1.92m/sとすると、
吸込管断面積=0.00895/1.2=0.00746m^2
吐出管断面積=0.00895/1.92=0.00466m^2
この装置の吐出管長さld=20m、空気室の平均圧力p₀=3kgf/cm^2abs
N=1/2π√(0.00466・9.8・3・10^4/(0.0207・20・1000)=0.289[1/s]
N/(κn/60)=√(0.289・60/(2・47.3)=0.183

例題13.
風量が180m^3/minで吐出全圧30.5kpaの2段ブロワの電動機出力、羽根車、口径を計算する。60Hz2極の誘導電動機を直結で使用する。

解答
大気圧23°の空気はρ=1.188kg/m^3
(κ-1)/κ=0.4/1.4=0.286
p₂/p₁=(101300+30500)/101300=1.3
((p₂/p₁)^0.286-1)=0.0779
had=p₁/(0.286・g)((p₂/p₁)^0.286-1)1/ρ₁=2370m
1段当りの断熱ヘッドは
had=∑had・st/2=2370/2=1185m
ブロワの吐出及び平均風量
ΔT=T₁/ηad((p₂/p₁)^0.286-1)=(273+23)/0.736・0.0779=31.2
T₂=296+31.2=327.2k
Q₂=Q₁/(p₂/p₁)・(T₂/T₁)=180/1.3・(327.2/296)=153m^3/min
Qm=√(Q₁+Q₂)=166[m^3/min]
ns=nQ^0.5/had^(3/4)=3560√166/(1185)^(3/4)=234
羽根出口角を40°とすると、周速係数Ku=1.01と与える。
u₂=Ku√(2ghad)=1.01√(2・9.8・1185)=1.01・152.4=154[m/s]
D₂=60・154/(π・3560)=0.826[m]

例題14.
大気中(大気圧=1kg/cm^2)に開放されている断面の大きなタンク内の植物油(μ=0.3poise
ρ=0.9g/cm^2)を4m^3/hの流量で脱臭塔の塔頂(絶対圧力2.6kg/cm^2)へ、2"鋼管を通してポンプでくみ上げる。床面からタンク内液面までの高さは1m、床面から塔頂までの高さ9mである。輸送管路には4個のエルボと2個の球形弁が取り付けられており、全長は40mである。何馬力のモータを使用すればよいか。但し、エルボと球形弁の直管相当の長さは其々、管径の30倍,200倍とし、ポンプとモータの効率は45%とする。

解答
V:容積流量=4/3600=1.11・10^-3[m^3/sec]
u=1.11・10^-3/(0.785(5.29・10^-2)^2)=0.505m/sec
∴Re=5.29・10^-2・0.505・900/(3・10^-2)=801<2100(臨界レイノルズ数)
層流であるから、∱=16/0.801=0.02
全相当管長Le=40+(4・30+2・200)(5.29・10^-2)=68m
∴∑F=4・0.02・68・0.505^2/(2・9.8・5.29・10^-2)=1.34
タンクの液面1、塔長を2とすると、u₁=0であり、力学的エネルギ収支の式から
W=1・(9-1)+((2.6-1)・10^4/900)+(0.505^2/19.6)+1.34=27.1kg・m/kg
P=VρW/75η=1.11・10^-3・900・27.1/(75・0.45)=0.8ps

例題15.
遠心ポンプ羽根車が回転速度n=1800rpm、吐出量Q=0.4m^3/minで運転されている。
羽根車入口、出口の速度三角形及び羽根車の全揚程を求めよ。水の動粘性係数は、ν=1・10^-6m^2/sである。
羽根車出口:半径r₁=85mm 羽根角度β₂b=23° 羽根幅b₂=10mm
羽根車入口:半径r₁=40mm 羽根角度β₂b=14° 羽根幅b₂=25mm
羽根長さ l=105mm 羽根枚数z=6 羽根表面粗さe=0.05mm

解答
Q=0.00667/m^3/sより羽根車入口および出口のメリディアン速度は、
υm₁=Q/2πr₁b₁=1.06m/s υm₂=Q/2πr₂b₂=1.25m/s
回転速度n=1800rpmより羽根周速度は、
u₁=r₁ω=7.54m/s u₂=r₂ω=16.02m/s
羽根車に予旋回がない(υu₁=0m/s)ので、流入角は
β₁=tan^-1(υm₁/u₁)=8°
滑り係数は、κ=√(sinβ₂b)/z^0.7=0.178(ε=0.587>r₁/r₂)
従って羽根車出口に於ける絶対速度の周方向成分υm₂は、
υm₂=(1-κ)u₂-υm₂・cotβ₂b=10.23m/s
∴β₂=tan^-1(υm₂/(u₂-υm₂))=12.2°
全揚程Hは、υu₁=0を考慮して
H=u₂υn₂/g-hs-h∱
hs=Δωu₁^2/2g=(u₁-υn₁-υm₁cotβ₁b)^2/2g=0.55m
平均相対速度ωは速度三角形から、
ω₁=7.61m/s ω₂=5.92m/s 
∴ω=√((ω₁^2+ω₂^2)/2)=6.82m/s
水力半径m₁及びm₂流路面積をぬれ縁長さで割ったものであるから、
m₁=((2πr₁/z)・b₁)/2(2πr₁/z+b₁)=0.0078m
m₂=((2πr₂/z)・b₂)/2(2πr₂/z+b₂)=0.0045m
∴m=(m₁+m₂)/2=0.0062m
レイノルズ数Re=4mω/ν=1.7・10^5、相対粗さe/4m=0.002であるからムーディ線図
より等価円管の管摩擦係数はλ=0.025となり、摩擦損失はh∱=3λ(l/4m)ω^2/2g=0.74m
∴H=16.72-0.55-0.74=15.43m

例題16.遠心羽根車の吸込部にインデューサを取付たロケット用ポンプについて、水槽に於
ける吸込性能試験を行い回転速度n=10000rpm、流量Q=3.95n^3/minの時、必要有効吸
込ヘッドNPSHℜ=6.2mを得た。使用流体を水としてこのポンプの吸込比速度を標準的な値
S=1400とすれば、同一の回転速度で同一の流量を得るには、必要有効ヘッドをいくらにし
無ければならないか。

解答
S:吸込比速度=10000・3.95^0.5/6.2^(3/4)=5060[rpm,m^3/min,m]
NPSHℜ:インデューサ無の場合の必要有効吸込ヘッド=(nQ^0.5/S)^(4/3)=(10000・
3.95^0.5/1400)^(4/3)=34.4m

例題17.次元解析による空気力の表現式の導出
空気力が何に依存するかを考えると、力は流体密度、物体の大きさ、2つの間の相対速度に
依存する。そこで、揚力L=Kρ^a・V^b・l^c(比例定数K、空気密度ρ、速度V、長さl)で
表した時、a,b,cの指数を次元解析の手法より求めよ。

解答
kg・m/s^2=(kg/m^3)^a(m/s)^b・m^c
∴kg・m・s^-2=kg^a・m^(-3a+b+c)・s^-b
この式の両辺の次元は等しいので
a=1、-3a+b+c=1、b=2
の関係が成り立ち、これらの指数が次のように得られる。
a=1、b=2、c=2
即ち、揚力Lが一般的に次のように表される。
L=KρV^2・l^2

例題18.円筒型遠心分離機を用いて、密度1500kg/m^3の固形物を0.1wt%含んでいる粘度
1.15cpの果汁を処理し、固形物を分離する。分離機の寸法は内径0.12m、有効高さ1m、
液層の厚さ0.04mで回転数10000rpm,処理量0.144m^3/hで操作するものとする。理論的
に何ミクロンの粒子まで除去することができるか。但し、η=1とする。

解答
Dp=√((18μut)/(g(ρs-ρt))、 ut=Vgln(r₂/r₁)/(πLω^2(r₂^2-r₁^2) より、
V=0.144/3600=4・10^-5[m^3/sec]、r₂=0.12/2=0.06[m]、r₁=0.12/2-0.04=
0.02[m]、l=1、ω=(π/10000)/30=1047[rad/sec]を代入すると、
υg=(4・10^-5・981・ln(0.06/0.02)/(3.14・1・(0.06^2-0.02^2)・1047^2)
=3.91・10^-8[m/sec]
従って、
Dp=√((18(1.15・10^5)(3.91・10^-8)/((1500-1000)981))=1.65・10^-8[m]
=1.65[μ]

例題19.直径d=10mmの滑らかな水平円管内を20°の水が流量Q=471cm^3/minで流動し
ている。今、水の代わりに空気を流動させてその流動条件を力学的に同一にする為には、空
気の平均流速をいくらにすればよいか。

解答
水の平均流速υ=4Q/πd^2=4・4.71・10^-4/(π・10^2・10^-6・60)=0.1[m/s]
この時のレイノルズ数Re=0.1・10・10^-3/(1・10^-6)=10^3
空気の場合
空気の動粘度νa=15.28・10^-6[m^2/s]
Re'=υa・(10・10^-3/(15.28・10^-6)=10^3
υa=10^3・(15.28・10^-6/(10・10^-3)=1.53[m/s]

例題20. 20℃の空気を高さ、幅ともに1m、長さ25mの長方形のダクト内を2.5m/sの
速度で流す時の送風機の動力を求めよ。但し、20℃の時の粘度、μ=18.34[μpa・s]とする

解答
d:相当管径=4・A/U=1[m]
ρ:空気密度=1.293・(273/(273+t))=1.2047[kg/m^3]
Re=1.2047・1・2.5/(18.34・10^-6)=1.642・10^5
λ:抵抗係数=0.0032+0.221Re^-0.237=1.603・10^-2
h:摩擦による抵抗=λ(l/d)(u^2/2g)=0.127[m]
hd:速度頭=u^2/2g=0.3189[m]
L:所要動力=ρgHQ=13.18[w]

例題21. 空気密度0.75kg/m^3の高層中を迎え角2°で翼弦長さ2.6mの翼幅23mの翼が、
330km/hの速度で飛行するときの揚力並びに動力を求めよ。但し、翼の揚力係数は、0.62
抗力係数は0.04にとる。

解答
V=330km/h=91.7m/s、翼面積A=2.6・23=59.8m^2
揚力FL=CLA(ρV^2/2)=0.62・59.8・((0.75・91.7^3)/2)=691.7kw

例題22.セスナ機の流速υ=360km/h、重量を30kNとすると、使用に耐え得る翼の面積を
求めよ。但し、流入流れと翼となす角(迎え角)α=15°、空気の密度ρ=11.8N/m^3とする

解答
CN=2πsinα/(4+πsinα)=0.34
F=1/2CNSρυ^2 S=2F/(CNρυ^2)=1.4955[m^2]

例題23.静止平板に衝突する定常噴流において、円形ノズルの直径d=20cmで、υ=100m/s
平板が噴流の方向と角度60°、密度ρ=9800Nm^3ときに平板に及ぼす力を求めよ。

解答
Q:ノズルに流れる流量=π/4d^2・υ=3.14/4・0.2^2・100=3.14m^3/s
F=ρQυsinθ=9800・3.14・100・0.866≒2664855[pa]=2.7[Mpa]

例題24.高さ100m、幅30mの高層ビルに台風により最大風速60m/sの風が真横に吹き付け
る時、この高層ビルが受ける力を求めよ。但し、抵抗係数C=1.15、空気密度ρ=
11.8[N/mm^2]とする。

解答
F=1/2CSρV^2=73278・10^3[N]=73278[kN]

例題25.可溶性結晶の攪拌槽の容積が1.5m^3を必要とする。容積の80%まで液を満たす
として必要な装置の寸法と動力を求めよ。但し、羽根先端速度5m/s、粘度12mPas
比重1.3にとる。

解答
1.溶解の所要動力からタービン翼とプロペラ翼が有利であるが、タービン翼を用いる。
2.攪拌槽寸法
槽高 高さ比κ=H/DT=1~1.2の範囲にある。
H=₃√(κ^2・V/(π/4))=1.4m
槽径 DT=√(V/(π・H/4))=1.168≒1.2m
3.溶液高さ Hl=0.8・H=1.12m
4. 6枚タービン型撹拌機の羽根寸法
羽根直径D₀=DT/3=0.4m
底面からの高さh₀=D₀=0.4m
羽根高さh=D₀/5=0.08m
羽根長さB=D₀/4=0.1m
邪魔板の幅b=DT/10=0.12m
邪魔板数=4枚

例題26.直径1mの攪拌槽に1mの深さまで液体を入れて、直径0.28m、幅0.1mの6枚羽根
標準タービンを底面より0.3mの高さで95rpmで回転するのに必要な動力を求めよ。
但し、槽には幅0.1mの邪魔板が4枚あり、液の粘度は1000cp、密度は0.92g/cm^3に
とる。

解答
μ=1000cp=1pas、ρ=0.92g/cm^3=920kg/m^3
Re=920・95・0.28^2/(60・1)=114
動力曲線図より、動力係数φ=4
攪拌動力P=φ・ρN^3D₀^5=4・920(95/60)^3・0.28^5=25.1w

例題27. 長さl=10m、幅w=1mの薄い矩形板が、15℃の水中を一定の速度u=5m/sで板と
平行方向に引っ張られている。この板を引っ張るのに必要な動力を求めよ。
但し、抗力係数はCD-0.0045である。

解答
D:抗力=2CD(ρu^2/2)A=2・0.0045(999.1・5^2/2)・10・1=1124[N]
P:動力=D・u=1124・5=5620[w]=5.62[kw]

例題28.直径d=65mm、質量m=0.156kgのボールをu₀=40m/sの初速度で水平に投げられ
た。投げた位置からl=18mだけ離れたホームベースを横切る時のボールの速度を求めよ。
但し、空気温度は20℃である。

解答
Re=40・0.065/(115.01・10^-6)=1.3・10^5 あるから、円柱,球,平板の抗力係数の図
より、CD=0.5
l=2・0.165/(0.5・1.205・0.00332)ln(1+(0.5・1.205・40・0.00332/(2・0.175)T)
上式にl=18mを代入すると、
1+0.243T=e^0.109=2.718^0.109=1.115
∴T=0.473s
1/u=CD/2m・ρAt+1/u₀ ∴u=u₀/(1+(CDρu₀At/2m))より、
u=40/(1+(0.5・1.205・40・0.00332・0.473/(2・0.165))=35.9[m/s]
y₀=1.5とすると、
y=1/2・9.8(0.473)^2+1.5=0.48mとなる。

熱力学演習問題

例題1.
半無限固体の表面温度tsが、ts=Assin(2πτ/T)但し、As :表面の温度振幅 、θ:時間 T:周期で表されるような正弦波状に振動している場合には、表面から深さxの位置の温度は次式で表せれる。
t=Ase^(-Bx)sin((2πτ/T)-Bx)
(B≅√(π/(aT))
但し、aは固体の温度伝導率である。
いま、地面の表面温度が、24時間周期で正弦振動していると仮定すると、温度振幅が表面の1/10になるのは、表面から何cmの位置か。但し、土壌の熱伝導率aを0.005cm^2/sとせよ。

解答
e^(-Bx)=1/10
両辺の自然対数をとって整理すると、
-Bx=-ln10 x=ln10/B=ln10/√(π/(aT))=ln10/√(π/(0.005・24・(3600/1))=27cm 

例題2.
質量1.5kgの水を18℃から100℃まで加熱するのに必要な熱量を求めよ。また、この加熱に600Wの電熱器を利用し、電熱器の発生する熱量の60%が有効に使われるものとして、加熱に要する時間を求めよ。但し、水の比熱は4186J/kg・Kで一定とし、水は蒸発しないものとする。

解答
Q=mC(t₂-t₁)=1.5・4186・(100-18)=514878J≒514.9kJ
514.9/(0.6・0.6)=1430.3s=23.8min

例題3.
0.008m^3の水に1100Kの鋼魂3kgを投入して攪拌したら、熱平衡後の温度が328Kになった。水の温度上昇はいくらか。但し水の比熱4186J/kg・K 鋼魂の比熱は489J/kg・Kとする。

解答
tm-t₁=m₂C₂(t₂-t₁)/(m₁C₁)=3・489・(1100-328)/(8・4186)=33.8K

例題4.
鋼球を50mの高さから落として床に衝突させた時、運動エネルギーが全部熱に変わり、その50%が鋼球に与えられるものとして鋼球の温度上昇を求めよ。
但し、鋼球の比熱は、0.465kJ/kg・kとする。

解答
mgz=50mg[J]
Q=50mg・0.5[J]
t₂-t₁=Q/mC=50・9.81・0.5/465=0.527[k]

例題5.
蒸発ボイラの圧力計が12kgf/cm^2を示し、その時の大気圧が755mmHgであった。
ボイラ内の蒸気の絶対圧はいくらか。

解答
1kgf/cm^2=9.80665・10^4pa 1mmHg=1.3332・10^2pa
pabs=9.80665・10^4・12・1.3332・10^2・755=1.277・10^6[pa]=1.277[Mpa]

例題6.
蒸気タービンが毎秒14kgの蒸気の供給を受けて動力を発生させている。蒸気の比エンタルピーが蒸気入口では3160kJ/kg、出口では2660kJ/kgとすると、発生する動力は何kWか。

解答
Wt=qm(h₁-h₂)=14・(3160-2660)=7000[kJ/s]=7000[kw]=7[MW]

例題7.
蒸気タービンの蒸気の比エンタルピーがタービン入口で3060kJ/kg、出口で2430kJ/kgであり、発生する動力が蒸気1kgあたり580kJ/kgとすると、タービンから周囲に放散した熱量は蒸気1kg当りいくらになるか。但しエネルギーの損失はないものとする。

解答
Q=Wt+h₂-h₁=580+2430-3060=-50[kJ/kg]
負号は外部へ放出されたことを意味する。

例題8.
比重(15/4℃)が0.8の石油系燃料がある。この燃料のAPI度とボーメ度とを計算せよ。
また熱的性質を推定せよ。但し、比重(15/4℃)と比重(60/60°F)とはほぼ等しいとせよ。

解答
API度=45.4、Be'=45、Hh=46.3MJ/kg=37MJ/L、υv=2.39・10^4(θ+273)/p[m^3
/kg]、λl=1.46・10^-4(1000-0.54θ)[w/mk]、c₁=1.89+0.0038θkJ/kgk]=1.51・
0.003θ[kJ/Lk]、r=310-0.5θ[kJ/kg]=250-0.4θ[kJ/L]
h₁=1.51θ+0.00152θ^2[kJ/L]、hv=250+1.13θ+1.52・10^-3・θ^2[MJ/m^3]

例題9.
質量1050kgの自動車を速度40km/hの状態から、ブレーキをかけて停止させた。この時
各種の摩擦抵抗は無視して、ブレーキのみによって制動されたものとすれば、ブレーキ
から発生する熱量はいくらか。

解答
c=40km/h=40・1000/3600=11.11[m/s]
Q=1/2mc^2=1/2・1050・11.11^2=64802[J]=64.8[kJ]

例題10.
蒸気タービンが毎時600kgの蒸気の供給を受けて動力を発生している。蒸気の比エンタルピーが入口では3367kJ/kg、出口では2803kJ/kgである時、発生する動力はいくらか。

解答
Wt=qm(h₁-h₂)=600(3367-2803)=338400[kJ/h]=94[kw]

例題11.
高熱源温度800k、低熱源温度300kの間に作用するカルノーサイクル機関の熱効率及び放熱量と受熱量の比を求めよ。

解答
ηc:熱効率=1-T₂/T₁=1-300/800=0.625
放熱量と受熱量の比は、Q₂/Q₁=T₂/T₁=300/800=0.375 37.5%

例題12.
空気3kgを圧力一定の下に273kから373kまで加熱するに要する熱量と、内部エネルギー
及びエンタルピーの変化を求めよ。但し、空気は理想気体とみなし、その定圧比熱は、
1.005kJ/kg・k、定容比熱は0.718kJ/kg・kそれぞれ一定とする。

解答
m=3kg T₁=273k T₂=373k Cp=1.005kJ/kg・k Cυ=0.718kJ/kg・k
加熱に要する熱量Q
Q=mCp(T₂-T₁)=3・1.005・(373-273)=301.5[kJ]
内部エネルギーの増加は
U₂-U₁=mCυ(T₂-T₁)=3・0.718・(373-273)=215.4[kJ]
エンタルピーの増加は
H₂-H₁=mCp(T₂-T₁)=3・1.005・(373-273)=301.5[kJ]

例題13.
圧力0.101MPa、温度30°の空気を圧力1MPaまで圧縮する場合、2段圧縮にすれば1段圧縮
の時に比べて、圧縮に要する仕事をいくら節約できるか。但し、空気の状態変化pυ^1.3=
定数に従うものとする。

解答
T₁=30°=303k p₁=0.101MPa p₂=1MPa n=1.3 R=287J/kg・kとして、1段圧縮機
の所要仕事は、ωn=n/(n-1)RT((p₂/p₁)^((n-1)/n)-1)=1.3/(1.3-1)・283・303・
((1/0.101)^((1.3-1)/1.3)-1)=262800[J/kg]=262.8[kJ/kg]
2段圧縮機の所要仕事はN=2として、
ωn=n/(n-1)RT((p₂/p₁)^((n-1)/n)-1)=1.3/(1.3-1)・283・303・
((1/0.101)^((1.3-1)/(2・1.3)-1)=228200[J/kg]=228.2[kJ/kg]
∴2段圧縮にしたことによって節約できる仕事の割合は、
(262.8-228.2)/262.8=0.1317=13.17%

例題14.
冷水塔で、塔長から温度40℃の温水が流量150kg/minで流下し、上昇する空気と直接接触
して、温度30℃に冷却している。塔底から送入する空気は温度28℃関係湿度φ=70%で、
風量は110kg/minである。塔長から排出する湿り空気を関係湿度φ=100%として蒸発した
水量を求める。冷却塔では、温水の一部が蒸発してその蒸発潜熱を空気中に発生するために
温水の温度が下がる。

解答
乾き空気の1kgが同伴する水蒸気量を湿度Yとする。質量を分子量Mとモル数nの積で表す。
モル数比は圧力比であるから、全圧をPπ=1atm=101.325kpaとすれば、水の水蒸気圧が
分圧P、空気の分圧は(Pπ-P)と表せる。
Y=18.015・nH₂O/(28.97・nAIR)=0.622・(P/(Pπ-P))
温度28℃の飽和蒸気圧はPs=3778kpa、関係湿度φは空気中の水蒸気圧Pとその温度における飽和水蒸気圧Psとの比である。
φ=P/Ps・100
送入する空気の水蒸気圧Pは、P=φ・Ps・100^-1=70・3.778・100^-1=2.645kpa

湿度Y₁は、
Y₁=0.622・(2.645/(101.325-2.645))=0.01667

送入する空気のエンタルピーh₁
乾き空気と同伴する水蒸気のエンタルピの和になる。温度0℃から50℃までの平均定圧Cp
を使う。
乾き空気CpAIR=1.008kJ/kg・k
水蒸気CpH₂O=1.846kJ/kg・k
温度0℃の水の蒸発潜熱は、γ=2.502kJ/kg・k
エンタルピh₁は
h₁=CpAIR・t₁+(CpH₂O・t₁+r)・Y₁=1.008・28+(1.846・28+2502)0.01667=70.79
[kJ/kg-AIR]

冷水塔の物質収支
温水の一部が蒸発して、空気中の水蒸気量が増加する。乾き空気の流量をG[kg/min]
温水の流量L[kg/min]とすれば、
(L₁-L₂)=G(Y₂-Y₁) L₂=L₁-G(Y₂-Y₁)
風量=G(1+Y₁) [kg/min]
G=110/(1+0.01667)=108.2 [kg-AIR/min]
L₂=150-108.2(Y₂-0.01667)=151.8-108.2・Y₂
蒸発水量(L₁-L₂)=150-(151.8-108.2・Y₂)=108.2・Y₂-1.8

温水の熱量変化
G(h₂-h₁)=108.2・(1.008・t₂+(1.846・t₂+2502)・Y₂-70.79=109.1・t₂+199.7・t₂
・Y₂+270716.4・Y₂-7659.5

収支式
冷水塔では、周囲と熱、物質の移動がないとして、温水と空気の熱量変化を等置する。
6041.4+13561.8・Y₂=109.1・t₂+199.7・t₂・Y₂+270716.4Y₂=7659.5
13700.9=109.1・t₂+199.7・t₂・Y₂+257154.6・Y₂
この式に、湿り空気の温度t₂と湿度Y₂を代入して、次式が成立するY₂を求めて蒸発水量を算出する。

排出温度t₂と湿度Y₂
a.排出温度t₂=35℃と仮定
温度35℃の飽和水蒸気圧Ps=5.662kpa、関係湿度φ=100%として湿度を求める。
Y₂=0.622・(5.662kpa/(101.325-5.622)=0.03654
この値を収支式に代入すると、
13700.9>134703.3  差230.6
b.排出温度t₂=36℃と仮定
温度36℃の飽和蒸気圧Ps=5.940kpa
Y₂=0.622・(5.940kpa/(101.325-5.940)=0.03873
収支式の算出値は、
13700.9<141656 差-464.7
t₂=35+(230.6/(230.9+464.7))・1=35.33℃
Y₂=0.03654+((230.6/(230.9+464.7))・(0.03873-0.03654)=0.03727

蒸発水量
(L₁-L₂)=108.2・0.03727-1.8=22.23[kg/min]
2.23/150・100=1.5%

例題15.
温度300℃、圧力200kpaの過熱水蒸気のエンタルピを求める。

解答
過熱水蒸気h"=飽和水h'+蒸発潜熱γ+蒸気加熱Δh"
水蒸気表より、温度120.23℃、圧力200kpaの飽和水は、h'=504kJ/kg、γ=2201.6kJ/kg
蒸気加熱のエンタルピ変化Δh"は定圧比熱で表す。
Cp=a+b・T+c・T^2 [kJ/mol・k]
Δh"=∫CpdT=a(T₂-T₁)+1/2・b(T₂^2-T₁^2)+1/3・c(T₂^3-T₁^3)
水の係数は、a=30.204、b=9.933・10^-3、c=1.117・10^-3・(573^2-393^2)+1/3
・1.117・10^-6・(573^3-393^3)=6347.7[J/mol・k]=6347.7・18.015^-1
=352.4kJ/kg
∴h"=h'+γ+Δh"=504.7+2201.6+352.4=3058.7[kJ/kg]

例題16.
空気と水蒸気の温度0~50%における平均定圧比熱Cpを求める。

解答
a.比熱式Cp=a+bT+cT^2
空気Cp=27.434+6.18・10^-3・T-0.8987・10^-6・T^2
水蒸気Cp=30.204+9.933・10^-3・T+1.117・10^-6・T^2

b.平均比熱
Cp=1/(T₂-T₁)∫CpdT=1/(T₂-T₁)(a(T₂-T₁)+1/2b(T₂^2-T₁^2)+1/3c(T₂^3-T₁^3)
=a+1/2b(T₂+T₁)+1/3c(T₂^2+T₂・T₁+T₁^2)

c.空気平均比熱
Cp=27.434+1/2・6.18・10^-3・(323+273)-1/3・0.8987・10^-6・(323^2+323・
273+273^2)=29.1958[J/mol・k]=29.1958・28.97^-1=1.0078[kJ/kg・k]

d.水蒸気平均比熱
Cp=30.204+1/2・9.933・10^-3・(323+273)+1/3・1.117・10^-6・(323^2+323
・273+273^2)=33.2635・18.015^-1=1.8464[kJ/kg・k]

比熱比κと気体定数Rによる平均定圧比熱
a.空気
Cp=(1.4/(1.4-1))・8.314=29.099[J/mol・k]
b.水蒸気
Cp=(1.33/(1.33-1))・8.314=33.5079[J/mol・k]

例題17.
体積0.5m^3のボンベ内に温度150℃、圧力500kpaの空気が入っている。周囲へ放熱が起こり、圧力が300kpaに減圧した。質量、温度、放熱量を求めよ。

解答
空気の質量
PV=nRT
n=PV/RT=500・10^3・0.5/(8.314・423)=71.09mol
m=71.09・28.07・10^-3=2.059kg

減圧後の温度T₂
定容変化
P₁/T₁=P₂/T₂=nR/V const
T₂=T₁・(P₂/P₁)=423・(300/500)=253.8k

放熱量Q
閉じた系の収支式で
ΔU=Q-PΔV ΔV=0
∴Q=ΔU=n∫CυdT=n・CυΔT
=n(R/(κ-1))(T₂-T₁)
=71.09(8.314/(1.4-1))(253.8-423)=250・10^3[J] 発熱

例題18.
摩擦のないピストン付きシリンダ内に空気の1molが入っている。温度25℃、圧力1atmで
ある。次の問について答える。

問1.圧力1atmで加熱し、体積を2倍にした時の熱量、内部エネルギー変化と絶対仕事を求める。
解答
a.熱量Q、物質移動のない閉じた系の収支式より、
Q=ΔH=∫CpdT=CpΔT
Cp=(κ/(κ-1))R=(1.4/(1.4-1))・8.314=29.009[J/mol・k]
ΔT=(T₂-T₁)=(T₂/T₁-1)・T₁=(V₂/V₁-1)・T₁=(2-1)・T₁=298k
∴Q=Cp・ΔT=29.099・298=8672[J/mol]受取
b.内部エネルギー変化ΔU
ΔU=Q-Δ(PV)=Q-RΔT=8672-8.314・298=6194[J/mol]増加
c.絶対仕事W
W=ΔU-Q=6194-8672=-2478[J/mol]発生

問2.定容にして、温度200℃まで加熱したときの熱量と圧力
a.熱量Q
Q=(29.099-8.314)・(437-298)=3637[J/mol]
b.圧力P
P₂=P₁・(T₂/T₁)=1・(437/298)=1.59[atm]増加

問3.等温、断熱、体積を半分に圧縮した時の内部エネルギー変化と仕事
a.内部エネルギー変化ΔU
ΔU=-RT₁ln(V₂/V₁)=-8.314・298・ln(1/2)=1717[J/mol]増加

例題19.牛乳をXFi=10wt%からXF₀=50wt%まで、単一蒸発缶を用いて濃縮する。加熱水蒸気は2kg/cm^2・abs(119.6℃,蒸発潜熱λs=527kcal/kg)で蒸発缶内の真空度は650mm
Hgである。原料はLi=2750kg/h、総括伝熱係数はU=2500kcal/m^2・h・℃、原料温度ti
=20℃、その比熱Cp=0.9kcal/kg・℃としたとき、蒸発量V₀[kg/h],加熱蒸気消費量Vt[kg/h]及び伝熱面積A[m^2]を求む。但し沸点上昇を無視し、熱損失はないものとする

解答
V₀:蒸発量=Li-L₀=2750-(2750)(0.1/0.5)=2200kg/h
熱収支式より加熱蒸気消費量Viは、
Vi=(LiCp(tb-ti)+V₀λυ)=(2750・0.9・(54-20)+2200・566)/527=2522kg/h
A=Viλs/UΔT=2522・527/(2500(119.6-54))=8.1m^2

例題20.面積100cm^2、厚さ3cmの板状材料を乾球温度50℃、湿球温度30℃の空気を
3m/secの流速で材料の両面から乾燥する。絶乾材料の密度1500kg/m^3で平衡含水率は
無視できるものとする。またこの条件の限界含水率は0.09[kg/kg-絶乾固体]であり、減率
乾燥速度は含水率に比例するとみなして、初期含水率W₁=0.2[kg/kg-絶乾固体]から最終
含水率W₂=0.02まで乾燥するに要する時間を求めよ。

解答
固体表面に並行に流れる空気流ではその境膜伝熱係数の実験式として、
h=0.0176(G)^0.8
G=uρ=3・3600・29・273/(22.4・(273+50))=11818[kg/m^2・h]
従って、h=0.0176・9780^0.8=25.3[kcal/m^2・h・℃]
恒率期間中の材料の表面温度は対流加熱において熱風の湿球温度とみなしてよいから、ts=
30℃従って、θ=0.015・1500・579/(25.3(50-30))((0.2-0.09)+(0.09・2.303log(0.09/0.02))=2.8+3.5=6.3h

例題21.ある工場のでんぷんの気流乾燥において次の測定値を得た、熱収支と乾燥機の熱効率を求める。
原料ケーキ:水分0.784[kg/kg-D.M.],温度12℃
乾燥製品:水分0.143[kg/kg-D.M.],温度46.5℃
製品量1150[kg-D.M./h]
取入れ空気:乾球温度10[℃],湿球温度8[℃]
排気:乾球温度46.5[℃],湿球温度36.5[℃]
蒸気:使用量1244[kg/h],温度150[℃]
ドレン:温度39[℃]

解答
空気エンタルピーの場合式
i=0.24t+(596+0.45t)H [kcal/kg-D.A.]
t:乾球温度[℃]
H:絶対温度[kg/kg-D.A.]
ケーキ、製品エンタルピーの場合
i=(0.3+W)t [kcal/kg-D.A.]
但し、W:含水量[kg/kg-D.M.]、0.3≒澱粉比熱

1.取入れ空気及び排気の絶対湿度とその量
湿度図表より
ⅰ.取入れ空気の絶対湿度 0.006[kg/kg-D.A]
ⅱ.排気の絶対湿度 0.035[kg/kg-D.A]
ⅲ.蒸発水分量 1150・(0.784-0.143)=737.15kg-H₂O/h
ⅳ.取入れ空気量(排気も同様)
737.15/(0.035-0.006)=25420[kg-D.A./h]

2.入熱
ⅰ.取入れ空気量のエンタルピー
i=0.24・10+(596+(0.45・10))・0.006=6[kcal/kg-D.A.]
25420・6=152.5・10^3[kcal/h]
ⅱ.蒸気のエンタルピー
657・1224=818・10^3[kcal/h]
ⅲ.ケーキエンタルピー
i=(0.3+0.784)・12=13[kcal/kg--D.A.]
13(1150)=14.9・10^3[kcal/h]
入熱合計=995.4・10^3[kcal/h]

3.出熱
ⅰ.排気のエンタルピー
i=0.24・46.5+(596+0.45・46.5)0.035=32.8[kcal/kg-D.M]
ⅱ.ドレインエンタルピー
39・1224=48.5・10^3[kcal/h]
ⅲ.製品エンタルピー
i=(0.3+0.143)46.5=20.6[kcal/kg-D.M]
20.6・1150=23.7・10^3[kcal/h]

4.有効発熱量
温度図表より排気温度に於ける水蒸気エンタルピー
674.5+46.5=621[kcal/h]
従って有効発熱量は蒸発水分に水蒸気エンタルピーを乗じたものになる。
737.15・621=457.8[kcal/h]

5.有効蒸発入熱
有効蒸発入熱=入熱合計-(ドレイン出熱+製品出熱+放熱損失)
995.4・10^3-(48.5+23.7+89.4)・10^3=823.8・10^3[kcal/h]

6.乾燥機効率
457.8・10^3/(823.8・10^3)=55.6%

例題22.プロパンと空気の混合気の常温の燃焼速度を求めなさい。
但し、プロパンの点火温度は550℃、燃焼温度は1900℃とし、反応している部分の厚さ0.2
mmとする。また、プロパンと空気の混合気は殆ど空気であるので、物性値は空気の値を
用いる。空気の物性値は、熱伝導率λ=0.024J/(m・s・k)、密度ρ-1.25kg/m^3、比熱c=
1.003kJ/kg・kとする。

解答
常温を25℃とし、 Su:燃焼速度=λ・Tb-Tig1/(ρυcpTig-Tuxb)より、
Su=0.024/(1.25・1.003・10^3)・((1900-550)/(550-20))(1/(0.2・10^-3))
=0.25[m/s]

例題23.プロパンと空気の混合気の常温の燃焼速度を求めなさい。但し、空気とプロパンの
割合は15:1、反応している部分の厚さは0.2mm、プロパンの発熱量は50.4MJ/kgとし、
例題22と同じように、混合気の物性値は空気の値が使えるものとし、点火温度の550℃と
する。

解答
空気とプロパンの割合が15:1なので、混合気の単位質量当りの発熱量は燃料そのものの
発熱量の1/(15+1)となる。
Su=0.024/(1.003・10^3)(1/(550-25))(50.4・10^6/(15+1))(1/(0.2・10^-3))
=0.57[m/s]

例題24.燃焼速度が1m/sである場合の予熱帯の厚さを推定しなさい。
但し、予熱空気は空気が主体であることから、予混合気の物性値は空気と同じとする。
空気の物性値は、熱伝導率λ=0.024J/(m・s・k)、密度ρ=1.25kg/m^3、比熱c=
1.003kJ/kg・kとする。

解答
α:熱拡散率=λ/(ρu・cp)
-2=(Su・ρu・cp・(-δ)/λ)loge
∴δp=4.6λ/(Su・ρu・cp)=4.6・0.024/(1・1.25・1.003・10^3)=0.088・10^-3m

例題25.単位時間の熱発生量を5kJ/sとしたい場合のバーナー孔の数を求めよ。
但し、バーナー孔の直径を3mm、そこに於けるレイノルズ数を10・10^3なるようにする
燃料の発熱量は1MJ/kg、密度は1.8kg/m^3、動粘性係数は4.6・10^-6[m^2/s]とする。

解答
Q:発熱量=Hm
バーナー直径d、バーナー孔の数n、密度ρとすると、バーナー孔からの流出速度uは、
u=m/ρ/(π/4・d^2・n)=4m/(πd^2ρn)
従って、動粘性係数をνとすると、レイノルズ数Reは、
Re=ud/ν=4m/(πd^2ρn)/ν=(4Q/H)/(πd^2ρn)
n=4Q/(HπdρνRe)=4・5/(1・10^3・3.14・3・10^3・1.8・4.6・10^-6・10^4)
=25.6≒26個

例題26.鋳鉄(λ=20.1W/mk)製の長さ0.1m、幅0.04m及び厚さ0.005mのフインを1枚
平面壁に取り付けた。フイン効率とフインからの放熱量を求めよ。但し、平面壁表面温度
は120℃、外気温度20℃、平面壁及びフイン表面に於ける熱伝達率は15W/m^2・kとする
また、フイン材料がアルミニウム(λ=237w/m・k)の場合のフイン効率とフインからの
放熱量を求めよ。

解答
鋳鉄の場合のフインからの放熱量Q
m=√(αS/λA)=√(15・2(0.04+0.005)/(20.1・0.04・0.005)=18.33
η:フイン効率=1/mL(tanh mL)=0.95/(18.33・0.1)=0.52
Q=λAm(Tω-T∞)tanh mL=20.1・0.04・0.005・18.33(120-20)tanh(18.33・0.1)
=7[w]
アルミニウムも同様に求めると、
η=0.92
Q=12.3[w] となる。

例題27.初期温度50℃、厚さ20mmの杉板(熱拡散率α=0.18・10^-6m^2/s)の両面を
10℃に保つとする。1分後、5分後、10分後の板の中心温度を求めよ。また大理石(α=
1.3・10^-6m^2/s)の場合、6秒後、1分後の中心温度はどのようになるか求めよ。

解答
板中心はx/L=0.5
杉板では、1分後に相当するフーリエ数はat/L^2=0.027となる。この値を、T/T₀=4/π・
(exp(-π^2(at/L^2)sin(πx/L)+1/3exp(-3π^2(at/L^2)sin(3πx/L)+1/5exp(-5π^2・
(at/L^2)sin(5πx/L+…) ①に代入して、
T/T₀=(T-10)/(50-10)=0.937
従って、T=47.5℃、同様に5分後、10分後における中心温度は其々23.4℃及び13.5℃
となる。大理石では、6秒後及び1分後のフーリエ数を求めて①式に代入すると、其々
49.1℃及び17.4℃となる。

例題28.初期温度50℃の十分に厚い杉板(α=0.18・10^-6[m^2/s]、λ=0.069[w/mk])
の表面を10℃に保ち冷却する時、1分後、5分後及び10分後の表面から10mmの位置の温度
と表面からの放熱量[w/m^2]を求めよ。

解答
1分後の浸透厚さは、δ=√(12・0.18・10^-6・60)=0.0114m
10mmでの温度は、T=10+(50-10)(-0.877^2+2・0.877)=49.4℃
単位面積当りの放熱量q=(2・0.069/0.0114)(50-10)=485w/m^2
同様にして、
5分後の場合:δ=0.0255m、T=35.3℃、q=217w/m^2
10分後の場合:δ=0.036m、T=29.1℃、q=153w/m^2

例題29.水が、加熱された平板表面に沿って一様に流れている。平板前縁をx=0とし平板
表面に沿って下流方向にx軸をとる。平板表面の局所熱伝達率αx[w/m^2・k]が次式で与え
られているとき、平板表面上の平均熱伝達率αm[w/m^2・k]を求めよ。
但し、平板の全長をL=0.5mとする。

解答
局所熱伝達率から平均熱伝達率αmを求めるには次式を用いる。
αm=1/L・∫₀~L(αxdx)=133/0.5・∫₀~L((1/√x)dx)=376[w/m^2・k]
つまり、平均熱伝達率αmは、∫₀~L(αxdx)と等しい面積L・αmの長方形の高さとなる。

例題30. 0℃の水の表面を-5℃に保って氷を生成した。氷の厚さが10mmに達するのに要す
る時間を求めよ。

解答
氷の物性値はa=1.2・10^-6[m^2/s]、c=2[kJ/kgk]、hL=333[kJ/kg]である。
氷の厚さが10mmに達する時間は、
t=δ^2/a(1/2)(hL/(c(T₀-T∱))=-(0.01^2/(1.2・10^-6))(1/2)(333・10^3/(2・10^3
・(-5-0))=1388s≒23[min]

例題31. 20℃の空気が平板表面に沿って平行に流れている。その速度が10m/sと30m/s
其々の場合に於いて、境界層が層流から乱流に推移する位置は、平板前縁からどの位の
距離であるか。

解答
層流境界層が乱流境界層に推移する位置xc=(3.2・10^5・ν)/u∞ ①
ν:空気の動粘性係数(20℃の場合は、0.154・10^-4[m^2/s]
u∞:空気速度
①式に代入すると、
10m/sの場合xc=0.49[m]
30m/sの場合xc=0.16[m]

例題32.主流温度T∞=20℃の空気が平板表面に沿って流れている。平板表面(y=0)に対し
垂直方向にy軸をとる。平板表面に沿ってある距離はなれた位置で、温度境界層内(0≦y≦
0.003[m])の温度分布が、T=100-4・10^4y+1.48・10^9・y^3[℃]になることが解っ
た、この位置に於ける壁から流体に伝わる単位面積、単位時間当りの伝熱量および局所
熱伝達率を求めよ。

解答
qx=-λ(dT/dy)y=₀=4・10^4λ[w/m^2] ①
Tを求める実験式にy=0を代入すると100℃になる。100℃の空気の熱伝達率はλ=0.0311
であり、これを①式に代入すると
qx=1.24・10^3[w/m^2]
αx:局所熱伝達率=qx/(Tω-T∞)=-λ(∂T/∂y)y=₀/(Tω-T∞) ②
②式に代入すると、
αx=(1.24・10^3)/(100-20)=15.5[w/m^2・k]

空調・冷凍装置演習問題

例題1.
LiBr水溶液を用いた冷凍能力50kwの単効用吸収冷凍機がある。各熱交換器の温度は、再生器94℃、凝縮器44℃、蒸発器6℃、吸収器42℃とし熱力学的平衡条件下で定常運転されている。次の各問に答えよ。尚、LiBr水溶液の比エンタルピーは、温度94℃、LiBr濃度62%
ならびに温度42℃、LiBr濃度58%で其々-71.2kJ/kg、-154.9kJ/kgである。

問1. 蒸発器で蒸発する蒸気量m₁[kg/s]を求めよ。
蒸気表より、6℃の飽和蒸気の比エンタルピーh₁=2512.6kJ/kg,44℃における飽和水の比
エンタルピーh₅=184.2kJ/kgである。
解答
QE=m₁(h₁-h₅)より、m₁=QE/(h₁-h₅)=50・10^3/(2512.6-184.2)10^3=0.0215kg/s

問2. 吸収器出口および再生器出口におけるLiBr水溶液の質量流量m₂、m₃[kg/s]を求めよ。
解答
0.58・m₂=0.62・m₃ m₂=m₁+(0.58/0.62)m₂
(1-0.58/0.62)m^2=m₁
m₂=m₁/(1-0.58/0.62)=0.333kg/s
m₂=m₁+m₁より、m₃=0.333-0.0215=0.312kg/s

問3. 凝縮器の冷却に要する熱量Qc[kw]を求めよ。
解答
Qc=m₄(h₄-h₅)=m₁(h₄-h₅)
=0.0215・(2676.2-184.2)・10^3=5.36・10^4[w]=53.6[kw]

問4. 吸収器の冷却に要する熱量Q₁[kw]を求めよ。
解答
QA=m₁h₁+m₃h₃-m₂h₂
=0.0215・2512.6・10^3+0.312・(-71.2・10^3)-0.333・(-154.9・10^4)=8.34・10^3[w]=83.4[kw]

問5. 再生器での投入熱量QG[kw]を求めよ。
解答
QG=m₄h₄+m₃h₃-m₂h₂
=0.0215・2676.2・10^3+0.312・(-71.2・10^3)-0.333・(-154.9・10^3)=8.69・10^4[w]=86.9[kw]

問6. この吸収冷凍機の成績係数εを求めよ。
解答
ε=QE/QG=50/10^3/(86.9・10^3)=0.575

例題2. 理想的冷凍サイクルにおいて凝縮器温度が30℃、蒸発器温度が-15℃であるとき
冷凍機の動作係数を求めよ。またヒートポンプとして使用した場合の動作係数を求めよ。
解答
冷凍機の動作係数
εr=T₂/(T₁-T₂)=258/(303-258)=5.73
ヒートポンプの動作係数
εh=T₁/(T₁-T₂)=303/(303-258)=6.73

例題3.補給ガス₁₇,₁→定圧圧縮機7kg/cm^2₂→中間冷却器1₃→液ガス冷却器1₄→中間圧縮機32kg/cm^2₅→中間冷却器2₆→液ガス冷却器2₇→高圧圧縮機72kg/cm^2₈→凝縮器₉→₁₀液ガス冷却器2₁₁→₁₂液ガス冷却器1₁₃→₁₄分離器₁₅→₁₆補給ガス配管₁₇
上記のフローシートの設備によりドライアイスを製造するのに、分離器及び補給ガス圧力は
標準気圧で、定圧圧縮機で7kg/cm^2、中間圧で32kg/cm^2、高圧で72kg/cm^2まで圧縮するとする。温度は補給ガス20℃、中間冷却器を出るガス及び凝縮器を出るガスはともに25℃とする。ガスの圧縮は等エントロピ変化と仮定し、毎時1トン製造に必要な圧縮機の
理論動力kw及び循環量kg/hを求めよ。

解答
各点のエンタルピkcal/kgをCO₂線図から読むと次のようになる。
i₃=173、i₄=155.5、i₅=172、i₆=166.5、i₇=156.7、i₈=164.5、i₉,i₁₀=116.5、i₁₁,₁₂=
97.5、i₁₃,₁₄=75、i₁₅=17、i₁₆=153.5、i₁₇=173
分離器へ噴出する雪混じりガスの乾き度x₁₄は、
x₁₄=(i₁₄-i₁₅)/(i₁₆-i₁₅)=0.425
従って、噴出量1kgのうちガスは0.425kg、これと1-0.425=0.575gの補給ガスと混合すると、i₁=x₁₄i₁₆+(1-x₁₄)i₁₇=0.425・153.5+0.575・173=164.5
i₂=192
圧縮機へのCO₂ガスの送入量G₄は、毎時1トンのドライアイス製造の為には、
定圧圧縮機G₁=1000/0.575=1740kg/h
中間圧縮機への送入量G₄は、液ガス冷却器のエネルギー収支から、
G₄i₄+G₁₃i₁₃=G₃i₃+G₁₂i₁₂ の式が成立し、定常状態ではG₁₂=G₄、G₃=G₁₃=G₁であるからG₄=G₃(i₃-i₁₃)/(i₄-i₁₂)=1740(165.5-97.5)/(155.5-97.5)=2940kg/h
同様に高圧圧縮機へは、
G₇=G₆(i₆-i₁₁)/(i₇-i₁₀)=2940(165.5-97.5)/(156.5-116.5)=5000kg/h

理論総動力N=1/860(G₁(i₂-i₁)+G₄(i₅-i₇))=158.6kw

例題4. 50cm厚さの肉の包みが接触式冷凍放置で凍結される。未凍結肉の初温度は凍結点の
-5℃、含水率70%である。冷媒温度-28.9℃肉の両側から凍結させるとして、肉の中心が凍結する時間を求める。
ここで、凍結原料の熱伝導率κ=0.8928kcal/m・h・℃ 凍結原料の密度ρ=961kg/m^3

解答
Neumannの式を適用して置き換えると、θ=λρL^2/(2κΔt)
肉の表面温度が直ちに冷媒温度の-28.9℃になるものと仮定し、t₁はx=Lになった時の肉の
中心温度となるから題意によりΔt=-5-(-28.9)=23.9℃となる。肉の含水量は75%である
から、肉の氷結潜熱λ=80・0.75=60[kcal/kg]
L=0.05/2=0.025m
以上を前式に代入すれば、θ=60・961・(0.025)^2/(2・0.8928・23.9)=0.84hとなる。

例題5.例題4の肉の包みが送風凍結装置で凍結される場合に、肉の中心が-17.8℃に達するに要する時間を求めよ。凍結装置内空気温度は、-28.9℃、装置内の境膜伝熱係数は14.65
kcal/m^2・h・℃とし、末凍結食品の熱伝導度を0.4910kcal/m^2・h・℃とする。

解答
1.Neumannの式で求める。
Le:低境膜伝熱係数に相当する厚さ=κ/h
h:境膜伝熱係数
κ:初期末凍結食品の熱伝導率
凍結が両面から起こると、Leと実際の平面の厚さを加えると見掛けの厚さの1/2となる。
即ち、L∱=Le+La ①
L∱:見掛けの1/2厚さ
La:実際の平面の1/2の厚さ
①式より、Le=0.491/14.65=0.0335
L∱=0.0335+0.025=0.0585
θ=60・961・0.0585^2/(2・0.8928・11.1)=10h
2.Plank式で求める。
λ'=60・961
Δt=-17.8-(-28.9)=11.1℃
P=1/2 R=1/6 d=0.05m h=14.65kcal/m^2・h・℃ κ=0.8928kcal/m・h。℃
θ=60・961/11.1((0.5・0.05/14.65)+((1/6・0.05^2)/0.8928)=11.3h

例題6.気温20℃、相対湿度80%の空気中の水蒸気圧を求めよ。また、この空気を30℃に
すると相対温度はいくらになるか。但し、20℃の時の飽和蒸気圧は17.53mmHgであり、
30℃の時は31.83mmHgである。

解答
水蒸気圧=17.53・0.8=14.02 [mmHg]
相対湿度=(14.02/31.83)・100=44[%]

例題7.気温25℃、湿度50%、気流0.5m/sで上着をきて軽作業している時の有効温度を、
求めよ。

解答
気温25℃、湿度50%のとき、湿球温度18℃(有効温度図表参照)であるので、有効温度線図
で乾球温度25℃、湿球温度18℃を結ぶ直線と、気流0.5m/sの線との交点よりET21.3℃を
得る。

例題8.外壁10m^2に於いて、室温20℃、外気温0℃の時の通過熱量を求めよ。
但し、外気側から、モルタル厚み2cm、コンクリート厚み10cm、空気層3cm、合板0.6cmとする。

解答
各種材料の熱伝導比抵抗と熱伝導率表より、モルタルr=0.81、コンクリートr=0.71、
合板r=7だから、其々のRは、
0.81・0.02=0.016、0.74・0.1=0.74、7・0.006=0.042
熱伝達抵抗と熱伝達率の表より、R₀=0.05(外気側)、Ri=0.13(室内側)、空気層の熱抵抗図
より、Ra=0.21
∴Rt=0.05+0.016+0.074+0.21+0.042+0.13≒0.52
∴q=(20-0)・10・1/0.52≒384.6[kcal/h]

例題9.内径10cm、外径11cmの管(λ=45)の内外温度が其々210℃、10℃、管内外面の
熱伝達率がαi=40、α₀=4であるときの通過熱量を求めよ。

解答
1/αiri=1/(40・0.05)=0.5、1/α₀r₀=1/(4・0.055)-0.002
∴q=2・3.14(210-10)/(0.5+0.002+4.545)≒248.9[kcal/mh]

例題10.ある壁面が火災の為727℃になった時、これが隣接する壁面27℃に及ぼす放射量を
求めよ。但し、其々の放射常数を4.5、4.4とし、両壁面間の距離は壁面積に対して十分
小さいものとする。

解答
T₁=727+273=1000°K、T₂=27+273=300°K
∴q=(10^4-3^4)/(1/4.5+1/4.4-1/4.95)≒40158[kcal/m^2h]

例題11.コンクリート壁の中空層内面温度が20℃の時アルミ箔C₃=0.2で仕切ると放射熱量
はいくらか。但し、C₁=C₂=4.6とする。

解答
C₁₃=C₃₂=1/(1/4.6+1/0.2-1/4.95)≒0.2
q₁₂'=0.2^2/(0.2+0.2)(2.93^4-2.83^4)=0.94[kcal/m^2h]

例題11.外径が20cmの蒸気管が断面10m*4mの室内を通る時の放射量を求めよ。但し、
蒸気管、室の放射常数を其々3.7、4とし蒸気管表面温度150℃、室壁面温度10℃とする。

解答
q₁₂=3.7(4.23^4-2.83^4)≒947.3[kcal/m^2h]

例題12.外気温-1℃、室内気温20℃、室内の湿度75%の時、内壁面が結露しない為の
熱通過抵抗を求める。

解答
有効温度図表より、温度20℃、湿度75%の空気の露点は15.6℃だから、θi=15.6℃以下に
低下しなければよい。熱伝達抵抗と熱伝達率の表より、Ri=0.13
20-(0.13/Ri)(20-(-1))≧15.6
∴Ri≧0.621[m^2h℃/kcal]

例題13. 4500m^3の講堂に1000人が長時間在室する時の必要換気量及び換気回数を求め
る。但し、CO₂の発生量は0.03%とする。

解答
Q(p-p₀)=M、Q=M/(p-p₀)より、
M=0.017・1000=17[m^3/h]、p=0.0007[m^3/m^3air]
P₀=0.0003[m^3/m^3air]
Q=17/(0.0007-0.0003)=42500[m^3/h]
N=Q/Vより、N=42500/4500≒9.4回

例題14.許容室温を20℃とし、1人当りの放熱量を60kcal/hとすると、他に熱源がない時の
1人当りの必要換気量を求めよ。但し、外気温は10℃とする。

解答
Q=60(1+0.00367・10)/(0.31・10)≒20[m^3/h人]

例題15.室内温度20℃、外気温度5℃で、開口部の高さの差が3mの時、気温差による
換気量を求める。但し、開口部の面積は流出入側とも1m^2とし、抵抗係数は共に2と
する。

解答
Q=√(2・9.8・3(1-(278/293)/(2+2(278/293))≒0.89[m^3/s]

例題16.風上・風下側の開口断面積が共に1m^2で其々の抵抗係数が1の時、1m/sの風が
吹いているときの換気量を求める。但し、風上側・風下側の風圧係数を
0.8、-0.5とする。

解答
Q=1・√(0.8+0.5)/(1+1)≒0.81[m^3/s]

例題17. 10^-10[watt/cm^2]の強さの音は何dBか。

解答
IL=10log₁₀(I/10^-16) I:ある音の強さ[watt/cm^2]
IL=10log₁₀(10^-10/10^-16)=10log₁₀10^6=60dB

例題18.最低可聴限、最高可聴限の音圧は其々何dBか。

解答
SPL=20log₁₀(P/0.0002)[dB] P:ある音の音圧(μbar)
20log₁₀(0.0002/0.0002)=20log₁₀1=0[dB]   最低可聴限
20log₁₀(200/0.0002)=20log₁₀10^6=120[dB] 最高可聴限

例題19.PWLが90dBの無指向性音源が床上にあるとき、音源から2mの距離における直接音
のレベルを求める。また、音源が床上から1.5mの時はどうか。

解答
音源が床上にあるとき、Sr=2πr^2であるから、代入するとSPLd=PWL-20log₁₀r-8となり
音源が床上から1.5mの時はSr=4πr^2であるから、SPLd=PWL-20log₁₀r-11となるので、
PWL=90、r=2を代入して其々の値を得る。
SPLd=90-20log₁₀2-8=76dB SPLd=90-20 log₁₀2-11=73dB

例題20.PWLが90dBの無指向性音源が、吸音力A=50m^2の室内床上にあるとき、音源か
ら4mの点の音圧レベルを求めよ。

解答
SPLd=PWL+10log₁₀(1/Sr)=90-20 log₁₀4-8=70[dB]
SPLr=PWL+10 log₁₀(4/A)=PWL-10log₁₀A+6(dB)=90-20 log₁₀50+6=79[dB]
∴SPL≒SPLr=79[dB]

例題21. 10℃の水0.5kgに50℃の水0.2kgを加えてよくかき混ぜたら、温度が30℃になっ
た。容器その他へ逃げた熱量はいくらか。

解答
逃げた熱量をx[kcal]とすると、
0.5(20-10)+x=0.2(50-20) ∴x=1[kcal]

例題22.熱容量0.009kcalの熱量計中に0.3kgの水を入れ、これに100℃の水蒸気0.004kgを
吹き込んだら、全体温度が13℃から21℃に上昇した。水の気化熱を求める。

解答
水の気化熱をxkcal/kgとすると
0.009・(21-13)+0.3・(21-13)=0.004・x+0.004(100-21)
x=539[kcal/kg]

例題23. 0.5kgの水蒸気を温度100℃、体積2m^3に保つとき、水蒸気圧を求めよ。

解答
水蒸気圧をp[kg/cm^3]とすると
p=(2/0.5)・10^4=47.06・373 ∴p≒0.44[kg/cm^2]

例題24. 20℃、0.2kgの水蒸気のエンタルピーを求めよ。

解答
iω=0.2(597.1+0.441・20)=121.184[kcal]

例題25.例題24の蒸気の20℃に於ける潜熱を求めよ。

解答
r=597.1-0.599・20=585.92[kcal/kg]

例題26.温度26℃、相対湿度60%の空気中の水蒸気分圧及び絶対湿度を求めよ。
但し、26℃の飽和空気の水蒸気分圧は0.0342[kg/cm^2]とする。

解答
水蒸気分圧Ps=0.0342・0.6=0.02052[kg/cm^2]
全圧力P=1.03323[kg/cm^2]とすると、式x=0.622p(P-p)=0.622h/(H-h)[kg/kg']より
x=0.622・0.02052/(1.03323-0.02056)=0.0126[kg/kg']

例題27.圧力1kg/cm^2、比体積0.85m^3/kgの空気が、圧力3kg/cm^2、温度200℃の
状態になった時、温度と体積の変化を求めよ。

解答
初めの状態の温度=1・10^4・0.85/29.27=290[k]=17℃
温度変化200-17=183[℃]
後の状態の比体積=29.27・(200+273)/3・10^4=0.461[m^3/kg]
従って、体積変化=0.85-0.461=0.389[m^3/kg]

例題28. 18℃の水をボイラに給水し、蒸気圧力3[kg/cm^2G]で1時間に150kgの蒸気を
つくる時、このボイラの換算蒸発量はいくらになるか。

解答
ゲージ圧力3[kg/cm^2]の蒸気エンタルピーは、飽和蒸気表より654[kcal/kg]であり、
18℃の水のエンタルピーは18[kcal/kg]である。よってこのボイラからの蒸発熱量は、
Gs=(is-iω)=150(654-18)=95400[kcal/h]
となり、これを換算蒸発量Geにて表すと、
Ge=Gs(is-iω)/539=95400/539=177[kg]
Gs:実際蒸発量[kg/h]
is:実際の蒸気エンタルピー[kcal/kg]
iω:給水のエンタルピー[kcal/kg]
539:100℃の飽和水を100℃の乾き蒸気にするのに要する蒸発潜熱[kcal/kg]

例題29. 20℃の水をボイラに給水し、ゲージ圧力3.5[kg/cm^2]の蒸気を5[kg/min]の
割合で作るのに、重油を0.5[l/min]消費するとすれば、この場合のボイラ効率はいくらか。
但し重油の比重を0.92とする。

解答
ゲージ圧力0.5[kg/cm^2]の蒸気エンタルピーは飽和蒸気表より、655.15[kcal/kg]となる
蒸気量5[kg/min]を時間当りに直すと300[kg/h]となり、重油消費量0.5[l/min]も時間当り
に直すと、G∱=0.5・60・0.92=27.6[kg/h]となり、
重油の1kg当りの発熱量をボイラ用燃料の種類と発熱量の表より、10500[kcal/kg]とすれ
ば、このボイラの効率はη=(300(655.15-20)/(10500・27.6))/(10500・27.6)・100=
65.8%

例題30.暖房負荷40000kcal/h、給湯量600[l/h]に対して必要な鋳鉄製重油炊きボイラの
容積を求めよ。但し、配管損失は20%とし、給湯負荷は一般に1[l/h]につき60[kcal/h]と
する。

解答
配管損失
(40000+60・600)0.2=15200[kcal/h]
常用出力
40000+36000+15200=91200[kcal/h]
ボイラの予熱負荷係数κ表より、κ=0.3
ボイラ容積HB=(He+Hω+Hp)(1+κ)=91200・1.3=118560[kcal/h]となる。
相当放熱面積は、標準放熱量の表を参照して650[kcal/m^2h]とし、
相当放熱面積=11856/650=182.4[m^2]

例題31.放熱器の温水入口温度86℃、出口温度70℃の場合、室温18.5℃としたときの
対流放熱器の放熱量はいくらか。

解答
標準状態に於ける温度と異なる為、補正する必要がある。
補正係数c=(61.5/((86+70)/2-18.5)^1.4=1.042
よって放熱器1EDRからの放熱量は、
q=450/1.042=432[kcal/h]

例題32.損失熱量が6000[kcal/h]の室に蒸気を熱媒として対流放熱器を、蒸気圧力
0.35[kg/cm^2G]、室温18.5℃で用いて、2箇所に設けるとするとEDRがいくらのものが
必要か。

解答
c=(83.5/108-18.5)^1.4=0.9075 ∴q=650/0.9075≒716[kcal/h]
EDR=6000/(716・2)=4.19[m^2]

例題33.直径50cmのダクト内の風速7.5m/sの時、風量及び摩擦損失を求めよ。

解答
ダクト摩擦抵抗図から、風量5300m^3/h、摩擦損失は0.12mmAq/mである。
長方形ダクトの場合は、二辺の長さをa,bとすると次式で表される。deを相当直径とした
円形ダクトの摩擦損失として求めることができる。
de=1.3((ab)^5/(a+b)^2)^(1/8)

例題34.空気流量36000kg/h、入口空気乾球29℃、湿球17℃の時、出口空気が乾球17℃と
なるような冷凍器の大きさを、冷却水入口10℃、出口15℃として求めよ。

解答
湿り空気線図から空気のエンタルピーia₁=11.3、ia₂=8.351kcal/kg、
比容積υ=0.85m^3/kgが求まる。
F:冷却器正面積=Gaυ/3600ua₀  ①
Ga:空気流量
いまF=4m^2とすれば、①式よりua₀=2.125m/s
対数平均温度差は、ta-tω=((29-15)-(17-10)/(2.3log((29-15)/(17-10)))=10.1deg
Q:全伝熱量=Ga(ia₁-ia₂)、Gω(tω₂-tω₁)式より、Gω=21200kg/hが得られる。
いまuω=1m/sとすれば、Kt₀とua₀図よりKt₀=635kcal/m^2h℃が求まる。
Q=nFKt₀(t₀-tω)より、n=4.14となる。これから逆にn=4としてuωなどを再修正すればよ
い。

例題35. A,Bの両室の熱損失は共に3000kcal/hである。高さ600mmの鋳鉄製5細柱放熱器
(1節の相当放熱面積0.23m^2)を用いる蒸気暖房とし、A室は蒸気温度102℃、所要温度
18.5℃、B室は蒸気温度101.5℃、所要室温25℃とする。A,B両室に対する放熱器の所要
節数を求めよ。

解答
1節の放熱量は650・0.23=150kcal/h
∴所要節数は3000/150=20
B部屋の温度が前記の標準温度の時の標準放熱量qn[kcal/m^2・h]と違う時の放熱量qは、
q=650((101.5-25)/(102-18.5)^(4/3)=578[kcal/m^2・h]
従って1節の放熱量は578・0.23=133kcal/h
∴所要節数は3000/133≒23節

粉体工学演習問題

例題1.次の比重2.1の粉末の体積基準の比表面積と質量基準の比表面積を求めよ。

平均粒径Dp[μm] 25  15  9   8  7.2  6.3  5.8  3.2 2.7 1.7  0.5
残留分布R[%] 19.5 25.6 40.2  46  52.5  60.5  66.8  76  88  94.1 100

解答
R-R線図にプロットすれば、約7μm以下で直線となり、傾斜n=1.65が求まる。
Dp=1の時にa/2.3値は0.0106になるからa=0.0244となる。
R(Dp)=100・exp(-0.024Dp^1.65)≒100・exp(-(Dp/9.5)^1.65)[%]
R=36.8%のDe値はグラフ上で9.5μmになるので、
最小粒子径Dmod=De・n√((n-1)/n)=9.5((1.65-1)/1.65)^(1/1.65)=5.4[μm]
中位径Dmed=De・n√0.6935=9.5(0.6935)^(1/1.65)=7.61[μm]
球形粒子SυDe=φ・1.065exp(1.795/n^2)=6・1.065exp(1.795/1.65^2)=12.35
Sυ=12.35/De=12.35/9.5・10^-6=1.3・10^6[1/m]
Sω=Sυ/ρp=1.3・10^6/2100=619[m^2/kg]

例題2.
粉砕粒子径[μm]をR-R分布に描き、a=0.0326、n=1.02の指数を求めた。
この粒度分布を示す最大粒子径Dpm[μm]を求めよ。

解答
R=100exp(-aDp^n)
dR/dDp=100anDp^(n-1)exp(-aDp^n)
d^2R/dDp^2=100an((n-1)Dp^(n-2)-anDp^(2n-2))exp(-aDp^n)
最大値
-d^2・R/dDp^2=0 (n-1)Dpm^(n-1)=anDpm^(2n-2)
∴Dpm=((n-1)/an)^(1/n)=((1.02-1)/(0.0326・1.02))^(1/1.02)=0.607[μm]

例題3.密度1400kg/m^3の球状粒体の個数基準の50%の粒子径が50μmであるときの1kg当りの比表面積を求めよ。但し、標準偏差σg=1.64とする。

解答
Dp=D₅₀・exp(2.5ln^2・σg)=50・10^-6・exp(2.5ln^2・1.64)=9.22・10^-5[m]
Sω=φ(ρp・Dp)=6/(1400・9.219・10^-5=46.49[m^2]

例題4.直径2300mmのサイロに比重1.8の非付着性流体(内部摩擦角が30°、摩擦係数が
0.428)を投入する時に、底部圧力が38kpaを超えない粉体層の高さを求めよ。

解答
μω=0.428 D=2.3[m] ρpg=1800・9.8=17640[kg/m^3]
1.圧力係数Ka=(1-sinφi)/(1+sinφ)=(1-sin30)°/(1+sinφ30°)=1/3
2.粒体垂直圧Pυ=(38・10^3)=(ρpgD/(4μωKa)(1-exp(-4μωKa(h/D))=0.466
0.2851h=ln(1/0.466)=0.7636
∴h=0.7636/0.2851=2.678[m]

例題5.一辺が1m角、高さ5mの角貯槽に比重量0.83t/m^3の粉体を入れた時の底部に働く
垂直圧力と側面圧力を求めよ。但し、粉の摩擦係数は0.4、内部摩擦角は35°にとる。

解答
1.主動粉体圧係数Ka=(1-sinφi)/(1+sinφ)=(1-sin35)°/(1+sinφ35°)=0.271
2.動水半径m=a/U=1/4
3.底部垂直圧力Pυ=mρBg/(μωKa)(1-exp(-μωKah/m))=830・9.8/(4・0.4・0.271)・
(1-exp(-4・0.4・0.271・5))=16.61[kpa]
4.側壁圧力Ph=Ka・Pυ=0.271・16.61=4.501[kpa]

例題6.食塩瓶の蓋の大きさを設計せよ。食塩の大きさは0.6・0.5・0.4mmの直方体にとる

解答
1.三軸調和平均径Dps=3/((1/0.6)+(1/0.5)+(1/0.4))=0.4865[mm]
2.球相当径Dp=√(4lb/π)=√(4・0.6・0.5/π)=0.618[mm]
3.比表面積形状係数φ=6Dp/Dps=6・0.618/0.4865=7.621
4.閉塞限界穴径De=Dps(2.3+0.071φ^1.8)=2.46[mm]

例題7.内径27.5mm、高さ10mmの充填円筒に比重2.38の球型粉体を空隙率0.49で詰める
この中へ18℃の空気を2.3cm^3/sの割合で流した時に、65mmH₂Oの圧力損失があった。
質量比表面積と体積比面積を求めよ。

解答
μ=18.34[μPas]、ΔP=65mmAq=637[pa]、ρp=2.38・10^3
1.円筒内流量u=Q/A=2.3・10^-6/((π/4)・0.0275^2)=3.872・10^-3[m/s]
2.比表面積球相当径Dps=√((180μLu/ΔP)・((1-ε)^2/ε^3))=2.106・10^-5
3.体積比表面積Sυ=6/Dps=2.849・10^5[m^2/m^3]
4.質量比表面積Sω=Sυ/ρp=119.7[m^2/kg]

例題8.プレーン法測定器の2ccの粉末充填層容器に比重2.65のケイ砂粉末を2.4g充填して
30℃の空気を通過させる時の標点距離を液面が通過するに55秒かかった。このケイ砂の
比表面積と代表粒子径を求めよ。但し、装置定数はcgs単位で√(AΔP/(QL))=2で与えられ
る。

解答
1.空隙率ε=(V-M/ρp)/V=(2-2.4/2.65)/2=0.547
2.空気の粘度μ=1.85・10^-4[g/(cm・s)]
3.比表面積Sω=14・√(AΔP/QL)・ε^1.5/(ρ∱(1-ε))・√(t/μ)=14・2(0.5471^1.5/(2.65
・0.4529)・√(55/(1.85・10^-4)=5148[cm^2/g]
4.代表粒子径Dpω=6/(ρp・Sω)=6/(2.65・5148)=4.4・10^-4[cm]

例題9.砂糖(粒子径は,0.55mm、見掛け密度850kg/m^3)を600g、3秒間で自動袋詰めを
する機械の流出口径を求めよ。但し、ホッパ角は20°とする。

解答
β=20°、G=600/3=200g/s=0.2kg/s
(D₀-Dp)^(5/2)=G/((1/6・((1-cos^(3/2)・β)/(sin^(5/2))・(ρBπg^(1/2))=
0.1102
D₀-Dp=0.1102^(3/5)=0.4139、D₀=0.4139-0.00055=0.41345[m]

例題10.管内径100mmの管へ長さ1mまで直径20mmの球型粒子を充填して、管中へ標準
気圧で20℃の空気を0.13kg/m^2・sで流す時の圧力損失を求めよ。

解答
μ=18.34・10^-6[pas]、u=G/ρ=0.13/1.205=0.1079[m/s]
密度ρ=P/RT=101.3・10^3/(287・(273+20))=1.205[kg/m^3]
レイノルズ数Re=Dpρu/μ=0.02・0.13/(18.43・10^-6)=141.77>40 乱流
壁効果補正係数Dp/D=20/100=0.2 Chiltonの補正係数図より、κω=0.6
修正摩擦係数∱'=38κω・Re^-0.15=38・0.6・141.77^-0.15=10.84
圧力損失ΔP=4∱'(L/Dp)(ρu^2/2)=4・10.84・(1/0.02)(1.205・(0.1079^2/2))=
15.21[pa]

例題11.密度1.25g/cm^2の液中を比重2.7、粒子径7.57・10^-5mを沈降させると終末
速度が0.37cm/sになった。この液の粘度を求めよ。

解答
粘度μ=((ρp-ρ)g・Dp^2)/18ut=((2700-1250)・9.8・(7.57・10^-5)^2)/(18・0.37
・10^-2)=1.223・10^-3[pas]

例題12.密度2500kg/m^3で粒子径1μmのガラス球が深さ400mの水中を重力沈降する時
の時間を求めよ。水温は20℃にとる。

解答
μ=1・10^-3[pas]
層流領域での終末速度ut=((2500-1000)・9.8)/(18・10^-3))・(10^-6)^2=8.167・
10^-7
Re数=10^-6・10^3・8.167・10^-7/10^-3=8.167・10^-7<1層流
沈降時間t=400/8.167・10^-7=4.89・10^8[s]=15.53年

例題13.粒子密度2500kg/m^3、1μmのガラス球を20℃の空気中へ重力沈降させるときの
終末速度の99%に到着する時間とその間の沈降距離を求めよ。

解答
μ=18.34μpas、u₀=0、ρ=1.2kg/m^3、z=0.99
終末速度ut=(2500-1.2)・9.8/(18・18.34・10^-6)・(10^-6)^2=7.418・10^-5m/s
経過時間t=ρpDp^2/18μ・ln(1/(1-z))=2500・(10^-6)^2/(18・18.34・10^-6)・
ln(1/(1-0.99))=3.487・10^-5[s]
沈降距離y=ut・t(1+z/(ln(1-z)))=7.417・10^-5・3.487・10^-5(1+(0.99/
(ln(1-0.99))=2.03・10^-9[m]

例題14.バラ積み船から4*3*2.5mの大きさの小麦を垂直高さ20mから水平距離50mの間
を毎時45t空気輸送する輸送管の全圧力損失並びに必要な動力を求めよ。但し、小麦の密度
1400kg/m^3にとる。

解答
μ=18.34μPas ρ=1.2kg/m^3
1.小麦の円相当径Dp=√(4bt/π)=√(4・3・2.5/π)=3.09mm
2.終末速度(乱流)ut=√(3.03・(ρp-ρ)g/ρ・Dp)=√(3.03・(1400-1.2)・9.8・3.09・
10^-3/1.2)=10.34m/s
3.Re数=3.09・10^-3・1.2・10.34)/(18.34・10^-6)=2090
4.混合比ε
最適限界混合比の図より、ε=12に定める。
5.輸送空気量 Ga=Gp/ε=45/(60^2・12)=0.867[m^3/s]
6.輸送速度 ua=20m/sに仮定する。
7.輸送管径 D=√(Q/((π/4)ua)=0.235[m]
8.輸送速度 ua=Q/A=0.867/((π/4)0.205^2)=26.27[m/s]
9.Re数 0.205・1.2・26.27/(18.34・10^-6)=3.524・10^5
10.管摩擦係数(ニクラーゼの式) λ=0.0032+(0.221/Re^0.237=0.01391
11.空気抵抗(水平管) ΔPa=L/d・(ρua^2/2)=1404[pa]
12.混合菅抵抗 ΔPh 小麦のC値図より、C=0.278とする。
ΔPh=(1+Cε)(ρua^2/2)=(1+0.278・12)1404=6088[pa]
13.吸入ノズル圧力抵抗ΔPn [ζ≅10(実用) φ=0.1~0.3(粒体) φ=1(粉体)]
ΔPn=(ζ+φε)ρua^2/2=(10+0.3・12)(1.2・26.27^2/2)=5631[pa]
14.混合流量Qm=Gp/ρp=45・10^3/(60^2・1400)=8.93・10^-3[m^3/s]
15.見掛け粒子比密度ρm (速度比φ=ut/ua=10.34/26.27=0.3936) ρ=1.2
ρm=(Qmρp+φQρ)/(Qm+φQ)=36.87[kg/m^3]
16.垂直部分の静圧 ΔPυ=ρm・H=737.4[pa]
17.輸送管全圧力損失 ΔPT=6088+5631+737=12092[pa]
18.輸送管動力 P=ΔPTQ=12092・0.867=10484[w]=15.5[kw]

例題15.ある材料を粉砕機で平均粒子径を27mmから7mmまで粉砕した動力が7kwであっ
た。さらに同一動力で5mmまで粉砕するに必要な動力を三つの式によって求めよ。
但し、粉砕機の空運転伝動力は0.4kwである。

解答
1.Kick式 Ek=(7-0.4)・(log(27/5)/(log27/7))+0.4=8.645[kw]
2.Rittinger式 ER=(7-0.4)・((1/5-1/27)/(1/7-1/27)+0.4=10.56[kw]
3.Bond式 EB=(7-0.4)・(1/√5-1/√27)/(1/√7-1/√27)+0.4=9.464[kw]

例題16. 9.2メッシュ(2cm)の篩目を80%通過した石灰石が、120メッシュ(125μm)の篩目
を80%通過粉砕する粉砕機の動力を求めよ。但し、処理量は毎時20t、石灰石の仕事係数
Wtを12.7kw/tにする。

解答
1.粉砕比r=Dp₁/Dp₂=2・10^-2/(125・10^-6)=160
2.動力E=Wt=√(100/Dp₂)・(1-1/√r)・G=12.7・√(100/125)(1-1/√160)・20=209kw

例題17.平均粒子径120mmの鉱石を毎時20tで砕いて平均粒径を80mmまで70kw、毎時
12tで50mmまで粉砕するに要する動力を求めよ。

解答
1.Kick法則 
κk=Eκ/((Q・log(Dp₁/Dp₂))=10/(20・log(120/80))=2.839
Eκ=κk・Qlog(Dp₁/Dp₂)=2839・12log(120/50)=12.95[kw]
2.Rittinger法則
κR=ER/(Q・(1/Dp₂-1/Dp₁))=10/(20・(1/80-1/120))=120
ER=κR・Q(1/Dp₂-1/Dp₁)=120・12(1/50-1/120)=16.8[kw]
3.Bond法則
κB=EB/(Q・(1/√Dp₂-1/√Dp₁))=10/(20・(1/√80-1/√120))=24.37
EB=κB・Q(1/√Dp₂-1/√Dp₁)=24.37・12(1/√50-1/√120)=14.66[kw]

例題18. 50mmの砕料を15mmに粉砕する最小ロール径を求めよ。但し摩擦係数μs=0.24
にとる。

解答
D=Dp-S√(1+μs^2)/(√1+μs^2-1)=50-12√(1+0.24^2)/(√(1+0.24^2-1)=
1217.5[mm]

例題19.下記のロータリフィーダからの空気の漏量と粒子の供給排出の成否を検討せよ。
ロータの直径D₁=500mm
軸直径D₂=114mm
ロータ長さL=390mm
ロータ羽根の厚さt=6mm
ロータ羽根の幅l=(500-114)/2=198mm
ロータ羽根の枚数N=12
回転数n=22.7rpm
ロータ羽根とケース本体との隙間ε=0.2mm
ロータ両側板とケース本体との隙間δ=0.3mm
排出口の横断面積A=1.89・10^4mm^2
温度Ta=300K
空気密度ρa=1.2kg/m^3
粒子径ds=3mmφ
粒子のかさ密度ρb=623kg/m^3
上部の圧力P₀=1kg/cm^2
下部の圧力P₁=1.35kg/cm^2
g=9.8m/s^2
実際の供給排出量W=45・10^3kg/h

解答
1.漏れ空気量
q₁=π/4(D₁^2-D₂^2)L-NtlL [m^3/rev]=π/4(0.5^2-0.114^2)(0.39)-12・0.006・
0.198・0.39=0.0672 [m^3/rev]
Q₁=22.7・0.0672=1.525m^3/min
Q₂₁の計算z=3、ε=0.02cm、L=39cm
A₂₁=0.02・39=0.78cm^2
Q₂₁=60/1.2・(0.463/(√3・300)・0.78√(P₀^2-P₁^2)=0.602√√(P₀^2-P₁^2)
Q₂₂の計算z=2、δ=0.003cm、α=1、D₁=50cm
A₂₂=2・0.003・1π・50=0.942m^2
Q₂₂=60/1.2(0.463/(√2・300))0.942√(P₀^2-P₁^2)=0.891√(P₀^2-P₁^2)m^3/min
漏れ空気量合計
Q=1.525+0.602√(P₀^2-P₁^2)+0.891√(P₀^2-P₁^2)=1.525+1.493√(P₀^2-P₁^2)
m^3/min
例えば、P₀=1kgf/cm^2、P₁=1.35kgf/cm^2とすると、
Q=1.525+1.493√(1^2-1.35^2)=2.879[m^3/min]
B=390mm、H=200mmとすると、漏れ空気の平均上昇速度uaは
ua=Q/(60BH)=0.615[m/s]

2.供給・排出効率
V=60・0.0672・22.7=92[m^3/h]
M=623・92=52.3・10^3[kg/h]
η=45・10^3/(57.3・10^3)=0.785

3.受入れ
ロ-タリフィーダからの漏れ空気量の理論値と実験値図より、受入枠数ζ=2とする。
ac⌒=ζ(πD₁/N)=2(π・0.5/12)=0.262[m]
υ=π0.5・22.7/60=0.596[m/s]
tac=0.262/0.596=0.44[s]
bo=(0.5-0.114)/2=0.193[m]
tbo=√(2・0.193/9.8)=0.198[s]
従って、tac>tboの為、受入れ可能。
ωs=π/6・0.003^3・960・9.8=1.33・10^-4[N]
∱s=π/6・0.003^3・960・(0.596^2/(0.5/2))=0.019・10^-4[N]
従って、ωs≫∱sの為、受入れ可能。

落下排出
ki⌒=ζ(πD₁/N)=2(π・0.5/12)=0.262[m]
υ=π0.5・22.7/60=0.596[m/s]
tki=0.262/0.596=0.44[s]
oj=(0.5-0.114)/2=0.193[m]
toj=√(2・0.193/9.8)=0.198[s]
従って、tki>tojの為、受入れ可能

5.落下排出に働く力の影響に対する検討
ωs+∱s=1.349・10^-4[N]
B=390mm、H=200mmとすると、
気流の上昇速度ua=Q/(60BH)=0.615[m/s]
粒子の流体抵抗係数を、C≒1とおくと、
∱r=1(π/4)・0.003^2(1.2/2)・0.615^2=0.0164・10^-4[N]
従って、ωs+∱s≫∱rとなり、落下供給可能である。

例題20.集塵装置入口へ濃度32g/m^3、280℃のガスを入れると、280mmAqの装置抵抗
のあと出口濃度460mg/m^3、150℃で大気中に放出された。この集塵装置の効率を求め
よ。

解答
1.入口濃度修正C₁=C₁’・T₁・P₂/(T₂・P₁)=32・(273+280)・10300/(273+150)・
(10300+280)=40.73[g/m^3]
2.装置効率η=(C₁-C₂)/C₁=(40.73-0.46)/40.73=0.9887=98.87[%]

例題21.比表面積径1.8μm、粉塵比重が3.6の粉塵濃度5g/m^3を含むガスを毎時
2000m^3で処理するバグフィルタの沪過面積と粉塵払い落し時間を求めよ。但し、最高
許容圧力損失を80mmAq、空隙率を0.85にとる。

解答
沪布通過速度ua=3cm/s、ガス粘度μ=18.34μpa・sとする。
1.沪過面積A=Q/ua=2000/(60^2・0.03)=18.52[m^2]
2.バグ本数n=、沪布織幅を1mにとると沪布筒の直径Db=1・0.9/π=0.2865[m]
有効沪布筒長さを2mにとる。
本数N=A/(πDbL)=10.53=12本(ケース本体正方形として、偶数)
3.Kk^2=30と仮定して、(球は180)
α=Kk^2・(1-ε)/(ρs・ε^3・Dp^2)=7.539・10^8[m/kg]
4.粉塵負荷m=ΔPg/(αμua)=1.89[kg/m^2]
5.堆積量ω=Q・C/A=8.99[g/m^2・min]
6.負荷mを与える時間t=m/ω=210[min]

例題22.電気集塵機に電界強度E=10esu=3000Vs/cmの直流電圧をかけた時の1μmの
良導体粒子の移動速度を求めよ。

解答
cgsで計算し空気中κ=0の集塵を考える。
移動速度u=(1+2((κ-1)/κ+1))(E^2・Dp/(12πμ))=4.42[cm/s]

例題23.サイクロンの入口速度15m/sのときの圧損を求めよ。

解答
係数K=(κa√D₁/(D₂√(L+H)=30・0.5・1.25√25・√D₂・D2^2/(√2.5+5・√D₂・D2^2)
 =34.23
圧力損失ΔP=Kρui^2/2=34.23・1.2・15^2/2=4621[pa]

例題24.石英(ρA=2.65・10^3kg/m^3)と方鉛鉱(ρB=7.5・10^3kg/m^3)の混合物の
粒度分布が14.7~16.5μmの範囲にあるとき、沈殿分離する為の液の最小密度を求めよ。

解答
1.層流域では
DpA/DpB=63.5/14.7=((ρB-ρ)/(ρA-ρ))^0.5=(7.5-ρ/2.65-ρ)^0.5
ρ=2.37・10^3[kg/m^3]
2.乱流域では
DpA/DpB=63.5/14.7=7.5-ρ/2.65-ρ
ρ=1.18・10^3[kg/m^3]
従って、分離可能の液の最小密度はρ=1.18~2.37[kg/m^3]の範囲にある。

例題25.比重2.1と1.5の異なる粉体を0.104mm以上の粗粉は篩いでカットして、直径5cm
の水ひ筒で分離するのに必要な水量と限界回収粒子径を求めよ。

解答
ut:終末速度=(1.5-0.998)・10^3・9.8(0.104・10^3)^2/(18・1.002・10^-3)
=2.95・10^-3[m/s]
ut:(2.1-0.998)・10^3・9.8(0.104・10^-3)^2/(18・1.002・10^-3)
=6.48・10^-3[m/s]
所要水量Q=(π/4)D^2・ut=(π/4)・0.05^2・2.95・10^-3=5.792・10^-6[m^3/s]
限界回収粒子径DPA=((ρB-ρ)/(ρA-ρ))^0.5・DpB=((1.5-1)/(2.1-1))^0.5・
0.104・10^-3=7.012・10^-5[m]

例題26.長方形重力沈殿槽(長さ5m、幅2m、高さ1m)に20℃の水を流して、比重2.8の球形
粒子を40μmまで完全に分離する為の水流速度を求めよ。

解答
ρp=2800kg/m^3、ρ=998kg/m^3、Dpmin=40・10^-6m、μ=1.002・10^-3pas
粒子の沈殿速度ut=((2800-998)・9.8(40・10^-6)/(18・1.002・10^-3))
=1.566・10^-3[m/s]
粒子のレイノルズ数Rep=988・40・10^-6・1.575・10^-3/(1.002・10^-3)[m/s]
流量Q=2・5・1.566・10^-3=0.01566[m^3/s]
流量速度u=Q/(HB)=0.01566/(1・2)=0.00783[m/s]

例題27.比重2.7の微粒子を遠心分級機で分級する。入口速度が18m/sで吸入する時の分級
限界粒子径を求めよ。但し、入口幅Bを200mm、κ=0.5にとる。

解答
空気の粘度(20℃、101.3kpaとして)μ=18.34・10^-6[pas]、ρ=2700[kg/m^3]
分級限界粒子径Dpc=1/κ・√(9μB/(π(ρp-ρ)ui=1/0.5・√(9・18.34・10^-6・0.2/(π・
(2700-1.2)・18)=2.942・10^-5[m]

例題28.円筒形遠心分離機の回転筒(内径68mm、出口径38mm、筒長500mm)を
11800rpmで回転させて、密度0.978g/cm^3、粘度0.28g/cm・sの原油1.06m^3/hから
水分(粘度1cp)を除去したい。除去可能な水滴の直径を求めよ。

解答
Stokes領域と仮定する。
1.角速度ω=2πn/60=2π・11800/60=1235.7[1/s]
2.遠心沈殿面積A₁=2πω^2・L/g・((r₂-r₁)/(ln(r₂/r₁))・((r₂+r₁)/2))=2π・1236^2・0.5/9.8((0.034-0.019)/(ln(0.034/0.019)))((0.034+0.019)/2)=334.5[m^2]
3.分離粒径Dpm=√(18・0.028・1.06/((1000-978)・9.8・335・60^2))=4.532・10^-5[m]
4.回転筒Re数
1)回転筒断面積A=πr^2=π・0.034^2=3.632・10^-3[m^2]
2)上昇速度u=Q/A=1.06/60^2・3.632・10^-3)=8.107・10^-3[m/s]
3)Re=4.532・10^-5・0.81・10^-1・978/(2.8・10^-2)=0.128<5.8 (層流域)

例題29.外径15cm、内径10.3cm、長さ78cmの円筒形連続遠心沈降機で密度1.18g/cm^3
粒径2.3μmの微粒子を18wt%を含む懸濁液を2800[l/h]処理して、粒子を分離するには
どれくらいの回転数n[rpm]を必要とするか。置換流の影響を求める懸濁液の空間率関数を
考えよ。

解答
μ=1.002・10^-3[pas]、Q=2.8・10^3[l/h]、ρ=10^3[kg/m^3]
V=(π/4)(0.15^2-0.103^2)0.78=7.285・10^-3[m^2]
1.懸濁液の空間率関数F(ε)
ε=1-C/ρp=1-0.18/1.18=0.847
F(ε)=ε^-4.65=2.16
2.角速度ω=√((18・1.002・10^-3・2.8・2.16/(60^2・(1.18-1)・10^3・(2.3・
10^-6)^2・7.285・10^-3)・ln(16/10.3))=1387
3.回転数n=60ω/2π=60・1387/2π=13244[rpm]

例題30.沪液量13.8m^3を沪圧1.57kg/cm2で定圧沪過して8.3m^3/hをえた。沪液量を
1.4倍、沪過速度を1.18倍の時の沪過終了時の圧力をケークが非圧縮性の場合と圧縮性の
場合をαm=αm₀(1+0.25ΔP)式が満足する場合について求めよ。但し、沪機の抵抗は考え
ない。

解答
V₀=0として、ΔP∱=α・μω/A^2(dV/dt)(V+V₀)=(α₀・μω(1+0.25ΔP)/A^2)(dV/dt)V
1.非圧縮性ケークの場合:ω=0、dV/dtが1.18倍、Vが1.4倍、κ₂が変わらないとすると、
ΔP∱=(V/κ₂)dV/dt=1/κ₂(1.4・1.18)=1.65/κ₂
沪過圧が1.57・10^5・1.65=2.59・10^5[pa]=259[kpa]
2.圧縮性ケークの場合
ΔP/(1+0.25ΔP)=1.65・(1.57/(1+0.25・1.6))=1.85
ΔP=1.85+0.25・1.85・ΔP
ΔP=1.85/(1-0.25・1.85)=3.442[kgf/cm^2]=337.3[kpa]

環境演習問題

例題1.次の仕様で、塗装ブースの脱臭装置を設計する。
溶剤物質:トルエン、キシレン
V:処理量=30[m^3/min]
C₀:溶剤成分濃度 トルエン=40[ppm]、キシレン=80[ppm]
ta:排気温度=30℃
Pa:排気圧力=20[mm]
トルエン分子量92
キシレン分子量106
Mω:溶剤成分の平均分子量=(92・40/120)+(106・80/120)=101.3
ω:排気中の溶剤成分の単位時間当りの負荷=V・(C₀/10^6)(Mω/22.4)(273/273+ta)
=1.47・10^-2[kg/min]=0.88[kg/hr]
活性炭の充填高Z=0.6mの場合
有効吸着量qe=q₀(1-Za/2Z)=0.28(1-0.05/2・0.6)=0.268[kg/kg]
qs'=0.8・0.268=0.214[kg/kg]
U:空塔基準速度=15[m/min]
A:所要断面積=V/U=30/15=2[m^2]
γ:活性炭の充填比重=400[kg/m^3]
q:合溶剤の重量=W・qe'=137[kg]
tB:破過時間=q/ω=156[h]
θl:接触時間=0.6/15=0.04[min]=2.4[sec]

例題2.活性炭1gの内部表面積が1200m^2である場合、標準状態でその活性炭1gの内部
表面に吸着される窒素分子の容積はいくらか。

解答
窒素分子1個の断面積は、4.84平方オングストローム(1A=10^-8cm=10^-10m)で、
アボガドロ数を6.02・10^23とする。
表面に吸着される窒素分子の容積=22.4・((1200・10^4/(4.81・10^-16)/(6.02・
10^23))=0.92ℓ

例題3.気体1モルの容積は、0℃,1気圧においては、約22.4ℓであるが、25℃での1気圧下
に於ける気体の占める容積はいくらか。

解答
22.4((273+25)/273)=24.46ℓ

例題4.分子量が60の物質濃度が、25℃,1気圧に於いて、30ppmであった。質量濃度に換算
するといくらになるか。

解答
30(60/24.46)=73.6[mg/m^3]

例題4.分子量が32の質量濃度が、25℃,1気圧において、60kg/m^3の場合、容積濃度に
換算するといくらになるか。

解答
60(24.46/32)=45.9[ppm]

例題5.ある有機溶剤の爆発下限値が1.4%の場合、その下限値の25%の濃度に希釈するのに
必要な空気量を求めよ。尚、有機溶剤の分子量を78とし、温度20℃で、有機溶剤1kgを
対象するものとする。

解答
1.4・0.25=0.35%
その有機溶剤1kgの容積は標準状態において、22.4(1/78)=0.287[m^3]
希釈すべき空気の標準状態に於ける容積をVAとすると、
0.287/(0.287+VA)100=0.35
VA=80.9[m^3]
20℃では、80.9(293/273)=86.8[m^3]

例題6.蒸発量が毎時500kgの混合溶剤を吸着法を用いて回収しようとする場合、操業上安全
といえる混合ガスの濃度を求めよ。尚、溶剤成分はベンゼン60%、アセトン40%の2成分
からなり、混合ガスの濃度限界は、爆発限界の1/4とし、ベンゼン及びアセトンの爆発限界
を1.4%及び2.5%とする。

解答
ベンゼンの処理量=500・0.6=300[kg/h]
アセトンの処理量=500・0.4=200[kg/h]
ベンゼンのモル数=300/78=3.85[k・mol]
アセトンのモル数=200/58=3.45[k・mol]
混合溶剤のモル数=3.85+3.45=7.3[k・mol]
ベンゼンのモル分率=3.85/7.3=0.527
アセトンのモル分率=3.45/7.3=0.473
求める混合溶剤の濃度限界をX%とすると、
X=1/4(1/(0.527/(1.4+0.473/2.5))=0.44%

例題7.例題6の濃度限界で、温度30℃で送風する場合の所要空気量を求めよ。

解答
モル数は、7.3[k・mol]
22.4・7.3(303/273)(100/0.44)=41250[m^3/h]

例題8.トルエン0.5μℓを10ℓの空気中に気化させた場合のトルエンの気中濃度を求めよ。
但し、トルエンの比重を0.867、分子量を92.13、温度を25℃とする。

解答
0.5[μℓ]=0.5・10^-3[mℓ]
0.5・10^-3・0.867・10^6=433.5[μg]
433.5/3.8=114[μℓ]
114/10=11.4[μℓ/ℓ]=11.4[ppm] 又は、0.5・10^-3・0.867(24.46/92.13)/10・
10^6=11.4[ppm]
尚、トルエン蒸気1μℓは次式により、3.8μgのトルエン(液体換算)に相当する。
1[μℓ]=1・10^-6[ℓ]  1・10^-6(92.13/24.46)[g]=3.8・10^-6[g]=3.8[μg]

例題9. 1gの吸着剤を用いて、水素ガスの吸着実験を行い次のデータを得た。
圧力p[mmHg]   2   12   30   68
吸着量x[ml/g]  0.06  0.1   0.11  0.12
p/x       33.3  120   272   566
このデータより水素ガスの吸着に関する実験式を求める。

解答
このデータをプロットすると、直線関係が成立するのでラングミュアの式を用いる。
p/x=(1/b)p+1/(a・b)
180=(1/b)20+1/(a・b)
340=(1/b)40+1/(a・b)
両式より、(1/b)=8 1/(a・b)=20となる。
∴p/x=8p+20 が求める実験式である。

例題10. 25℃に於いて、シリカゲルを用いて、二酸化窒素NO₂の吸着量を測定したところ
次に示す結果が得られた。
p(mmHg)         3    6    9    12    15
x(g・NO₂/g・シリカゲル  0.58   1.75  3.38   5.33   7.61
このデータより水素ガスの吸着に関する実験式を求めよ。

解答
p及びxの値から(logp)と(logx)を求める。
logp    0.477    0.778     0.954    1.079    1.176
logx    -0.237    0.243     0.529    0.727    0.881
横軸にlogpを、縦軸にlogxをとりプロットすると、logpとlogxの間には直線関係が成立
するので、フロイドリッヒの関係式を用いる。
直線の勾配を求めると、40/25=1.6
logx=1.6logp-1=1.6logp+log0.1=logp^1.6+log0.1 となり、x=0.1p^1.6が求める
実験式である。

例題11.吸着剤の充填層高を大にすると、有効吸着率が必ず大になることを数式で証明せよ
但し、操作条件は同一とする。

解答
充填層高をZ 吸着剤の長さZaで表す。充填層高をn倍とした場合、有効吸着率qeの差を
Δqeとし、平衡吸着率をq₀とすると、
Δqe=qe(1-1/2(Za/nZ)-q₀(1-1/2・(Za/Z)=q₀・(Za/2Z)(n-1/n)
つまり、充填層高を2倍にすると、破過時間は2倍以上になる。

例題12.平衡吸着率qe=0.25[kg/kg・吸着剤]の吸着剤を利用した充填層1.2mの吸着系で
吸着帯の長さが0.3mの場合に於いて、有効吸着率qeを求めよ。

解答
qe=q₀(1-1/2・(Za/Z))=025(1-1/2(0.3/1.2))=0.219[kg/kg・吸着剤]

例題13.初濃度C₀=0.008[kg/m^3]の溶解成分を含有する排気中より、溶剤成分を活性炭
により吸着除去するものとする。活性炭の充填高Z=1.2m、流速U=18m/min、活性炭の
充填密度γ=400[kg/m^3]なる条件で処理した場合の破過時間tB=600minであった。
この場合の有効吸着率を求めよ。

解答
qe=(C₀・U・tB)/(Z・γ)=(0.008・18・600)/(1.2・400)=0.18[kg/kg・吸着剤]

例題14.溶剤含有空気を活性炭により処理し、溶剤成分を回収する。
有効吸着率qe=0.21[kg/kg・吸着剤]、溶剤濃度C₀=0.025[kg/m^3]、充填密度γ
=410[kg/m^3]、充填層高Z=1.5[m]、流速U=12[m/min]の場合の破過時間tBを求めよ

解答
qe=(C₀・U・tB)/Z・γ より、 tB=(qe・Z・γ)/(C₀・U)
tB=(0.21・1.5・410)/(0.025・12)=430.5[min]

例題15.吸着帯の長さZaが、充填層高Zの0.3倍に相当する場合、充填層高を2倍にすると、
破過時間は何倍になるか。但し、係数Xの値は、X=1とする。

解答
Za=0.3Zであり、求める破過時間の比(tB'/tB)は
(2Z-Za)/(Z-Za)=(2Z-1/2・0.3Z)/(Z-1/2・0.3Z)=2.43倍

例題16. 例題15に於いて、係数X=1/2の場合の破過時間は何倍になるか。

解答
(2Z-1/2Za)/(Z-1/2Za)=(2Z-1/2・0.3Z)/(Z-1/2・0.3Z)=1.85Z/0.85Z=2.18倍

例題17.吸着帯の長さZaが充填層高Zの0.3倍に相当する場合、破過時間を2倍にする為には
充填層高が何倍になるか。

解答
Za=0.3Z であり、求める充填層高をn・Zとすると、
(n・Z-Za)/(Z-Za)=(nZ-0.3Z)/(Z-0.3Z)=2 より、n=1.7

例題18.ある吸着試験装置を用いて脱臭試験を行った。活性炭の充填層高が5cmの場合の
破過時間が10時間、同じく10cmの場合の破過時間が25時間であった。充填層高を50cm
とした場合の破過時間はいくらか。但し、試験に共した吸着剤は薪炭の活性炭とする。

解答
tB'/tB=(n・Z-X・Za)/(Z-X・Za)なる関係式でX=1/2とする。
代入すると、25/10=(10-0.5Za)/(5-3.3/2)=14.4
破過時間tB"=10・14.4=144時間
薪炭の場合は、通常X=1/2とする。

例題19.充填密度γ=400[kg/m^3]の粒状活性炭を充填した充填層高Z=1.25[m]の装置で
流速U=20[m/min]、入口濃度C₀=10[g/m^3]、平衡吸着率q₀=0.25[kg/kg・活性炭]の
場合、破過時間TBと吸着帯との関係式を導け。

解答
TB=γ・q₀・Z/(U・C₀)・(1-1/2・Za/Z)=400・0.25・1.25/(200・10・10^-3)・
(1-1/2・Za/1.25)=625(1-0.4Za)=625-250Za が求める関係式である。

例題20.実験装置を用い、1m^3中に10gの溶剤蒸気を含む20℃の空気を活性炭層に通し、
出口濃度を測定すると、破過時間70分、平衡時間100分なる測定データが得られた。活性炭
の充填密度が400[kg/m^3]溶剤蒸気含有空気の流速が0.25[m/s]の場合、吸着帯の長さは
いくらか。但し、C₀=10[g/m^3]の場合の平衡吸着量q₀は、0.3[kg/kg・活性炭]

解答
C₀=10[g/m^3]=0.01[kg/m^3]
β=q₀/C₀=0.3/0.01=30
β・γ=30・400=12000
Za=U/(β・γ)・Δt=(0.25・60)/12000・(100-70)=0.0375[m]

別解
Za=U/(β・γ)・(tE-tB)
U:空塔基準の流速[cm/sec]
β=q₀/C₀:吸着係数[m^3/kg・吸着剤]
q₀:C₀に平衡な吸着率[kg/kg・吸着剤]
C₀:入口濃度又は初濃度[kg/m^3]
γ:吸着剤の充填密度[kg・吸着剤/m^3]
Δt=tE-tB[sec]
U'=U/(β・γ):吸着帯の進行速度[cm/sec]
β・γ:吸着剤単位容積当り処理し得る流体の容積の理論値
U・A・C₀・Δt=γ・A・Za・qa
U・Δt=γ・Za・(q₀/C₀)=β・γ・Za
Za=U/(β・γ)・Δt=U'・Δt
A:断面積[cm^2]
Za=U/(β・γ)・(tE-tB)=U'・Δt なる関係式より求める。

例題21. 例題20の測定値を基準として、実装置にて毎時2000m^2の同一濃度のガスを
処理する場合の所要充填層高と塔断面積は概算でいくらになるか。
但し、切換時間を4時間とし、平衡吸着量は劣化を見込んで初期の70%に低下し、吸着帯の
長さは安全をみて、6cmとする。

解答
q₀=0.3・0.7=0.21
β=q₀/C₀=0.21/0.01=21
β・γ=21・400=8400
U'=U/(β・γ)=0.25・60/8400=1.8・10^-3[m/min]
Z=U'・tB+0.5Za=1.8・10^-3・(60・4)+(0.5・0.06)=0.43+0.03=0.47m
断面積A=2000/0.25・3600=2.22[m^2]

例題22.浄化または脱臭を必要とする空気量:Q[m^3/h]
浄化または脱臭に用いる吸着剤重量:W[kg]
対象成分の吸着保持量:S[kg/kg・吸着剤]
対象成分に対する吸着効率:η
破過時間(有効使用期間):TB[h]
対象成分の濃度(重量基準):Cω[kg/m^3]
対象成分の濃度(容量基準):Cυ[m^3/m^3]
対象成分の分子量:M
これらの記号を用いて、破過時間TBの計算式を求めよ。

解答
物質収支の関係から、W・S=Q・TB・Cω・η
TB=(W・S)/(Q・Cω・η)
Cω=Cυ(M/22.4)
TB=(22.4W・S)/(Q・Cυ・M・η)

例題23.吸着効率が95%の活性炭フィルターを通して、ある工場周辺の大気を吸引した。
大気の吸引量は毎時300m^3、吸引時間の累計は600時間、活性炭の充填量は20kgであっ
た。吸引後の活性炭を取り出して、その重量を測定すると吸引前の重量に対し、15%の
重量増加が認められた。吸着された物質の分子量を60とすると、工場周辺部の大気中の
被吸着物質の濃度はいくらか。但し、活性炭は上記の吸引時間で飽和に達したものとする。

解答
TB=600[h]、S=0.15[kg/kg・活性炭]、Q=300m^3/h、M=60、η=0.95より、
20・0.15=300・600・Cυ(60/22.4)0.95=6.5・10^-6[m^3/m^3]=6.5[ppm]

例題24. 100人出席の集会所内で、70人が1時間に平均して2本ずつ喫煙した。喫煙による
汚染物質の濃度を1[m^3]あたり5g以下に保つのに必要な換気量はどれくらいか。
但し、タバコ1本の重量を1.1gとし、各人はその60%を喫煙するものとする。

解答
喫煙による汚染物質の毎時発生量=1.1・0.6・2・70=92.4[g/h]
必要換気量=92.4・10^3/5=18480[m^3/h]=308[m^3/min]

例題25. 一塔当りの吸着充填量M[kg/h]、一時間当りの被吸着物質の重量W[kg/h]
操作時間(切換えサイクルの間隔)t[h]、動的吸着容量(破過吸着容量)q[%]、
qに対する安全係数∱、使用回数の増加による吸着剤の劣化度A、これらの記号を用いて
二等式吸着装置の各塔の吸着充填量を求めよ。

解答
M=(W・t/∱・q・10^-2)(1/(1-A))

例題26.被吸着物質の流量が毎時5kgで、切換えサイクルが8時間の二塔式吸着精製装置に
於いて、破過吸着容量が15%の場合、一塔当りの吸着剤所要充填重量はいくらか。但し、吸着容量に対する安全係数を0.8とし、吸着剤の劣化度を0.3とする。

解答
M=(W・t/∱・q・10^-2)(1/1-A)
W=5、t=8、q=15、∱=0.8、A=0.3 を代入して、
M=476kg

技術者NSPS論理規定 1996年7月版

基本的規範
技術者が自らの専門職業義務の遂行において、しなければならないことは以下の通りである
1.公衆の安全、健康、及び福利を最優先にする。
2.自らの有能の領域においてのみ、サービスを遂行する。
3.客観的かつ真実に即した方法においてのみ、公的な言明を行う。
4.それぞれの雇用者または依頼人のために、誠実な代理人または委託者として行為する。
5.欺瞞的行為を回避する。
6.自らが名誉を重んじ、責任を持ち、論理的に、そして適法に身を処することにより、専門職業の名誉、名声、及び有用性を高めるように行動する。



最後に
私の恩師の杉谷正廣氏は、戦時中に紫電改の設計に携わり、敗戦後は川西航空機の再建会社の一つであった明和自動車製作所で、アキツ号のトランスミッションやシャシーフレーム構造、エンジン防振装置の設計と強度計算を担当し、航空機の技術を自動車に転用することに努力された。やがて旭工業、ダイハツ工業と社名が変わるなかで、ベストセラーカーとなった軽三輪自動車ミゼットやフェローなどを開発生産し、次世代を担う未来の自動車といわれた電気自動車(EV)の開発にも尽力され、当時のEXPO'70大阪万博で披露された。
また経営コンサルタントの業務をなされ、書物も出版して「儲かる現場をつくる7つ道具」は経営の道しるべです。
また先生はいつも”やる気が一番”とよくおっしゃられていました。
私は先生のように偉業を成し遂げることができませんが、細やかなことですが、この資料はこれからエンニジアを目指す方、特に学生、若い人に見て頂ければ幸いです。
またものづくりに携わる方、小規模の工場経営者のために、何らかの形で参考になればいう思いでまとめてみました。
そして私自身、「技術は環境と人々の安全を守り生活を豊かにし、幸せにするものである」ということを肝に銘じ誠心誠意技術に精進していく所存であります。


参考文献

ガスタービン 日本ガスタービン学会
粉体技術ポケットブック
粉体工学演習
燃焼装置の技術
食品工学入門
ミキシング技術
計算力学の基礎
気化器の理論と実際


有限会社浜岡工作所

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